貯留槽

貯留槽とは

貯留槽

 

貯留槽とは、雨水などの流体を留めておくための施設、もしくは容器です。

貯留槽は、大別して貯留浸透施設に分類されており、細別すると、貯留施設と浸透施設に分類されます。そして、貯留施設は、雨水の流れ込む範囲の違いからオフサイト貯留とオンサイト貯留に分けられます。浸透施設は、雨水を効率よく地中に浸透させるための施設です。

オフサイト貯留は、川や水路などに雨水が流入した後に集水し、貯留することで雨水の流出を防ぐ仕組みのことを指します。

オンサイト貯留は、雨水をなるべく移動させずに雨が降った地点において、集水を行い、貯留することで雨水の流出を防ぐ仕組みのことを指します。この方法は、別名で現地貯留とも呼びます。

これらは、施設の構造やその利用形態の違いにより、さらに細かく分類されます。また、集水を行う環境によっては、貯留施設と浸透施設が併用して活用されることがあります。

貯留槽の使用用途

貯留施設は、構造形式により分類されており、整備方式などの違いから活用される場所が異なります。

まず、オフサイト貯留の構造形式には、ダム式や堀込式、地下式があります。

ダム式は、主に高度300m程度のなだらかな地形において、谷部をフィルダムやコンクリートダムによりせき止める方法として活用します。

堀込式は、起伏が少なく平らな土地において、その場所を堀込んで、周辺の地盤よりも低い水位を保ちながら雨水を貯留する方式として採用されています。

地下式では、集合住宅や雨水貯留事業者、下水道事業者の地下において、地下貯留槽あるいは埋設管などに雨水を貯留する方法として取り入れられています。

次に、オンサイト貯留の構造形式としては、小さな堤もしくは浅い堀込式、地下式としての地下空間貯留や地下空隙貯留があります。

小さな堤もしくは浅い堀込式では、主に集合住宅の棟のあいだや公園、校庭などで、平常時の利用機能を有する空間地において、その敷地に降った雨水を貯留する方法が活用されています。

地下空間貯留としては、コンクリート構造やプレキャスト式などの建物および公園の地下において、比較的大きな貯留施設を整備する方法が採用されます。

地下空隙貯留では、避難場所などの地表上に貯留するうえで問題となる場所において、樹脂製の地下貯留施設もしくは砕石を充填した地下貯留施設を整備する方法を取り入れています。

貯留槽の原理

貯留槽は、後述する貯留施設の分類ごとに、大小さまざまな形態へと変化し、利用されています。

貯留施設の取り扱う範囲は、オフサイト貯留とオンサイト貯留で細分化されており、主にオフサイト貯留には、遊水池や多目的遊水池、治水緑地などがあり、これらは遊水機能保全施設としての役割を担っています。

遊水機能保全施設とは、雨水や川、水路から流れる水を一時的に貯留することで、河川の負担を軽減するための施設です。

オフサイト貯留には、そのほかにも防災調節(調整)池や雨水貯留施設、下水道雨水調整池、大規模宅地開発に伴う調整池などがありますが、これらは後述する施設として分類されています。

オンサイト貯留では、流域貯留施設や公共・公益施設用地での貯留(公園、緑地、校庭など)、集合住宅用地での貯留(集合住宅での棟間、駐車場など)、戸建て住宅での貯留などがあります。これらは、保水機能保全施設としての役割を担っています。

保水機能保全施設とは、雨水を地中に浸透し、滞水層に一時的に貯留することによって、河川の負担を軽減するための施設です。

地下調整池

地下調整池とは

地下調整池

地下調整池は、土地の開発によって損なわれた地下の保水機能を補うための防災施設です。調整池が整備されていない場合は、山村や都市部の開発に伴い、その土地の保水機能が一時的に低下します。土地の保水機能が低下することにより、土地から溢れた雨水が河川や都市部の地下施設に流入し、人的被害や物的被害を及ぼす原因となります。

そのため、地下調整池を整備することで、雨水を一時的に貯めこみ、雨水の流出量をコントロールしています。

地下調整池のほかには、河川の流量をコントロールする施設として、遊水池や調節池があります。

遊水池と調節池は、河川の水位が上昇した際に越流堤(えつりゅうてい)から河川の水を流入させて、河川の水位を調整します。越流堤は、遊水池を囲んでいる土地よりも一段低く整備されている堤防です。これらの施設は、施設の整備方式が異なります。

地下調整池の使用用途

従来は、森や田畑が豊富にあり、土地の保水力も十分に保たれていました。しかし、昨今は、土地の宅地化に伴い、雨水が地面に染み込まなくなりました。降り注いだ雨は、側溝や雨水の幹線を通り、河川へと直接流れ込みます。そして、大量の雨が降れば、河川は氾濫し、側溝からも雨水が溢れ出します。

このような問題を解決するために河川や雨水の通り道は、コンクリートで覆われましたが、雨水の流入先である河川は、雨水を受け入れられる量が決まっています。そのため、より多くの雨水を受け入れるためには、河川の幅を広げなくてはなりません。しかし、市街地では、広げられる河川の幅が決まっているため、現実的ではありません。

その点、地下調整池は、市街地でも整備することが可能となっており、調整池の上には、野球場などの施設を施工することができます。また、地下調整池は、洪水による被害を防ぐ目的を有していることから、別名として洪水調整池とも呼ばれています。

地下調整池の原理

調整池の整備形式には、一般的に堀込み式や地下箱式、地下トンネル式の3種類があります。

  • 堀込み式は、地表部を掘削して雨水を貯留できる空間を整備し、越流堤によって雨水を意図的に越流させることで、治水を行う仕組みの調整池です。雨水の貯留空間は、約1メートルから5メートルです。
  • 地下箱式は、我々の生活する地表よりも、さらに下の地中に整備された箱型の一時貯留施設です。基本的な仕組みは、堀込み式と変わらずに、地下箱式も貯留部と越流堤によって構成されています。堀込み式は、目に見えるタイプの調整池もありますが、地下箱式では、地上部から見える部分が越流堤しかありません。雨水の貯留空間は、約10メートルから30メートルです。
  • 地下トンネル式は、主に取水立抗や排水立抗で構成されている調整池です。立抗とは、縦に掘った穴のことで、トンネルを垂直にした形をしています。流入した雨水は、取水立抗から取り込まれ、地下に整備したトンネルに雨水を貯留します。その後、徐々に排水立抗から排出されます。一般にトンネルの内径は、約7メートルから13メートルです。

調整池は、そのほかにも山間部に多く整備されているダム式やプール式などの形式の調整池もあります。

ターニケット

ターニケットとは

ターニケット

ターニケットは、止血帯と呼ばれており、特に多量の出血を止めるために活用されます。

通常、止血帯は、包帯やバンドのみで構成されているため、巻きつけたり、マジックテープで止めることによって止血を行います。

しかし、負傷時に両手で止血することは、非常に難しく、マジックテープなどで締め付けを行う場合には、緩みが生じてしまい、正しく止血を行えないことがあります。

このような問題があり、ターニケットには、巻き上げ用のロッドとバックルというロック機構が付属しています。そのため、片手で締め付けが可能となり、緩みも生じにくくなっています。

注意点としては、ターニケットを装着した後は、医療の管理下において着脱することや小児には使用できないことなどが挙げられます。

ターニケットの使用用途

成人の体には約4リットルから5リットルの血液が含まれており、1リットル以上の血液を体外に流出してしまうと、生命活動が維持できなくなる可能性があります。

元来、大量の出血を止めるためには、直接圧迫止血法や止血帯止血法、止血点圧迫止血法があり、まず直接圧迫止血法によって止血を行います。

直接圧迫止血法は、出血している負傷部を直接、圧迫することで止血する方法です。このときに袋などを手につけて止血を行えば、血液からの感染を防ぐことが可能となり、より安全に止血が行えます。

しかし、動脈性出血などの場合は、血液の流出量が多く、直接圧迫止血法では、止血できないことがあります。この場合には、いち早く出血を止める必要があり、止血帯止血法が選択されます。

止血帯止血法では、帯状のものを使用して負傷した箇所よりも上部を締め付けますが、先のトピックで紹介した問題を避けるためにもターニケットを使用することが推奨されます。

ただし、止血帯止血法による止血方法は、神経を損傷する可能性も示唆されているため、適切な止血を行うためには、事前に安全講習などを行うことが大切になります。

ターニケットの原理

ターニケットは、一般的にバンドとバックル、巻き上げ用のロッドで構成されています。そのほかにもバックルをより強固に固定するための固定バンドやフックなどが付属しています。また、手先などの末端に特化したリング型のターニケットも販売されています。

ターニケットの装着箇所は、損傷した箇所を確認後、損傷部の約5センチから8センチ上部にターニケットを装着します。装着が困難な場合には、四肢の付け根に装着します。

装着方法は、まず、バンドをバックルに対して、下から通し、バックルのロック機構が作動するまで軽くひっばります。このときにバンドのテンションを緩めてしまうと、正しくロックができない場合があるため、注意が必要です。

そして、ロック機構の作動を確認した後にバンドを下のバンドに貼り付けて固定します。

次に、付属しているロッドを出血が止まるまで回転させてバンドを巻き上げます。

最後に、ロッドをフックにひっかけて固定し、もう一度、出血していないかを確認します。出血が止まっていることを確認したら、固定バンドに余ったバンドとフックをまとめて巻きつけて固定します。

副木

副木とは

副木

副木とは、腕や指などの四肢の骨折や関節の損傷を生じた際に一時的に固定するための添え木です。

骨折は、無理に骨を戻そうとせずに病院へ行くまでのあいだ、いためた箇所を安静に保つことが大切です。無理やり骨を動かしてしまうと、血管や神経を損傷してしまいます。

副木の材質には、石膏やグラスファイバ、アルミ合金、ウレタンフォームなどがあり、外出先で怪我をしてしまった場合でも損傷部の固定が可能です。

副木は、折り目をつけることにより、固まる製品も販売されています。このタイプの副木は、軟質で携帯しやすい形状となっており、固定した後でもハサミなどで自由に形状を変えることが可能となっています。

副木の使用用途

骨折による損傷は、一般的に折れた骨をもとの位置に戻すことにより、固定化し、回復させます。この治療方法を整復と呼び、移動してしまった骨を正しい位置に戻すための治療方法です。折れた骨に対して外からの力を強引に加えなければ、早期での回復が見込めます。骨折は、適切な治療が遅れることで回復までの期間が長引いたり、障害が残る可能性があります。

こういった問題は、副木を活用することで損傷部を安静に保つことができるほか、損傷による激しい痛みを軽減することにもつながります。

副木には、専用の製品も販売されていますが、携帯していなければ、身の回りにある雑誌や新聞、ダンボールなどでも代用が可能です。

副木の原理

副木による損傷部の固定方法をギプス副子法と呼びます。この方法には、大別して2つの種類があり、1つをギプスシーネと呼び、もう一方をギプスシャーレと呼びます。

  • ギプスシーネは、ギプス用の包帯を帯状にして、患部に合わせた後に硬化させることで固定化した副木のことを指しています。
  • ギプスシャーレは、ギプス用の包帯を患部に巻いて固定化させた後に包帯を半分に切断し、ストッキネットなどで覆ったものを指します。ストッキネットは、吸湿性に優れたチューブ型の包帯です。

ギプス用の包帯には、主に石膏(硫酸カルシウム)が含まれており、水を加えることで効果します。

近年では、ギプスシーネのように石膏が含まれていない副木も活用されており、これらは、材質にプラスチックやウレタンフォームなどが使われています。このようなタイプの副木は、まとめてシーネと呼ばれています。

また、副木やギプス用の包帯も含めて、体のどこに固定化するのかによっても名称が分けられています。例えば肩の肩峰先端から手首の橈骨茎状突起尖端までを上肢長と呼び、この部位を固定化する場合には、長上肢シーネと呼びます。

止血剤

止血剤とは

止血剤

止血剤とは、外出血や内出血に伴う血液の流出を止めるための止血帯、もしくは薬剤の総称です。

一般的に外出血とは、血管の外に血液が流出した状態を指します。内出血は、体内の細胞や臓器から血液が流出した状態を指します。止血剤により、外出血を止めるには、出血した箇所から心臓に近い方向に5センチから8センチほど離れた箇所を止血帯(ターニケット)で巻く方法や包帯で出血箇所を巻く方法などがあります。そのほかにも出血箇所を布などで直接押さえる方法もあります。

内出血の場合は、薬剤を内服したり、点滴を行うことで出血を止める方法などがあります。出血した箇所によっては、その場での止血が困難となるため、状況により、適切な判断が必要です。

止血剤の使用用途

止血剤は、出血の種類によって、止血方法が異なります。出血の種類には、大別して2種類がありますが、さらに細分化することができます。

外出血には、動脈性出血や静脈性出血、毛細血管出血があります。

  • 動脈性出血
    血液の色が鮮紅色で拍動に合わせて勢いよく出血します。血液を流出する速度がとても速いため、いち早く対応しなくてはなりません。このタイプの出血には、一般的に直接圧迫止血法や止血帯止血法による止血方法が有効です。直接圧迫止血法では、血液が直接触れないようにゴム手袋などを使用して、出血箇所を布や包帯で直接圧迫します。
  • 静脈性出血
    血液の色が暗赤色で持続的に血液が流出します。一般的には動脈性出血と同様の方法により、止血を行います。細い静脈からの出血であれば、直接圧迫止血法のみで止血が可能です。
  • 毛細血管出血
    出血箇所から血がにじむ程度の出血量です。通常は、自然に止まりますが、包帯などを使用して保護することにより、衛生的に保つことができます。
  • 内出血
    さまざまな種類がありますが、一例として消化管出血が挙げられます。食道や胃、腸などからの出血です。止血方法は、内視鏡による止血法が一般的です。

止血剤の原理

止血剤は、血液の流出を防ぐために行いますが、直接圧迫止血法によって、止血する場合には、布などで圧迫する方法が一般的です。そのほかにも止血法帯による止血方法も効果的です。止血包帯には、キトサンなどが主成分として含まれており、赤血球にキトサンが結合することで、血餅が形成されて血栓をつくることなく止血します。

止血帯止血法による止血方法では、主に直接圧迫止血法で止血することができない量の血液を止血するために行われます。一般的には、帯状のものを使用して、血流をせき止めることで止血します。

この方法は、片手で行うことが難しく、1人で止血することができない場合があります。その場合には、ターニケットと呼ばれる専用の止血帯を活用することで止血することができます。ターニケットには、ロッドと呼ばれるバーが付属しており、これを回すことにより、バンドを締め上げて血流をせき止めます。また、ロッド式のほかにダイヤル式のタイプのものも販売されています。

このほかの止血剤による止血法には、外科的な処置として内視鏡を使用する方法などもあります。例えば局注法や機械的止血法、熱凝固法、薬剤散布法などが挙げられます。

  • 局注法
    薬剤を注入することで血管を固めます。注入する薬剤には、純エタノールや食塩水などがあります。
  • 機械的止血法
    クリップやゴム製のリングを出血箇所にかけることで止血を行います。
  • 熱凝固法
    出血箇所を焼灼したり、プラズマビームによって止血を行います。
  • 薬剤散布法
    トロンビン液やアルギン酸ナトリウム粉末などを出血箇所に散布したり、噴霧することで止血します。

火傷冷却ジェル

火傷冷却ジェルとは

火傷冷却ジェルは、水をベースに組成されたジェルです。火傷により損傷した皮膚から熱を早急に放出する目的で使用されます。

火傷は、過度な熱が人体に作用することにより、組織が破壊されて生じる外傷です。人の体は、体内から熱を逃さないように皮膚で覆われており、過度な熱にさらされると、一時的に熱の放出が追いつかず、組織の損傷が続いてしまいます。

通常は、冷水などにより、皮膚をすみやかに冷やすことが大切ですが、熱傷により傷ついた創面下では、細菌感染などの2次的な被害を防止しなければなりません。

火傷冷却ジェルは、菌を抑える働きを有していたり、人体に対して無害な成分でつくられているため、傷ついた皮膚の保護はもちろんこと、細菌感染を防ぐことにも効果的です。

火傷冷却ジェルの使用用途

火傷冷却ジェルは、一般消費者から医療従事者までの幅広い利用者に使用されています。

一般生活においては、手のひらを火傷した場合は、火傷冷却ジェルを損傷面へ塗布することで、火傷の悪化を防ぐことができます。また、ジェルは、皮膚温度を安定化させて細菌感染も防ぐため、清潔な状態を保ったまま病院に向かうことが可能となります。こうした日常生活用の火傷冷却ジェルは、少量のボトルタイプやパウチタイプ、もしくはハサミなどが同梱された救急キットなどが販売されています。

そのほかにも工業や飲食業などの産業用途向けに大きな創面を保護できるドレッシングタイプの火傷冷却ジェルやブランケットタイプの火傷冷却ジェルも販売されています。

さらに、火傷冷却ジェルは、救急車にも搭載されており、顔用のフェイスシートなども利用されています。

火傷冷却ジェルの原理

火傷冷却ジェルは、粘度のある液体で水を基材に用いた製品が一般的です。火傷は、細菌感染にも留意する必要があるため、屋外での使用においても減菌処理された火傷冷却ジェルはとても効果的です。

また、火傷の応急処置では、冷やしすぎによる損傷部の低体温化にも注意しなければなりません。火傷冷却ジェルを使用することにより、患部の冷やしすぎを防ぐことができます。

一般的に火傷冷却ジェルは、創面被覆材として利用され、損傷した皮膚を保護します。制菌成分を含んだ製品も販売されていて、皮膚に塗布した後でも損傷部への細菌の侵入を防ぐことができます。

火傷による皮膚の損傷を早期に回復させるためには、患部の熱をいち早く正常時の皮膚温度に戻すことが大切であり、損傷部位を湿潤させることも重要です。

火傷により、皮膚細胞が破壊されると、熱傷深度にもよりますが、皮膚のバリア機能が破壊されたことで、周辺の皮膚細胞は、乾燥によって死滅してしまいます。通常、皮膚内部は、湿潤環境を保っており、細胞は乾燥環境下では生きられません。

火傷冷却ジェルは、湿潤環境を保つことにも効果的で、ジェルが皮膚の温度を吸収し、体外へ熱を放出します。

ミッション

ミッションとはミッション

ミッションとは、自動車に搭載されている変速機のことです。ミッションは略語で、正式名称は、トランスミッションです。トランスミッションは、主に2種類存在し、それぞれ、マニュアルトランスミッション(MT)とオートマチックトランスミッション(AT)と呼ばれます。

マニュアルトランスミッションが搭載されている自動車では、運転者が自ら、手動でギアを入れ替えて、操作する必要があります。このようにマニュアルトランスミッションが搭載されている自動車をMT車、あるいは、マニュアル車と呼びます。

マニュアル車に対して、オートマチックトランスミッションが搭載され、自動でギアチェンジを行う車のことをオートマチック車と呼びます。現在、日本ではオートマチック車が主流になっており、日本で新車登録されているオートマチック車の割合は、全体の約98%とも言われています。

ミッションの使用用途

ミッションの使用用途として、エンジンから出力される駆動力をタイヤへと伝えるために使用されます。ミッションは、自動車の速度や道路の状況に応じて、ギアを変換することで、エンジンに負担をかけずに、燃費よく、自動車を走らせることができます。

具体的には、上り坂を走行する際には、ミッションを低速ギアに切り替えることで、回転数を落とします。これにより、自動車は力強く坂を登ることができます。

一方で、平坦な道路を走行する際には、高速ギアに変換して、速く、そしてスムーズに走行することができます。

ミッションの原理・特徴

上記の通り、ミッションには、オートマチックトランスミッションとマニュアルトランスミッションの2種類があります。ここでは、それぞれの原理・特徴について説明します。

マニュアルトランスミッションを搭載した自動車には、クラッチペダルが備え付けられています。マニュアル車で、ギアチェンジを行う際には、このクラッチペダルを利用します。具体的には、クラッチペダルを踏むことで、エンジンとトランスミッションの間の伝達が遮断されて、エンジンの駆動力が、トランスミッションに伝わらなくなります。この状態の時に、手動で変速操作を行い、ギアをチェンジします。その後で、再度、クラッチペダルを戻すことで、遮断されていたエンジンとトランスミッションの伝達が回復し、エンジンからトランスミッションを介して、車輪に動力が伝わるようになります。

オートマチック車にも、変速ギアが備え付けられていますが、マニュアル車に備え付けられているクラッチペダルはありません。オートマチック車は、速度、エンジン回転数、アクセルなどに合わせて、最適なギアを選択し、自動的にギアチェンジをすることができます。オートマチック車は、クラッチペダルを使って、エンジンとトランスミッション間の伝達を遮断しなくても、ギアチェンジをすることが出来ます。オートマチック車は、トルクコンバーターという装置があり、この装置が、クラッチのかわりに、エンジンの駆動力をトランスミッションに伝達する役割を担います。

自動車ブレーキ

自動車ブレーキとは自動車ブレーキ

自動車ブレーキとは、自動車を減速させるため、または停止させるために使われる装置のことです。

自動車のブレーキは足でペダルを踏み込むことにより作動させるため、フットブレーキとも呼ばれます。自動車ブレーキは、主にディスクブレーキとドラムブレーキの2種類に区別されます。

自動車では、この2種類のブレーキのいずれか1つ、または両方を組み合わせる形で使用されています。昔はディスクブレーキは高級車向けの装備でしたが、現在ではディスクブレーキが一般的です。

自動車ブレーキの使用用途

自動車ブレーキは、自動車を減速させたり、停止させたりするために使用されます。運転者が足元のフットブレーキを踏むことで、自動車ブレーキは作動します。

自動車ブレーキを作動させるための操作自体は、足でフットブレーキを踏むだけなので、非常に簡単です。しかし、いきなりフットブレーキを踏み込むと急ブレーキがかかってしまうため注意が必要です。

自動車ブレーキを使用してスムーズに自動車を減速・停止させるコツは、まずは足のかかとをつかずに足の指でゆっくりブレーキを踏むことです。自動車が減速してきたら、自動車を停止させる直前にブレーキを少し緩めて、最後にしっかり踏み込みます。これにより、自動車ブレーキを使い、スムーズに減速・停止させることができます。

自動車ブレーキの原理

フットペダルを踏むことで、車のブレーキシステム内にあるブレーキフルードに圧力がかかります。この油圧が自動車のタイヤ部分にあるブレーキに伝わり、ブレーキが作動します。自動車のブレーキには以下の2種類があり、それぞれ原理が異なります。

1. ディスクブレーキ

ディスクブレーキは、自動車走行中に車輪と一緒に回転するディスクローターとブレーキパッドという2種類の部品を用いて、自動車の運動エネルギーを熱エネルギーに変換します。具体的には、ブレーキをかけると、ブレーキパッドが車輪に伴って回転するディスクローターを挟み込みます。

このディスクローターとブレーキパッドの摩擦により、運動エネルギーを熱エネルギーに変換させ、自動車を減速・停止させることが可能です。以前、ディスクローターは1枚板タイプのソリッドディスクが主流でしたが、最近はベンチレーテッドディスクというブレーキローター内部に通気路を設けたブレーキが主流になっています。

この通気路により、ブレーキローターに発生する熱を効率的に放出できるため、高速走行時や長時間のブレーキング時などに威力を発揮します。

2. ドラムブレーキ

ドラムブレーキは、車輪と一緒に回転するドラムとその内部にあるブレーキシューという部品を使って自動車を減速・停止させます。具体的には、ブレーキをかけると、ドラムの内側にあるブレーキシューが内側から外側に向かって押し付けられます。

これにより、自動車の運動エネルギーを摩擦熱の熱エネルギーに変換して、自動車を減速・停止させることが可能です。ディスクブレーキに比べて制動力は劣りますが、低コストで製造できるため、一部の車種で使用されています。

自動車ブレーキのその他情報

1. サイドブレーキ

自動車ブレーキとしては、自動車を減速させて停止させるブレーキの他にも、停車中の車両を固定するためのブレーキもあります。ハンドブレーキとも呼ばれ、車両の床下にあるワイヤーやケーブルを介して、車両の後輪に接続されたブレーキドラムまたはディスクブレーキを操作します。

近年の自動車には、電子制御のサイドブレーキが採用されることもあります。これらのシステムは、ボタンやスイッチで操作され、車両のECU (電子制御ユニット) が制御します。電子制御のサイドブレーキは、よりスムーズな操作と高度な機能性を提供し、安全性と快適性を向上させることが可能です。

2. 自動ブレーキシステム

自動ブレーキシステム (Automatic Emergency Braking System, AEB) は、車両が前方の障害物や歩行者などに接近した場合に自動的にブレーキをかけて、事故を防止するシステムです。AEBは、車速や周囲の状況をセンサーで検知し、運転者が危険を認識する前に事故を防止することができます。

一般的に、AEBはレーダー、カメラ、超音波センサーなどを組み合わせて使用されます。これらのセンサーは、前方の障害物や歩行者を検知し、距離や速度などの情報を収集します。その情報をもとに、AEBシステムは危険を検知すると、運転手に警告を発したり、自動的にブレーキをかけたりします。

なお、AEBはあくまで補助システムであり、運転者の注意が必要です。AEBが作動すると、自動車の速度が急激に低下することがあるため、後続車両に対する危険も考慮する必要があります。

自動車ヘッドライト

自動車ヘッドライトとは自動車ヘッドライト

自動車ヘッドライトとは、自動車前方の左右にあるライトのことです。自動車ヘッドライトは、前照灯やヘッドランプとも呼ばれます。

自動車ヘッドライトの役割は、2つあります。自動車ヘッドライトの1つ目の役割は、運転する人が前方の進路や進行状況を見やすくするための役割です。自動車ヘッドライトの2つ目の役割としては、自動車の周辺にいる人たちに自動車がその近くにいることを知らせるための役割です。これら2つの自動車ヘッドライトの役割で運転手やその周囲の安全性を向上させます。

自動車ヘッドライトの使用用途

自動車ヘッドライトの使用用途としては、上記したように、自動車前方に強い光を放つことで、運転手そして周囲の安全性を向上させるために使われます。

自動車ヘッドライトは、自動車のライトのなかで最も強い光を放ちます。自動車ヘッドライトは、照射距離を2段階に変えることにより調節が可能です。1つ目はロービームと呼ばれる照射方法で、自動車の約40m先まで光を照らすことができます。2つ目は、ハイビームと呼ばれる方法で、こちらは、自動車の前方の約100m先まで光を照らすことができます。

自動車ヘッドライトの原理・特徴

自動車ヘッドライトの原理・特徴として、自動車ヘッドライトには、主にハロゲンランプ、HID、そして、LEDと3種類の光源が使用されています。

ハロゲンランプは、HIDが普及するまでの間(平成以前)、自動車ヘッドライトの主要な光源でした。ハロゲンランプを自動車ヘッドライトに使用するメリットとしては、HIDやLEDに比べて、淡い光を発するために、自動車の周囲が眩しさを感じることが少なく、歩行者や対向車などに比較的優しい自動車ヘッドライトであるということができます。ハロゲンランプのデメリットとしては、消費電力がHIDやLEDに比べると大きいということが挙げられます。また、ハロゲンランプは、寿命が短く、自動車ヘッドライトの交換頻度が早くなってしまうというデメリットも挙げられます。

HIDは、アーク放電で光を照射するタイプの自動車ヘッドライト光源です。HIDは、ハロゲンランプのようなフィラメントがありません。HIDを自動車ヘッドライト光源として使用するメリットとして、非常に明るい光を得ることができる点が挙げられます。HIDは、上記した3種類の自動車ヘッドライト光源のなかで、最も強い光源であることが知られています。HIDのデメリットとしては、自動車ヘッドライトを点灯させてから、最高光量を得るまでに多少時間(5-10秒程)がかかってしまうことが挙げられます。

LEDは、ここ最近10年ほどで急速に普及し始めた自動車ヘッドライトの光源です。LEDは、発光ダイオードを使用したライトです。LEDを自動車ヘッドライト光源に使用する最大のメリットは、その寿命の長さです。LEDの寿命は、(使用状況にもよりますが)、約30,000時間と言われています。このため、LEDを搭載した自動車を新車で購入してから、その車を手放すまでに、1回も自動車ヘッドライトを交換せずに運転することができる可能性さえあります。自動車ヘッドライト光源としてのLEDのデメリットは、あまりありません。そのため、今後、LEDが主流の自動車ヘッドライト光源になることが予想されます。

ヘッドライトのその他情報

車載ヘッドライトの特徴

車載ヘッドライトは、車載しているライトの中で最も強い光を放つことが特徴です。ロービームでは前方約40mまで、ハイビームでは前方約100mまで照射可能です。この2つの前照灯を使い分けることで、暗い場所でも安全に運転をすることができます。

夜間やトンネルなど、暗い道を運転する際に使用します。一般的にはハンドルの右側のウィンカーレバーの先端を回すことで照射できます。一時的にハイビームを点灯し、自車の存在を示す『パッシング』にも活用されます。

鏡を内蔵するリフレクターヘッドライトと、レンズを内蔵するプロジェクターヘッドライトの2種類が存在します。プロジェクターヘッドライトはリフレクターヘッドライトの1/3程度に小型化できる点が特徴で、近年多く採用されています。どちらのタイプも反射板やレンズで光を拡散することで強い光を発しています。

光源にはHIDとLEDの2種類があり、近年ではLEDが主流です。LEDはHIDに比べ発熱量が少ないものの、寿命が長いことが特徴です。ヘッドライトが切れていると整備不良となるため、定期的に点検することが重要です。

遮光シート

遮光シートとは

遮光シート

遮光シートとは、その名の通り光を遮るフィルム資材のことです。

POフィルムなどでできているため、遮光フィルムと呼ぶこともあります。ビニールハウスや畑で遮光シートを使用することで、農作物への直射日光を避けられます。

また、遮光シートは、畑の土壌や植物を高温から守り、水分の蒸発を防ぐこともできます。

遮光シートの使用用途

1. 農作物を守る

遮光シートは、主にビニールハウスに取り付けて直射日光による室温上昇を防ぎ、農作物を守るために使います。遮光シートで光や温度、湿度をコントロールし、農作物や花などの健全な生育を促進することが可能です。

また、遮光シートは、主に強い光を好まない農作物に多用されており、例えば、セリ・ミョウガ・キノコ類などが代表的です。水稲育苗期においても、直射日光や室温上昇を抑えたいときに使用されます。

2. 農作業員を守る

遮光シートを作業場に取り付けることで、日射による輻射熱を抑制し、農作業員の熱中症や体調不良予防にも役立ちます。

遮熱も兼ねた遮光シートには熱を室内側に反射させる特性があるので、作業場での寒さ対策にも有効です。

遮光シートの特徴

長所

遮光シートの長所は、人工的に直射日光や温度から農作物などを守れることです。また、白ネギに代表されるように、土寄せの代わりに遮光シートを取り付けることで土がつきにくく、出荷時の品質向上にもつながります。

さらに、農作物を野外保存する際にカバーとして利用すれば、雨水やホコリ、日射による輻射熱などの悪影響から守ることもできます。

短所

遮光シートの短所は、使用するタイミングを間違えると、生育不良を起しかねないことです。また、通気性の悪さや蒸れによる病気の発生を起こす可能性や、徒長することも短所として挙げられます。

ほうれん草の遮光栽培では、栄養成分の含有量が減少し、硝酸などの味を落とす有害成分が増加することがわかっています。

遮光シートの種類

農業で活用される遮光シートには、直射日光や熱を守るタイプのほか、アルミ箔を使用した遮熱効果を兼ね備えるタイプ、カーテン状になっているタイプもあります。暑さに弱いレタスやキノコ、寒さに弱いキュウリなどの夏野菜にはアルミ箔による遮熱効果があるシートが向いています。

室内の窓ガラスに貼って直射日光よけができる遮光シートが通販などで販売されていますが、農業用の遮光シートとはまったく違う製品です。農業用の遮光シートを選びましょう。

遮光シートの使い方

代表的な農作物による遮光シートの使い方は、以下のとおりです。

1. 白ネギ

白ネギの草丈が約80cm、白い部分=葉鞘 (ようしょう) 径が15mmほどに生育し、収穫の1~2カ月前のタイミングで遮光シートを施します。遮光シートを固定する高さを調節することで、軟白部の長さ調整も可能です。

2. キノコ類

キノコ類はカビなどと同じ菌類の仲間で光合成を行わないため、一般的に暗所を好みます。そのため、キノコの埋め込み時からすぐに遮光シートを設置します。

寒い場所でのキノコ栽培では、遮光シートをかけて保温するとよいですが、設置状況によっては加湿度・過乾燥・温度上昇を起こすことがあるので注意が必要です。

3. トマト

本来、トマトは光を必要とする野菜ですが、太陽光が強すぎたり雨にあたったりした際に、トマトの実に放射状裂果が発生することがあります。

また、ビニールハウスでトマトを育てる際、夏季の気温上昇がトマトに悪影響を及ぼすケースも見られます。トマトを栽培する場合は、夏季に遮光シートを使用するとよいでしょう。

遮光シートのその他情報

1. 遮光シートを利用する際の注意点

遮光シートは便利ではあるものの、遮光を要しない季節になっても取り外さずにいると、ハウス内の温度低下や光量不足を起こし、農作物に悪影響を与えかねません。特に夏野菜の光量低下や温度低下は色づきが悪くなったり品質が下がったりする恐れがあるので、不要な時期は取り外すことが大切です。

2. 遮光率について

遮光シートを使用する際は、太陽光を遮る割合を表す「遮光率」についても理解しておく必要があります。遮光シートには、遮光率40%ぐらいのタイプから、90%以上の遮光率をもつタイプまで種類は幅広いです。

遮光シートを用いて太陽光を遮る場合は、必ず遮光率を確認し、栽培対象に適した製品を選択しましょう。