遮光シートとは
遮光シートとは、その名の通り光を遮るフィルム資材のことです。
POフィルムなどでできているため、遮光フィルムと呼ぶこともあります。ビニールハウスや畑で遮光シートを使用することで、農作物への直射日光を避けられます。
また、遮光シートは、畑の土壌や植物を高温から守り、水分の蒸発を防ぐこともできます。
遮光シートの使用用途
1. 農作物を守る
遮光シートは、主にビニールハウスに取り付けて直射日光による室温上昇を防ぎ、農作物を守るために使います。遮光シートで光や温度、湿度をコントロールし、農作物や花などの健全な生育を促進することが可能です。
また、遮光シートは、主に強い光を好まない農作物に多用されており、例えば、セリ・ミョウガ・キノコ類などが代表的です。水稲育苗期においても、直射日光や室温上昇を抑えたいときに使用されます。
2. 農作業員を守る
遮光シートを作業場に取り付けることで、日射による輻射熱を抑制し、農作業員の熱中症や体調不良予防にも役立ちます。
遮熱も兼ねた遮光シートには熱を室内側に反射させる特性があるので、作業場での寒さ対策にも有効です。
遮光シートの特徴
長所
遮光シートの長所は、人工的に直射日光や温度から農作物などを守れることです。また、白ネギに代表されるように、土寄せの代わりに遮光シートを取り付けることで土がつきにくく、出荷時の品質向上にもつながります。
さらに、農作物を野外保存する際にカバーとして利用すれば、雨水やホコリ、日射による輻射熱などの悪影響から守ることもできます。
短所
遮光シートの短所は、使用するタイミングを間違えると、生育不良を起しかねないことです。また、通気性の悪さや蒸れによる病気の発生を起こす可能性や、徒長することも短所として挙げられます。
ほうれん草の遮光栽培では、栄養成分の含有量が減少し、硝酸などの味を落とす有害成分が増加することがわかっています。
遮光シートの種類
農業で活用される遮光シートには、直射日光や熱を守るタイプのほか、アルミ箔を使用した遮熱効果を兼ね備えるタイプ、カーテン状になっているタイプもあります。暑さに弱いレタスやキノコ、寒さに弱いキュウリなどの夏野菜にはアルミ箔による遮熱効果があるシートが向いています。
室内の窓ガラスに貼って直射日光よけができる遮光シートが通販などで販売されていますが、農業用の遮光シートとはまったく違う製品です。農業用の遮光シートを選びましょう。
遮光シートの使い方
代表的な農作物による遮光シートの使い方は、以下のとおりです。
1. 白ネギ
白ネギの草丈が約80cm、白い部分=葉鞘 (ようしょう) 径が15mmほどに生育し、収穫の1~2カ月前のタイミングで遮光シートを施します。遮光シートを固定する高さを調節することで、軟白部の長さ調整も可能です。
2. キノコ類
キノコ類はカビなどと同じ菌類の仲間で光合成を行わないため、一般的に暗所を好みます。そのため、キノコの埋め込み時からすぐに遮光シートを設置します。
寒い場所でのキノコ栽培では、遮光シートをかけて保温するとよいですが、設置状況によっては加湿度・過乾燥・温度上昇を起こすことがあるので注意が必要です。
3. トマト
本来、トマトは光を必要とする野菜ですが、太陽光が強すぎたり雨にあたったりした際に、トマトの実に放射状裂果が発生することがあります。
また、ビニールハウスでトマトを育てる際、夏季の気温上昇がトマトに悪影響を及ぼすケースも見られます。トマトを栽培する場合は、夏季に遮光シートを使用するとよいでしょう。
遮光シートのその他情報
1. 遮光シートを利用する際の注意点
遮光シートは便利ではあるものの、遮光を要しない季節になっても取り外さずにいると、ハウス内の温度低下や光量不足を起こし、農作物に悪影響を与えかねません。特に夏野菜の光量低下や温度低下は色づきが悪くなったり品質が下がったりする恐れがあるので、不要な時期は取り外すことが大切です。
2. 遮光率について
遮光シートを使用する際は、太陽光を遮る割合を表す「遮光率」についても理解しておく必要があります。遮光シートには、遮光率40%ぐらいのタイプから、90%以上の遮光率をもつタイプまで種類は幅広いです。
遮光シートを用いて太陽光を遮る場合は、必ず遮光率を確認し、栽培対象に適した製品を選択しましょう。