コーススレッド

監修:株式会社大里

コーススレッドとは

コーススレッドとは、主に木工用のねじの一種であり、木材と木材同士を高い締結力で固定したい場合に多く用いられます。

コーススレッドの名称のコースは「粗い」、スレッドは「ねじ山」を意味する用語であり、コーススレッドとは粗目ビスということにまります。コーススレッドは、釘の代替えになる締結用部材です。

コーススレッドは木ねじで必要となる下穴加工が不要であったり、熱処理によって硬く強度もあることから、インパクトドライバーを使用することもできます。ねじが粗いことによって1回転で進む深さも長いため、作業を効率的に進めることができるねじ部品です。

コーススレッドの外観上の一番の特徴は、細長いねじであり、使用する際には適切な長さを選択する必要があります。全ねじタイプと半ねじタイプの使い分けにも、注意が必要です。

コーススレッドの使用用途

コーススレッドは主に、木材を使った建築工事で多く使われます。

木材

特に2×4や2×6といったツーバイ材を用いた建築において、多く用いられる締結部品です。

ツーバイ材以外でもDIYで木材を使用した作業をする場合、例えばウッドデッキを作るような場合にも、コーススレッドは多く用いられる締結部品です。

コーススレッドは強い締結力が得られるのが特徴であり、木材などの固定には使いやすい締結部材です。木ねじに対して3~5倍ほどの締結力が得られるとされています。ねじ山がねじ込まれた部材に引っかかることになるため、釘に対しても大きな引っ張り力に耐えられます。

コンクリートパネル、石膏ボード

木材以外ではコンクリートパネル、石膏ボードの固定にも、コーススレッドは広く使われています。

コーススレッドの原理

コーススレッドの原理として、下穴が不要であることの理由と、締結力が得られる原理に分けて説明します。

1.下 穴が不要

コーススレッドを使う際に下穴が不要なのは、先端とねじ山が鋭く尖った形状になっているからです。締結作業によってねじ込まれる力によって、相手材を切り裂くことで、自らが入り込む空間を確保します。ねじ込まれた後は相手材との摩擦力によって、逆回転して抜けることを防いでいます。

2. 締結力

次に締結力が発生する原理は、コーススレッドがねじ形状によって、先端方向に向かおうとする力が働き、部材と接している部分の摩擦力によって、締結力が保持されることです。金属などに用いられる一般的なねじ締結においては、ねじ本体がバネになって伸ばされ、元に戻ろうとする力が締結力の源になっています。コーススレッドの場合、バネ力も原理上働いているはずですが、バネ力よりもねじが前進しようとする力と、ねじ山が相手部材と深く引っかかっていることによって、大きな締結力を得ているものと考えられます。

コーススレッドの選び方

コーススレッドを選ぶ際には、長さや太さ、材質、全ねじと半ねじから選ぶことになります。

まず長さを決めるポイントは、固定しようとしている部材の厚さです。一般的には固定部材の厚さ+20mm以上の長さが推奨されています。固定部材の厚さが20mm以上の場合には、固定部材の2倍以上の長さが推奨されています。ただし長すぎて貫通し、コーススレッドの先端が飛び出さない範囲であることも大切です。太さは太いほど強度は高くなりますが、一方で部材に割れが生じる可能性が高まります。材質は大きく鉄鋼材製、またはステンレス製に分けられます。ステンレスは錆びにくい分、価格が高くなるため、使用環境によって選ぶことが重要です。

全ねじと半ねじは、長いコーススレッドは半ねじが多く、短いコーススレッドには全ねじの製品が多くなっています。全ねじの場合、固定物に埋め込まれた部分の影響によって、締結力が下がってしまう場合があります。特に高い締結力を望む場合には、固定物の厚さとねじが切ってある長さに気をつけることが大切です。

 

本記事はコーススレッドを製造・販売する株式会社大里様に監修を頂きました。

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