トリプロピレングリコール

トリプロピレングリコールとは

トリプロピレングリコールとは、グリコールの一種で、分子内に水酸基 (-OH) を2つ有する化合物です。

自然界には存在せず人工的に合成されて作られます。トリプロピレングリコールの分子構造に類似している物質として、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールが挙げられます。トリプロピレングリコールは、ジプロピレングリコールに対してさらにプロピレンが結合したような分子構造を有します。

トリプロピレングリコールは、常温で液体であり無色透明です。引火性のある液体であるため、火気から遠ざける必要があります。消防法では、第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体に該当します。

トリプロピレングリコールの使用用途

トリプロピレングリコールの使用用途は、各種ポリウレタンや各種アクリル酸エステルの中間体原料、塗料やインキの溶剤、不凍液、ポリエステル樹脂の中間原料などです。トリプロピレングリコールは、別の化合物を合成するための原料としても使用されます。トリプロピレングリコールが出発原料となって合成される化合物として、トリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられます。

他にもトリプロピレングリコールは、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールと同様に、化粧品原料として使用されます。トリプロピレングリコールは、保湿や防腐を目的として使用される場合が多いプロピレングリコールと異なり、保水性または乳化安定性の効果を発揮させる目的で使用されます。

トリプロピレングリコールは、比較的安全性が高く毒性が低い物質ですが、アルコール過敏症の方などが使用するとまれに皮膚トラブルが発生する場合があるため注意が必要です。

トリプロピレングリコールの特徴

トリプロピレングリコールの特徴は、分子内に水酸基 (-OH) およびエーテル基 (-O-) の両方を有するため、比較的親水性が高い点にあります。言い換えると、トリプロピレングリコールは極性の高い有機化合物です。そのため、油と水の中間のような性質を有しています。

トリプロピレングリコールは、水と完全に混ざり合って溶解します。アルコールなどの極性有機溶媒にも溶解しやすい物質です。極性が高いため、沸点は高く約270℃です。融点は-30℃以下であるため氷点下になっても固体にならず液体のままです。

トリプロピレングリコールの構造

トリプロピレングリコールは、3つのプロピレングリコールがエーテル結合を介して直列に結合したような構造です。具体的には、中間のプロピレングリコールの両端部の-OH基が、エーテル結合となって残りの2つのプロピレングリコールとそれぞれ結合しているような分子構造を有します。分子鎖の両端部にそれぞれ1つの-OH基があるためジオール類の一種です。

分子式で単純に示すとHO (C3H6O) 3Hとなりますが、カッコ内の部分は直鎖ではなく、一般的には分岐鎖です。より詳細に表記すると、CH3CHOHCH2OCH (CH3) CH2OCH (CH3) CH2OHとなります。分子鎖の両端部にそれぞれ-OHがあり、両端部の間には2つのエーテル結合が炭化水素を挟んで配置された分子構造です。

トリプロピレングリコールのその他情報

トリプロピレングリコールの製造方法

トリプロピレングリコールは、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールと同様に、一般的にはプロピレンオキサイドから製造されます。詳しくは、水の存在下でプロピレンオキサイドを開環させることによって得られます。この製造法ではプロピレングリコールが主産物として得られる一方で、トリプロピレングリコールは副産物として得られます。

したがって、トリプロピレングリコールは必ずしも多量に製造されているわけではありません。プロピレンオキサイドを3つだけ結合させるように反応が起こればトリプロピレングリコールを効率的に製造できますが、反応を完全に制御することは困難です。

例えば、2つのプロピレンオキサイドが結合したジプロピレングリコールも生成されてしまいます。トリプロピレングリコールだけを特異的に製造する方法も検討されていますが、まだ主流の製造方法になっていません。

参考文献
https://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_lang=ja&p_card_id=1348&p_version=2
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/T0523

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