自動車マフラーとは
自動車マフラーとは、自動車の後方に存在しエンジンの排気を大気に放出する際に排気ガスを浄化したりする機能を持った部品です。
主な役割は、自動車からの排出ガスを触媒を通すことで浄化したり、エンジンから排出される排気ガスの排気音を低減させることです。
自動車マフラーは、一般的には自動車の後方下部からマフラーエンドが見える程度なため、自動車を後方から見た際のデザインに少々影響するくらいで自動車マフラーがどのような機能を持っているか見る機会は少ないです。
しかし、エンジンが動力を得るために燃料を燃焼させる際に発生する有害ガスを無害化して大気へ放出するなど、主に環境への側面で重要な作用があるため自動車マフラーは部品点数も多く複雑な構成をしています。
また、ガソリンが燃焼する際の音を低減させる方式の違いによって名前が異なっている特徴もあります。
自動車マフラーの使用用途
自動車マフラーは、エンジンの排気音の低減や燃焼後にエンジンから排出される有害ガスを抑える目的で全ての自動車に搭載されています。
エンジンの排気効率に大きな影響を与える部品のため、マフラーの構造から排気ガスの抜けが悪い場合は低速時のトルクが若干増し、逆にエンジンの高回転時には排気効率が悪いため加速が鈍くなるといった効果を得られます。
自動車マフラーを社外品のものへ交換することによって、排気ガスの抜けやすさや排気音の変化および見た目のドレスアップ効果といった違いを手軽に楽しむことができますが、排気音の部分では車検を行う際に厳しい基準が定められており、「近接排気騒音」の保安基準を満たす製品を使用していない場合は道路運送車両法に違反する可能性があります。
車検時の近接排気騒音測定方法は、自動車マフラーの出口から50cmの位置に測定器を置き、平成11年以降に初年度登録をされた自動車の場合は96db (軽自動車の場合は97db) 以下であることが保安基準となっています。保安基準は車検を受ける自動車の初年度登録日によって条件が変わるため、年式が古い自動車の場合は注意が必要です。
自動車マフラーが純正品以外の状態では車検の際に必ず確認される項目のため、交換当初は大丈夫であっても使用による経年劣化で数年後に保安基準不適合となる可能性もあるため注意が必要です。
自動車マフラーの原理
自動車マフラーは大きく以下の部品に分かれています。ここではターボ非搭載車の場合のみ紹介します。
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- エキゾーストマニホールド
- エキゾーストパイプ
- O2センサー/高温センサー
- サブマフラー
- 触媒 (キャタライザー)
- メインマフラー
1. エキゾーストマニホールド
自動車マフラーの中で最もエンジンに近い部分です。エンジンの各気筒から排気ガスを集める役割を担っています。
2. エキゾーストパイプ
エンジンから排出された高温の排気ガスを通すためのパイプです。
3. O2センサー/高温センサー
排気ガス中の酸素濃度や排気温度を測定する各種センサー類です。O2センサーを利用して、ガソリンと空気のバランスを調節することで省燃費に貢献したり、ドライバーへ触媒の異常を警告灯で伝えるといった役割があります。
4. サブマフラー
消音を行うために用意されたサブのマフラーです。消音は主にメインマフラーで行いますが、厳しい保安基準に適合するためにメインマフラーを補う形で用いられています。
5. 触媒 (キャタライザー)
触媒を通すことで排気ガスを大気に放出しても無害な状態にします。触媒には三元触媒が用いられており、内部にはロジウム・白金・パラジウムが使用されています。触媒の効果は、窒素化合物を窒素へ、炭化水素を水へ、一酸化炭素を二酸化炭素へそれぞれ化学変化させ有害物質を無害な物質へと変えています。
6. メインマフラー
メインマフラーは一般的に「タイコ」や「サイレンサー」と呼ばれています。主な機能は消音です。
このように、自動車マフラーだけでも、燃費の向上、有害排気ガスの無害化、消音など多くの役割を担っています。自動車マフラーを変更することで、これらの項目に影響を及ぼす可能性がありますので、必ず車検に適合する商品を選ぶことが大切です。