昇華型印刷機

昇華型印刷機とは

昇華型印刷機とは、熱と圧力をかけて染料を気化させる染色方法で印刷を行う印刷機です。

ポリエステルなどの布地への印刷の他、ポリエステル表面加工されたものなら印刷が容易であるため、マグカップやスマートフォンケースなどのプリントにも用いられています。発色が鮮明で、写真やイラストなど様々なものの印刷が可能な装置です。

昇華型印刷機の使用用途

昇華型印刷機は、ポリエステルへの印刷に特に適しています。そのため、主な用途は、布地製品への印刷です。ただし、ポリエステルコーティングされた素材であれば印刷が可能であるため、近年では、布地以外への印刷にも用いられるようになっています。

1. 布地 (ポリエステル製) のもの

  • 衣類(Tシャツなど)
  • のぼり旗
  • アパレル小物・雑貨(ハンカチやタオル、バッグ)
  • プリント柄の布地
  • タペストリー
  • 学会発表用の布ポスター
  • 店頭装飾用パネル

2. 布地以外のもの

布地以外のものでは、昇華型印刷機によってポリエステルコーティングされた陶器や木材、アルミなどの素材を用いた製品に印刷が可能です。

  • マグカップ
  • タンブラー
  • スマートフォンケース
  • ICカード
  • 磁気カード
  • プラスチックカード

昇華型印刷機の原理

昇華型印刷機では、専用の昇華転写インクに熱と圧力を加えて目的物に印刷を行います。印刷方法には、「直接昇華方式(ダイレクト方式)」と、転写紙に印刷した図像を別の物に転写することで印刷する「昇華再転写方式」の主に2種類があります。

1. 直接昇華方式

直接昇華方式(ダイレクト方式)の印刷機では、転写フィルムに印刷されているイエロー、マゼンタ、シアンの染料インクを熱したサーマルヘッドにて昇華させ、専用紙 (受像紙、コート紙) に転写して印刷します。写真印刷用の小型プリンターに用いられている他、業務用プリンターでもデザイン出力用やDTP用途の大型プリンターに採用されている印刷方法です。

2. 昇華再転写方式

昇華再転写方式とは、一旦転写用紙と呼ばれる専用の用紙に昇華型プリンターにイメージを印刷し、転写用紙から目的の布地に転写するプリント方法です。転写用紙の印刷には専用の昇華転写インクが用いられ、反転したイメージが印刷されます。また、転写紙にプリントした段階では、仕上がりの色とは異なる色味です。

印刷の目的物であるポリエステルの布地に、印刷された転写用紙を当て、プレス機で熱と圧力を加えます。この際、転写用紙の染料インクが気化すると同時に、熱によってポリエステルのポリマー分子の結合が緩み、一時的にすき間ができ、染料インクの気体が入り込みます。このようにして入り込んだインクの分子が繊維のなかに拡散することにより、布地の染色が行われるという原理です。

再転写方式の特長は、複雑な形をした物に対しても印刷できるという点です。IDカードの印刷や表面がデコボコした雑貨への印刷にも使用されます。Tシャツやユニフォームなど、ファブリック製品の印刷にも汎用される手法です。ただし、例えばマグカップの表面にプリントするための「マグカッププレス機」など、対象によっては商品の形に合わせたヒートプレス機が必要となります。

3. 「昇華」という言葉の定義

昇華とは本来物質が固体から液体を経ずに気化することを指しますが、昇華型印刷機のインクは実際には液体を経てから気化していることが現在ではわかっています。「昇華」という言葉が用いられているのは、加熱によって染料が気化することが発見された当時に染料が固体から気体に昇華していると考えられていたことの名残です。

昇華型印刷機の種類

昇華型印刷機の大きさはさまざまで、具体的にはA3・A4サイズを印刷する卓上サイズのものから最大印刷幅1,000mm前後のもの、ユニフォームやのぼりの作成に用いられる1,600mm〜1,900mm幅の印刷が可能な大型のものなどがあります。

また、印刷したい素材によってプレス機も異なります。例えば、布地、Tシャツやタイルなどの平面を印刷する際は平面プレス機が用いられ、マグカップなどの円筒形の印刷にはマグプレス機が必要です。その他、立体物を印刷する真空プレス機や、大型の輪転型プレス機などもあります。用途に合わせて適切なものを選択することが重要です。

参考文献
https://asobo-design.com/nex/blog-118-5-51223.html
https://canon.jp/business/solution/pro-printer/cardprinter/guide
https://www.epson.jp/products/largeprinter/textile/
https://connect.nissha.com/fabright/sublimation_transfer_print/

フェットトランジスタ

フェットトランジスタとは

フェットトランジスタとは、半導体の内部で生じる電解によって電流を制御する半導体デバイスです。

一般的にはFETと呼ばれていますが、電界効果トランジスタ (英: Field Effect Transistor) も同義の言葉として挙げられます。

トランジスタとは、電気信号を増幅させたり、ONとOFFを切り替えるスイッチングをする機能を持つ半導体素子のことで、フェットトランジスタもトランジスタの一種です。その他、バイポーラトランジスタ (BJT) 、絶縁ゲートトランジスタ (IGBT) などが挙げられます。

フェットトランジスタの使用用途

フェットトランジスタは電子機器内の集積回路において、必要不可欠な素子です。産業用機械から家電やスマートフォンなど一般家庭で使うデバイスまで、ほぼ全ての製品に集積回路が組み込まれており、フェットトランジスタも使われています。

フェットトランジスタは他のトランジスタに比べて少ない電力で駆動し、スイッチング速度が速く、温度安定性も良好であるのが特徴です。

フェットトランジスタの原理

フェットトランジスタにはいくつか種類が存在するものの、いずれも動作原理において半導体の特性を利用しています。半導体とは、金や銅、鉄などの金属のように電気をよく通す物質です。反対に電気を通さない物質は絶縁体と呼びます。

絶縁体にはゴム、ガラス、セラミックなどがあります。半導体は両者の中間的な特性があり、条件に応じて電気を流したり流さなかったり変化する物質です。また半導体には構造と特性からp型半導体とn型半導体があり、半導体の特性を変化させる電気伝導という現象を起こす要因が電子の欠損である正孔 (ホール) なのか、それとも自由電子なのかによって、p型半導体とn型半導体に分けられます。

フェットトランジスタの中身はp型半導体とn型半導体とを組み合わせて構成されており、電圧をかけることによって、電流をコントロールする働きが得られるデバイスです。また、トランジスタではソース 、ゲート、 ドレイン の3つの端子で構成され、ゲート電圧の大きさによってソース-ドレイン間の電流の流れを切り替えます。

フェットトランジスタの種類

フェットトランジスタには大きく、接合型電界トランジスタと呼ばれるJFET (Junction Field Effect Transistor) と、金属酸化半導体電界効果トランジスタと呼ばれるMOSFET (Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor) があります。いずれもNチャンネル型とPチャンネル型があり、MOSFETにおいてはエンハンスメント型とディプレッション型の2タイプがあります。

1. JFET

JFETはp型半導体のゲートにn型半導体を埋め込む、または逆にn型半導体のゲートにp型半導体を埋め込み、pn接合させたトランジスタです。例えば、Nチャンネル型JFETではp型半導体をゲートに用いて、土台をなくしています。

ゲートに電圧を印加していない状態では、ソースとドレインの間はn型半導体で接続されており、両者の間に電圧を印加すると電流が流れます。ゲートとソースの間にマイナス電圧を印加すると、電子は高電位のソース側に引きつけられ、ゲート近くのn型半導体に電子が存在しない空乏層が生まれます。

この場合、ソースとドレイン間に電圧が付加されていても、電流が流れることはありません。Pチャンネル型JFETではn型半導体と、p型半導体がNチャンネル型JFETとは逆に接合されています。

Pチャンネル型JFETではゲートとドレイン間にプラスの電圧を加えることによって、ゲート直下に空乏層を生成させ、ソースとドレインの間の電流が止まります。

2. MOSFET

MOSFETはp型半導体とn型半導体以外に、絶縁膜となる酸化膜を構成しています。MOSFETにおいても電圧によって電流を流したり遮断する役割は同じですが、空乏層ではなくソースとドレイン間にチャンネルを形成することによって、電流の流れを切り替えています。

フェットトランジスタのその他情報

フェットトランジスタ以外のトランジスタ

FET以外のトランジスタには、バイポーラトランジスタ (BJT) と絶縁ゲートドランジスタ (IGBT) があります。バイポーラトランジスタは電圧で駆動する他の2種類とは異なり、電流で駆動するのが特徴です。

駆動電流が大きくスイッチング速度は低速ですが、高耐圧化しやすいのがメリットです。IGBTは電圧駆動であり駆動電力も少なくて済みます。また、高耐圧化においてFETよりも容易です。

FCD500

FCD500とは

FCD500とは、鋳鉄の材料規格を示す表記です。

日本工業規格 (JIS) における材料記号であり、国際的にはISO 1083に基づいています。FCDはFerrum Casting Ductileの略であり、耐摩耗性や強度を向上させたダクタイル鋳鉄です。500は引張強度を示しており、500N/m2以上であることを示しています。

FCD500は、高い強度と耐久性を有するため、構造的な要件や負荷に耐えることが可能です。機械部品や建設機械などの用途で特に重要な要素であり、様々な構造物に使用されています。また、一般環境下であれば耐腐食性も高いため、耐候性や長寿命性が向上させることができ、部品の寿命を延ばすことが可能です。

FCD500の使用用途

FCD500は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 建設機械

FCD500は建設機械の構造部品に使用されます。クレーンのブームやアームなどの部品に使用され、高い強度が必要な部分に有利です。また、土や岩などの地盤を整地するために使用されるブルドーザーなどでは、摩耗部品であるブレードに使用されます。

2. 自動車

FCD500は自動車産業においても広く使用されます。FCD500の強度と耐久性などの特性から、エンジン部品としてクランクシャフトやシリンダーブロックなどに使用されることが多いです。また、ブレーキ部品も高い温度や摩擦にさらされるため、FCD500などの耐摩耗性に優れた材料が使用されます。

3. ポンプ・バルブ

ポンプやバルブなどの配管系統部材にも広く利用されます。 ポンプは液体を移動させるために使用される機械であり、ローターやハウジングなどの部品にFCD500が使用されます。これにより、耐摩耗性と耐久性を向上させることが可能です。

また、バルブは、流体の流れを制御するための装置であり、FCD500は本体やシートなどの部品に使用されます。耐摩耗性や耐食性が高いため、長期間の使用に耐えることができます。

4. 鉄道

FCD500は鉄道の線路や車両にも使用されることがあります。鉄道のレールを支える枕木などの構造部品には強度と耐久性が重要です。FCD500は枕木の製造に使用されることがあります。

また、車両としては、車輪や台車に使用されます。鉄道車両の車輪はレールとの摩擦に耐える必要があるため、高い耐荷重性を有するFCD500が有利です。また、耐久性が必要な台車の構造材料としても使用されます。

FCD500の原理

FCD500はフェライト鋳鉄の一種であり、ダクタイル鋳鉄として知られています。

フェライト鋳鉄は鉄と炭素の結晶構造からなります。鋳鉄の中でもフェライト鋳鉄は主にフェライト組織を有する点が特徴です。フェライト組織は炭素が鉄中に溶け込んで結晶構造を形成する組織であり、一般に柔らかく、可鍛性に優れています。

ダクタイル鋳鉄はフェライト組織に球状の黒鉛を含む組織を有する鋳鉄です。球状の黒鉛によって鉄の結晶構造を支え、割れにくくなります。その結果、一般的なフェライト鋳鉄よりも強度と靭性を向上させることが可能です。

FCD500は上記の構造より、強度や耐摩耗性および耐久性に優れた材料として広く使用されています。

FCD500の選び方

FCD500はJIS規格に則った製品のため、品質が担保されています。ただし、以下の要素を考慮することで、より良い製品を選定することが可能です。

1. 要件

使用する環境を考慮し、FC500が適しているのかを確認します。耐摩耗性や高い耐久性が特徴であり、摩耗部品は構造部品に適しています。

2. 寸法・形状

使用する部品や構造物の寸法や形状に合わせて、サイズの製品を選択します。鋳造プロセスによっては特定の形状に製造することが可能です。

3. 信頼性

供給するメーカーやサプライヤーの信頼性や技術サポート、納期なども考慮します。信頼できる供給元から購入することで、製品の品質やサポートの質を確保することが可能です。

セラミックボール

セラミックボールとは

セラミックボールとは、セラミックより球体状に加工された製品です。

窒化珪素などの非酸化物系セラミックと、アルミナやジルコニアなど酸化物系セラミックの2種類を使用するのが一般的です。セラミックボールは、硬度や高温強度が高いうえ耐摩耗性や耐食性にも優れており、ほとんどの薬品にも侵されません。

物理的・科学的に極めて安定した特徴を有するため、工業や日用品など様々な分野で使用されています。

セラミックボールの使用用途

セラミックボールは、その特性から工業用途から日用品まで様々な分野で使用されています。工業用途では、耐熱および耐摩耗ベアリング、耐薬品バルブなどが主な使用用途です。また、ボールミルと称される工業用機械に使用される粉砕用の部材や、ジェネレーター中で熱交換用の部材などにも好適です。

セラミックボールは水処理にも使用され、水道や汚染水の処理に使用されています。また、日用品の分野では、アクアリウムの水槽の浄水用途やシャワーヘッドなどの水質改善する健康グッズとしても好適です。

1. ベアリング

セラミックボールは、ベアリングの回転部分に使用されます。ベアリングは径の異なる2つのリング状部品を重ね合わせ、外径側の部品を固定し内径側の部品が回転して回転軸を受ける仕組みです。その外径側の部品と内径側の部品の間にセラミックボールを配し、内径側の部品が滑らかに回転できるようにしています。

セラミックボールは、摩耗や焼付きに強く、高速や高温の環境でも安定した性能を発揮し、耐薬品性もあります。また、軽量で高剛性なため、回転抵抗や振動を低減し、省エネや静音化も可能です。特に非磁性の非酸化物系のものを使用すれば、磁場にさらされる環境下での使用も可能です。

2. バルブ

セラミックボールは、バルブの開閉部に使用されます。耐食性や耐摩耗性に優れているため、水や空気、油およびガスなどの流体の制御に適しています。また、絶縁性が高く、電気の影響を受けません。非磁性のものを選べば、磁気の影響も受けなくなります。

セラミックボールの原理

セラミックボールは、以下のような工程を経て製造されます。

  1. 原料粉砕から調合
    まず、使用する原料を微粉砕します。次に、所定の調合の割合で原料の混錬をおこないます。
  2. 核づくりから造粒
    造粒するための核づくりをします。核を造粒する装置内に投入し、粉とバインダーを吹きかけて、所定の粒径になるよう造粒します。
  3. 乾燥から焼成
    造粒した製品の水分を抜きます。その後、用途に応じて1,200℃前後から1,350℃の温度で焼成して完成です。

つまり、使用する材料や粒径、焼成温度により様々な特性を有するセラミックボールの製造が可能です。

セラミックボールのその他情報

セラミックボールの活用

セラミックボールは前述したベアリングやバルブのような工業分野での使用のほかに、水処理や特定の物質の吸着や溶出、健康グッズなどの日用品にも使用されています。順番に解説します。

1. 水処理
セラミックボールはセラミックよりなるため、臭いの除去や還元、不純物の吸着が可能です。そのため、水道や汚染水、工業排水の水処理に使用されています。用途に応じて油との親和性を高める、あるいは、油切れを良くする、水の構造を変化させるなどの特性を持たせることも可能です。

2. 特定の物質の吸着や溶出
セラミックボールは、タバコの臭いや車内の臭いなど、特定の物質の吸着も可能です。さらに、吸着した物質を光分解する機能も付加できます。

3. 健康グッズや日用品
セラミックボールは健康グッズや美容グッズの分野でも多く使用されています。例えば、銀やプラチナを含有させて抗菌効果を高めたもの、鉄分やカルシウム分などのミネラルを意図的に溶出させて、水の味を変化させるものなどが一般的です。

そのほか、水の分子を細かくして体への浸透を促進する、シャワーヘッド内に配して髪の毛へのダメージを軽減させるものもあります。また、セラミックボールはアクアリウムの水質改善などにも使用されており、多く流通しています。

参考文献
https://ft-f.com/ballsetumei/balls/
https://www.aksball.co.jp/product/ceramic-balls/
http://ball-kyowa.co.jp/ceramic/
https://www.tsubaki-nakashima.com/jp/products/ceramic_balls/

デカンター遠心分離機

デカンター遠心分離機とは

デカンター遠心分離機とは、遠心力を用いて固体と液体もしくは液体同士の混合物 (懸濁液) を分離・脱水する工業用遠心分離機の一つです。

重力場では液体は下に溜まり、遠心場では内容物が回転筒内面の全周に溜まることを利用して混合物を分離しています。二相分離だけでなく、水、油、固形分の混合液を分離する三相分離型の装置もあります。

幅広い混合液に対応するとともに性状の変化にも対応し、大型の装置が多いです。連続した大容量処理を行うことができます。

デカンター遠心分離機の使用用途

デカンター遠心分離機は、開発当時は鉱物などの無機系スラリーの固液分離および脱水を主な用途としていました。現在では排水処理や各種工場の製造プロセスなど、産業における幅広い用途があります。

具体的な用途として、水処理では都市下水などの下水汚泥や電子工業排水処理をはじめとする工場排水の固液分離、様々な工業における工場排水などの固液分離・脱水が挙げられます。また、産業プロセスでは食品分野、医薬品製造分野をはじめ、化学分野、鉄鋼業などで活用されている装置です。

1. 食品分野

食品分野では、豆乳・おからの分離・脱水や果汁の抽出、野菜ジュースの分離などの他、コーンスターチ、馬鈴薯などを用いたデンプンの分離に用いられます。酵母、豆乳、飲料などの製造に用いられることが多い装置です。

2. 化学分野

化学分野では、塩化ビニルやポリエチレンなどをはじめとした合成樹脂の製造工程 (脱液) や、酸化チタンや黄鉛などの各種染料・顔料、有機溶剤を含むスラリの分離、触媒の回収、石炭液化、重質油、廃プラスチックなどの用途があります。その他、無機化学肥料などの製造工程においても用いられる装置です。

3. 鉄鋼業分野

鉄鋼業分野においてデカンター遠心分離機で分離される主な物質は、微粉炭、鉱石粉、スラグ、鉄粉、ガラス粉、銅粉などです。

デカンター遠心分離機の原理

デカンター遠心分離機は、重力場において液体は下に溜まること、遠心場においては内容物が回転筒内面の全周に溜まることを利用して、固形物を沈降させています。分離の流れは下記のとおりです。

  1. 混合物はフィードパイプから装置内へ入り、外胴であるボウルへと運ばれます。
  2. ボウルが高速回転することにより、ボウル内で遠心力場における比重差による固液分離が行われます。
  3. ボウルで分離された固形物は、内胴であるスクリューによって運ばれ、この間に更に脱水されます。
  4. 脱水された固形物や清澄液がそれぞれ固形物排出孔、清澄液排出孔からボウル外に排出されます。
  5. 分離された固形物と清澄液は別々にケーシングで集められ、機外に排出されます。ケーシングとは、分離された固形物および清澄液を捕集するボックスです。

なお、ボウルとスクリューコンベアに回転差を与える装置は差速装置と呼ばれます。軸受箱およびケーシングを支える構造物がフレームです。分離した固形物をケーキと呼ぶこともあります。

デカンター遠心分離機の種類

デカンター遠心分離機の多くは、回転軸が水平方向となっている横型ですが、回転軸が垂直な竪型の装置もあります。

1. 竪型装置

竪型装置は横型に比べて設置面積が少ないことが特徴です。

2. メカニカルシールを使用した装置

メカニカルシールを使用した装置は高気密で密閉性が高く、耐圧構造の装置では高圧の条件下で分離を行うことができます。

3. その他

分離板装着によって遠心沈降面積を大幅に拡大させ、分離能力を向上させた製品 (分離板型デカンタ) や、高効率脱水用デカンタなどもあります。装置によっては高温に対応しているものもあり、また三相分離型では水・油・固形分が1工程で分離可能です。

一度脱水したケーキのリスラリ洗浄が可能なケーキリンス型や、汚泥濃縮用デカンタなどのように特定の用途に特化した種類もあります。

参考文献
https://www.en-boon.com/maker-by-use/decanter.html
https://www.kakoki.co.jp/products/m-021/index.html
http://www.hiroshimamm-chemtech.com/knowledge/knowledge-859/

エアソレノイドバルブ

エアソレノイドバルブとは

エアソレノイドバルブとは、空気圧を利用した機械において、電気信号を用いて空気の流路を切り替えるデバイスです。

電磁弁や方向制御バルブと呼ぶこともあります。空気圧を利用して動作する機械では、空気圧の流路の切り替えが必要であり、エアソレノイドバルブは機械を制御するために大切な役割を果たします。

空気以外にもガスや蒸気などの気体、真空に対しても利用されます。また、ソレノイドは油圧の切り替えにも使われるデバイスです。

エアソレノイドバルブの使用用途

エアソレノイドバルブは圧縮空気を利用した機械で使われています。空気圧は油圧とともに、さまざまな機械の制御に用いられる動力源です。

ロボットや工作機械、搬送装置、半導体の製造装置、農業分野では収穫した農作物の大きさや重さごとの仕分けをする選別機械なども空気圧で制御されます。これら機械の制御において、エアソレノイドバルブが利用されています。空気圧は油圧に比べると操作力は劣りますが、構造や保守の面で扱いやすいのが特徴です。

エアソレノイドバルブの原理

エアソレノイドバルブには複数の種類がありますが、原理を理解するために一例を挙げて説明します。エアソレノイドバルブにおいて、電気信号から空気の流路の切替えをするために利用されるのは磁力です。

具体的には、鉄線をコイルとして巻きつけた固定鉄心と、実際に流路の切替え動作の動きをする可動鉄心が組み合わされています。固定鉄心のコイルに電流を流すと磁気が発生し、可動鉄心が固定鉄心に引きつけられるように動作します。

また、実際の空気の経路を切り替えるのはエアソレノイド内にあるスプール部です。ソレノイド部の弁が動作することを受けて、パイロット流路という空気圧回路の基本となる空気圧によってスプールと呼ばれる経路の切り替え弁を動作させます。経路の切り替えを実際に担うスプールをパイロット圧と呼ばれる基本の圧力によって動かす方法をパイロット式と呼びます。

エアソレノイドバルブの構造

エアソレノイドは大きく3つの部分に分けられます。ソレノイド部、スプール部とポート部です。

1. ソレノイド部

ソレノイド部は電気の信号を弁の動作に変換する部分です。コイルが巻かれた固定鉄心と可動鉄心、スプリング、弁体によって構成されています。コイルに電流が流れると固定鉄心が電磁石となって可動鉄心を引き寄せます。通電をなくした際にスプールを元の位置に戻す場合は、スプリングが組み込まれています。

2. スプール部

スプール部は実際に経路を切り替える部分です。円筒の中を軸方向にスライドするスプールが組み込まれています。スプールは細長い円筒に円周方向の溝が複数刻まれた形状です。

スプールの溝部分とポート部が重なり合うと空気の経路が繋がり、スプールの溝がない部分とスプール部本体のポートがない部分同士が重なると、空気の経路は遮断されることになります。

3. ポート部

ポート部は空気の経路となる穴のことです。スプール部本体の側面に開けられた穴で、エアソレノイドバルブが取り付けられた機械の空気の経路と繋がっています。ポートの数は3ポートタイプ、4ポートタイプ、5ポートタイプがあります。

エアソレノイドバルブの種類

ソレノイドバルブの種類は主に4つの切り口で分けられます。各切り口が組み合わさっているので注意が必要です。

1. 動力源による分類

実際にスプールを動かす力をパイロット圧で行うのがパイロット式、電磁弁で直接動かすのが直動式です。パイロット式ではパイロット圧を使うことによって、ソレノイド部分をコンパクトかつ省電力化が図れます。

2. ポート数による分類

エアソレノイドが持つポートによる区分けです。3ポート、4ポート、5ポートがあります。

3. 電磁弁の数による分類

エアソレノイドでは電磁弁が1つ使われているシングルソレノイドと、電磁弁が2つ使われているダブルソレノイドがあります。シングルソレノイドでは通電がなくなると、スプリング力によってスプールは元の位置に戻ります。

ダブルソレノイドではスプールの両端にソレノイドがあり、スプリングはありません。特徴は通電しなくなってもスプールは動かないので、停電などの非常時でもそのままの動作を維持することが可能です。

4. ポジション数による分類

ソレノイドが作り出せるポジション数を示すものです。2位置では2つの空気の経路を切り替えることが可能で、3位置タイプであれば2つの経路に加えて経路を閉じられます。

また、3位置タイプは非通電時にポートを閉じるのか、給気させるのかを選択する必要があります。

ダイヤル式温度計

ダイヤル式温度計とは

ダイヤル式温度計は、円形の温度表示部と棒状の感温部から構成されている温度計です。

感温部にはバイメタルやブルド管などが用いられ、機械的に指針を動作させる方式で動作します。ガラス温度計水銀温度計やアルコール温度計などの温度計に比べて頑丈であり、保守も容易であることから、工業用に広く用いられています。現在温度の指針、最大指針、警報指針の3針式の製品がが多いです。 

ダイヤル式温度計の使用用途

ダイヤル式温度計の主な用途は、変圧器の温度の測定です。主に変圧器内部、特にコイル付近の油温温度、回転機の軸受温度の計測に用いられます。

受変電設備等に組み込まれる変圧器 (トランス) は稼働状況により機器温度が上昇します。過負荷がかかった場合、定格温度以上になる可能性があり故障の原因となります。このため、温度を確認することが必要です。ダイヤル式温度計自身には警報器の機能はありませんが、多くの製品で任意温度にセットできる警報接点を持っており、ランプやブザーなどを外部接続することで警報装置としての役割をもたせることができます。

また、ダイヤル式温度計は、変圧器以外にも、温度管理が必要な産業・工業で広く汎用されており、具体的な例として下記のようなものにおけるの温度管理が挙げられます。

  • 冷凍産業
  • 食品産業
  • バイオテクノロジーや医薬品産業
  • 機械製造、組立
  • 加熱装置
  • 冷却、空調機器
  • 換気装置
  • 太陽熱集熱器
  • 温水タンク
  • 熱伝達ステーション

ダイヤル式温度計の原理

ダイヤル式温度計は、温度を表示する盤面と棒状などの感温部が導管で接続されている構造です。感温部は、バイメタル、ガス又は液体膨張の原理などで動作しています。

1. バイメタル式温度計

バイメタルは、熱膨張率が異なる2種類の金属板を溶接や接着によって貼り合わせたものです。温度変化により湾曲する特性を利用して、表示板の目盛りを指す針を動かす仕組みとなっています。

2. ガス・液体膨張式温度計 (圧力式温度計)

圧力式温度計は、温度によるガスや液体の体積の変化を利用したものであり、感温筒、導管、ブルドン管から構成されます。

感温筒、導管、ブルドン管は、圧力下で液体やガスで満たされた密閉空間となっています。温度変化により感温筒内の液体やガスが膨張・収縮し、導管を通してブルドン管内部の圧力が変化します。この圧力の変化を温度として指示する原理です。液体には、

ダイヤル式温度計の種類

ダイヤル式温度計は、前述したようにバイメタル式温度計やガス・液体膨張式などの仕組みの種類があります。変圧器の温度管理や様々な工業・産業における温度管理に汎用されていることから、用途に合わせて細かな点で様々な種類があります。

1. 機能面

ダイヤル式温度計の製品の中には、最高温度の指針が備えられているものもあります。このような製品では、一時的な最高温度を観測することが可能です。

また、標準指示温度計に温度センサを組み込んだ、ハイブリット型温度計もあり、現場計測での直読の他に遠隔計測や自動制御を行うアナログ出力を行うことができます。

また、耐震型の製品では、グリセリンをケース内に封入することにより、外部からの振動やポンプの脈動などによる指針や計器内部構造の激しい振れを吸収する仕様となっています。 

2. 外装

衛生的な環境を必要とする食品工場や製薬・化学工場などを想定した種類の製品では、電解研磨仕上げのケース外装の製品や、サニタリー用ステンレススチール製製品などがあります。

形状は壁掛型の他、ビス止めで測定対象装置前面パネルへの埋め込みを想定したものなどがあります。温度指示部と感温部は導管で接続されているため、例えばキュービクルに変圧器を収納した場合、温度指示部のみを盤前面に取り付けることが可能です。

また、メッキ工場・化学薬品工場などの過酷な条件での使用を想定した製品では、耐薬品性に優れているものもあります。

参考文献
https://connect.nissha.com/filmdevice/filmdevice_column/capacitive_touch_panel
https://www.ebara-keiki.co.jp/publics/index/107/

クローラーローダー

クローラー式ローダーとは

クローラー式ローダー (英:crawler type loader) とは、クローラーで走行し、車体前部のバケットにより土砂や骨材などの積み込みと運搬を行う建機です。

クローラー式ローダーは、コンパクトトラックローダーやクローラー式トラクタショベルとも呼ばれます。クローラー式ローダーの特徴は、接地圧が低く軟弱地や不整地での作業が可能なこと、その場旋回など小回りができること、豊富なアタッチメントがあることなどです。狭い場所での作業に適しています。

雪の多い地域では、アタッチメントを変えて、除雪作業などに活用できます。

クローラー式ローダーの使用用途

クローラー式ローダーは、小型のブルドーザーと言われ、小回りの良さで土砂などの積み込みや運搬など広範囲の作業に使われます。

具体的には、建築工事、土木工事、造園工事などの作業現場で、土砂や骨材の積み込みや短距離の運搬用途です。とくに、狭い場所や不整地、ぬかるみなどで威力を発揮します。

クローラー式ローダーは、接地面積が広く、他の機械では作業ができない地面の状態でも移動が可能で、作業を進めることができます。汎用性が高いので、整地、掘削、積み込み、運搬、除雪、清掃などを1台の機械で行うことが可能です。

アーム先端のバケット部と交換できるアタッチメントの種類が多いので、農業、林業、畜産、園芸、除雪、清掃など様々な作業に使用が可能です。脱着も容易です。不整地での整地・掘削などに使われ、埋め立て地や製鉄所での作業にも対応できます。

クローラー式ローダーの原理

1. ローダー部

クローラー式ローダーの前部にアームとバケットが装着されています。アームは油圧により上下が可能です。バケットに土砂などをすくい上げ、アームを上げて移動して車両などに積み込みます。バケットは油圧で傾斜角の調整ができます。

積込み方式の分類は、フロントエンド式、サイドダンプ式、バックホー式の3種類があります。また、アームを頭上を通して回転させ、車体の後部まで土砂などを移動させることもできます。

2. クローラー部

クローラーは、金属またはゴムで出来た履帯であり、接地面積が広いので、軟弱地、ぬかるみ、不整地あるいは急斜面などでも走行が可能です。また、スキッドステア方式と言って、両側のクローラーの回転差で進行方向が変えられ、旋回ができます。ほぼ全長分の幅で旋回する「その場旋回」が可能です。操縦はハンドルではなく、2本のレバーで回転を制御する方式です。

クローラー式ローダーのその他情報

1. ゴムクローラーの分類

建設機械用ゴムクローラー
建設機械は、アスファルトやコンクリート、芝地などで使用する場合、路面の保護が必要です。ゴムクローラーは、鉄クローラーに比べ路面のダメッジが少ない特徴があります。また、作業者や周囲への騒音・振動を少なくするメリットもあります。

農業機械用ゴムクローラー
農業機械用のゴムクローラーは、特に接地面積を大きくして、湿田に対応した推進力や排土性能を持たせています。クローラーのラグパターンは多くの種類があり、接地面の凹凸が適したものに設定されています。

運搬・作業機用ゴムクローラー
運搬機用のゴムクローラーは、ぬかるみや凸凹の場所で、路面状況に左右されない安定した走行が出来るように選定されます。また、作業機には、草刈りや高所での作業などに適したゴムクローラーが使われます。

除雪機用ゴムクローラー
除雪機用ゴムクローラーは、高機能で高い耐久性が必要です。低温・氷雪環境で早朝・夜間の作業が多い使い方です。周囲の環境に配慮して低騒音が要求され、氷雪の下の石や突起物による損傷に耐えるゴムクローラーが選定されます。

2. クローラー式ローダーの騒音・振動

低騒音・低振動の建設機械について、国土交通省が基準値を設けており、型式申請して表示ができます。

低騒音型建設機械
建設省告示第1536号で、機種はトラクタショベルの名称になっており、機関の出力ごとに音響出力の基準値が規定されています。

超低騒音型建設機械
低騒音型建設機械より6dB低い基準値が決められており、型式申請により表示が可能です。

トウモロコシ脱皮機

トウモロコシ脱穀機とは

トウモロコシ脱穀機 (英:corn threshing machine) とは、トウモロコシを刈取り、脱穀する機械です。

トウモロコシは、イネ科の一年生植物であり、人間の食料や家畜の飼料として重要なものです。世界中で栽培され、夏から秋にかけて一斉に収穫されます。近年では、食料以外にデンプンや油や異性化糖、バイオエタノールの原料などの用途が拡大しています。

収穫時に活躍するのがトウモロコシ脱穀機です。刈取りと脱穀を同時に行う機械や、脱穀のみを行う機械、トウモロコシ専用の機械や小麦・ヒマワリなどの他の収穫物も可能な機械、大容量のものから小容量まで、色々なタイプがあります。

トウモロコシ脱穀機の使用用途

小規模農園では、手作業でトウモロコシの穂部を取り、据え置きのトウモロコシ脱穀機を使用して脱穀します。大規模農園で機械化を図る場合は、牽引型のトウモロコシ脱穀機や、コーンヘッダなどをコンバインに取り付けるか、又は自走式の脱穀機により、刈取りと脱穀を行います。

収穫したトウモロコシの用途は、飼料用が60%以上で最も多く、次いで工業用であり、直接の食用はわずか4%程度です。それぞれトウモロコシの種類が異なります。最大の生産地であるアメリカは、トウモロコシを原料とするバイオマスエタノールの需要が急速に拡大しています。

実をとった後の軸は、合成樹脂材料のフルフラールやフルフリルアルコール、甘味料のキシリトールなどの製造原料に利用されます。また、コブミールと呼ばれる軸を粉砕した粉は、キノコの培地や建材の原料、研磨材などの用途です。

トウモロコシ脱穀機の原理

1. 刈取り

子実用トウモロコシを収穫する機械の例では、コンバインにコーンヘッダを取付けて、刈取りと脱穀を行うものです。コーンヘッダのデバイダにまず茎部を挟み込み、茎葉部分を刈取部のローリングカッタで除去します。そして、雌穂のみを取り出し、次の脱穀部へ送ります。

2. 脱穀

脱穀は、トウモロコシの実と穂軸とを分離することです。ステンレスのカッターで実に傷がつかないように切ります。風により、付着ごみを除去してクリーンにします。

トウモロコシ脱穀機の特徴

1. 高能率

高速刈取りが可能で、短時間に高能率でトウモロコシの収穫作業ができます。作業速度は1~2m/s程度です。

2. 高精度刈取り

雌穂部分のみを高精度に分別します。ロスが少なく雌穂の的確な分離が可能です。

3. 倒伏に対応

強風や降雨などで倒伏した子実用とうもろこしの刈取りができます。左倒伏刈り、右倒伏刈り、向かい刈りに対応が可能です。

トウモロコシ脱穀機の種類

1. 移動方式による分類

自走式
コンバインなどにコーンヘッダやリールヘッダを装着し、トウモロコシの刈取りと脱穀を同時に行う機械です。また、トウモロコシ専用の脱穀機もあります。走行は多くはクローラを使います。

牽引式
車輪付きのトウモロコシ脱穀機をトレーラなどで牽引して、刈取りと脱穀を行います。動力はPTOにより脱穀機へ伝えます。

据置き式
人力などで収穫した雌穂を脱穀する機械で、固定式です。小型のものが多いです。

2. ヘッダによる分類

トウモロコシ脱穀機には、コーンヘッダやリールヘッダによる方式が使われます。コーンヘッダは、茎葉部分は刈取部のローリングカッターで除去・裁断して雌穂部分のみを取り出す方式です。収穫効率が高い長所があります。

また、リールヘッダは、米・麦・ソバ・大豆などの刈取りも可能なタイプです。トウモロコシの場合は、リールによる押し倒しや雌穂の脱落が発生しやすい短所があり、また、茎葉全部を処理するので脱穀負荷が大きく、速度を上げにくいこともあります。

トウモロコシ脱穀機の選び方

1. 収穫能力

収穫されたトウモロコシの実は水分量が多く、そのままでは、かびや腐敗の恐れがあり、乾燥工程が必要です。収穫能力ばかりでなく、後工程の乾燥能力も考慮する必要があります。

2. 費用

すでにコンバインを所有している場合は、コンバインに装着できるトウモロコシ脱穀用のアタッチメントがあれば、費用が大幅に低減可能です。生食用スイートコーンの収穫の場合、トラクターに装着できるアタッチメントが使えます。

3. 刈取り方式の選定

トウモロコシ脱穀機のヘッダは、コーンヘッダとリールヘッダから選定します。コーンヘッダはリールヘッダに比べ、作業速度が1.2~1.6倍あるので、大量の処理にはコーンヘッダの方が効率的で、頭部損失率の向上が可能です。

静電容量式タッチセンサ

静電容量式タッチセンサとは

静電容量式タッチセンサとは、電界において静電容量が変化することを利用して検出する、タッチセンサです。

静電容量とは、導電体 (コンデンサなど) において、蓄えられている電荷の量を表す物理量です。人体は導体 (電流を流すことができる) であるため、手などの人体の一部分がタッチパネルなどの表面に近づくと、指先などの接触部分とセンサーに用いられている電極の間に静電容量が生じます。静電容量方式のセンサーでは複数の指を用いるマルチタッチジェスチャーが可能であり、スマートフォンを始めとする様々な製品に使用されています。また、素材の柔軟性から湾曲状でもタッチが可能であることや、耐水性に優れることなども長所です。

静電容量式タッチセンサの用途

静電容量式タッチセンサは、スマートフォンや、タブレット、ゲーム機、ATMや券売機などのタッチパネルや、ウェアラブル機器に広く使用されています。ワイヤレスイヤホンを耳につけているかどうかを判定するために使用する用途や、高精度のものではアルコールディスペンサーの残量検知に用いる用途などもあります。

キットなどとして一般に販売されているものは、主にスイッチモジュールや、フィルムセンサーなどとして用いられることが多いです。

静電容量式タッチセンサの原理

静電容量式タッチセンサは、電極を用い、導体である人がタッチした際に生じる静電容量の変化を利用する仕組みです。

静電容量式タッチセンサでは主にITO電極が用いられます。ITO (Indium-Tin Oxide) 電極とは、ガラス基板上にITOを蒸着した電極で、電気化学測定などに汎用される電極です。自己容量方式と相互容量方式の2種類の仕組みに分類されます。

1. 自己容量方式

自己容量方式のセンサは、センサ電極を1種類だけ用います。ITO電極間には電界が形成されており、この電界に導体である人体が指などで触れることで、電界と手の間に擬似的にコンデンサが生じます。このとき起こる静電容量の増加を検知し、センサーとして機能する仕組みです。

高感度で、分厚いカバーをかけた上からでも読み取りができるというメリットがあります。ただし、後述する投影型の場合はXY電極の行や列でタッチ位置を判断するため、マルチタッチ時には触れていない箇所を誤ってタッチ箇所として認識してしまう場合があるという短所があります。

2. 相互容量方式

相互容量方式のセンサでは、電極は送信用と受信用の2種類に分かれています。1つは電界を発生させる電極であり、他方は電気力線を吸収する電極であり、この2者はコンデンサー様の関係です。

センサーに手を近づけると、2つの電極の間にある電界の一部が指先に遮られます。電界と手がコンデンサの関係になった結果、電極間の静電容量は減少します。相互容量方式は、このようにして2つの電極間に生じる電界の変化を検出する仕組みです。

静電容量式タッチセンサの種類

静電容量式タッチセンサの種類には、表面型と投影型の2種類の構造があります。

1. 表面型

表面型では、ガラス基板の4つの角に電極が配置されています。基板の表面には電界が生じており (自己容量方式) 、タッチすることにより静電容量の変化が起こります。静電容量の変化を4つの電極で検知し、タッチした位置を検出する仕組みです。

長所としては、耐久性が高く、水や油など表面の異物の影響を受けにくいことが挙げられます。また構造がシンプルであるため低コストであり、大画面などに適していることも長所です。短所としては、マルチタッチができないことが挙げられます。

2. 投影型

投影型センサのパネルは、2つのITO電極が直交する2方向の電極層として配置され (X軸方向とY軸方向) 、相互容量方式では、送信用と受信用の電極がX軸電極とY軸電極のように直交する格子状に配置され、静電容量が減少した座標をタッチされた位置として判定しています。

多点検出が可能なため、マルチタッチに対応可能です。また、それぞれの座標位置において個々に静電容量の変化を検知できることから、拡大や縮小などの直感的な操作も可能です。また、耐久性が高く、透過率が高いという長所もあります。表面型よりも複雑な信号処理が行われるためノイズの影響を受けて誤作動しやすいことが短所ですが、このような誤作動はコントローラーICによって解消することができます。

参考文献
https://connect.nissha.com/filmdevice/filmdevice_column/capacitive_touch_panel
https://www.dush.co.jp/method-type/capacitive-touchscreen/