グラスファイバ

グラスファイバとは

グラスファイバ

グラスファイバとは、溶かしたガラスを引き伸ばして繊維状にしたもので、工業生産された無機繊維の一種です。

ガラス繊維とも呼ばれます。ガラス製の繊維で、軽量化や耐久性向上を目的に、樹脂やセメントなどと複合させて使用されます。また、グラスファイバには無アルカリガラスがよく使用されています。

グラスファイバの使用用途

グラスファイバの用途は年々拡大しており、今後も需要の拡大が期待されています。主な用途は以下です。

  • 自動車部品やエレクトロニクス製品
  • 住宅設備の補強材
  • コンクリートの補強材
  • 合成枕木などの補強材

自動車部品に使われる樹脂はグラスファイバを複合させることで強度を向上させ、自動車軽量化に貢献しています。また、精密性向上を目的にエレクトロニクス製品へ使用されたり、高耐久性付与を目的に建築資材に使用されたりします。

グラスファイバの原理

グラスファイバの製造は1,300℃以上の高温でガラスを溶解させることから始まります。溶解したガラスを微細な孔に通し、μmオーダーのガラス引き出し、巻き取ることで糸状に加工しています。直径は4~25μmの範囲で製造可能です。用途ごとに最適なグラスファイバを選定する必要があります。

グラスファイバの種類

グラスファイバはEグラスファイバとARグラスファイバの2種類に大分されます。

1. Eグラスファイバ

樹脂の高強度化に用いられる無アルカリ製のグラスファイバです。絶縁性に優れています。絶縁性や耐熱性の向上を目的に樹脂へ複合化させます。

2. ARグラスファイバ

高濃度のジルコニアが含有したグラスファイバです。耐アルカリ性と耐酸性に優れています。耐アルカリ性を有したARグラスファイバはセメントへの複合化が可能です。

グラスファイバのその他情報

1. グラスファイバの危険性

グラスファイバを取り扱う上で、健康上の危険性はほとんどありません。アスベストなどの無機製繊維と似ているので混同されがちですが、異なる物質です。

アスベストは太さが0.1µm程度の結晶性繊維です。とても細いので、吸い込むと容易に肺の奥まで到達します。肺の奥まで到達すると体外へ排出されず蓄積するため、じん肺症などの病気を引き起こす原因になります。

グラスファイバは太さが4~25µmの非結晶性繊維です。吸い込んでも鼻や気管支で除去されるため、ほとんどが肺の奥まで到達しません。万が一体内に侵入しても、体の免疫システムによって短期間で体外に排出されます。

グラスファイバを加工する際に発生する粉塵は、日本産業衛生学会による粉塵の危険性分類において、第三種粉塵に分類されます。上記の通り、アスベストとは異なる物質ですので、吸い込んでもじん肺症などの原因にはなりません。それでも、健康上は粉塵をなるべく吸引しない方が良いので、換気や防塵マスクの着用などが推奨されます。

2. グラスファイバとカーボンファイバの違い

グラスファイバとカーボンファイバはどちらもファイバ状の物質ですが、異なる物質です。グラスファイバはガラス繊維です。高温窯で溶融したガラスを、ノズルから高速で引き出すことで製造されます。ガラスの性質である耐熱性、不燃性、耐薬品性などの性質があります。

一方で、カーボンファイバは、炭素繊維を組み込んだ繊維強化プラスチックです。石油やアクリル系繊維を炭素化することで製造されます。高い強度を有しているにも関わらず、非常に軽いのが特長です。

参考文献
https://www.nittobo.co.jp/business/glassfiber/about/index.htm
https://www.neg.co.jp/rd/topics/product-fiber/
https://kasyu-kogyo.com/2019/08/31/glas/
https://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/80-pdf/+80-p022.pdf
https://www.afgc.co.jp/about-fg/safety.html
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/datasheet/263578_3421__SDS.pdf
https://www.0ho.co.jp/material/p7/

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