接触式センサーとは
接触式センサーとは、被計測物との距離を専用の検出器を直接接触させて計測する計測機器です。
検出器を接触させて距離を測定するため、非接触式センサーと比較して精度が高い点がメリットです。ただし、被測定物に検出器を当てる必要があるため、少なからずダメージを与えてしまうというデメリットがあります。
また、非接触式センサーと比較して安価である場合が多いです。
接触式センサーの使用用途
接触式センサーは産業用途として幅広く使用されています。以下は接触式センサーの使用用途一例です。
- 製品・試験品の厚みなどの変位測定
- 搬送・加工装置の製品検査・位置確認
- 貯水タンクの液位管理
- バルブやダンパーの開閉フィードバック信号発信用
接触式センサーと言えば、接触式変位センサーが代表的です。接触式変位センサーは、主に製品・試験品の厚み測定などに使用します。変位以外にも液位測定などに使用される場合もあります。
非接触式センサーの多くは、レーザーなどを投射して反射光を受光することで距離測定を実施します。接触式センサーは、反射光を受光すること不可能な大きな傾斜面などの計測も可能な点がメリットです。その利点を生かして、3次元形状の被計測物の表面形状を計測することができます。
また、被計測物を載せてその移動を制御する粗動ステージの変位を実測したり、一方向へステージを動かす際の振れ幅を計測したりする際にも使用します。誤差の計測把握から調整へのフィードバック制御に使うことも可能です。
接触式センサーの原理
接触式センサーの中でも代表である接触式変位センサーは、一般的に専用のプローブが付属されています。プローブはスピンドル構造となっており、上下に機械的に伸び縮みします。プローブが何にも接触していない状態では、バネの力でプローブは最大限伸びた状態です。
被計測物にプローブが接触すると、プローブが縮みバネの力で被計測物へ向かって一定圧力が掛かります。その際のプローブシャフトの変位を検出することで、長さ情報に変換します。そのため、計測できるレンジはこのプローブの伸縮するレンジ以内になります。
プローブの中には、コイルが巻かれていることが多く、伸び縮みするシャフト部分が鉄心の役目をします。このシャフトが動いた位置によって、コイル内のインピーダンスが変化し、出力が変化します。シャフトの位置に応じたインピーダンスが決まっているため、絶対位置をセンシングすることが可能です。
接触式センサーの種類
接触式センサーは、さまざまな種類が販売されています。以下は接触式センサーの一例です。
1. 差動トランス (LVDT) 式変位センサー
測定対象に押し付けた接触子を移動させて発生する垂直方向の変位量を電気信号に変換し、測定対象物の形状を読み取るセンサーです。接触子の上部には鉄心があり、この鉄心は接触子の上下動によって近傍のコイルインピーダンスが変化して電気信号出力します。
構造上、測定値が飛ぶことが少ない点が特徴です。一方、コイルの磁界を利用しているため、コイル内の鉄心の位置によっては磁界の特性が安定しない場合があります。
2. スケール式変位センサー
スケール式は接触子の変位量をデジタル的に測定するセンサーです。磁気型と光カウント型が存在します。
磁気型
磁気型は、S極及びN極が交互に並んだスケールの上下移動を磁気検出素子で検出して変位量を計測します。一方、光カウント方式は多数のスリットを開けたスケールに投光し、スリットを通過する光を受光素子でカウントして変位量を測定します。
光カウント型
光カウント型は、デジタル的な測定方法であるためノイズが無く、精度を高く測定可能です。ただし、接触子の急激な移動では磁気検出素子や受光素子が正しく反応できない場合があり、この場合は測定値の値が飛ぶことになります。
3. リミットスイッチ・マイクロスイッチ
リミットスイッチやマイクロスイッチは、物体の位置を接点信号として出力する接触式センサーです。先端にアクチュエータと呼ばれるドグが取り付けられており、物体が接触することで駆動して内部接点を開閉します。構造が簡単かつ堅牢で、産業に幅広く使用される部品です。
4. フロート式レベルセンサー
浮きが付属しており、液位の上下動に合わせて浮きが上下動してレベル出力するセンサーです。構造が簡単で安価なため、貯液タンクの液位管理用として多くの場面で使用されます。ただし、浮きをタンクに浮かべる必要があるため、撹拌するタンクなどには不向きです。