ジルコニアビーズ

ジルコニアビーズとは

ジルコニアビーズとは、スラリー状にした被粉砕物をビーズと共に攪拌して、スラリー内の被粉砕物を細かく砕くビーズミルという装置で使用するビーズの一種です。

ジルコニアセラミックスを素材として用いていることが特徴と言えます。

ジルコニアビーズの使用用途

ジルコニアビーズは、ビーズミル (粉砕機) という装置で使用されます。ビーズミルの主な構成は、供給部と攪拌装置を持つ攪拌部、分離部の3つです。ジルコニアビーズをはじめとするビーズは、攪拌部の中に封入されています。工程は以下の通りです。

  1. 被粉砕物を細かく砕いたものを液体に溶かし込んだスラリーを供給する。
  2. スラリーがビーズが封入されている攪拌部に供給される。
  3. ビーズがスラリーと一緒に高速で回転して攪拌される。

3の工程では、ビーズの被粉砕物の粒子や粉体への衝突が起こります。この衝突により、被粉砕物のさらに細かい粉砕や、表面の研磨、またはスラリー内への均一な分散が可能になります。

ジルコニアビーズは、ジルコニアよりなるため、ジルコニア本来の耐摩耗性、高い強度をもち、靭性も良好です。このため、誘導体や圧電体などの電子材料の分散や微粉砕、顔料やインクおよび塗料の分散や微粉砕、ナノテクノロジー材料などの分散や微粉砕などで使用されています。強度が高く、スラリー内で破損しないため安全性も高いことから、医薬品や食品の分散や微粉砕にも好適です。

ジルコニアビーズを用いた加工原理

ビーズミルの攪拌部の中でジルコニアビーズを高速に回転させて攪拌すると、遠心力が生じ、その結果、ジルコニアビーズへ力が与えられ、粉砕エネルギーが生じます。この粉砕エネルギーの大きさにより一度の衝突での加工度合いが決まり、その回数により、加工の特性を制御できるようになります。

被粉砕物の粒子が大きい場合は、大径のジルコニアビーズを用い、被粉砕物の粒子径が小さくなるに従って小径のジルコニアビーズが用いられます。これは、被粉砕物の粒子が大きい場合は、ジルコニアビーズの一度の衝突による加工度合いを上げる必要があるためです。

被粉砕物粒子が微粒子化してくると、小径のジルコニアビーズを用い、ジルコニアビーズと被粉砕物の粒子の接触頻度を増やして粉砕効果を高めます。あまりに小径になると質量が軽すぎて粉砕エネルギーが極小となるため注意が必要です。この場合は、密度の高い材質のビーズを選び、サイズを変えずに質量を上げると粉砕エネルギーは向上します。

ジルコニアビーズのその他情報

1. ジルコニアビーズの材質

ジルコニアビーズを構成するジルコニアは、化学式はZrO2酸化ジルコニウムのことを指し、ジルコニアセラミックスとしてセラミックスに分類されます。ジルコニアは、室温では最も安定な単斜晶の結晶構造を形成しており、温度を上げていくと正方晶、立方晶へと順次変化する物質です。

ジルコニアに安定化剤として、酸化イットリウム (Y2O3) 、酸化カルシウム (CaO) 、酸化セリウム (CeO2) 、酸化マグネシウム (MgO) などの酸化物を添加して反応させることにより、室温下でも立方晶が安定に存在できるようになります。室温で立方晶が安定となったジルコニアを安定化ジルコニア、もしくは部分安定化ジルコニアといいます。

2. ジルコニアビーズの製造方法

ジルコニアビーズは、ジルコニアを微小なサイズの球状に加工して製造します。ジルコニアの中でも安定化ジルコニアは、強度の高さと靭性の大きさに優れており、微小なサイズに加工可能です。

なお、ビーズに加工する方法としては、転動法、プレス法などが挙げられますが、これらの手法では、微小なビーズの製造が困難というデメリットがあります。このため、さらに微小なビーズの製造方法として、水などの架橋液体を使用する方法や水とアルコールなどの液体を併用する液中造粒法が提案されています。

参考文献
https://www.tosoh.co.jp/product/functionality/speciality/zirconia_microbeads.html
https://www.ashizawa.com/column/16.html
https://www.aimex-apema.co.jp/seihin_beadmill/beadsmilltowa.html

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