硫酸バリウム

硫酸バリウムとは

硫酸バリウム(Barium Sulfate)は分子量:233.39で、化学式はBaSO4です。硫酸と金属バリウムとを反応させて生成される無機化合物です。この反応時には水素が生成されます。また、硫酸と酸化バリウムまたは、硫酸と水酸化バリウムを反応させると、硫酸バリウムと水が生成されます。

見た目は白色または透明で、結晶状もしくは結晶性粉末の固体です。白色の粉末ではわずかな芳香がありますが、味はありません。水、エタノール(95)、ジエチルエーテルにはほとんど溶けません。また 塩酸硝酸、水酸化ナトリウム試液にもほとんど溶けないという特徴があります。

不燃性ですが、1600度以上の加熱により分解され、硫黄酸化物の有毒な蒸気を発します。人体への有害性も低い物質ですが、硫酸バリウムにアレルギーを持つ方もおられます。

硫酸バリウムの使用用途について

硫酸バリウムは、熱や空気、薬品などの化学変化の影響を受けづらく、化学的に安定している物質です。耐光性、耐熱性などにも優れていることから、医療用、工業用などさまざまな用途で使用されています。

工業用には、電子材料(積層セラミックコンデンサ・TFT)に使われます。変色しづらい性質を利用し、塗工材料や白色プラスチックの原料としても用いられます。また光拡散材料として、アクリル樹脂のような合成樹脂、ガラスに添加されることもあります。化粧品に含まれることもあります。

医療用では、エックス線を通過しづらい性質を利用して、消化管X線造影検査を行う際に内服することで、消化管のエックス線透過性を変え、そのコントラストにより消化管の病変を診断します。

エックス線診断(二重造影法)での使用について

硫酸バリウム100gに対し水18―26mLを加えて200W/V%―240W/V%の濃度の懸濁液を調製します。溶解後の安定性については、硫酸バリウムは比重が4.5と大きいため、時間経過と共に沈降していきます。しかし使用前に再度攪拌すれば、再び均一な懸濁液となります。

食道・胃・十二指腸の二重造影撮影の際には、硫酸バリウム懸濁液を消化管の粘膜に薄く付着させ、空気あるいは炭酸ガスで消化管を膨らませることでコントラストを強めて粘膜面の微細な凹凸の状態を撮影します。この際に発泡剤を水で服用後、硫酸バリウム懸濁液を服用してエックス線撮影する方法でしたたが、発泡剤を服用する水による硫酸バリウム液の濃度低下を防ぐため、また胃の急激な進展で起こる迷走神経反射を防ぐため、発泡剤を少量のバリウム懸濁液で服用させる方法がNPO日本消化器がん検診精度管理機構から推奨されています。

検査の当日および翌日にはそれぞれ約4割が排泄を認めます。下剤を併用することで、速いもので30分、遅くとも 5 日目には排便を認め、その多くは20~40時間後でした。

検査後にすみやかに硫酸バリウムを排出しなければいけません、そのためには十分な水分摂取が必要です。また排便困難、腹痛等の消化器症状が持続してあらわれた場合、腹部の診察や画像検査(単純エックス線、超音波CT等)を実施し、適切な処置が必要です。

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