樹脂射出成形

監修:株式会社CLUDE LAB

樹脂射出成形とは

樹脂射出成形とは、プラスチック製品を作るための方法の一つです。

プラスチック製品の材料となる樹脂を加熱して溶かし、あらかじめ設計された金型に射出し一定の圧力を加えた後に冷却させて、求める形状のプラスチック製品を作る工法を言います。射出を意味するインジェクション成形やインジェクションモールドなどと呼ばれることもあります。

プラスチック製品を成形する方法には複数の工法がありますが、樹脂射出成形は代表的な工法の一つです。樹脂射出成形は大量生産に向いているため、私たちの日常生活で使う製品にも、樹脂射出成形によって製造されたものが多くあります。日常生活で使う小物製品から、自動車の内装やバンパーなどの大きな部品まで、幅広い大きさの製品の製造に利用されているのも、樹脂射出成形の特徴の一つです。

樹脂射出成形の使用用途

樹脂射出成形は、さまざまなプラスチック製品の製造に利用されています。製造される製品も広範囲にわたります。樹脂射出成形で作られる製品の中でも大きなものは自動車部品です。自動車の外観形状の一部となる前後のバンパーや、エアロパーツと呼ばれるスポイラーなどの部品も、樹脂射出成形で製造されます。自動車室内のインストルメントパネル、運転席と助手席にあるコンソールパネルなども樹脂射出成形で製造された部品です。一方でベンチレーターやアウトレットと呼ばれるエアコンの吹き出し口で風の方向を変えたり開閉する部品も、樹脂射出成形で作られています。

自動車部品以外では、家電製品、日用品、文房具、医療機器なども、樹脂射出成形で作られているものが多くあります。

樹脂射出成形の原理

樹脂射出成形は、プラスチックの材料が加熱されると溶けて流動性が高くなり、冷えると固まるという性質を利用したものです。ペレットと呼ばれるプラスチック製品の原料を射出成形機に投入し、高温で加熱し、樹脂を溶かします。材料はスクリューと呼ばれるねじ形状の羽根を持った回転軸によって装置内で移動していき、前方に設置された金型内に射出されます。金型は射出された材料が冷えて固まった時に、求める形状になるようにあらかじめ設計された形状に加工されたものです。金型に射出され一定の圧力によって充満した材料は金型によって熱を奪われ、冷却と共に固まります。金型内で固まったものを取り出すことによって、樹脂射出成形による製品が完成します。

樹脂射出成形のその他情報

樹脂射出成形の特徴

樹脂射出成形の特徴は、まず大量生産に向いていることです。樹脂射出成形機と金型、材料と適した製造条件が見出せれば、比較的短時間で多くの製品を製造することができます。

二つ目の特徴は形状の自由度が高いことです。金型内から取り出すためアンダーカットと呼ばれる取り出し時に引っかかってしまうような形状はできませんが、それでも他の工法に比べて形状の自由度が高い工法です。また一般的に、後加工を必要としません。

三つ目に、材料の選択肢が広いことも、樹脂射出成形の特徴です。プラスチック材料には多くの種類があり、それぞれの特徴を持っています。製品の用途に応じて適切なプラスチック材料を選定することが必要ですが、樹脂射出成形は多くの材料に使うことができる工法です。

樹脂射出成形の注意点

樹脂射出成形での製造で気をつけなければならない点の一つに、伸び尺があります。プラスチック材料は加熱されて金型に射出された時から冷却されるとともに、収縮していきます。

収縮する割合を成形収縮率といい、2/1000~20/1000程度が一般的です。そのため金型の形状は、成形収縮量を見込んだ形状にしなければなりません。成形収縮率は材料によって異なっており、中には射出される方向と、射出される方向と直角方向によって成形収縮率が異なる材料もあります。

本記事は樹脂射出成形を提供する株式会社CLUDE LAB様に監修を頂きました。

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