測定ゲージとは
測定ゲージとは、基準の寸法、角度、形状などをもつ測定具の総称です。
主に製造工程において、加工した寸法などの良否を素早く判断するために使います。測定ゲージは、ノギスやマイクロメータといった寸法を計測するものではありません。あくまでも検査する対象の寸法が、規格の範囲内であるかを判別するための道具です。
計測器を用いて寸法を測定する作業は、検査作業者の熟練度によって、作業スピードや検査品質にバラツキが生じます。しかし、測定ゲージを用いれば、容易に製品の良否判別をすることができます。作業者の技量の差が出にくく、扱いも容易です。
また、測定ゲージは社内現場での検査はもちろん、異なる会社間での品質管理にも使用可能です。社内ゲージと同じものを協力会社へ渡し、ゲージで管理するように伝えるだけで、両社の間で同じ寸法管理をすることができます。
測定ゲージの使用用途
測定ゲージの使用場所は、工業製品の製造ラインです。製造工程の途中や最終検査において、加工した部位や製品の機能上大切な寸法が、規格内に入っているかどうかを素早く検査するために使われています。
また、後述するピンゲージやスキマゲージなど、複数のサイズがセットになった測定ゲージであれば、非常に狭い隙間や比較的小さな穴の内径の大きさについて、おおよその値を確認することも可能です。
測定ゲージの原理
測定ゲージは基準となる寸法に仕上げられています。基準となる寸法で仕上げられた測定ゲージを検査する部位にあてたり通したりすることによって、検査対象部位の寸法が測定ゲージに対して、大きいのか小さいのかを判別することが可能です。
例えば、直径がφ5mmの大きさが必要な加工穴に、φ5mmで仕上げられた測定ゲージが通過できれば、その加工穴の直径はφ5mm以上の大きさがあると判断することができます。さらにφ5.1mmの測定ゲージが通過しなければ、その加工穴の内径はφ5.1mm以下であると判断できます。
製造現場で加工した部位と寸法が明らかになっている測定ゲージを比較することによって、ノギスなどの測定器を使用せず、仕上がり寸法が規格範囲内であるかどうかを素早く判断することが可能です。
測定ゲージの種類
測定ゲージには様々な種類があります。主に以下のような測定ゲージがあります。
- ブロックゲージ:測定機器類の精度点検などに使用する「長さ」の基準器。
- スキマゲージ:2面の間にあるすき間の寸法を測定するゲージ。
- 溶接ゲージ:溶接に関連する多種の測定ができるゲージ。
- アングルゲージ:角度検査に使用するゲージ。
- ピッチゲージ:ねじのピッチを確認するゲージ。
- フィラーゲージ:狭いすき間の寸法を測るためのゲージ。
- テーパーゲージ:すき間や穴径測定をするゲージ。
- センターゲージ:旋盤でねじ切り加工する際に、バイト刃形の角度検査するゲージ。
- ラジアスゲージ:製品のR部 (曲線部) の寸法検査に使用するゲージ。
- C面測定ゲージ:C面取り加工後のC面の大きさを測定するゲージ。
- ピンゲージ:穴径を測定するためのゲージ。
測定ゲージのその他情報
測定ゲージ取扱上の注意点
測定ゲージに限らず物質は、温度によって寸法が変化します。測定ゲージを扱う際には、測定ゲージが極端に熱せられていないか、冷却されていないか確認しましょう。測定ゲージだけでなく、検査対象についても同様です。
また、繰り返し使う検査では、長期間の使用によって擦れる部分に摩耗が生じる可能性があります。測定ゲージも測定器同様に定期的に校正し、寸法の正確さの確認が必要です。
参考文献
https://www.sokutei-gijyutu.com/product/pin-gauge/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0065.html