アクリル焼付塗装とは
アクリル焼付塗装は、熱硬化性アクリル樹脂塗料を塗布した後に、熱を加えて硬化させる塗装方法です。耐候性などを有していることから、硬化後は、屋外での使用に耐えるとともに、アクリルならではの光沢を長期間にわたり維持します。
アクリル樹脂は、透明性や耐衝撃性を有しており、日用品やガラスに代わる窓の材料として利用されています。そのアクリル樹脂を使用した塗料は、1927年ドイツにおいて初めて製品化されました。なおアクリル樹脂塗料には、室温乾燥形と焼付乾焼形があり、焼付塗装には焼付乾焼形が用いられています。
アクリル焼付塗装の使用用途
アクリル焼付塗装は、メラミン焼付塗装などと比較して光沢があり美しく仕上がることに加え、硬度が高く、耐候性や耐薬品性も有しています。このことから、アクリル焼付塗装は、美観と耐久性が求められる製品に用いられています。製品例として、ロッカーやテーブルなどの鋼製調度品、自動車部品、アルミサッシ、電気製品などが挙げられます。
しかしながら、硬度が高いため曲げると割れる、他の焼付塗料と比較して加工対象物に付きにくい、あるいは高温での作業が必要であり扱いが難しいなどのデメリットもあります。
アクリル焼付塗装の種類
アクリル焼付塗装は、アクリル樹脂塗料を塗布し、140~180度の温度で20分ほど加熱乾燥させて焼き付ける加工法です。熱を加えて加工することから加工対象物に制限があります。 加工に適しているものには、鉄、アルミ、ステンレス、真鍮が挙げられます。また、加工に不適なものには、ABS樹脂、カーボン、塩化ビニルがあります。
また、アクリル焼付塗装は、厚みのある鉄板への加工や焼付工程で使用する焼付炉に入りきらない製品の塗装はできません。
メラミン焼付塗装およびアクリル焼付塗装は、いずれも1回の塗装で10〜15μmの塗膜を形成します。しかし、アクリル焼付塗装はメラミン焼付塗装と異なり、重ね塗りが不可能です。
アクリル焼付塗装の加工手順を以下に示します。
- 脱脂洗浄:アルカリ系の洗浄剤を用いて、加工対象物に付着している油分や汚れを落とします。
- 下地処理:錆止めおよび塗装の密着性を高めるため、プライマで処理します。また、必要により研磨加工を実施します。
- 塗装焼付:アクリル樹脂塗料を塗布し、加熱乾燥させます。