チタン3Dプリンター

チタン3Dプリンターとは

チタン3Dプリンターとは、チタンを造形材料として使用する金属3Dプリンターの一種です。

チタンは、チタンは軽量で強度が強く、高耐食性、耐熱性、生体適合性などに優れることから、航空・医療用途を中心に様々な産業分野で3Dプリントに使用されています。チタンの3Dプリントは、チタン対応の一般の金属3Dプリンターが用いられる場合と、チタン専用の3Dプリンターが用いられる場合とがあります。

チタン3Dプリンターの使用用途

チタンは、強度と耐蝕性、耐熱性に優れ、軽量で生体適合性のある金属です。そのため、様々な産業で3Dプリンターに使用されています。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 航空宇宙産業: ジェットエンジン部品
  • 自動車製造: サスペンション部品、ブレーキペダル、マニホールドなどの各種部品、レースカーフレーム
  • 自転車製造: クランク、ブレーキハンドル、ステム、ディレイラーハンガー、フレーム
  • 医療: 人工関節・プレート・インプラント (脊椎、股関節、膝、四肢) や外科用具
  • 歯科用インプラント
  • 精密製品、電子部品: 時計ケース、スマートフォン部品
  • 治具・各種カスタム部品
  • ホビー・工芸品

工業製品においては、各種部品をチタン製にすることで製品の軽量化を図ることが可能です。また、医療業界においては、チタンの生体整合性を活かして患者一人ひとりに合ったチタン製インプラント・人工関節をプリントすることが可能です。脊椎、股関節、膝、四肢などの様々な分野で利用されています。3Dプリントによる多孔質構造によって骨との統合を可能とする特徴があります。

チタン3Dプリンターの原理

1. チタンとは

チタンは下記のような特徴のある金属です。

  • 軽量: 比重4.7g/cm3
  • 高強度
  • 高耐食性: 海水や塩水に強く錆びにくい
  • 耐熱性材料: 溶融温度1,660℃
  • 熱伝導率が小さい
  • 非磁性体
  • 生体適合性

このような特徴から、チタンは実用に耐える強度を持った金属部品として、様々な分野で活用されています。

2. チタンの3Dプリントの方法

チタンの3Dプリントは、主にレーザーパウダーベッド (粉末焼結) 、電子ビームパウダーベッドなどの方法で行われます。レーザーパウダーベッド融合 (LPBF) は、高出力レーザーを使用して金属粉末を加工する方法です。10μm〜60μm程度の小さな球状の粉末を敷き詰め、敷き詰めた粉末に電子ビームやレーザーを照射し、必要な部分のみを溶かして固めていき、形を造形します。

電子ビームパウダーベッド融合 (EB PBF) は、電子ビーム溶解 (EBM) とも呼ばれます。レーザーの代わりに、より高出力の電子ビームを使用します。

航空機部品や医療用インプラントの製造おいて、これらのパウダーベッド方式が使用されます。一方でバインダージェット (結合剤噴射) は、より小さな医療器具の製造に使用される方法です。

その他のプリント方法には、直接エネルギー堆積 (DED) 、迅速プラズマ堆積 (RPD) 、などの方法があります。

チタン3Dプリンターの種類

1. 概要

チタン3Dプリンターには複数のプリント種類の製品があります。代表的なものは下記の通りです。

  • 粉末焼結  (パウダーベッド融合)
  • 結合剤噴射 (バインダージェット) 
  • 電子ビームパウダーベッド融合 (EB PBF)
  • コールドフージョン
  • 材料押出方式

また、それ以外にも金属粉末射出成形方式を応用した独自技術の製品などもあります。また、医療用にインプラントを造形するには、規制当局による承認を受けたものを使用することが必要です。

2. チタン合金の種類

チタン合金には様々な種類があるため、用途に合わせて選択し、対応しているプリンターを選択することが必要です。主なチタン合金の種類は下記の通りです。

  • チタン6Al-4V、グレード5: 最も一般的なチタン合金3Dプリント材料です。航空宇宙や自動車分野などでの使用に適しています。
  • チタン6Al-4V、グレード23: 生体整合性があり医療用インプラントや義肢に一般的に使用されます。
  • チタンベータ21S: 強度、酸化抵抗性、クリープ抵抗性に優れています。医療用インプラントや航空機エンジン用途に最適です。
  • Cp-Ti (純チタン)、グレード1、2: 人体との生体適合性が高いため、医療分野での使用が一般的です。
  • TA15: アルミニウムとジルコニウムを添加した近アルファチタン合金です。高い比強度、耐荷重性と耐温性により、航空機やエンジン製造などに用いられます。