ダイヤル式温度計とは
ダイヤル式温度計は、円形の温度表示部と棒状の感温部から構成されている温度計です。
感温部にはバイメタルやブルド管などが用いられ、機械的に指針を動作させる方式で動作します。ガラス温度計水銀温度計やアルコール温度計などの温度計に比べて頑丈であり、保守も容易であることから、工業用に広く用いられています。現在温度の指針、最大指針、警報指針の3針式の製品がが多いです。
ダイヤル式温度計の使用用途
ダイヤル式温度計の主な用途は、変圧器の温度の測定です。主に変圧器内部、特にコイル付近の油温温度、回転機の軸受温度の計測に用いられます。
受変電設備等に組み込まれる変圧器 (トランス) は稼働状況により機器温度が上昇します。過負荷がかかった場合、定格温度以上になる可能性があり故障の原因となります。このため、温度を確認することが必要です。ダイヤル式温度計自身には警報器の機能はありませんが、多くの製品で任意温度にセットできる警報接点を持っており、ランプやブザーなどを外部接続することで警報装置としての役割をもたせることができます。
また、ダイヤル式温度計は、変圧器以外にも、温度管理が必要な産業・工業で広く汎用されており、具体的な例として下記のようなものにおけるの温度管理が挙げられます。
- 冷凍産業
- 食品産業
- バイオテクノロジーや医薬品産業
- 機械製造、組立
- 加熱装置
- 冷却、空調機器
- 換気装置
- 太陽熱集熱器
- 温水タンク
- 熱伝達ステーション
ダイヤル式温度計の原理
ダイヤル式温度計は、温度を表示する盤面と棒状などの感温部が導管で接続されている構造です。感温部は、バイメタル、ガス又は液体膨張の原理などで動作しています。
1. バイメタル式温度計
バイメタルは、熱膨張率が異なる2種類の金属板を溶接や接着によって貼り合わせたものです。温度変化により湾曲する特性を利用して、表示板の目盛りを指す針を動かす仕組みとなっています。
2. ガス・液体膨張式温度計 (圧力式温度計)
圧力式温度計は、温度によるガスや液体の体積の変化を利用したものであり、感温筒、導管、ブルドン管から構成されます。
感温筒、導管、ブルドン管は、圧力下で液体やガスで満たされた密閉空間となっています。温度変化により感温筒内の液体やガスが膨張・収縮し、導管を通してブルドン管内部の圧力が変化します。この圧力の変化を温度として指示する原理です。液体には、
ダイヤル式温度計の種類
ダイヤル式温度計は、前述したようにバイメタル式温度計やガス・液体膨張式などの仕組みの種類があります。変圧器の温度管理や様々な工業・産業における温度管理に汎用されていることから、用途に合わせて細かな点で様々な種類があります。
1. 機能面
ダイヤル式温度計の製品の中には、最高温度の指針が備えられているものもあります。このような製品では、一時的な最高温度を観測することが可能です。
また、標準指示温度計に温度センサを組み込んだ、ハイブリット型温度計もあり、現場計測での直読の他に遠隔計測や自動制御を行うアナログ出力を行うことができます。
また、耐震型の製品では、グリセリンをケース内に封入することにより、外部からの振動やポンプの脈動などによる指針や計器内部構造の激しい振れを吸収する仕様となっています。
2. 外装
衛生的な環境を必要とする食品工場や製薬・化学工場などを想定した種類の製品では、電解研磨仕上げのケース外装の製品や、サニタリー用ステンレススチール製製品などがあります。
形状は壁掛型の他、ビス止めで測定対象装置前面パネルへの埋め込みを想定したものなどがあります。温度指示部と感温部は導管で接続されているため、例えばキュービクルに変圧器を収納した場合、温度指示部のみを盤前面に取り付けることが可能です。
また、メッキ工場・化学薬品工場などの過酷な条件での使用を想定した製品では、耐薬品性に優れているものもあります。
参考文献
https://connect.nissha.com/filmdevice/filmdevice_column/capacitive_touch_panel
https://www.ebara-keiki.co.jp/publics/index/107/