セラミックボールとは
セラミックボールとは、セラミックより球体状に加工された製品です。
窒化珪素などの非酸化物系セラミックと、アルミナやジルコニアなど酸化物系セラミックの2種類を使用するのが一般的です。セラミックボールは、硬度や高温強度が高いうえ耐摩耗性や耐食性にも優れており、ほとんどの薬品にも侵されません。
物理的・科学的に極めて安定した特徴を有するため、工業や日用品など様々な分野で使用されています。
セラミックボールの使用用途
セラミックボールは、その特性から工業用途から日用品まで様々な分野で使用されています。工業用途では、耐熱および耐摩耗ベアリング、耐薬品バルブなどが主な使用用途です。また、ボールミルと称される工業用機械に使用される粉砕用の部材や、ジェネレーター中で熱交換用の部材などにも好適です。
セラミックボールは水処理にも使用され、水道や汚染水の処理に使用されています。また、日用品の分野では、アクアリウムの水槽の浄水用途やシャワーヘッドなどの水質改善する健康グッズとしても好適です。
1. ベアリング
セラミックボールは、ベアリングの回転部分に使用されます。ベアリングは径の異なる2つのリング状部品を重ね合わせ、外径側の部品を固定し内径側の部品が回転して回転軸を受ける仕組みです。その外径側の部品と内径側の部品の間にセラミックボールを配し、内径側の部品が滑らかに回転できるようにしています。
セラミックボールは、摩耗や焼付きに強く、高速や高温の環境でも安定した性能を発揮し、耐薬品性もあります。また、軽量で高剛性なため、回転抵抗や振動を低減し、省エネや静音化も可能です。特に非磁性の非酸化物系のものを使用すれば、磁場にさらされる環境下での使用も可能です。
2. バルブ
セラミックボールは、バルブの開閉部に使用されます。耐食性や耐摩耗性に優れているため、水や空気、油およびガスなどの流体の制御に適しています。また、絶縁性が高く、電気の影響を受けません。非磁性のものを選べば、磁気の影響も受けなくなります。
セラミックボールの原理
セラミックボールは、以下のような工程を経て製造されます。
- 原料粉砕から調合
まず、使用する原料を微粉砕します。次に、所定の調合の割合で原料の混錬をおこないます。 - 核づくりから造粒
造粒するための核づくりをします。核を造粒する装置内に投入し、粉とバインダーを吹きかけて、所定の粒径になるよう造粒します。 - 乾燥から焼成
造粒した製品の水分を抜きます。その後、用途に応じて1,200℃前後から1,350℃の温度で焼成して完成です。
つまり、使用する材料や粒径、焼成温度により様々な特性を有するセラミックボールの製造が可能です。
セラミックボールのその他情報
セラミックボールの活用
セラミックボールは前述したベアリングやバルブのような工業分野での使用のほかに、水処理や特定の物質の吸着や溶出、健康グッズなどの日用品にも使用されています。順番に解説します。
1. 水処理
セラミックボールはセラミックよりなるため、臭いの除去や還元、不純物の吸着が可能です。そのため、水道や汚染水、工業排水の水処理に使用されています。用途に応じて油との親和性を高める、あるいは、油切れを良くする、水の構造を変化させるなどの特性を持たせることも可能です。
2. 特定の物質の吸着や溶出
セラミックボールは、タバコの臭いや車内の臭いなど、特定の物質の吸着も可能です。さらに、吸着した物質を光分解する機能も付加できます。
3. 健康グッズや日用品
セラミックボールは健康グッズや美容グッズの分野でも多く使用されています。例えば、銀やプラチナを含有させて抗菌効果を高めたもの、鉄分やカルシウム分などのミネラルを意図的に溶出させて、水の味を変化させるものなどが一般的です。
そのほか、水の分子を細かくして体への浸透を促進する、シャワーヘッド内に配して髪の毛へのダメージを軽減させるものもあります。また、セラミックボールはアクアリウムの水質改善などにも使用されており、多く流通しています。
参考文献
https://ft-f.com/ballsetumei/balls/
https://www.aksball.co.jp/product/ceramic-balls/
http://ball-kyowa.co.jp/ceramic/
https://www.tsubaki-nakashima.com/jp/products/ceramic_balls/