トウモロコシ脱皮機

トウモロコシ脱穀機とは

トウモロコシ脱穀機 (英:corn threshing machine) とは、トウモロコシを刈取り、脱穀する機械です。

トウモロコシは、イネ科の一年生植物であり、人間の食料や家畜の飼料として重要なものです。世界中で栽培され、夏から秋にかけて一斉に収穫されます。近年では、食料以外にデンプンや油や異性化糖、バイオエタノールの原料などの用途が拡大しています。

収穫時に活躍するのがトウモロコシ脱穀機です。刈取りと脱穀を同時に行う機械や、脱穀のみを行う機械、トウモロコシ専用の機械や小麦・ヒマワリなどの他の収穫物も可能な機械、大容量のものから小容量まで、色々なタイプがあります。

トウモロコシ脱穀機の使用用途

小規模農園では、手作業でトウモロコシの穂部を取り、据え置きのトウモロコシ脱穀機を使用して脱穀します。大規模農園で機械化を図る場合は、牽引型のトウモロコシ脱穀機や、コーンヘッダなどをコンバインに取り付けるか、又は自走式の脱穀機により、刈取りと脱穀を行います。

収穫したトウモロコシの用途は、飼料用が60%以上で最も多く、次いで工業用であり、直接の食用はわずか4%程度です。それぞれトウモロコシの種類が異なります。最大の生産地であるアメリカは、トウモロコシを原料とするバイオマスエタノールの需要が急速に拡大しています。

実をとった後の軸は、合成樹脂材料のフルフラールやフルフリルアルコール、甘味料のキシリトールなどの製造原料に利用されます。また、コブミールと呼ばれる軸を粉砕した粉は、キノコの培地や建材の原料、研磨材などの用途です。

トウモロコシ脱穀機の原理

1. 刈取り

子実用トウモロコシを収穫する機械の例では、コンバインにコーンヘッダを取付けて、刈取りと脱穀を行うものです。コーンヘッダのデバイダにまず茎部を挟み込み、茎葉部分を刈取部のローリングカッタで除去します。そして、雌穂のみを取り出し、次の脱穀部へ送ります。

2. 脱穀

脱穀は、トウモロコシの実と穂軸とを分離することです。ステンレスのカッターで実に傷がつかないように切ります。風により、付着ごみを除去してクリーンにします。

トウモロコシ脱穀機の特徴

1. 高能率

高速刈取りが可能で、短時間に高能率でトウモロコシの収穫作業ができます。作業速度は1~2m/s程度です。

2. 高精度刈取り

雌穂部分のみを高精度に分別します。ロスが少なく雌穂の的確な分離が可能です。

3. 倒伏に対応

強風や降雨などで倒伏した子実用とうもろこしの刈取りができます。左倒伏刈り、右倒伏刈り、向かい刈りに対応が可能です。

トウモロコシ脱穀機の種類

1. 移動方式による分類

自走式
コンバインなどにコーンヘッダやリールヘッダを装着し、トウモロコシの刈取りと脱穀を同時に行う機械です。また、トウモロコシ専用の脱穀機もあります。走行は多くはクローラを使います。

牽引式
車輪付きのトウモロコシ脱穀機をトレーラなどで牽引して、刈取りと脱穀を行います。動力はPTOにより脱穀機へ伝えます。

据置き式
人力などで収穫した雌穂を脱穀する機械で、固定式です。小型のものが多いです。

2. ヘッダによる分類

トウモロコシ脱穀機には、コーンヘッダやリールヘッダによる方式が使われます。コーンヘッダは、茎葉部分は刈取部のローリングカッターで除去・裁断して雌穂部分のみを取り出す方式です。収穫効率が高い長所があります。

また、リールヘッダは、米・麦・ソバ・大豆などの刈取りも可能なタイプです。トウモロコシの場合は、リールによる押し倒しや雌穂の脱落が発生しやすい短所があり、また、茎葉全部を処理するので脱穀負荷が大きく、速度を上げにくいこともあります。

トウモロコシ脱穀機の選び方

1. 収穫能力

収穫されたトウモロコシの実は水分量が多く、そのままでは、かびや腐敗の恐れがあり、乾燥工程が必要です。収穫能力ばかりでなく、後工程の乾燥能力も考慮する必要があります。

2. 費用

すでにコンバインを所有している場合は、コンバインに装着できるトウモロコシ脱穀用のアタッチメントがあれば、費用が大幅に低減可能です。生食用スイートコーンの収穫の場合、トラクターに装着できるアタッチメントが使えます。

3. 刈取り方式の選定

トウモロコシ脱穀機のヘッダは、コーンヘッダとリールヘッダから選定します。コーンヘッダはリールヘッダに比べ、作業速度が1.2~1.6倍あるので、大量の処理にはコーンヘッダの方が効率的で、頭部損失率の向上が可能です。