パラホルムアルデヒド

パラホルムアルデヒドとは

パラホルムアルデヒドとは、有機化合物の1種で、ホルムアルデヒドを脱水重合した直鎖状の有機化合物です。

CAS登録番号は30525-89-4であり、化学式は(CH2O)nで表されます。別名には、「パラホルム」や、「1,3,5-トリオキサン」などの名称があります。オキシメチレン構造(−CH2O−) を単位構造に含むポリマーは、ポリアセタール、もしくはポリオキシメチレンと呼ばれており、パラホルムアルデヒドはこうしたポリマーの1種です。

パラホルムアルデヒドは薬事法において劇薬に指定されており、強い毒性を示します。

パラホルムアルデヒドの使用用途

パラホルムアルデヒドは、 くん蒸剤として殺虫・消毒に使用されます。また、合成的にはパラホルムアルデヒドは反応性が高い物質です。塗料、接着剤、防腐剤、フェノール樹脂、尿素樹脂、ビニロンアセタール化用途、イオン交換樹脂、医薬品、耐水性グルー及びコルクのバインダーとなる蛋白グルーの凝固剤など、種々の物質の原料に用いられます。

特に、メチロール化合物やメチレン化合物の原料となります。メチロール化合物やメチレン化合物は塗料や接着剤などに添加されることが多い物質です。メチロール化合物には架橋構造を持ち光安定性や耐久性を持つものが多く、塗料や接着剤に混ぜて紫外線吸収剤や耐久性・耐熱性の向上に利用されることが多くあります。

なお、メチレン化合物として最も主流なのはメチレンクロライド (塩化メチレン) で、剥離剤や塗料除去剤として用いられます。

パラホルムアルデヒドの性質

パラホルムアルデヒドの基本情報

図1. パラホルムアルデヒドの基本情報

パラホルムアルデヒドは、分子式(CH2O)nで表される重合体です。融点120-180℃ (分解、ただし重合度による) であり、常温では白色固体 (フレーク、顆粒状、結晶性粉末) です。

ホルムアルデヒド臭と形容される特異的な刺激臭を持ちます。水、エタノール、エーテルに溶けにくく、水酸化ナトリウム溶液に溶けます。密度は1.42g/mLです。

パラホルムアルデヒドの化学反応

図2. パラホルムアルデヒドの化学反応

パラホルムアルデヒドを水に溶かすと、徐々に溶解してホルムアルデヒド水溶液となります。逆にホルムアルデヒド水溶液を真空濃縮することで、パラホルムアルデヒドを得ることが可能です。

また、パラホルムアルデヒドを加熱乾燥すると、ホルムアルデヒドのガスが発生します。このとき、発生するホルムアルデヒドガスは可燃性です。

パラホルムアルデヒドの種類

パラホルムアルデヒドは、研究開発用試薬製品や、産業・工業用基礎化学品などとして一般的に販売されています。試薬製品としては、加熱、および少量の水酸化ナトリウムの添加により、ホルムアルデヒドに変化するため、架橋固定化試薬などとして用いられます。

容量の種類は、100g、500g、1kg、2kgなどであり、実験室で取り扱いやすい容量で提供されることが一般的です。通常、室温で取り扱い可能です。

産業・工業用としては、主に20kg程度の紙袋や、フレコンなどの荷姿で提供されています。塗料、接着剤、繊維加工樹脂、フェノール樹脂などの用途が想定されている製品です。

パラホルムアルデヒドのその他情報

1. パラホルムアルデヒドの生成

パラホルムアルデヒドの生成とホルムアルデヒドの合成

図3. パラホルムアルデヒドの生成 (上)とホルムアルデヒドの合成 (下)

パラホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドを水に溶かすと徐々に白色固体として析出します。特に、水溶液を冷却することで析出しやすくなる物質です。

パラホルムアルデヒドの単量体であるホルムアルデヒドは、触媒存在下にメタノールを空気酸化して得られます。また、ギ酸カルシウムの乾留でも得ることが可能です。

2. パラホルムアルデヒドの安全性情報

パラホルムアルデヒドは、引火点70℃、自然発火温度300℃である、引火性のある可燃性固体です。粉末又は顆粒状で空気と混合すると粉じん爆発の可能性があります。また、酸化剤との混蝕により発熱、発火することがある他、強酸、強塩基とは反応して、ホルムアルデヒドを生じます。

また、人体に対しても有害であり、経口摂取や吸入すると有害であるほか、皮膚刺激、強い眼刺激、肺の障害などが指摘されています。

3. パラホルムアルデヒドの法規制情報

前項の通り、パラホルムアルデヒドは有害な物質であるため、法令によって規制されています。消防法では、指定可燃物、可燃性固体類に指定されています。また、毒物及び劇物取締法では、劇物に指定されており、労働安全衛生法では名称等を通知すべき危険物有害物、変異原性が認められた既存化学物質に指定されている物質です。

取り扱いの際はこれらの法令を遵守して正しく取り扱うことが必要です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0962.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です