次亜塩素酸水生成装置

監修:金澤工業株式会社

次亜塩素酸水生成装置とは

次亜塩素酸水とは、食塩水あるいは塩酸を電解することで得ることができる次亜塩素酸を溶質とする水溶液のことです。幅広い細菌やウイルスの除菌・除去に有効性を示し、「使用上の注意事項等を守って適切に使用した場合には人の健康を損なう恐れがない」ということから、厚生労働省により、食品添加物(殺菌料)に指定され、そのときに「次亜塩素酸水」という名称が付与されました。

食品添加物(殺菌料)としての次亜塩素酸水は、pHや有効塩素濃度などで規定されています。

食品添加物(殺菌料)に指定されている次亜塩素酸水

  電解槽 pH 有効塩素濃度(mg/kg)
微酸性次亜塩素酸水 1室型 5.0〜6.5 10〜80
弱酸性次亜塩素酸水 2室型/3室型 2.8〜5.0 10〜60
強酸性次亜塩素酸水 2室型/3室型 2.7以下 20〜60

 

次亜塩素酸に似ているものとして次亜塩素酸ナトリウムがあります。この二つの違いとしては、水液中での次亜塩素酸分子の形がそれぞれ異なり、殺菌力に差があることが挙げられます。次亜塩素酸ナトリウムは水液中では主にイオンの形で存在しているのに対して、次亜塩素酸水は水液中では主に分子の形で存在しています。
次亜塩素酸は、イオン型よりも分子型の方が殺菌力は高いといわれており、同じ有効塩素濃度では、次亜塩素酸水の方が高い殺菌効果を示します。

次亜塩素酸ナトリウムは殺菌効果を得るために、200 ppm以上の比較的高い濃度で使用されるのが一般的です。そのため、食品の取扱い現場では、手荒れの原因となったり、食品に塩素臭が付着してしまい、食品の味や香り、食感に影響を与えてしまったりといった問題が指摘されてきました。一方、次亜塩素酸水では、より低濃度で殺菌効果が得られることから、食品や人に与える影響が少なく、利点があるとされています。

次亜塩素酸水生成装置とは、この次亜塩素酸水を即時的に生成できる装置のことで、次亜塩素酸水生成装置を使うことで、手間をかけることなく安価で安全に除菌・消臭などの衛生管理を行うことが出来ます。
次亜塩素酸生成装置には、大小さまざまな大きさがあるので、使用目的に合った大きさの装置を選択することで効率よく作業することが出来ます。

次亜塩素酸水生成装置の使用用途

ここで、次亜塩素酸水生成装置の使用用途について説明します。
次亜塩素酸水生成装置を使えば、希釈など作業の手間がなくても、安全な次亜塩素酸水を水道水のようにいつでもすぐに使用することができます。
これらの次亜塩素酸水生成装置を使うことで、効率よく衛生管理をすることができるため、医療施設や福祉施設、教育施設・農業、水産業、飲食店、食品加工施設など様々な分野で使用されています。
例えば、食品加工施設や飲食店では調理器具や施設などの除菌、様々な食材の殺菌に、医療や福祉、教育施設では、施設内の除菌、器具や衣服などの洗浄や除菌などに用いられています。

次亜塩素酸水は、食品添加物に指定された除菌水ですが、最近では食品添加物の規定範囲外のものも、次亜塩素酸水生成装置として流通しており、食材の殺菌に使用する場合は、食品添加物(殺菌料)としての規定範囲内のものを使用するよう注意が必要です。

次亜塩素酸水生成装置の原理

続いて、次亜塩素酸水生成装置の原理について説明します。
次亜塩素酸水は、食塩水か希塩酸を電解することで得られます。強酸性次亜塩素酸水と弱酸性次亜塩素酸水は、陽極と陰極を隔膜で隔てた電解槽で食塩水を電解して、陽極から次亜塩素酸水を生成します
一方、微酸性次亜塩素酸水は、希塩酸または希塩酸と食塩の混合液を、無隔膜電解槽内で電解し生成します。

食品添加物(殺菌料)指定の次亜塩素酸水を生成する装置

次亜塩素酸水は、2002年に厚生労働省より食品添加物の殺菌料として指定をされ、pHや有効塩素濃度、成分や生成装置などの規格基準や使用方法が定められています。

【食品添加物として指定されている次亜塩素酸水の成分規格および装置】
■微酸性次亜塩素酸水(pH5.0〜6.5 ・ 有効塩素濃度10〜80ppm)
 生成装置:1室型電解槽
  被電解液:塩酸水または塩酸+塩化ナトリウム水溶液

■弱酸性次亜塩素酸水(pH2.8〜5.0・ 有効塩素濃度10〜60ppm)
 生成装置:2室型電解槽/3室型電解槽
 被電解液:塩化ナトリウム水溶液

■強酸性次亜塩素酸水(pH2.7以下・ 有効塩素濃度20〜60ppm)
生成装置:2室型電解槽/3室型電解槽
被電解液:塩化ナトリウム水溶液

【使用基準】

・使用前に次亜塩素酸水のpHと有効塩素濃度が規定内であるか確認をする。
・使用前に水道水で汚れを除去し、次亜塩素酸水で洗浄後、水道水ですすぐ。

コロナウイルス感染症対策における次亜塩素酸水生成装置

次亜塩素酸水は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)の検証により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有効性が示されています。ただし、使用用途に応じて以下の条件があります。

  • 拭き掃除に使用する場合
    有効塩素濃度は80 ppm以上のものを使用する。
  • 生成装置から掛け流して使用する場合
    有効塩素濃度は35 ppm以上のものを使用する。

使用する際のポイントとしては、以下のとおりです。

  • 目に見える汚れが付着している場合には、予め落としておく。
  • 十分な量の次亜塩素酸水を使用する
    掛け流して使用する場合には、消毒したい物に対して20秒以上の掛け流しを行う。

次亜塩素酸水は少量使用での効果は確認できていないため、注意が必要です。またNITEによる検証は、あくまでも物品の除菌を想定して実施されたものであり、手指等の除菌に対する有効性や、具体的な使用方法までは評価の対象外となっている点にも注意が必要です。

本記事は電解水(次亜塩素酸水)生成装置を製造・販売する金澤工業株式会社様に監修を頂きました。

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参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf
https://www.hoshizaki.co.jp/p/e-water/additive.html
https://www.hoshizaki.co.jp/p/e-water/merit-woxrox.html
https://www.kotohira.biz/products/jiasui/jiasui_l
http://ikeda-shokai.shop/hclo-generator.html
https://pro.saraya.com/sanitation/column/kogure/kogure12.html
http://bisan.fwf-aew.jp/about_SAEW/index.html
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/08/dl/s0819-8l.pdf
https://www.nite.go.jp/information/osirase20200626.html
https://www.nite.go.jp/data/000111315.pdf

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