ポカヨケツールとは
ポカヨケツールは、製造現場などでのヒューマンエラーを未然に防ぎ、製品の品質向上や生産性の向上に繋げるための仕組みやツールのことです。
ポカヨケとは、うっかりミスを意味するポカと、防止を意味するヨケを組み合わせた言葉であり、様々な場面にシステムとして組み込まれています。
ポカヨケツールは、特に既存の工具や生産設備、作業場などにポカヨケ機能を導入する後付けのツールを指します。うっかりミスは人が作業を行う上で常に発生しうるものであり、同時に重大な品質問題に発展することもあります。
市場不具合や工場での予期せぬトラブルを防止するためにも、ポカヨケツールは大きな効果を発揮するものです。
ポカヨケツールの使用用途
ポカヨケのシステムや仕組みは、製造業、物流業、倉庫管理、医療現場、さらに私たちの日常生活にも取り入れられています。
物流業におけるピッキング作業の誤作業防止では、バーコードスキャナはRFIDタグなどが代表例です。医療機器においても、異なる薬剤ごとに色分けされたシリンジや、電子システムによる投薬確認があります。これらはシステムとしてあらかじめ製品に組み込まれているものがほとんどです。
ポカヨケツールとして、特に既存の機器に後付けするツールとして利用されるものの多くは、製造業に関わるものです。作業順番の間違い防止、洗濯部品の正しい取り付け、ねじの正しい締結の確認などに、ポカヨケツールが利用されます。
ポカヨケツールの種類
1.電動工具
多くの電動工具には、後付けできるポカヨケツールがあります。代表的なものは電動ドライバーです。ドライバーにポカヨケ用の発信機を取り付け、ねじの締結工程の有無や締め付けトルク、回転数または回転角度などのデータをポカヨケツールの本体に送信します。あらかじめ設定された順番やトルク、回転角度の範囲から外れた場合には、警告を発して異常の発生を知らせます。対象となるツールにはエアリベッター、グリスガン、検印スタンプなどがあります。
2.検査カメラ
ポカヨケーツールにはカメラを用いた製品もあります。類似部品の識別や欠品、作業者の作業順番などを自動的にチェックします。作業中にリアルタイムに検査する場合や、一通りの作業が完了したのちに一括検査することも可能です。
3.検査記録の電子化
製造業では品質確認として、様々な検査表や成績書、測定記録などが用いられています。従来は作業者による手書きの記録が多く利用されてきましたが、電子化することは作業の効率化とともにポカヨケにも繋がるものです。例えばノギスやマイクロメータなどで測定した結果を手書き入力していたものを、計測データをデジタル値として読み込み閾値と比べることによって、異常値をすぐに判定することができます。
ポカヨケツールの選び方
ポカヨケツールは、対象となるツールへの取り付け条件を満たしていることが必須ですが、以下の点も考慮することが大切です。
1. ミスの発生原因を特定する
まず、どの工程でどのようなミスが発生しているのかを特定することが大切です。ミスの種類には「作業手順の間違い」「部品の選択ミス」「操作の誤り」などがあります。それぞれに適したポカヨケツールを選定します。
2. コストと効果のバランス
ポカヨケツールにはコストがかかるものもあります。簡単な工夫で防げるミスであれば、低コストで導入できる方法を選びます。例えば、ラベルや色分けの工夫は手軽で効果的です。
3. 現場の作業者が使いやすさ
ポカヨケツールは、現場の作業者が直感的に理解し、簡単に使えることが重要です。複雑すぎるシステムは逆にミスを引き起こす可能性があります。現場の声を反映し、使いやすい仕組みを導入することが大切です。
4. メンテナンスや耐久性
長期間運用するためには、メンテナンスが容易で耐久性のあるツールを選ぶことも大切です。センサーや機械的なポカヨケツールは定期的な点検が必要です。
5. 柔軟性と拡張性
業務の変更や新しい工程に対応できる柔軟性を考慮します。再利用やカスタマイズが可能なツールであれば、効率よく導入できます。