エアソレノイドバルブ

エアソレノイドバルブとは

エアソレノイドバルブとは、空気圧を利用した機械において、電気信号を用いて空気の流路を切り替えるデバイスです。

電磁弁や方向制御バルブと呼ぶこともあります。空気圧を利用して動作する機械では、空気圧の流路の切り替えが必要であり、エアソレノイドバルブは機械を制御するために大切な役割を果たします。

空気以外にもガスや蒸気などの気体、真空に対しても利用されます。また、ソレノイドは油圧の切り替えにも使われるデバイスです。

エアソレノイドバルブの使用用途

エアソレノイドバルブは圧縮空気を利用した機械で使われています。空気圧は油圧とともに、さまざまな機械の制御に用いられる動力源です。

ロボットや工作機械、搬送装置、半導体の製造装置、農業分野では収穫した農作物の大きさや重さごとの仕分けをする選別機械なども空気圧で制御されます。これら機械の制御において、エアソレノイドバルブが利用されています。空気圧は油圧に比べると操作力は劣りますが、構造や保守の面で扱いやすいのが特徴です。

エアソレノイドバルブの原理

エアソレノイドバルブには複数の種類がありますが、原理を理解するために一例を挙げて説明します。エアソレノイドバルブにおいて、電気信号から空気の流路の切替えをするために利用されるのは磁力です。

具体的には、鉄線をコイルとして巻きつけた固定鉄心と、実際に流路の切替え動作の動きをする可動鉄心が組み合わされています。固定鉄心のコイルに電流を流すと磁気が発生し、可動鉄心が固定鉄心に引きつけられるように動作します。

また、実際の空気の経路を切り替えるのはエアソレノイド内にあるスプール部です。ソレノイド部の弁が動作することを受けて、パイロット流路という空気圧回路の基本となる空気圧によってスプールと呼ばれる経路の切り替え弁を動作させます。経路の切り替えを実際に担うスプールをパイロット圧と呼ばれる基本の圧力によって動かす方法をパイロット式と呼びます。

エアソレノイドバルブの構造

エアソレノイドは大きく3つの部分に分けられます。ソレノイド部、スプール部とポート部です。

1. ソレノイド部

ソレノイド部は電気の信号を弁の動作に変換する部分です。コイルが巻かれた固定鉄心と可動鉄心、スプリング、弁体によって構成されています。コイルに電流が流れると固定鉄心が電磁石となって可動鉄心を引き寄せます。通電をなくした際にスプールを元の位置に戻す場合は、スプリングが組み込まれています。

2. スプール部

スプール部は実際に経路を切り替える部分です。円筒の中を軸方向にスライドするスプールが組み込まれています。スプールは細長い円筒に円周方向の溝が複数刻まれた形状です。

スプールの溝部分とポート部が重なり合うと空気の経路が繋がり、スプールの溝がない部分とスプール部本体のポートがない部分同士が重なると、空気の経路は遮断されることになります。

3. ポート部

ポート部は空気の経路となる穴のことです。スプール部本体の側面に開けられた穴で、エアソレノイドバルブが取り付けられた機械の空気の経路と繋がっています。ポートの数は3ポートタイプ、4ポートタイプ、5ポートタイプがあります。

エアソレノイドバルブの種類

ソレノイドバルブの種類は主に4つの切り口で分けられます。各切り口が組み合わさっているので注意が必要です。

1. 動力源による分類

実際にスプールを動かす力をパイロット圧で行うのがパイロット式、電磁弁で直接動かすのが直動式です。パイロット式ではパイロット圧を使うことによって、ソレノイド部分をコンパクトかつ省電力化が図れます。

2. ポート数による分類

エアソレノイドが持つポートによる区分けです。3ポート、4ポート、5ポートがあります。

3. 電磁弁の数による分類

エアソレノイドでは電磁弁が1つ使われているシングルソレノイドと、電磁弁が2つ使われているダブルソレノイドがあります。シングルソレノイドでは通電がなくなると、スプリング力によってスプールは元の位置に戻ります。

ダブルソレノイドではスプールの両端にソレノイドがあり、スプリングはありません。特徴は通電しなくなってもスプールは動かないので、停電などの非常時でもそのままの動作を維持することが可能です。

4. ポジション数による分類

ソレノイドが作り出せるポジション数を示すものです。2位置では2つの空気の経路を切り替えることが可能で、3位置タイプであれば2つの経路に加えて経路を閉じられます。

また、3位置タイプは非通電時にポートを閉じるのか、給気させるのかを選択する必要があります。