ATXマザーボード

ATXマザーボードとは

ATXマザーボード

ATXマザーボードとは、ATX仕様のコンピュータ用のシステムを構成するための最も基本的なデバイス群を搭載した電子基板です。

MBと略され、システムボード、メインボード、ロジックボードなどと呼ばれています。コンピュータのあらゆる部品はケーブルやコネクタなどを介して何らかの形でマザーボードに接続され、各種部品間の通信・電力供給もマザーボードを介して行われます。

コンピュータの心臓部とも言えるマザーボードですが、コンピュータの基本動作を支える重要な役割を果たしています。しかし、すべての部品に対して接続される関係上、1つのマザーボードが持つスペックは多数の接続方式や通信規格が混在した複雑な仕様となっています。

接続方式や通信規格が適合していないと使用するパーツの性能を十分に発揮できないことや、最悪の場合パーツ自体が接続できず使用できない等の不具合が生じてしまうため、入念に下調べを行った上で選ぶ必要があります。

ATXマザーボードの使用用途

ATXマザーボードは、ATX電源CPU、メモリ、外部記憶装置などと組み合わせ、デスクトップパソコンやサーバなどの内部パーツに使用されています。

マザーボードのサイズに関して規格があり、マザーボードのサイズが大きいほど用意されている端子の数が多くなっており、より多くのパーツと接続できるため拡張性が高くなります。

サイズの規格として、自作のコンピュータ用では大きく分けて4種類があります。

  • ATX
  • Micro ATX
  • Mini ITX
  • Nano ITX

大きな違いとしては、それぞれマザーボードとしてのサイズが違うため、接続できる端子の数が小さいほど少なくなっていることです。

サイズが小さい分、小さいPCケースに搭載することができるため、主に省スペース化のためサイズの小さいコンピュータを作製したいときに使用されます。また、マザーボードとしての価格も一般的に小さい方が安くなる場合が多いため、価格を抑えたい時にも検討する余地があります。

ATXマザーボードはマザーボードとして一番大きなサイズ規格となるため、対応しているPCケースは主にミドルタワー以上のPCケースに装着可能です。

より小型のMicro ATXやMini ITXなどは、ミニタワー型等の小さいサイズのPCケースに対応しておりATXマザーボードに比べて省スペース化が可能です。また、マザーボードを取り付ける際の取り付け穴として、互換性があるマザーボードとしてが規格化されています。

接続機器や拡張ボードなど、搭載するパーツの数や通信規格によりマザーボードの必要なスペックが変わるため、条件に合った選定が必要です。

ATXマザーボードの原理

ATXマザーボードは、プリント基板上にパターンが転写されている集積回路の基板になっており、基板の素材は硬い非導電材料でできています。プリント基板上には他の部品を繋げるためのソケットや端子、各種スロットが搭載されています。

ATXマザーボードは搭載するコンポーネントにより以下の構成部品が搭載されています。使用環境や要求性能などを考慮した上で使用することが求められます。

1. チップセット

外部インターフェイスからのデータの流れを制御します。チップセットの性能により搭載できる機能が決まります。

2. CPUソケット

CPUをはめ込む部品です。はめ込む際はチップセットと対応CPUの規格に合っているか確認が必要です。CPUの規格は、主に「Intel」と「AMD」の2種類となっているため、使用するCPUのソケット形状を確認した上で選定する必要があります。マザーボードによっては基板上にオンボードで搭載されている場合があります。

3. メモリソケット

メモリをはめ込む部品です。メモリにも「DDR4」等の規格があり、主にデータの転送/処理速度に影響があります。メモリの規格によってソケットの形状が異なるため、対応した規格に合っているか確認が必要です。

4. BIOS

マザーボード上に接続されているハードウェアの基本情報や電源の供給状況などを確認や操作ができるプログラムです。

5. CMOS

BIOSの設定情報を記憶するICチップです。

6. バッテリー

BIOSの設定情報を保持し、時計を動作させます。ボタン電池が電力を供給している場合が多いため、ボタン電池の電力が切れると不具合に繋がるため定期的な交換が必要です。

7. ATX電源コネクタ

マザーボード本体に電力を供給するための差込口です。マザーボードによっては、供給できる電力の兼ね合いでピン数が増減するため、電源が対応しているか確認する必要があります。

8. スピーカー

マザーボードのエラーをビープ音で知らせます。

9. IDEコネクタ/SATAコネクタ/M.2スロット

ハードディスクやSSD、光学ドライブなどの外部記憶装置を接続するためのコネクターです。このコネクタの数によって、外部記憶装置の接続可能数が決まるため将来的な外部記憶装置の増設も見越して余裕を持ったマザーボードを選んでおいた方が良いです。

10. PCIスロット

拡張用のカードを差し込むことで様々な機能を増やすことができるスロットです。

11. PCI Expressスロット

拡張用のカードやビデオカードを接続するスロットです。PCIスロットよりも転送速度が高速である為、SSDの接続スロットとしても使用されます。ビデオカードの形状によっては周辺の部品と干渉してしまい全てのスロットが使えない可能性があるため、ビデオカードの寸法には注意が必要です。

ATXマザーボードのその他情報

1. ATXマザーボードの規格

ATXマザーボードは、ATX規格によりサイズが規定されています。ATXマザーボードは、どんな製品であっても305 × 244mmのサイズとなっています。

これより小さいサイズでPCを構築する場合には、Micro-ATXやMini-ATX規格のマザーボードを利用することになります。それぞれ、Micro-ATXの基板サイズは244×244mmとなっており、Mini-ATXの基板サイズは170×170mmとなっています。

基板のサイズが小さいほうがPCI Expressスロットやメモリスロットなどの数が少なく設定されているため、拡張性は低くなります。

ATXであれば、PCI Expressスロットが4~7つ程度、メモリスロットが4~8つ程度搭載されていることが一般的ですが、Mini-ATXの場合はPCI Expressスロットが0~1つ程度、メモリスロットは1~2つ程度しか搭載されていません。将来的な拡張性も見越してマザーボードを選定する必要があります。

2. ATXマザーボードのチップセット

ATXマザーボードには、各社が開発したチップセットが搭載されています。大きくは、インテルが開発したIntel CPUのチップセットとAMDのAMD CPUチップセットの2種類から選択することになります。

チップセットによりどちらの会社のCPUを装着できるかが決まるため、マザーボードを選ぶ際にはチップセットを必ず確認する必要があります。マザーボードのチップセットは後から交換することはできず、マザーボードに固有のものとなるため注意が必要です。

チップセットは、CPUで処理したデータをメモリやディスクドライブ、拡張スロット等へ連絡する役目を担っています。そのため、ブリッジと呼ばれることもあります。チップセットの世代によりマザーボードおよびPC全体の性能が大きく変わるため、マザーボードを購入する際にはどの世代のチップセットを搭載しているかを確認する必要があります。 

参考文献
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/gaming/resources/how-to-choose-a-motherboard.html
https://support.lenovo.com/jp/ja/solutions/ht061228

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