ツールチェンジャとは
ツールチェンジャとは、工作機械 (マシニングセンタなど) や産業ロボットに対して、ツールや工具の交換機能を付加するために使用されるツール/工具交換機構及びシステムです。
空圧バルブの操作で、自動的にツール/工具の着脱が行えます。工具用では工具の着脱以外に、エアーブローによる工具固定部のゴミ除去機能が付いているタイプもあります。
ツール交換用では、ツールに圧縮空気や水、電気信号を供給できるものもあります。
ツールチェンジャの使用用途
ツールチェンジャは、工作機械や産業ロボットなどに使用されています。
1. 工作機械
工作機械では、様々な加工を人による工具交換無しで自動加工するために有用です。あらかじめ加工プログラム (NCプログラム: 数値制御プログラム) に工具交換プログラムを入れておき、自動で工具交換、工具の高さ測定、振れ測定を自動で行います。
人による工具交換及び工具交換後の高さ確認、工具振れの確認作業を削減できるうえ、部品投入取出の自動化により、部品加工の全自動化が可能です。
2. 産業ロボット
産業ロボットでは、一般的にロボット先端のハンド交換に用いられます。ロボットハンドの機能は、エアチャックによる把持、モーターによる回転、真空吸着、など多種多様です。
そのため、産業ロボット用ではツールに圧縮エア、水、真空、電気信号などを供給できるものが用意されています。ツールチェンジャを使用することで、1台のロボットで複数の種類の作業が可能となり、産業ロボット使用の効率化に役立っています。
ツールチェンジャの原理
ツールの着脱方法は各社独自でいろいろなタイプがありますが、大部分は圧縮空気を使用してクランプしたり、引っ張り上げたりして固定します。工作機械では空圧を使用し、工具の取付部にあるノブを引っ張り上げることで、工具を固定するのが一般的です。
工具の取付部はテーパーになっているものが多く、そのテーパーを接触させることで工具位置の再現性を保っています。また、工作機械では工具のストッカーも合わせてATC (オートツールチェンジャ) と呼ばれており、1つのシステムとして扱われています。ストッカーには、様々な種類があります。
産業ロボット用では、各社独自の圧縮空気で駆動するクランプ機構が搭載されおり、カムを使用したものが多いです。ロボットハンドは自動機メーカーが用途に合わせて設計しており、ストッカーなどもそれに合わせて製作するため、標準品として販売されているものはほとんどありません。
ツールチェンジャの種類
ツールチェンジャには、さまざまな種類があります。一般的なツールチェンジャは、以下の通りです。
1. マニュアルツールチェンジャ
作業者が手動でツールを交換する最も基本的なタイプです。この場合、作業者が機械にアクセスし、ツールを取り外して新しいツールを取り付ける必要があります。
2. オートマチックツールチェンジャ
自動的にツールを交換する機能を持つツールチェンジャです。予めプログラムされた手順に基づいて、機械がツールの交換を行います。単にツールチェンジャと呼ぶ場合、これを指す場合が多いです。
3. ロボットアームによるツールチェンジャ
ロボットアームを使用して、ツールの交換を行うタイプのツールチェンジャです。ロボットアームは予め設定された手順に基づいて、ツールを取り外し、新しいツールを取り付けることができます。
4. マルチスピンドルツールチェンジャ
複数のスピンドル (回転軸) を持つマシンで使用されるツールチェンジャです。これにより、複数のツールを同時に交換することができます。
5. ビジョンガイド付きツールチェンジャ
センサーやビジョンシステムを使用して、正確な位置やツールの状態を検出し、適切なツールを選択するタイプのツールチェンジャです。これにより、高度な自動化と正確なツールの選択が可能となります。
上記は一般的なツールチェンジャの例ですが、実際の使用状況や業界によって、他にもさまざまなバリエーションが存在します。
参考文献
https://www.nitta.co.jp/product/mecha/automatic_tool_changer/
https://www.bl-autotec.co.jp/products/index.php?cid=1