遠赤外線ヒーター

監修:ササキテック株式会社

遠赤外線ヒーターとは

遠赤外線ヒーターとは、遠赤外線による放射伝熱を利用して対象物を加熱する装置です。様々な産業・工業分野において、各種加熱・乾燥工程に広く使用されています。暖房器具として家庭用に使用されることもあります。

ヒーターから放出された遠赤外線は、空気中を透過して直接対象物に吸収され、物体中の分子を振動させることにより加熱します。プラスチック、ゴム、塗料、樹脂、食品など、様々な素材の物質・製品を加熱することができます。

遠赤外線ヒーターの使用用途

遠赤外線ヒーターは、様々な産業・工業分野の各種加熱・乾燥工程に広く使用されています。

主要な各産業における主な用途は下記の通りです。

  • 電気・電子工業: 液晶ガラスの印刷後の加熱・乾燥、洗浄後の乾燥、太陽電池の製造工程の加熱・乾燥、抵抗および導電ペースト、蛍光膜、プリント基板の乾燥
  • 情報産業: 半導体製造における加熱・焼成・乾燥、デバイス・磁気テープなどの製品の加熱
  • 機械・金属産業: 鋳型の乾燥、機械工具および部品などの塗装乾燥、カラー鋼鈑の焼付け
  • プラスチック工業: インフレーションフィルムの加熱、フィルムのコーティング乾燥、原料粉末、ペレットの乾燥、成型前予熱、塗装乾燥
  • バイオテクノロジー工業: 医療容器の洗浄乾燥、医療機器の硬化剤加熱
  • 自動車産業: 車体、部品の塗装焼付け、金属部品の接着塗装乾燥
  • 印刷・紙産業: 各種印刷の乾燥、紙の水分乾燥、刷板のバーニング処理
  • 食品産業: 食品の乾燥、焼付

遠赤外線ヒーターの原理

1. 遠赤外線の加熱の仕組み

赤外線は電波や可視光線などと同じ電磁波の一種で、可視光線よりも波長が長い目で見ることのできない電磁波です。赤外線の波長範囲である0.8μm 〜 1,000μm のうち、波長が3μm より長い範囲を遠赤外線と呼びます。

遠赤外線による物体の加熱とは、すなわち遠赤外線の吸収によって物体を構成する分子を振動させることを指します。私たちの身の回りの多くの物体(プラスチック、ゴム、塗料、繊維、食品などの高分子物質)は、2.5μm 〜 30μm の波長領域に吸収帯を持つため遠赤外線はこれらを効率よく加熱することができます。なお、金属の加熱には適していません。

2. 遠赤外線ヒーターの機構

遠赤外線ヒーターは内部に電熱線などの発熱体を封入し、表面にセラミックス物質などの遠赤外線放射素材を用いることが一般的です。電熱線に通電するとセラミックス表面温度が数百度に高まり、遠赤外線を放射します。

遠赤外線ヒーターの種類

業務用遠赤外線ヒーターには様々な形状の製品があります。面状ヒーター(パネルヒーター)のほか、棒状ヒーター (シーズヒーター) 、ランプ状ヒーターなど、用途に合わせて様々なものを選択することが可能です。

また、クリーンルームでの使用を想定した、特殊表面加工セラミックスによって発塵しない高機能製品もあります。

本記事は遠赤外線ヒーターを製造・販売するササキテック株式会社様に監修を頂きました。

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