静電容量センサー

静電容量センサーとは

静電容量センサーとは、静電容量の変化を検知して物体の位置や接近を検出するセンサーです。

静電容量は電荷を蓄えることができる量を示す物理特性です。静電容量センサーはセンサー近傍の静電容量の変化を検知し、物体の接近を検出します。タッチスクリーンや携帯機器のユーザーインターフェースで一般的に使用されています。

静電容量センサーは微細な変化も検出できるため、高精度な物体検出が可能です。また、金属や非金属など、様々な材料に対して反応するため、幅広い応用ができます。反応速度も速く、リアルタイムでの制御が求められる場面でも効果的です。

静電容量センサーの使用用途

静電容量センサーは、その高感度かつ非接触な検出能力から、幅広い分野で活用されています。主な用途としては、以下のようなものがあげられます。

1. 電子機器・家電

電子機器や家電においては、主にタッチスクリーン技術に利用されます。スマートフォンやタブレットなどにユーザーが指で触れた際に、センサーがその静電容量の変化を感知します。この変化を画面の操作として検出し、内部機器へ反映する仕組みです。

また、静電容量センサーはスマートホームの観点からも活用されます。ドアロックなどを手のひらの近接や指紋で操作できるため、便利な自宅環境を構築することが可能です。セキュリティ面も向上させることができます。

2. 自動車

車内では静電容量センサーがタッチ式インターフェースに利用され、物理的なボタンなしで空調などの操作が可能です。また、ハンドルタッチセンサーとしても使用可能で、運転アシストシステムの一部を担っています。ドアの自動開錠などにも利用可能で、利便性を向上させる一助となっています。

3. その他製造業

それ以外の製造業でも、静電容量センサーは製品の検出や位置確認に広く使用されます。製造ライン上で物体が通過する際にセンサーがその変化を捉え、ラインの管理や自動化をサポートします。また、貯液タンクの水位検出などにも使用されることが多いです。

静電容量センサーの原理

静電容量は二つの導体間に電荷を蓄える能力を示す物理的特性です。静電容量センサーは対象物とセンサー間の静電容量の変化を利用して、対象物の位置を検出するセンサーです。

具体的には静電容量センサーに一対の電極が内蔵されており、その間に電場を発生させています。これに人体などの対象物が近くに接近すると周囲の電場が影響を受け、静電容量が変化します。人体などの場合は導電性のため静電容量が増加し、油などの場合は減少します。センサーはこの静電容量の変化を検出し、対象物の接近を検知する仕組みです。

センサー内部ではこの容量変化を電気信号として処理します。対象物の接近や近接を検知する場合は接点などの出力信号へ変換し、貯液レベルなどの場合はアナログ出力信号へ変換します。これにより、様々な機械の動作を制御することが可能です。

静電容量センサーの選び方

静電容量センサーは、その高感度かつ非接触な検出能力から、幅広い分野で活用されているため、静電容量センサーを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 検出対象

静電容量センサーは対象物の近接を感知するために使用されますが、検出対象の特性に応じてセンサーを選ぶ必要があります。選定の際には検出対象が金属や非金属及び液体など、どのような物質であるかを考慮します。特定の材料に対応したセンサーを選ぶことが重要です。

2. 検出距離

検出距離はセンサーが対象物をどれだけ遠くから検出できるかを示す要素です。センサーのサイズや感度、設置場所に依存します。短距離の接近を検出する場合は、感度が高い小型のセンサーを選ぶことが一般的です。

3. 出力信号

静電容量センサーの出力信号には、デジタル出力とアナログ出力があります。デジタル出力は検出結果をオンまたはオフとして出力される方式で、シンプルな用途に適しています。近接センサーなどがその一例であり、ロジック回路や簡易なシステムに向いています。

アナログ出力はセンサーが検出した静電容量の変化を連続的なアナログ信号として出力します。対象物の近接度を詳細に測定でき、精度の高い制御が可能です。貯液タンクの液位測定などの使用されます。

4. 環境

センサーの選定には、設置環境や使用条件も考慮しなければなりません。特に温度や湿度及び化学物質などの影響を受ける場合、耐環境性に優れたセンサーが必要です。また、設置する場所や用途に応じて、サイズや形状も検討する必要があります。

校正ガス

校正ガスとは

校正ガスとは、ガス検知機器やセンサーを校正するための標準濃度ガスです。

ガス測定機器が正しい測定値を表示するように、センサーを調整するために使用されます。都市ガスなどのガス検知器や、環境測定用のCO2濃度計などを対象に使用します。機器に応じて二酸化炭素や一酸化炭素、メタンなど、様々な校正ガスが販売されています。

ガス検知器などは定期的な校正によって機器の性能を維持する必要があります。これにより、誤検出を防ぎ、誤報を避けることが可能です。また、業界によっては定期的な校正を法規制で定められていることも多いです。

校正ガスの使用用途

校正ガスは、様々な産業において、計測機器の精度を確保し、安全性を高めるために不可欠な存在です。以下に、校正ガスの具体的な使用用途をさらに詳しくご紹介します。

1. 化学・製造業

化学工場や製造施設では、有害ガスや爆発性ガスを使用しならない場合があります。これらのガスを使用する場合、ガス漏れを迅速に検出するために、ガス検知器やセンサーを使用しなけらばなりません。校正ガスはこれらのセンサーが正確にガス濃度を測定できるように調整するために使用します。一酸化炭素や硫化水素などの有害ガスが漏れた場合の早期警告を確実に行うために、校正ガスが必須です。

2. エネルギー産業

石油・ガス産業では、ガス漏れの監視や爆発リスクの管理が非常に重要です。石油精製所や天然ガスの取扱施設では、可燃性ガスや有毒ガスの漏れを監視するためにセンサーを使用します。校正ガスを使用してこれらのセンサーを調整し、正確にガス濃度を測定できるように校正することが重要です。

3. 医療

医療業界では、呼吸器系の検査機器や酸素濃度計で校正ガスを使用します。一例として、麻酔ガスの監視装置では、適切なガス濃度を検出するように校正ガスで校正することが多いです。

校正ガスの原理

校正ガスには、あらかじめ定められた濃度のガスが封入されています。この基準ガスは、対象のガス検知機器やセンサーで測定するガスと同じ物質を含んでいる参照ガスです。これを使用して機器が正常に機能するように設定を調整する仕組みです。

ガスセンサーはセンサー内の化学反応や物理的変化を通じてガス濃度を測定します。例えば、半導体型や電気化学式のセンサーでは、ガス分子がセンサー表面に接触すると化学反応が起こって電気信号が発生します。校正ガスを使用することで、センサー感度がガス濃度と一致するように調整することが可能です。

ガスセンサーには無ガス時に示すゼロ点と、最大ガス濃度を検知した時に示すスパン点の校正があります。ゼロ点校正ではセンサーがガスを検出しない状態で、基準ガスがない状態を設定します。スパン校正では既知のガス濃度である校正ガスを使用して、センサーの応答を確認・調整します。

上記校正により、ガス検知器・ガスセンサーを調整して正確な値測定を担保する仕組みです。校正ガスはガス検知機器の精度を維持し、正確なデータを提供するための重要な役割を果たしています。

校正ガスの種類

校正ガスには、以下のような種類が存在します。

1. 一酸化炭素

一酸化炭素は有害で爆発性を有するガスであり、化学プラントなどで発生する場合があります。一酸化炭素の発生・漏洩は人身災害に直結するため、一酸化炭素検知器で監視していることも多いです。一酸化炭素センサーの校正には、一酸化炭素校正ガスが使用されます。

2. 窒素

窒素ガスは大気中に最も多く存在している気体であり、不活性な点が特徴です。ゼロ点校正など、無ガス状態におけるセンサーの基準を設定するために使用されることが多いです。一部の用途では他のガスと混合して使用されます。

3. 窒素酸化物

窒素酸化物はノックスなどとも呼ばれ、大気汚染の原因となるガスです。主に自動車や工場の排出ガスによって発生し、環境モニタリング装置で測定します。同用途で発生する硫黄酸化物と同時に測定する場合も多いです。

4. 酸素

酸素は大気中に21%程度存在し、支燃性を有するガスです。ボイラーなどの燃焼設備では酸素が必ず必要となるため、排ガスの酸素濃度を常に監視している場合も多いです。また、酸素濃度が低い環境下では健康に悪影響を与えるため、安全対策としても酸素濃度計が使用されます。

ポカヨケトルクレンチ

監修:株式会社サンテクノ

ポカヨケトルクレンチとは

ポカヨケトルクレンチとは、ねじなどの締結作業のミスを防止するための機能を備えたトルクレンチです。

「ポカヨケ」という言葉は日本語の「ポカ (うっかりミス)」と「ヨケ (防止) 」を組み合わせたもので、製造業や整備業界でミスを未然に防ぐための仕組みや道具を指します。

ポカヨケトルクレンチに明確な定義はありませんが、ねじなどの締結作業時に、あらかじめ設定した締付けトルクに達したことが作業者に伝わると同時に、締結したことを記録できるものを指すことが多いです。

記録はねじなどにマーキングをするものや、有線や無線で履歴をデータとして記録するものがあります。ポカヨケトルクレンチによって、製品や設備の品質を確保し、人為的なミスによる事故や不具合を防止することが可能です。

ポカヨケトルクレンチの使用用途

1. 自動車産業

自動車のエンジン組み立て、ホイールの取り付け、サスペンション部品の締め付けなど、トルク管理が求められる作業に使用されます。締め付けミスが走行性能や安全性に直結するため、正確な締め付けが必要です。

2. 航空機産業

航空機のエンジンや機体の組み立て作業では、わずかなミスが重大な事故につながるため、ポカヨケ機能を備えたトルクレンチが不可欠です。

3. 建設業界

大型の建設機械や鉄骨構造物の組み立てでは、ボルトの締め付けが緩んだり、破断したりしないよう、正確なトルクでの締め付けが求められます。

4. 精密機械の組み立て

電子機器や医療機器、ロボットなど、精密さが求められる製品では、正しいトルクでの締め付けが欠かせません。ポカヨケ機能で、品質を安定させることが可能です。

5. 工場の生産ライン

大量生産ラインでは、人為的ミスを防ぎつつ効率的に作業を進めるために、ポカヨケトルクレンチが導入されています。

ポカヨケトルクレンチの原理

ポカヨケトルクレンチの基本原理は、正確なトルク管理と作業ミス防止のためのフィードバック機能にあります。具体的には、以下の要素が関わります。

1. トルク検知機構

トルクを加える際、内部のスプリングやセンサーが加えられた力を検知し、設定値に達した瞬間に反応します。

2. フィードバック機能

設定トルクに達すると、音や振動、光などのフィードバックを作業者に提供します。これにより、締め付け過ぎや不足を防ぎます。

3. 自動停止・ロック機能

いくつかの高度なモデルでは、設定トルクに達すると自動で工具がロックされ、それ以上の締め付けを防止します。

4. データ記録・送信

デジタル式や無線通信式モデルでは、トルクデータが自動的に記録・送信され、作業履歴やミスの有無を確認できます。

ポカヨケトルクレンチの種類

1. メカニカル式ポカヨケトルクレンチ

設定したトルク値に達すると、「カチッ」という音や手に伝わる感触で知らせるタイプです。シンプルで扱いやすく、多くの現場で使用されています。マーキングや電子データによる履歴は記録されませんが、1つのポカヨケ機能を有したトルクレンチに含むことができます。

2. デジタル式ポカヨケトルクレンチ

トルク値がデジタル表示され、設定値に達すると音や光、振動で警告するタイプです。記録機能が搭載されているものもあり、データ管理が可能です。

3.マーキング付きポカヨケトルクレンチ

上記のトルクレンチに、締結が行われたことを示すマーキングが付けられるトルクレンチです。マーキングには合わせマークという、ねじと締結物に同時にマーキングできるものもあります。

4. 無線通信式ポカヨケトルクレンチ

トルク値や作業履歴を無線でシステムに送信できるタイプです。生産管理システムと連携し、作業ミスの早期発見や品質管理に役立ちます。

5. プリセット式ポカヨケトルクレンチ

あらかじめトルク値を設定しておき、その値に達すると自動的に停止するタイプです。生産ラインでの反復作業に適しています。

ポカヨケトルクレンチの選び方

ポカヨケトルクレンチを選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。

1. 作業内容に応じたトルク範囲

使用する作業に必要なトルク範囲に適合するレンチを選びましょう。自動車整備であれば50Nm~200Nm程度が一般的ですが、精密機器では数Nm程度の低トルクが求められます。

2. フィードバックの種類

視覚的 (LED)、聴覚的 (音) 、触覚的 (振動やカチッという感触) フィードバックの中から、作業環境に適したものを選びましょう。

3. データ管理機能

作業履歴を記録・管理する必要がある場合は、デジタル式や無線通信式のトルクレンチが適しています。

4. 耐久性とメンテナンス性

頻繁に使用する場合は、耐久性が高く、校正やメンテナンスが容易な製品を選びましょう。

5. コストパフォーマンス

必要な機能と予算のバランスを考慮して、最適なモデルを選びます。

本記事はポカヨケトルクレンチを製造・販売する株式会社サンテクノ様に監修を頂きました。

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ポカヨケツール

監修:株式会社サンテクノ

ポカヨケツールとは

ポカヨケツールは、製造現場などでのヒューマンエラーを未然に防ぎ、製品の品質向上や生産性の向上に繋げるための仕組みやツールのことです。

ポカヨケとは、うっかりミスを意味するポカと、防止を意味するヨケを組み合わせた言葉であり、様々な場面にシステムとして組み込まれています。

ポカヨケツールは、特に既存の工具や生産設備、作業場などにポカヨケ機能を導入する後付けのツールを指します。うっかりミスは人が作業を行う上で常に発生しうるものであり、同時に重大な品質問題に発展することもあります。

市場不具合や工場での予期せぬトラブルを防止するためにも、ポカヨケツールは大きな効果を発揮するものです。

ポカヨケツールの使用用途

ポカヨケのシステムや仕組みは、製造業、物流業、倉庫管理、医療現場、さらに私たちの日常生活にも取り入れられています。

物流業におけるピッキング作業の誤作業防止では、バーコードスキャナはRFIDタグなどが代表例です。医療機器においても、異なる薬剤ごとに色分けされたシリンジや、電子システムによる投薬確認があります。これらはシステムとしてあらかじめ製品に組み込まれているものがほとんどです。

ポカヨケツールとして、特に既存の機器に後付けするツールとして利用されるものの多くは、製造業に関わるものです。作業順番の間違い防止、洗濯部品の正しい取り付け、ねじの正しい締結の確認などに、ポカヨケツールが利用されます。

ポカヨケツールの種類

1.電動工具

多くの電動工具には、後付けできるポカヨケツールがあります。代表的なものは電動ドライバーです。ドライバーにポカヨケ用の発信機を取り付け、ねじの締結工程の有無や締め付けトルク、回転数または回転角度などのデータをポカヨケツールの本体に送信します。あらかじめ設定された順番やトルク、回転角度の範囲から外れた場合には、警告を発して異常の発生を知らせます。対象となるツールにはエアリベッター、グリスガン、検印スタンプなどがあります。

2.検査カメラ

ポカヨケーツールにはカメラを用いた製品もあります。類似部品の識別や欠品、作業者の作業順番などを自動的にチェックします。作業中にリアルタイムに検査する場合や、一通りの作業が完了したのちに一括検査することも可能です。

3.検査記録の電子化

製造業では品質確認として、様々な検査表や成績書、測定記録などが用いられています。従来は作業者による手書きの記録が多く利用されてきましたが、電子化することは作業の効率化とともにポカヨケにも繋がるものです。例えばノギスやマイクロメータなどで測定した結果を手書き入力していたものを、計測データをデジタル値として読み込み閾値と比べることによって、異常値をすぐに判定することができます。

ポカヨケツールの選び方

ポカヨケツールは、対象となるツールへの取り付け条件を満たしていることが必須ですが、以下の点も考慮することが大切です。

1. ミスの発生原因を特定する

まず、どの工程でどのようなミスが発生しているのかを特定することが大切です。ミスの種類には「作業手順の間違い」「部品の選択ミス」「操作の誤り」などがあります。それぞれに適したポカヨケツールを選定します。

2. コストと効果のバランス

ポカヨケツールにはコストがかかるものもあります。簡単な工夫で防げるミスであれば、低コストで導入できる方法を選びます。例えば、ラベルや色分けの工夫は手軽で効果的です。

3. 現場の作業者が使いやすさ

ポカヨケツールは、現場の作業者が直感的に理解し、簡単に使えることが重要です。複雑すぎるシステムは逆にミスを引き起こす可能性があります。現場の声を反映し、使いやすい仕組みを導入することが大切です。

4. メンテナンスや耐久性

長期間運用するためには、メンテナンスが容易で耐久性のあるツールを選ぶことも大切です。センサーや機械的なポカヨケツールは定期的な点検が必要です。

5. 柔軟性と拡張性

業務の変更や新しい工程に対応できる柔軟性を考慮します。再利用やカスタマイズが可能なツールであれば、効率よく導入できます。

本記事はポカヨケツールを製造・販売する株式会社サンテクノ様に監修を頂きました。

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ユーロパレット

監修:ダイソートレーディング株式会社

ユーロパレットとは

ユーロパレットとは、欧州で広く使用されている木製パレットです。

原料規格として国際的にも認知され、欧州の貨物輸送において最も使用されるサイズです。特に物流業界で多く使用され、ユーロパレットやCPパレット等で標準化されています。

日本の標準パレットであるJIS規格のT11型  (1100×1100×144mm) とは異なりEURO規格ではCP3 (1140×1140×138H) があります。正式なユーロパレットには、European Pallet Association (EPAL) の認証マークが刻印され、このマークとステンシルがあることで、品質や耐久性が保証されています。 (ステンシルのない物は無効です) 。

ユーロパレットの使用用途

ユーロパレットは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 物流

ユーロパレットは国際的な物流・輸送業務において重要な役割を果たします。標準化されたサイズであり、トラックやコンテナ及び倉庫での積み込み・保管が効率的に行えます。また、異なる国や企業間での輸送がスムーズであり、手間を減らすことが可能です。

特にEU諸国での貨物輸送において共通の規格が使われるため、輸送が効率的かつ安全に行えます。使用しやすい国際規格に準拠しているため、世界中の国で安心して使用することが可能です

2. 小売・卸売

小売業や卸売業でも広く使用されます。商品をパレットに積まれた状態で店舗に配送することが多く、店内での陳列や商品管理を容易に行うことが可能です。パレット単位で陳列することにより、在庫管理の効率化にもつながります。

3. 製造業

製造業でも欧州圏内では広くユーロパレットが使用されます。原材料や部品を運搬する際に、パレットを使って効率的に取り扱うことが可能です。また、完成品を保管したり出荷したりするためにも使用することが多いです。

4. 農業

農産物や生鮮食品など、農作物にも使用されることがあります。取り扱いに注意が必要な商品の輸送も安全に実施することが可能です。サイズが標準化されているため、トラック内でのスペースを最大限に活用でき、効率的に運搬できます。

ユーロパレットの原理

ユーロパレットのサイズは欧州での貨物輸送に最適化されており、トラックやコンテナ内で効率的に積み込むことができるように設計されています。異なる企業や国で共通規格のパレットが使用され、輸送や保管の際に無駄なくスペースを活用することが可能です。異種のパレットを使う手間が省け、輸送の効率が向上します。

耐荷重も高く、積載物を安定性して乗せることができます。木製であることが多く、強度や耐久性に優れています。積み重ねた場合でも安定して荷物を支えられるように設計されており、輸送中に荷崩れを防止することが可能です。

また、ユーロパレットはフォークリフトやハンドリフトで簡単に持ち上げられるように設計されています。パレットの下部にスリットがあり、フォークリフトなどの爪を容易に入れることが可能です。これにより、荷物の積み下ろし作業が効率的に行えます。

使用後は修理して再度利用することが一般的で、資源の浪費を抑えることができます。SDGsへの取り組みとして、環境への負荷を減らすことを重視した設計であり、リサイクルや修理が容易である点も大きな特徴です。

ユーロパレットの選び方

ユーロパレットを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 耐荷重

ユーロパレットは一定の耐荷重に耐えるように設計されています。選ぶ際には貨物の重量に適した耐荷重を有するパレットを選ぶことが重要です。過剰な重量を載せるとパレットが破損する恐れがあるため、荷崩れや人身災害の原因となります。

2. 材質

ユーロパレットは木材製が一般的ですが、金属製のボックスパレットも存在します。プラスチック製EURO認可品パレットは存在しません。木製はコストが低くかつ耐久性にも優れています。また、金属製は非常に高い耐久性を有します。使用環境や用途に応じて、材質を選ぶことが重要です。

3. 使用状況

ユーロパレットは再利用可能なため、新品と中古があります。新品は品質が保証されていますが、中古パレットは安価に調達することができます。中古のパレットを選ぶ際には、傷や破損がないことをしっかりと検品で確認します。

プラスチック製はEPAL認可品はなく輸出時には第三国での認可パレット積替後欧州に入れる事が多いようです。

4. 規格・品質の確認

本物のユーロパレットには、EURO認定検査員が検査した物のみEPALのロゴや焼印、ステンシルが施されています。この焼印、ステンシルはユーロパレットが規格に従って製造され、品質が保証されていることを示しているため、認証済みのメーカーから購入することが重要です。 (ステンシルが無い物は無効です。) 

本記事はユーロパレットを製造・販売するダイソートレーディング株式会社様に監修を頂きました。

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スチールボックス

監修:ダイソートレーディング株式会社

スチールボックスとは

スチールボックスとは、物流容器として使用されているスチール製の箱です。

様々な機械・機器や工業製品、化学製品などの輸送において、梱包に使用されています。一般的な木箱より頑丈で、高い耐久性がある梱包資材です。大小様々な種類があり、大きいものでは数十トンの内容物に対応します。スチールコンテナと呼ばれる場合もあります。

尚、スチールボックスという名称は、その他、鋼製の箱という一般的な意味でも使用される場合がある言葉です。具体的には、スチール製の工具箱や、収納箱、制御機器や配電盤などを収納するためのボックスなどに用いられることがあります。

スチールボックスの使用用途

スチールボックスのうち、輸送容器として分類される製品は、様々な工業製品の梱包に使用されます。大型の製品では、海上輸送 (船舶) や陸上におけるフォークリフト、トラック・トレーラー輸送を行うような大型の積荷に使用することも可能です。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 化学製品・ゴム製品・建設資材などの輸送
  • 自動車部品・トランスミッション・プレス機・機械製品・工作機械・半導体製造装置・耕運機・除雪機・各種機器製品の輸送
  • 工場間、企業間の輸送
  • 配送センターや海外への一括輸送・輸出
  • 工場、倉庫内における保管
  • 各種粉体の輸送・保管 (内袋を併用)

基本的に繰り返し使用することができるため、通い箱として用いられることが多いです。

スチールボックスの原理

1. 素材・特性

スチールボックスは、頑丈な鋼製で製造されています。スチールボックスと呼ばれるものの、スチールの他、ステンレスで製造される場合もあります。密閉性に優れており、防水・防塵効果に優れており、運送中の振動や衝撃からも保護することが可能です。

多くのスチールボックスは繰り返し使用することができるため環境に優しく、不要になった場合も鉄スクラップとして資源化することが可能です。

通常、複数個を積み重ねることができ、また、使用しないときには折りたたむ事のできる製品も多いです。

2.  木箱との比較

同規模の木箱と同じ程度の重量でありながら、より堅牢です。木箱の場合、加工処理を行わない限り国際基準で定められた『植物検疫措置に関する消毒・表示』の必要があります。スチールボックスにはこのような消毒は不要であり、カビなどの木材固有の問題も発生しません。

梱包・開梱作業が容易であることから、木箱梱包と比べて、組立時間は50%、開梱時間は70%程度削減することが可能な場合もあります。木箱は開梱時に木屑が発生しますが、スチールボックスは木屑の発生も有りません。

3. 強度・品質

多くの輸送用スチールボックスは、強度や品質の担保のため、設計製造の際に様々な技術が用いられています。具体的には、コンピュータシミュレーションによる強度解析や、振動試験機、圧縮試験機、傾斜衝撃試験機などによる各種試験機による試験データの分析などが行われます。

スチールボックスの種類

スチールボックスには様々な大きさが有り、小さな精密機器などの製品から大きな建設資材や大型装置まで、安全に輸送することが可能な製品です。トラックや海上コンテナのサイズに合わせて標準化された大きさや、積み荷に合わせてカスタムメイドされた製品などがあります。特に、特定の機材に対する専用型スチールケースでは専用のアタッチメントが付いている場合があります。

全天候型と呼ばれる製品は屋外保管や船上輸送に対応しており、防錆鋼板が使用されます。また、通常の箱型の形状のほか、骨組みだけのスケルトンタイプのスチールボックスもあります。透かし構造にすることで、軽量化・高強度化・低コスト化が可能です。通常のボルト締結製品のほか、工具不要で組付や分解が可能な製品もあります。

本記事はスチールボックスを製造・販売するダイソートレーディング株式会社様に監修を頂きました。

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粘着マット

監修:株式会社エクシール

粘着マットとは

粘着マットとは、靴底や台車の車輪などの汚れや塵、埃、微粒子を取り除くマットです。

粘着マットは、医薬製造や半導体製造、食品工場、医療施設など、汚染を防ぐ必要がある様々な環境に設置されています。粘着マット表面の粘着面が、通過する人や物の汚れをくっつける仕組みです。

粘着マットには大きく2つのタイプがあり、多層になっているシートを汚れたら1枚ずつめくって捨てるディスポーザブルタイプと、汚れたら洗浄して再利用するタイプです。

ディスポーザブルタイプは、高頻度の汚れ除去が必要な現場で、マットの交換作業を簡便にしたい場合に向いています。

再利用するタイプは、繰り返し使用でき環境に優しいマットです。初期費用はディスポーザブルタイプより高いですが、長く使用することによりコストを削減することができます。

粘着マットの使用用途

粘着マットは様々な場所で、塵や埃などを持ち込まないようにするために使用されています。以下に一例を記載します。

1. エアーシャワー室

食品工場や医薬品製造、半導体製造、電子部品工場などのクリーンルーム出入り口にあるエアーシャワー室内

2. 食品工場

食品製造エリアやパッケージラインの出入り口、工程間のエリア分けに

3. 塗装・印刷エリア

塗装や印刷工程ラインの出入り口

4. 医療施設

病院や研究施設などの出入り口

5. 環境を整えたい一般の工場や建設現場・リフォーム現場

その他工場やリフォーム作業、新築現場などの出入り口

粘着マットの構造

以下に、粘着マットの構造を記載します。

1. ディスポーザブルタイプ

粘着多層シート : 粘着マットは粘着剤がコーティングされたシートが多層になっており、汚れたシートを剥がすことで新しい清潔なシートが現れます。粘着剤は、人が通過する際に靴底のほこりや汚れをくっつけます。シートを剥がすにつれて粘着マットの高さが低くなります。

基材 : 粘着マットのベース部分は、薄いポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂でできています。

防滑加工 : マット自体が動かないようにするため、マットの裏面には防滑加工や粘着加工が施されたものもあります。

2. 再利用タイプ

マット表面の粘着層 : 粘着マットの表面は特殊な粘着層になっており、靴底や車輪から汚れをくっつけます。粘着層は、水や専用洗剤で洗浄することで汚れが落ち、粘着性が回復するため繰り返し使用が可能です。

耐久性の高い基材 : マット自体は特殊なポリウレタン素材などで作られています。

防滑加工 : マットの裏面に防滑加工や粘着加工が施されています。

粘着マットの種類

以下に、粘着マットの主な種類を記載します。

1. スタンダードマット

一般的な粘着マットで、多くの用途に適用可能で、靴底の汚れ除去に使用されます。

2. 強粘着マット

強い粘着力を持ち、ほこりをしっかり吸着します。しっかりほこりを取りたい、高いクリーン度を求められる場所に適していますが、粘着力が強いため、転倒リスクが高くなります。

3. 弱粘着マット

粘着力は低めで転倒リスクが減るため、普段粘着マットを通過しない人も通る環境などに適しています

4. 抗菌・防カビマット

粘着層に抗菌・防カビ剤が含まれており、細菌や微生物の繁殖を防ぎます。食品工場や植物工場などに適しています。

5. 帯電防止マット

粘着層に帯電防止剤が含まれており静電気を防ぐため、電子部品工場などに向いています。

粘着マットの選び方

以下に、粘着マットの選び方の主な観点を記載します。

1. 粘着マットのタイプ

ディスポーザブルタイプ :  ディスポーザブルタイプのメリットは、シートを剥がすだけで清潔な状態を維持でき、短期間で高頻度の汚れ除去が必要な現場や交換作業を簡便にしたい場合に向いています。また、シートに番号が振られ、残りのシート枚数が分かり管理がしやすい商品もあります。

デメリットは、廃棄物が発生し、長期間の使用ではコストがかさむことです。シート数が多く長期間使用できるものもありますので、初期費用だけでなくランニングコストも考慮して選びましょう。また、剥がすことを目的に作られたシートのため、車両が通るとシートが剥がれてタイヤに巻き込む恐れがあります。他にも剥がす際の汚れの飛散リスクなどがあります。

再利用タイプ : 再利用タイプは、洗浄により繰り返し使用できるため環境に優しく、初期コストが高いものの、繰り返しの使用で長期的なコスト削減が可能です。主に固定的な場所での使用に向いています。また、フォークリフトや重量台車などのタイヤ汚れに対応しているものもあります。

デメリットは、洗浄の手間がかかることです。頻繁に洗浄が必要な場合は、近くに清掃道具を用意するなどして環境を整えておくと良いです。

2. 使用環境

目標のクリーン度や使用環境に応じたマットを選びます。
また、車両が通過することを想定する場合、ディスポーザブルタイプはタイヤに巻き込むリスクがあるため、再利用タイプが適しています。

3. サイズ

設置場所の広さや通過する人・物の頻度に合わせて適切なサイズを選びます。車両が通ることが想定される場合は、対応しているマットとサイズを選定する必要があります。

本記事は粘着マットを製造・販売する株式会社エクシール様に監修を頂きました。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

年末年始休業期間のご案内 (2024年12月30日-2025年1月3日)

平素より格別の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。

弊社では下記の期間を、年末年始休業とさせていただきます。

2024年12月30日(月)〜 2025年1月3日(金)

休業期間中にいただきましたお問い合わせに関しましては、休業期間後の営業日より順次対応させていただきます。

データマイグレーション

監修:株式会社ユニテックス

データマイグレーションとは

データマイグレーション (データ移行) とは、あるシステムから別のシステムへデータを移行する作業です。

新しいテクノロジーを導入する際には、データ移行が不可欠です。具体的には、システムのアップグレード、クラウドへの移行、データセンターの統廃合などの場面で実施されます。この技術は、データを失うことなく、正確かつ効率的に移行先のシステムに適用できるようにすることを目的としています。

データマイグレーションの使用用途

データマイグレーションは以下のような用途で実施されます。

1. システムアップグレード

旧式のシステムから最新のシステムに移行する際、データマイグレーションが必須です。新しいソフトウェアやハードウェアにデータを適切に移行し、業務を中断させずにアップグレードを実施するために活用されます。

2. クラウド移行

近年、多くの企業がオンプレミスのシステムからクラウドサービスに移行しています。この場合、既存のデータセンターからクラウド環境へのデータ移行が必要です。

クラウドサービスはスケーラビリティやコスト効率及び柔軟性の観点から優れているため、データマイグレーションを利用してデータを移行することで、これらの利点を享受できます。

3. データセンター移行

物理的なデータセンターを新しい場所に移転する場合、データマイグレーションを実行してシステムを新しいデータセンターに移行します。ダウンタイムを最小限に抑えることが重要なので、データマイグレーション技術によって効率的に実行する必要があります。

4. データバックアップ・リカバリ

データ損失を防ぐためのバックアップや、システム障害からのリカバリを目的としてデータマイグレーションを実行する場合もあります。災害復旧計画の一環として、バックアップからデータを新しいシステムに復元する場合に利用されます。

データマイグレーションの原理

データマイグレーションの最初のステップは、既存システムから必要なデータを抽出することです。移行対象となるデータを特定し、データソースから安全に取り出します。データ抽出はデータベースを対象に行うことが一般的です。

移行先のシステムに合致した形式にデータを変換します。データシステム間ではデータフォーマットやスキーマが異なることが多いため、変換作業が非常に重要です。データ変換の際にはデータ型の変更だけでなく、不正確なデータの修正・削除なども合わせて実施します。

その後、変換したデータを新しいシステムに移行します。データの転送方法を選定し、正しく移動できるように調整します。移行中にデータの損失や破損がないように、安全な転送手段を選定することが必要です。

データ移行後、正確に移行されたことを検証するテストを実施することが一般的です。移行されたデータが新しいシステムで正しく機能し、アクセスできることを確認するためにチェックを行います。データの整合性や完全性を確保するために検証プロセスは重要です。

データマイグレーションサービスの選び方

データマイグレーションを独自に実施することは可能ですが、複雑なシステムの場合は移行サービスを利用することも選択肢の一つです。以下はデータマイグレーションのサービスを選定する際の要素の一例です。

1. プラットフォーム

移行対象のプラットフォームに対して技術力を有するサービス企業を選ぶことが重要です。特に、異なるデータベースやアプリケーション間でデータを移行する場合、サポートしているフォーマットに対応できることを確認します。

事前に打ち合わせなどを実施することで、双方の需給が合致していることを確認することが重要です。

2. セキュリティ

データマイグレーション中にデータが破損したりしないように、サービス企業がデータの整合性を保ちながら移行できることを確認します。特に機密データが含まれる場合、移行中のセキュリティ対策がしっかりしていることも重要です。

3. サポート体制・評価

対象サービス企業のサポート体制が充実していることを確認します。移行中や移行後に問題が発生した場合に、迅速に対応できることが理想的です。過去の顧客の評価や事例を調査することで、信頼性を確認できます。

本記事はデータマイグレーションを提供する株式会社ユニテックス様に監修を頂きました。

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グリースニップル

グリースニップルとは

グリースニップルの概要

グリースニップル (英: Grease Nipple) とは、グリース潤滑を行っている機械などに取り付け、グリースガンなどの給脂機器を使用しグリースを補給するために、給脂口 (注入口) として使用する部品のことです。

給脂とは、グリースなどの粘性のある半固形状 (ペースト状) の潤滑材を、機械などに補給することを指します。給油とは、液状のオイルなどの潤滑材を補給することです。

グリースニップルの使用用途

グリースニップルの使用用途

図2. グリースニップルの使用用途

グリースは潤滑剤の一種で、低速回転でも大きな荷重のかかるような箇所のローラーベアリング (転がり軸受) や、メタル、ブッシングの滑り軸受を使用している箇所に使用されています。グリースニップルは、このようなグリース潤滑を行っている機械や部品で、補給が必要な場合に取り付けられています。

一般的にグリース潤滑を行っている機械などは、組み立て時にあらかじめ規定量のグリースが充填されています。しかし、機械の運用時間の経過とともに、グリースは減量していきます。そのため、定期的なグリースの補給が必要です。

グリースニップルを取り付けることで、機械などを分解することなく機械外部から容易に給脂することができます。グリースの給脂が必要な個所は、作業性の良い場所もあれば、悪い場所もあります。

グリースの注入作業を想定し、作業性の良いグリースニップルを選定し使用することが必要です。そのため、グリースニップル先端部の形状は数種類あります。

グリースニップルの原理

グリースニップルの先端部は注入されたグリースが逆流しないように、逆止弁構造になっています。グリースニップル先端内部には、小さな鋼製のボールが組み込まれています。

ボールはスプリングによって常にボディに押し付けられ、グリースが漏洩しないよう封止するのが役割です。グリースの給脂は、グリースガンなどを使用し圧力をかけることで、グリースがボールを押し込み、注入口とボールの隙間からグリースが流入します。

グリースニップルの種類

グリースニップルは下記の規格などにより形状、寸法、材質などが規定されています。

  • JIS B1575: 2000 グリースニップル Grease nipples
  • ISO 6392-1: 1996 Earth-moving machinery -Lubrication fittings- Part 1: Nipple type

JIS B1575では、グリースニップルの種類は1~5形の5タイプあり、それぞれで材料が2種類 (表面硬化処理を含めると3種類) があります。

グリースニップルの種類と形状

図3. グリースニップルの種類と形状

1. グリースニップルの形状

  • 1・2形
    1・2形は、ストレートタイプで、取り付け用穴の中心と注入口は同軸で、グリースガンなどのホースに取り付けられている口金をまっすぐ押し当て注入します。1形と2形の違いは、取り付けねじ部のねじ仕様で、1形は平行ねじのM6x0.75で、2形はテーパねじのR1/8です。
  • 3形
    取り付け用穴の中心に対して、45°傾いて取り付けられています。
  • 4形
    取り付け用穴の中心に対して、65°~67.5°傾いて取り付けられています。
  • 5形
    取り付け用穴の中心に対して、90°傾いて取り付けられています。

1~5形のグリースニップルから、グリースガンのホースと口金が差し込みやすく作業性が良い形式を選定します。グリースニップルの外形寸法JIS規格により定められていて、口金差し込み部寸法は同寸法で共通です。JIS規格適合の口金付きのグリースガンであれば、メーカを問わずグリース補給が可能です。

2. グリースニップルの材質

グリースニップルの材質は下記2種類があります。

  • 鋼製 JIS G4051 S15C、S20C または JIS G4804 SUM22~SUM241
  • 黄銅製 JIS H3250 C3601~C3604

なお、JIS B1575では1994年の改定前に規定されていた従来形の形状及び寸法は「付属書3」に、また参考用にボタンヘッド及びピンタイプの形状および寸法は「付属書4」に記載されています。ボタンヘッドおよびピンタイプは、それぞれ専用の口金が必要になりますが、ニップルへの差し込みが容易で外れにくいのが特長です。

ボタンヘッドおよびピンタイプの形状

図4. ボタンヘッドとピンタイプの形状

グリースニップルは、主にグリース給脂 (減量した分を追加で補給すること) するとき以外は使用されることはありません。そのため、グリースニップルの開口部から粉塵などの異物が混入しないように、付属品としてキャップがあり取り付けることがあります。

グリースニップルのその他情報

グリースニップルの給脂方法

グリースニップルの給脂方法

図5. グリースニップルの給脂方法

グリースニップルへの給脂は、一般的にグリースガンを使用します。手動グリースガンはハンドルを握り往復動させグリスチューブ (グリースを収納しているチューブ) を加圧しグリースを注入させます。また、手動以外にも電動タイプもあります。

グリースガンにはタイプがありますが、タイプに関わらず、注油時のグリースニップルとグリースガン差し込み口の角度には注意が必要です。斜めになっていると正しく注油できず、注油口の隙間からグリースがあふれてきます。グリースニップルとグリースガン差し込み口は真っすぐになるよう注意して給脂を行ってください。

参考文献
https://neji-one.com/lineup/S0161001.htm
http://www.cup-kurita.co.jp/lib/index.html#l03
http://www.mekatoro.net/mechatro_parts/vol3/pdf/P06-065.pdf
http://kikakurui.com/b1/B1575-2000-01.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221000613678/