環境センサーとは
環境センサーとは、周辺の環境情報を検出し、その環境情報を定量的に計測するために用いるセンサーです。
環境センサーの計測対象として、温度や湿度や光の照度、CO2濃度、気圧、騒音などといった環境の各種パラメータの計測や、人体検出を対象とした人感センサーなどが挙げられます。昨今は、複数の環境センサーを小型USBタイプのパッケージに取り込み、評価の利便性を向上させている製品もあります。
環境センサーの使用用途
環境センサーは、情報を表示するために単体で使用される場合もありますが、他の機器や装置の制御のために外部環境情報を検出する際に使用される場合が多いです。
具体的な使用例は、温湿度管理が必要な機器や人が接近することで作動する自動ドア・照明、自動車、航空機、排気ガスや乗員の検出などです。自動車では、外気や車内温湿度、太陽光の日射量を測定し、エアコンの温度や送風量を決定することを目的としています。
また、航空機では機体の姿勢を制御することを目的として使用されています。
環境センサーの原理
環境センサーの原理は、環境の温度や湿度といった検出したい情報を各種の物理現象を活用して、電気的な信号に変換し、定量的な値として把握することにあります。環境センサーは、一般的には外部からの入力 (気象情報、光、遮蔽物、音など) を対象としており、微弱な信号を増幅して出力したり測定単位を変換したりする機能をもつセンサーも多いです。
代表的な環境センサーで、汎用性の高い温湿度センサーは、装置として一体型であることも多いですが、温度と湿度の測定はそれぞれ別々に行われ、温度は熱電対やサーミスタでの検出が一般的です。熱電対の場合は、2つの異なる金属線の電位差を活用します。サーミスタは、金属線と金属酸化物半導体で構成された抵抗体で温度の検出が可能です。
中でも、温度上昇とともに電子の移動度が上昇し抵抗値が下がる負の相関を有し、温度と抵抗の関係性が分かりやすくNTCサーミスタが広く使われています。湿度センサーは、空気中の水蒸気量を計測し、空気中に存在できる最大の水蒸気量との比率で湿度に換算しています。半導体の静電容量の変化を計測するタイプと半導体の抵抗値の変化を計測するタイプがあり、抵抗値検出の方が安価ですが、測定精度は静電容量タイプに劣る点に注意が必要です。
そのほか、赤外線や紫外線などの光を検出する光センサーと照度センサーなども環境センサーの一部です。これらのセンサーは光電効果を活用したフォトダイオードや、各種波長に対応したフォトレジスタなどを、光の強度の検出用に利用しています。なお、人が近づいた場合に反応する人感センサーも、その多くは人体から発せられる赤外線を検出しています。
環境センサーのその他情報
1. 喚気の指標となる環境センサー
環境センサーの1種としてあげられるCO2センサーは、室内の喚起指標として用いられることがあります。主に人の呼吸で発生する二酸化炭素の濃度を計測して、会議室や病院の待合室など人が多く集まる場所などで活用可能です。
建築物環境衛生管理基準等で、空気環境の基準の1つとして二酸化炭素の含有率も規定されています。室内においてはおよそ1,000ppm以下にすることが目安として定められています。人が多く集まっている状態は指標化されていないため、換気自他は各自の判断で行うこととなります。
塾や教室な人が多く集まる場所では、二酸化炭素濃度が濃すぎる場合、人間の集中力にも影響を与えると言われていることから、仕事の効率化向上も期待されています。
2. 環境センサーの小型化
昨今ではセンサー関連の技術も進歩しており、環境センサーも小型化されています。温度や気圧、加速度など複数の環境センサーを搭載した基板において、小さいものでは1cm弱にまで小さいものもあり、医療や農業、製造現場などさまざまな分野で活用可能です。
また、USB型の環境センサーもあります。一般的なUSBメモリよりも小型のサイズで、USBで給電することにより常時駆動させられます。USBやBluetoothなどの通信でネットワーク接続して、測定データの送信なども可能です。
しかし、パソコンのUSBポートに接続した場合、パソコン本体の熱により温度センサーの値が正しく計測できない恐れもあるため、延長ケーブルなどを利用することが推奨されています。
参考文献
https://omronfs.omron.com/ja_JP/ecb/products/pdf/CDSC-015.pdf
http://www.jisedaisensor.org/PDF/J30sensor.pdf
https://www.ratocsystems.com/products/subpage/wfevs1.html
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000023921.html
https://www.elecs.co.jp/microprism/