フラクサー

フラクサーとは

フラクサーとは、自動はんだ付け装置はんだ付けを過程でフラックスを塗布する装置です。

フラックスとは、はんだの広がりを良くする促進剤を指します。電子部品や基板の製造において、はんだ付けは品質を左右する重要な工程です。

近年では、人件費削減と効率化のために自動はんだ付け装置が導入されるようになりました。フラクサーを使用することでフラックスを高精度かつ効率的な塗布が可能となります。

フラクサーの使用用途

フラクサーは、自動はんだ付け装置と組み合わせて使用されます。自動はんだ付け装置のはんだ付け品質を向上させることが目的です。

フラックス含有のはんだも販売されていますが、フラックスははんだの融点付近で蒸発します。自動はんだ付け装置のはんだ槽は常に高温に保たれるため、フラックス入りのはんだを使用できません。

自動装置では、フラクサーによってフラックスを塗布します。

フラクサーの原理

フラクサーでフラックスを塗布し、基板表面の異物や酸化皮膜を除去して表面張力を低下させ、融解したはんだを薄く広げます。はんだは融解すると、表面張力により球状になろうとする点が特徴です。

フラックスは松脂 (ロジン) を主成分とする液剤で、塩化亜鉛塩化アンモニウムなどが添加されます。松脂はアビエチン酸などの有機酸を多く含み、はんだの融点に近い170℃付近で活性化し、銅酸化物を除去する作用を持ちます。

フラクサーの種類

フラクサーの塗布方式には、発泡方式とスプレー方式の2種類があります。

1. 発泡式フラクサー

発泡素子を用いて泡立てたフラックスに基板を浸すことで塗布します。十分量のフラックスを塗布することができる反面、大量のフラックスと溶剤を使用するため高コストである点がデメリットです。

2. スプレー式フラクサー

霧状に噴霧することで薄く均一にフラックスを塗布することが可能です。発泡方式に対して、必要なときに必要な量だけフラックスを使用できます。低コストで簡便性が高いことから、多くのフレクサーで採用されます。

フラクサーのその他情報

1. スプレーフラクサーの塗布量

スプレーフラクサーの塗布量は、各メーカーのノウハウを基に設計されます。制御基板の部品実装面はリフロー面と呼ばれ、メタルマスクとクリームはんだによってはんだ量の管理が比較的容易です。

裏面のはんだフロー面には、はんだ槽を通す際に付着性向上を目的に必ずプリフラックスを塗布します。その際、塗布方法は無駄が少ないスプレー方式が多く採用されます。プリフラックスの塗布量によって、基板のはんだ品質に大きな影響を与えます。

2. スプレーフラクサーの技術革新課題

フラクサーにはスプレー方式と発泡方式がありますが、塗布量管理が容易で品質も良いスプレー方式が主流です。フラックス塗布の品質向上のために必要な条件は以下3点です。

  • ムラをなくす
  • 塗布量のリニアリティ (管理のしやすさ)
  • 繰り返し精度の安定性

これらの条件を満足させるために、製造現場では条件出しをします。基板をゾーン分けして、全ての条件をクリアできるように試行錯誤します。この作業は負担が大きく、電子基板実装分野における技術革新課題の一つです。

3. スプレーフラクサーの構造

スプレー方式フラクサーは、ノズルやスプレーによって構成されます。缶からフラックスをノズルで吸い上げて、霧状のフラックスをスプレーで直接噴出します。フラックス吸引用ノズルが基板の横方向に稼動し、搬送コンベアの動作と同調して全フロー面にフラックス塗布を行います。

なお、スプレーフラクサーの工程時間は30秒程度です。この方式の特徴はツールの清掃が定期的に必要な点です。ただし、基板全面に均一塗布が可能であり、基板面への膜厚コントロールが容易であるというメリットがあります。

そのため、品質面ではスプレー方式のフラクサーが最も優れています。

参考文献
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5669.htm
https://global.pioneer/en/manufacturing/crdl/rd/pdf/18-2-4.pdf
https://www.tamura-ss.co.jp/jp/products/electronic_chemicals/category/fa_systems/spray_fluxer/index.html

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