樹脂ベアリング

樹脂ベアリングとは樹脂ベアリング

樹脂ベアリングとは、樹脂素材を用いて作製したベアリングのことです。

樹脂ベアリングはプラスチックベアリングとも呼ばれます。ベアリングとは日本語では軸受という意味で、回転機器の回転軸を受け止めて回転を円滑にする役割を担う部品です。

樹脂ベアリングは樹脂素材で作製されるため、軽量化や自在な成形が可能です。熱や薬品に対する耐性や絶縁性などが高く、金属には不向きな特殊環境下での使用が可能という特徴があります。

また、オイルグリースなどの潤滑剤を必要としないため、メンテナンス頻度が低い点もメリットです。樹脂ベアリングに使用する素材は主に合成樹脂であり、種類が豊富なため用途に合わせて最適な材質を選ぶことができます。

樹脂ベアリングの使用用途

樹脂ベアリングは家具などの家庭用品から産業・商業用機器まで幅広く使用されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • オフィスで使用する家具や冷蔵庫
  • 自動販売機などの電気製品
  • スチール家具や駐輪用の器具
  • グリスを使用したくない食品工場
  • 薬品を使用する化学系工場
  • 水中ポンプ用モーター・ポンプの回転軸

樹脂ベアリングは、金属製ベアリングと比べて耐薬品性や耐水性に優れており、非導電性のため薬品や水中などで使用されています。

樹脂ベアリングの原理

一般的にベアリングには金属素材が用いられますが、樹脂ベアリングは樹脂を材料としています。樹脂には腐食耐性・耐水性・絶縁性に優れ、軽量である上、低コストで製造可能です。これらの利点をベアリングに活かしたのが樹脂ベアリングです。

樹脂ベアリングは、摺動部分に樹脂素材を用いることで樹脂の特性を効果的に発揮し、負荷荷重のバランスを設計して製作されます。樹脂製ボールベアリングのボール部分は樹脂以外の素材を用いる場合もありますが、軌道輪と保持器は樹脂の同一素材を用いることが一般的です。使用用途に合わせて、ベアリングを構成する各部品の材質を指定することもできます。

樹脂ベアリングのその他情報

1. 樹脂ベアリングのデメリット

ベアリングは転がり軸受とすべり軸受に分けられます。さらに、材質の面から、金属製ベアリングと樹脂製ベアリングで分類されます。樹脂製ベアリングは、金属製ベアリングと比較して多くの利点を持ちますが、下記のような欠点もあります。

ベアリングの強度
エンジニアリングプラスチックの性能は向上傾向にありますが、金属と比べると強度は劣ります。そのため、樹脂ベアリングは重負荷での使用はできません。また、強度が低いので変形が大きく、高精度用途には不向きです。

ベアリングの耐熱性
樹脂は耐熱温度が高いテフロン系材料でも260℃程度であり、高温環境では軟化するため使用できません。その他、高精度加工が難しく、高精度ベアリングの作製が困難であること、紫外線や衝撃荷重に弱いことも欠点として挙げられます。

2. 樹脂ベアリングの材質

樹脂ベアリングに使用される材質は、様々な種類があります。すべり軸受には、ポリアセタールや四フッ化エチレンなどの樹脂材料に充填剤や潤滑油を添加したものが多く使用されます。

転がり軸受ではPEEK (ポリエーテルエーテルケトン) やPTFE (テフロン樹脂) 、フェノール樹脂が多く使用されます。PEEKは耐熱性や耐薬品性などに優れ、高い耐摩耗性や寸法安定性を有する高機能樹脂であり高価格です。

PTFEは耐熱性、耐薬品性に優れていますが、一番の特徴は低摩擦係数と低粘着性です。そのため、フライパンのコーティングに使用されます。機械的強度は若干劣りますが、吸水しないため薬品などでも膨潤することがありません。

フェノール樹脂はベークライトとも呼ばれ、絶縁性や耐油性が高いのが特徴です。また、アルカリ以外の薬品にも耐性があります。価格は他の材料と比べて比較的低価格です。導電性材料を添加することで、導電性を持たせた材料や金属を一部使用したものなど、多くの種類が販売されています。

参考文献
http://tok-inc.com/products/index3.html
https://kashima-kagaku.com/about/
https://kashima-kagaku.com/about/jushi_feature/
https://kashima-kagaku.com/about/structure/
https://kashima-kagaku.com/use/environment/environment_01/
http://share.j-treasure.com/tok-jusibearingu/

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