平面度測定器とは
平面度測定器とは、主に加工した面の平面の度合いを評価するための計測器です。
平らに見える加工面であっても、実際にはごくわずかな凹凸やうねりを伴っているのが一般的です。このわずかな凹凸やうねりが、工業製品においては製品の機能に影響を与える場合があります。
平面度測定器は平面度合いを評価することによって、製品の機能を保証するために必要な測定器です。平面度を測定する方法には大きく3つあります。汎用の測定器であるダイヤルゲージを使用した測定、基準原器を使用した測定、レーザー光による測定です。
平面度測定器の使用用途
平面度測定器は、主に金属製工業製品の平坦部分、平面加工部分の評価に用いられます。例えば、気密性が求められる機械のケーシング部品が複数の部品で構成される場合、必ず部品同士を組み合わせる「合わせ面」があります。
合わせ面はあるレベルの平面が確保されていなければ、気密性を確保できません。このような合わせ面の平面度を評価するために、平面度測定器は用いられます。具体的には、エンジンや自動車用の変速機などです。内部にオイルを封入している機械のケーシング部品の合わせ面は、平面度を確保することが重要になります。
その他の用途として、光学用特殊プリズムが挙げられます。プリズムは光を屈折させたり反射させるガラス器具で、カメラやなどに使われています。光通信ガラス面が真っ平な平面でないと、光の屈折、反射がうまくいかなくなってしまうため、平面度の確認が必要です。
平面度測定器の原理
平面度を測定する方法として、主に以下の3つが挙げられます。
1. ダイヤルゲージを用いた測定
ダイヤルゲージを用いた平面度測定は、比較的さまざま部位の測定に応用しやすい方法です。まず、ダイヤルゲージは、平面度を測定する専用の測定器ではなく、段差など1方向の距離を直接接触して移動量を読み取る汎用の計測器です。
ダイヤルゲージと平面度を測定したい部品を定盤などの基準になる平面に置いて、複数箇所の高さを測定します。比較的容易に測定できますが、基準となる定盤の平面が確保できていなかったり、計測対象の製品が傾いてたりすれば、評価結果に影響してしまいます。
評価する部位もなるべく広範囲に、また評価する点数によっても結果は変わることに注意が必要です。
2. 平面度基準原器による測定
平面度基準原器は、平面度が保証された原器です。測定したい対象物と平面度基準原器を接触させ、接触部分に光を照射し、両者の隙間から洩れる光を測定することで平面度を評価する方法です。
3. レーザー光による測定
平面度測定装置として販売されている製品の多くは、レーザー光を用いたものがほとんどです。これらの装置では、対象物にレーザー光を照射し、反射を測定することで平面度を測定します。
表面を傷つけることがないこと、測定が一瞬で終わることが利点ですが、他の2つの方法に比べると高額な測定装置を用意する必要があります。
平面度測定器のその他情報
1. 平面度について
平面度が良いものが触れ合うようにすることは、製品の機能、例えば気密性や耐摩耗性において、非常に重要なことです。場合によっては、外観品質に影響することもあります。
JISでは平面度を「平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ」と定義しています。簡単に言えば、面の最も凸の部分と最も凹の部分を、理想的な2つの平面で挟んだ場合の距離のことです。また、平面度は平らな面でなければ指定できないということはなく、曲面であっても指定することができます。
円筒や内径の場合は、同心度や同軸度も指定する必要があります。用途や目的によって、適切な幾何公差を選ばなければなりません。
2. 平面測定での注意点
平面度を測定する際は、評価する面のキズやゴミ、突起といった特異点に注意が必要です。場合によっては除去しなければなりません。
もし、特異点が除去しきれない場合は、測定ポイントを少しずらした位置で変位を求めます。特異点を除去せずに平面度を求めると、本来の値より大きく悪化した数値になってしまいます。
さらに、特異点を除去して求めた値でも、それが製品の反りによる影響であるかどうか見極めることが大切です。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/3dprofiler/keijou/flatness/info/
https://ekuippmagazine.com/business/plane/