縫製加工

縫製加工とは

縫製加工とは、工業用ミシンなどを用いて様々な布製品を製造したり、刺繍などの加工を施したりする加工です。

バッグやポーチ、モバイルケースなどの製作のほか、産業用のビニールレザーやマットなどの資材、保管ケースやカバーなど様々な種類の製品があります。工業用ミシンを用いる他、布地の取り扱いに裁断機をはじめとする様々な設備を必要とします。

縫製加工の使用用途

縫製加工は様々なファブリック製品や、産業用資材などの製造を行います。帆布、ターポリン、ゴム引き布、多孔質PTFE、フィルター、ビニールシート、皮革、キルティングなど、様々な布地の加工を行い、多様な製品製造が行われます。

主な製品例は下記の通りです。

  • バッグ、ポーチ、モバイルケース
  • クッションカバー
  • スポーツウェア、カジュアルウェア、白衣、ユニフォーム
  • テント、オーニング、間仕切り、サインマテリアル
  • 工業用カバー類: 縫製ジャバラ、粉体搬送用シューター用保護カバー、ケミカルタンクの蓋カバー、半導体装置用、ケーブルカバー

特に、工業用のカバー類は、機械や工場のブースに取り付けられて使用されています。耐油性、耐薬品性などの目的で製造・使用される他、無発塵製品はクリーンルームでも使用が可能です。

縫製加工の原理

1. 概要

縫製加工は、工業用ミシンを用い、人の手で行われます。製品サンプルや仕様書に基づき、下記のような流れで製造されます。

  1. 設計・図面確認: 形状や寸法・素材選定を行い、予め図面が用意されている場合は、図面をもとに実際に製造可能か、性能は問題ないかについて確認を行います。
  2. 見積り: 設計図・図面を元に、試作・製造の見積りを出します。
  3. 試作: 外観や性能が問題ないか実際に小ロットにて試作します
    生地や糸などの候補が複数ある場合は、材料違いで製作する場合もあります。
  4. 試作品評価: 顧客評価を元に、変更が必要な点をヒアリングし、設計変更を行います。
  5. 量産品製造: 生地の裁断や縫製を行い、実際の製品を製造します。
  6. 品質検査: 寸法・外観の検査を行います。
  7. 梱包・出荷

2. 工業用ミシン

縫製加工における縫製作業では、工業用ミシンが使用されます。

工業用ミシンとは、縫製工場での生産を目的に高速性・品質性・耐久性・安全性を追求したミシンです。製造する製品や縫製する箇所に応じて、専門性を追求した数多くの種類があります。家庭用ミシンが1台で様々な縫い方を搭載しているのに対し、工業用ミシンは本縫い (直線縫い) 、千鳥縫い (ジグザグ縫い) 、ボタン穴かがりなど、それぞれの縫い方に特化して縫製作業を行います。衣服など、一つの製品を完成させるためには、数機種~30機種程度のミシンが必要です。

力強いモーターを内蔵しており、家庭用ミシンよりも高速で力強く縫い進めることが可能です。また、複数工程を自動で完成させる自動機も数多くあり、熟練の技能を要する縫製工程での品質向上と脱技能化も実現可能です。

3. その他設備

縫製を行う前の布地の取り扱いには、下記のような設備が使用されています。

  • 検反機: 裁断する前の布の検品を行い、不良品を見分ける機械です。
  • 縮絨機: 棒状に巻き付けられた状態の布の、シワ・歪みを整えたり伸ばす機械です。加湿や加熱を用います。
  • 延反機: 力をかけて布を均一の状態にする機械です。
  • 裁断機: 生地を重ねて裁断する機械です。

縫製加工の種類

縫製加工には、生地と生地を縫い合わせる通常の縫製のほか、生地の裁断面の糸のほつれを防止、美しく処理する縫製 (ロック縫製・バインダー二つ巻き・バインダー三つ巻き) や、ステッチ縫製』 などがあります。

その他にも、用途に合わせて、

  • ハトメ加工: ロープ等を通すための穴を金具で開ける加工
  • ウレタン入りマットや枕などのウレタンの組み合わせ加工
  • シルク印刷・インクジェットによるプリント加工
  • 生地の張り合わせ加工

などの追加の加工が施される場合があります。