反射防止フィルムとは
反射防止フィルムは、ディスプレイに外部光などが映り込むのを防ぐための光学フィルムです。
室内では、蛍光灯などの照明がディスプレイに映り込み、室外では、太陽光がディスプレイに映り込むことで表示されている情報が読みづらくなってしまいます。
こういった問題を解消するのが反射防止フィルムで、近年では、スマートフォンなどのデジタル機器が普及したことにより、反射防止フィルムが欠かせないものとなりました。
反射防止フィルムの使用用途
反射防止フィルムは、その多くがパソコンやタブレット端末などに使用されていて、一般消費者にとってもなじみが深い製品だといえます。
昨今では、ゲーム用のポータブルデバイスなども普及しており、外出時においても映り込みを防止できることから反射防止フィルムが使用されています。
また、反射防止フィルムは、産業用途としても活用されています。例えば産業用ディスプレイやカーナビのディスプレイなどが挙げられます。
産業用のディスプレイでは、カメラ機能が付属した測量機などに使用され、太陽光が直接入射する環境でも光の反射を抑えることで正確な測量を可能としています。
一方で、カーナビのディスプレイに反射防止フィルムを使用する場合には注意が必要です。理由としては、反射防止フィルムの機能特性が挙げられます。
アンチリフレクション処理を施した反射防止フィルムには、角度依存性があり、反射光を抑制する特性に優れていますが、反射光の色を変化させてしまいます。
したがって、ディスプレイを見る角度によっては、赤みを強く認識してしまう可能性があるため、対策品の使用を推奨しています。
反射防止フィルムの原理
反射防止フィルムには、画面への映り込みを防止する方法として、一般的に2つの処理方法があります。それは「アンチグレア:Anti Glare (AG) 処理」と「アンチリフレクション:Anti Reflection (AR) 処理」です。
アンチグレア処理について
ベースとなるフィルムに樹脂などをコーティングすることで、表面に凹凸を形成し、入射した光をあらゆる方向に散乱する仕組みの処理方法です。
アンチリフレクション処理について
ベースとなるフィルムに分散液をコーティングすることで、光の位相を調整し、見ている人の目に届く反射光を低減する仕組みの処理方法です。
そのほかの処理方法について
反射防止フィルムの処理方法には、2つの種類がありましたが、なかでもアンチリフレクション処理にはいくつかの処理方法があります。
まず、大区分としてアンチリフレクション処理には、ドライコーティングとウェットコーティングによる処理方法があります。
そして、ドライコーティングには、中区分として真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法があり、真空蒸着法には、小区分としてEB法(電子銃)や抵抗加熱法、イオンプレーティング法があります。
また、スパッタリング法には、DC法やRF法、AC法、パルスDC法があり、CVD法には、常圧法や減圧法があります。
次に、ウェットコーティングによる処理方法ですが、この区分のなかには、ゾルゲル法や塗布法があります。
ゾルゲル法には、スプレーやスピンコート、ディッピングなどの処理方法があり、塗布法には、グラビアコートやダイコート、ロールコートなどの処理方法があります。