太陽光パネルリサイクルとは
太陽光パネルリサイクル(英語:recycling sunlight panel)とは、太陽光発電装置の廃棄時に、リサイクルして資源を回収することです。
再生可能エネルギーの主力である太陽光発電は、2012年に固定価格買取制度(FIT、Feed-in Tariff)が導入されてから、急速に増加しています。太陽光発電に使用する太陽光パネルは、製品寿命が約25~30年とされています。そのため、多くの太陽光発電事業が終了する2040年頃には、太陽光パネルを含む廃棄物が大量に出ることが予想されます。
そこで、環境省は、廃棄太陽光パネルを産業廃棄物に指定し、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を2016年3月に制定し、2018年に改訂しています。また、資源エネルギー庁は、太陽光発電設備の計画時における「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」を制定しています。
一般社団法人/太陽光発電協会は、「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」、及び「太陽電池モジュールのリサイクルが可能な産業廃棄物中間処理業者名一覧表」を公表しています。法的規制が進み、太陽光パネルメーカー・発電事業者・廃棄物処理業者などの責務努力の推進が一層求められています。
太陽光パネルリサイクルの使用用途
廃棄される太陽光パネルは、パネルメーカー・販売会社・発電事業者・電気工事会社・解体工事会社・一般家庭などから、リサイクル処理業者へ集められます。まず、リユースできるものと、リサイクルするものとに選別します。
太陽光パネルの寿命は非常に長く、内部破損が無ければ、発電能力は下がるが発電をする事が出来ます。リユース品は中古品として販売されます。
リサイクル品は、金属やガラスなどの素材ごとに分離し、それぞれ素材として再利用されます。
太陽光パネルリサイクルの原理
太陽光発電設備は、太陽電池モジュール/アレイ・接続箱・集電箱・パワーコンディショナ・架台等で、構成されます。
太陽光パネルの分離選別は、処理工程を自動化した装置が多く使われます。パネル搬送装置・油圧式のアルミフレーム外し機・ガラス剥離装置又は粉砕機・振動ふるい機・ガラス微粉剥離装置・風力選別機などを連結した装置です。
選別したアルミフレーム・電極・導線・接続箱・架台などは、金属商などへ出荷されます。選別されたガラスは、グラスファイバや発泡ガラスのメーカーなどへ納入されます。また、ガラスを剥離したセル付きバックシートは、精錬工場へ出荷されて、銀の回収が行われます。銀は、セル付きバックシート1Kg当たり1~4g程度回収できます。
太陽光パネル廃棄問題
太陽光発電事業は、ほかの発電事業とは異なる特色があります。1つは、参入障壁が低いため、さまざまな事業者が取り組みやすく、なおかつ、事業の途中で事業主体が変更されることが比較的多くあることです。2つ目は、太陽光パネルの種類によって異なる有害物質が含まれていることです。このため、将来の太陽光発電設備の大量廃棄時の懸念があります。
1. 放置・不法投棄
問題となるのは、事業者が所有する土地での事業用太陽光発電です。実質的に事業が終了していても、廃棄処理がコストの問題から、パネルが放置されたり、不法投棄されるる可能性があります。これを防ぐには、売電利益の一部を廃棄などの費用として、積み立てておくことが有効です。
2. 有害物質の流出・拡散
太陽光パネルには、鉛・セレン・カドミウムなどの有害物質が含まれているものがあり、それぞれ適切な処分方法があります。廃棄物処理業者が、含まれているる有害物質の情報を十分認識していないために、適切な処分が行われていない場合があります。太陽光パネルメーカーや販売店が積極的に情報開示するなど、周知徹底が必要です。
3. 最終処分場のひっ迫
太陽光パネルの大量廃棄のピーク時には、産業廃棄物の最終処分場がひっ迫する恐れがあります。パネルの出荷量から算出した廃棄量は、寿命が25年の場合、2040年前後に1年80万トン程度と、環境省は予想しています。リサイクルのコストを低減して効率化し、処分場のひっ迫緩和を進める必要があります。
太陽光パネルリサイクルの特徴
1. 100%リサイクル
太陽光パネルリサイクルは、廃棄品を各素材に分別・精製することにより、素材を販売できるので、ほぼ100%リサイクルできます。また、最初の工程で、リユース可能なものを選別すれば、中古品として販売可能です。
2. リサイクルの自動化
太陽光パネルをそのままリサイクル装置へ投入し、アルミ枠・ガラス・金属・バックシートなどに選別します。太陽電池の種類に応じて、選別には色々な技術が使われています。
アルミ枠を外したパネルを湿式又は乾式クラッシャーで粉砕して、湿式の比重差で分けたり、風力や振動により選別します。また、粉砕しないで、ガラスをホットナイフ分離法などで分離してから、各々選別する方法もあります。さらに、ブラスト工法と言って、粒状のブラスト材を圧縮エアーなどによってカバーガラス表面に吹き付けてガラスを剥離する方法があります。いずれの方法でも、選別したものは精錬工場へ出荷されて、有害物質の分離や銀などの資源回収を行います。
3. ガラスの精製
剥離したり、選別されたガラスの不純物を取り除き、純粋ななガラス材として販売します。