トリメチルアミン

トリメチルアミンとは

トリメチルアミンとは、アンモニアの3つの水素がメチル基に置換されたメチルアミンの一種です。

特定悪臭物質に分類され、非常に強烈な魚の臭いがする常温で気体の有機化合物です。別名として、N,N-ジメチルメタンアミンなどがあります。

トリメチルアミンの使用用途

トリメチルアミンは、多くのものに使用されていますが、一般的に気体の状態ではなく、水に溶かして30~40%程度の水溶液状態で使用されることが多いです。水との溶解性は高く、水とは任意の比率で混和します。

具体的には、イオン交換樹脂の原料や塩化コリン、繊維油剤、逆性せっけん、医薬品の原料として使用されます。また、身近なものでは、するめいか、にしん、ぼらなどの脂肪分の少ない魚の加工品、すずき等の生魚の食品中に元から存在しており、欧米においては、菓子類、肉製品、冷凍乳製品、清涼飲料等の様々な食品に香り付け、風味の向上を目的に食品添加物として使用されることも多いです。

日本国内での扱いは、食品衛生法において添加物として使用することは差し支えないが、香りを付ける目的以外には使用してはならないとされています。

トリメチルアミンの特徴

トリメチルアミンの構造式は (CH3)3Nで、構造式からもわかるように、アンモニア (NH3) の水素がすべてメチル基に置換された構造をしています。分子量は59.11、密度が0.67g/ml (0℃) 、融点が-117.1℃、沸点が2.9℃であり、常温で無色透明の気体です。

極めて可燃性、引火性の高いガスで、吸入や付着による有害性も認められている物質です。トリメチルアミンは、強烈な魚の臭いであることが特徴ですが、アルカリ物質であるため、酸性のものと反応させると無臭化できることも知られており、アミン系の悪臭には酸性の消臭剤を使用することが一般的です。

悪臭防止法の規制対象であり、特定悪臭物質に登録されています。特定悪臭物質とは不快な臭いの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質です。現在、22物質しか指定されていないことから、その臭いの強さが分かると思います。

トリメチルアミンのその他情報

1. トリメチルアミンの製造方法

トリメチルアミンは、最も基本的な第3級アミンで、工業的にはメタノールアンモニアを脱水触媒の存在下で反応させて製造します。

1. メチルアミンの合成
まずは、メタノールとアンモニアの混合物を、1.0~2.1MPaの加圧下で、アルミナなどの脱水触媒に450~500℃で通し、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンの3種類のメチルアミンの混合物を合成します。

  • モノメチルアミンの生成
    CH3OH + NH3 → CH3NH2 + H2O
  • ジメチルアミンの生成
    2CH3OH + NH3 → (CH3)2NH2 + 2H2O
  • トリメチルアミンの生成
    3CH3OH + NH3 → (CH3)3NH2 + 3H2O

2. 脱水・蒸留によるトリメチルアミンの分離
生成物を加圧下で蒸留して、原料のメタノールと生成した水を分離した後、アンモニアとトリメチルアミンの共沸混合物を留出させることで、モノメチルアミンとジメチルアミンを分離させます。最後に、アンモニアとトリメチルアミンの共沸混合物を抽出蒸留してトリメチルアミンを回収します。

2. トリメチルアミンの安全性

トリメチルアミンはガスまたは水溶液として販売、利用されており、性状だけでなく、安全性や適用法規が異なります。水溶液でも引火性は高く、消防法で「第4類引火性液体・第一石油類・水溶性液体」に該当します。同様に労働安全衛生法、船舶安全法、航空法においても引火性液体となっています。

ガス、水溶液に共通する点としては、両方とも悪臭防止法の特定悪臭物質に該当します。また、燃焼すると分解して有毒ガスである亜酸化窒素を生成します。

その他、以下のような危険性があるため、取扱いには注意が必要です。

  • 強酸化剤、酸、酸化エチレンと激しく反応する。
  • アルミニウム亜鉛に対して腐食性を示す。
  • 水銀との反応で衝撃に敏感な化合物を生成する。
  • 亜硝酸塩や硝酸と反応して、極めて有毒なニトロソアミンを生成する

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0867.html

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