火傷冷却ジェルとは
火傷冷却ジェルは、水をベースに組成されたジェルです。火傷により損傷した皮膚から熱を早急に放出する目的で使用されます。
火傷は、過度な熱が人体に作用することにより、組織が破壊されて生じる外傷です。人の体は、体内から熱を逃さないように皮膚で覆われており、過度な熱にさらされると、一時的に熱の放出が追いつかず、組織の損傷が続いてしまいます。
通常は、冷水などにより、皮膚をすみやかに冷やすことが大切ですが、熱傷により傷ついた創面下では、細菌感染などの2次的な被害を防止しなければなりません。
火傷冷却ジェルは、菌を抑える働きを有していたり、人体に対して無害な成分でつくられているため、傷ついた皮膚の保護はもちろんこと、細菌感染を防ぐことにも効果的です。
火傷冷却ジェルの使用用途
火傷冷却ジェルは、一般消費者から医療従事者までの幅広い利用者に使用されています。
一般生活においては、手のひらを火傷した場合は、火傷冷却ジェルを損傷面へ塗布することで、火傷の悪化を防ぐことができます。また、ジェルは、皮膚温度を安定化させて細菌感染も防ぐため、清潔な状態を保ったまま病院に向かうことが可能となります。こうした日常生活用の火傷冷却ジェルは、少量のボトルタイプやパウチタイプ、もしくはハサミなどが同梱された救急キットなどが販売されています。
そのほかにも工業や飲食業などの産業用途向けに大きな創面を保護できるドレッシングタイプの火傷冷却ジェルやブランケットタイプの火傷冷却ジェルも販売されています。
さらに、火傷冷却ジェルは、救急車にも搭載されており、顔用のフェイスシートなども利用されています。
火傷冷却ジェルの原理
火傷冷却ジェルは、粘度のある液体で水を基材に用いた製品が一般的です。火傷は、細菌感染にも留意する必要があるため、屋外での使用においても減菌処理された火傷冷却ジェルはとても効果的です。
また、火傷の応急処置では、冷やしすぎによる損傷部の低体温化にも注意しなければなりません。火傷冷却ジェルを使用することにより、患部の冷やしすぎを防ぐことができます。
一般的に火傷冷却ジェルは、創面被覆材として利用され、損傷した皮膚を保護します。制菌成分を含んだ製品も販売されていて、皮膚に塗布した後でも損傷部への細菌の侵入を防ぐことができます。
火傷による皮膚の損傷を早期に回復させるためには、患部の熱をいち早く正常時の皮膚温度に戻すことが大切であり、損傷部位を湿潤させることも重要です。
火傷により、皮膚細胞が破壊されると、熱傷深度にもよりますが、皮膚のバリア機能が破壊されたことで、周辺の皮膚細胞は、乾燥によって死滅してしまいます。通常、皮膚内部は、湿潤環境を保っており、細胞は乾燥環境下では生きられません。
火傷冷却ジェルは、湿潤環境を保つことにも効果的で、ジェルが皮膚の温度を吸収し、体外へ熱を放出します。