ノイズジェネレータとは
ノイズジェネレータ (英: noise generator) とは、雑音を発生する装置です。
ノイズジェネレータは、各種機器やシステムの性能を評価する際に、主に用いられます。ホワイトノイズやピンクノイズを発生させることができる機器で、ファンクションジェネレータの機能の1つとして用意されているものもあります。
ホワイトノイズとは、周波数軸上の低周波から高周波に至るまで全帯域で均一な強さを持つノイズのことです。音で聞くと「サー」と聞こえます。
ピンクノイズとは、周波数が高くなるほど、その成分が小さくなるノイズのことを言います。音声では、強い雨や滝の音のような「ザー」と聞こえます。ノイズジェネレータは、音響・振動試験の音源や振動源としても有用です。
ノイズジェネレータの使用用途
1. 電子機器の評価
ノイズジェネレータには、専用のノイズジェネレータとファンクションジェネレータの1機能として用意されているノイズジェネレータがあります。いずれのタイプにおいても使用の目的は、機器の機能や性能の評価です。
自然界において発生するノイズを、疑似的にノイズジェネレータによりホワイトノイズやピンクノイズとして発生させ、被測定機器が目的とする機能や性能を維持できるかを評価します。
EMI (Electro Magnetic Interference: 電磁妨害) 試験や機器におけるデータの誤りが所定の範囲内かどうかを評価するBER (Bit Error Rate: ビット誤り率) 試験に使用されます。さらに、各種BD/DVDレコーダのディスクドライブにおけるデータ転送試験などに使われます。
2. 音響・振動試験
ノイズジェネレータは、音響・振動試験の音源や振動源に使われます。スピーカにホワイトノイズの出力を接続して、ホールなどの音響特性や遮音・吸音特性などを評価します。また、加振機に接続すれば、振動試験にも有用です。
ノイズジェネレータの原理
ノイズの生成は、ノイズジェネレータを使う方法、ダイオードなどの電子回路で発生させる方法、プログラミング言語を使用して発生させる方法などがあります。
1. ノイズジェネレータを使う方法
ノイズジェネレータを使う方法では、電磁妨害EMI試験や音響特性試験などに使用されるノイズ発生器及びファンクションジェネレータに組み込まれている発生器を使います。ホワイトノイズ、ピンクノイズなどを選択してノイズを出力します。シンセサイザに付属しているノイズ発生器でも可能です。
2. ダイオードなどの電子回路で発生させる方法
ツェナーダイオード、トランジスタ、オペアンプなどに逆電圧を掛けた時に発生する広帯域ノイズを利用します。これはホワイトノイズですが、温度制御抵抗やガス放電管でも可能です。ピンクノイズは、ホワイトノイズに周波数に反比例したパワー減衰を行って生成します。
3. プログラミング言語を使う方法
C言語、Java言語、Pythonなどのプログラミング言語を使う方法です。乱数を使ってソフトウェアでノイズを生成します。
ノイズジェネレータの種類
ノイズジェネレータは様々なタイプのものがありますが、数KHzからGHz帯までのノイズを出力し、その出力周波数をリニアに設定可能なタイプもあります。
また、出力するノイズのレベルも調整可能です。機器の操作は、機器本体に用意された操作パネルによって行うインターフェースに加え、イーサネット経由でPCから制御可能なタイプもあります。
ノイズジェネレータのその他情報
EMI試験
EMI試験では、ユーザが機器を使用する環境において発生しうるワーストケースのノイズを発生させ、その際に機器が正常な動作を維持できるかどうかを評価します。例えば、テレビなどの家電機器を想定した場合、ノイズの混入によって、瞬間的に画面の映像が乱れたり、音声がおかしくなったりすることは許容できます。
過渡的なノイズがなくなった場合、元の状態に復帰できる必要があります。この様な事態を確認するために、ノイズジェネレータを使って最悪の環境条件を作り出し、この条件下でも正常動作を継続しうるかを評価することは、機器の品質を高めるために重要な試験です。
参考文献
https://www.mrf.co.jp/special/pasternack_noise/
https://www.toyo.co.jp/emc/products/detail/id=428
https://www.monotaro.com/g/04580658/
https://www.iti.iwatsu.co.jp/ja/products/sg/sg4222_62_top.html