CPUファンとは
CPUファンとは、熱暴走を防止するためにCPUを冷却する送風機です。
CPU (Central Processing Unit) は、中央演算処理装置と呼ばれる部品です。パソコンで行われる多くの処理を担うことから、非常に負荷がかかって発熱します。
複数もしくは複雑な処理が必要な場合は、CPUの温度が80℃まで上昇し熱暴走の危険が伴います。熱暴走が発生するとCPUに致命的な欠陥が生じるだけでなく、他のパーツにも悪影響を及ぼします。こうしたトラブルを防ぐために、CPUファンで熱伝導率の高いヒートシンクを冷却し、正常な動作をサポートしています。
CPUファンの使用用途
CPUファンは、コンピュータを構成する上で必須部品であるCPUの冷却用途に使用されます。正確にはCPUを直接冷却せずに、CPUと接続したヒートシンクを冷却して間接的に吸熱しています。そのため、ヒートシンクの材料には熱伝導率の高いステンレスやアルミ、銅をはじめとした金属板が使用されます。
CPUファンの原理
CPUファンはフレーム、モーター、羽根車などによって構成されます。フレームは、ポリカーボネートなどのプラスチック樹脂やアルミニウムで構成されます。四隅に取付穴を開けたフレームが一般的で、形状は真円形や正方形です。
モーターは、羽根車を駆動させる動力装置です。コンピュータの電源装置がDC電源であり、ノイズを発生させづらいことからDCモーターが一般的です。一般的にはDC12V仕様のモーターが使用されます。羽根車はフレームと同様の材質で、複数枚の羽根を持ちモータを動力に回転・送風します。
CPUファンの種類
CPUファンは冷却方法に応じて空冷式と水冷式の2種類に分けられます。
1. 空冷式CPUファン
CPU上にヒートシンクを設置してCPUファンで冷却するタイプです。CPUで発生した熱をヒートシンクが吸熱して冷却します。ファンを大きくすれば冷却効果が高い反面、回転音が大きくなるため、適切なファンを選定することが重要です。構造が簡単で安価なため、ほとんどのコンピュータで採用されます。
2. 水冷式CPUファン
ラジエータで冷却した水を熱交換器に循環させて冷却します。高解像度でハイスペックなパソコンやスーパーコンピュータに使用されます。冷却性能が非常に高い反面、大きなスペースが必要な上に高価です。
CPUファンのその他情報
1. CPUファンの回転数
CPUの性能を最大限に発揮しつつ、静音性を保つためにはCPUファンの回転数制御が重要です。PCの基本ソフトウェアであるBIOSにて、CPUファンの制御に関する設定を行うことができます。
CPUファンの回転数は温度による自動制御が一般的です。CPU温度に応じて回転数を上下するように自動で制御されます。手動で制御するように設定することも可能です。また、CPUファンと合わせてケースファンも活用することで、効率的にPCの内部温度を低減できます。
近年のCPUやヒートシンクは性能も向上しており、ファンの回転数を低めに設定しても熱暴走が発生しにくくなっています。CPUファンの音がうるさいと感じる場合は、設定を変更して回転数を下げることで改善する可能性があります。
2. CPUファンの掃除方法
CPUファンの利用を続けると、PC内部に存在するホコリやゴミによって次第に汚損します。CPUファンに汚れがたまると冷却性能が低下してCPUが熱暴走する可能性が高まるため、定期的な清掃が必要です。
特に注意して掃除すべきなのはスリット部分にたまったゴミです。ヒートシンクの隙間部分がゴミでふさがるとファンの送風が滞ってしまい、冷却性能が低下します。
また、冷却効果はCPUファンとヒートシンクの間に塗られたグリスにも依存します。グリスは熱伝導率の高い素材を使用し、定期的な塗り直しが必須です。CPUファンの掃除を行う際には、あわせてCPUとの接続部分のグリスもふき取って新しいグリスを塗布します。劣化したグリスを使い続けると、CPUに対する冷却性能が低下します。
参考文献
https://www.4900.co.jp/smarticle/11502/
http://jisaku-pc.net/speed/bios_05.html
https://www.pc-master.jp/jisaku/fan.html