セメント瓦

セメント瓦とは

セメント瓦

セメント瓦とは、セメントで作られた屋根材の瓦 (かわら) のことです。

従来屋根瓦には陶器で作られた和瓦が使われていましたが、需要が急増し生産が追い付かなくなった時期に、安価にできる瓦としてセメント瓦が作られました。しかし現在では、セメント瓦は割れやすく重いため新規に使われることはほとんどありません。セメント瓦が使われていた家屋では、リフォーム時に他の屋根材に置換えとなる場合が多いです。

セメント瓦の使用用途

1970年代前後の高度成長期にセメント瓦は、急激な住宅需要増加で使われました。現在ではもっと安価で高耐久性の屋根材もできており、新規での使用はほとんどないと言われています。ただし多種多様なデザインのセメント瓦が精度よく作れて耐火性にも優れるため、まだ使われるケースも稀にあります。

セメント瓦には吸水性があるため、防水処理が必要で、衝撃に弱いため、定期的なメンテナンスが重要です。築40〜50年の家屋で、セメント瓦を活かしつつ維持する需要もあり、いくつかの処理方法も考えられています。

セメント瓦の種類

1. プレスセメント瓦

プレスセメント瓦は川砂とセメントを水に混ぜて成形し、圧力をかけて固めます。圧力によって密度が上昇して屋根材としての強度が増します。厚形スレート瓦とも呼ばれ、反りなどの狂いがなく施工しやすいです。日本では主に四国地方や九州地方で用いられ、加圧成型後は高耐久の塗料によって着色されます。

2. コンクリート瓦

コンクリート瓦の製造方法は他のセメント瓦とほとんど同じです。主成分はモルタルでセメントの配合が少ないです。平たい長方形の場合が多く、屋根に葺くとシャープな見た目になります。現在では需要がなく製造されていません。

3. モニエル瓦

モニエル瓦は乾式洋瓦とも呼ばれますが、現在では廃盤になったため、入手が困難です。凹凸があり、防水性を高めるため、コンクリートの基材上に着色スラリーを厚く塗布しています。高圧洗浄によってスラリー層を除去して、塗装し直す必要があります。

セメント瓦の構造

屋根全体に葺く瓦の形状には、和瓦、平面瓦、スパニッシュ瓦の3種類があります。

1. 和瓦

一般的な瓦の形状はJ型とも呼ばれ、波を打ったようなカーブを有する和瓦です。カーブの部分に空気が含まれるため保温性に優れており、適度に湿気が蒸発するため換気に優れています。夏は湿度が高く、冬の寒さが厳しい日本の気候に適しています。

2. 平面瓦

平板瓦やF型はフラットな形状の瓦です。洋風建築に使われる場合が多いです。見た目がすっきりして屋根が広く見えます。太陽光発電の蓄電池部分にもなじみ、太陽光発電システムの導入にも適しています。

3. スパニッシュ瓦

和瓦よりも大きく波打っている形状が、スパニッシュ瓦です。S型とも呼ばれ、南欧風の風合いが強く洋風家屋によく合います。和瓦と同じく波を打った部分に空気を含んでいるため、通気性や保温性が高いです。

セメント瓦の選び方

セメント瓦のメリットは耐火性に優れ、デザインが豊富な点です。セメント瓦は川砂やセメントで作られており、燃えにくく、耐火性に優れています。火事の際には住宅が燃え広がる速度を緩めます。セメント瓦には和風や洋風のデザインがあり、カラーや形状も豊富です。そのためおしゃれな屋根に仕上げるために適しています。

セメント瓦にはデメリットもあり、ヒビ割れしやすく衝撃に弱いです。セメント瓦が割れると雨漏りの原因になり、早めに補修する必要があります。台風の後にはセメント瓦が飛来物で破損していないか確認が必要です。

表面を塗装しているセメント瓦は、瓦の耐久年数に関係なく、寿命を延ばすために定期的なメンテナンスが重要です。特にセメント瓦の塗膜が剥がれたり色褪せた状態では、劣化によって雨漏りや屋根内部の腐食に繋がります。

ステンレスミラー

ステンレスミラーとは

ステンレスミラーとは、材質のステンレス自体を磨き込んでミラーとして使用される鏡のことです。

もともとステンレスは、金属の中でも表面が反射して鏡面を思わせる材質でした。このステンレスにさらに幾種類もの研磨方法を使い分けることで、用途に合わせ、さびにくく割れない導電性のあるミラーとして完成されています。

薄く加工すれば軽くなり、球面形状やデザイン性を加味できることから他のミラーにない特色を活かした利用も広がっています。

ステンレスミラーの使用用途

ステンレスミラーは、その特質を活かせる場所で使用されています。

身近なところでは駐車場で見かける半球面のカーブミラーや、大きく物がぶつかりやすいゴルフ練習場などのスポーツ施設でフォーム確認のために使用されます。また、幼稚園やエレベーター内の姿見などでも使用されます。

さらにガラスミラーのような背面反射 (ガラスを経由した背面での反射) とは異なり、ステンレスミラーは全面反射となるため、ひずみがないことが好まれる美容院などでも使用されています。

ステンレスサッシ

ステンレスサッシとは

ステンレスサッシ

ステンレスサッシとは、日本では窓枠に代表されるサッシ (sash:帯) がステンレスという材質で作られた建材の一つです。

通常サッシといえば、アルミサッシが多く使われていますが、材質的にはステンレスの方が強度的にも外観的にもステンレスの鏡面のようなあでやかさで有利です。アルミがサッシの材質として好まれる要因の一つに、安いことが挙げられます。

通常ステンレスの方が、アルミより単価 (kg当たり) 的には安いですが、比重がアルミより大きいため同量で比較するとアルミが安くなるからです。このような違いもあり、ステンレスサッシはアルミサッシと上手に使い分けされています。

ステンレスサッシの使用用途

ステンレスサッシは、ステンレス鋼 (鉄にクロムを一定以上まぜたもの) を原材料としているため、耐食性に優れ強度も増しています。

一方でステンレスサッシは、硬いがために逆に加工の難しさがあり、さらに値段もアルミサッシより高いことから、使用する場所もある程度限定されています。

たとえば、ステンレスサッシはマンションや商業施設、オフィスといったビルのエントランスの自動ドアと組み合わせたところや強度が求められる場所 (たとえばエスカレータの乗降台) に多く使用されるようになりました。また、ステンレスサッシは「特定防火設備」といい、建物内部で発生した火災を外部に出さないようにする為の防火戸としての役割も果たします。

その際は、ステレンスサッシと耐熱強化ガラスを組み合わせる必要があります。外装材や壁で覆われていないため、救助活動の際、中の様子を確認しやすいです。また、錆にも強いことから、海に近い建物のドアや窓などにも使用されています。

ステンレスサッシの特徴

長所

1. 高級感がある
表面の仕上げ方法として、鏡面仕上げ・ヘアーライン加工などの表面仕上げがあります。いずれの仕上げ方法でも、アルミサッシには出せない高級感が演出できます。

2. 耐久性が高い
もともとステンレスは強度が高いため、耐久性に優れています。高さや重いガラスが必要になるオフィスビルの入口、商業施設のファサードなどによく使用されています。

短所

1. 加工しにくい
ステンレスは材質が固いため、複雑な加工がしにくいです。止水性などの精密さが求められる住宅用サッシには、不向きと言えます。

2. 重量がある
ステンレスには強度がある分、重量があります。住宅に使用する場合、取り付ける箇所の強度が必要になったり、窓を手で開けるには重くてうまくスライドできなかったりする恐れがあります。そのため、機械で動かす自動ドアなどに最適です。

ステンレスサッシの選び方

ステンレスには艶があり高級感を持った素材で、なおかつ強度が高いため、高級感や高さがある入口が必要なオフィスビルや病院、大学などの様々な大型施設向きと言えます。建物入口の回転ドアやエントランスの窓に使われたり、外装仕上げとしてカーテンウォールのフレームにもステンレスサッシは使用されます。

しかし、熱伝導率が低く、外気を伝えやすいことから、室内空間の快適性が求められる戸建てにはほとんど使用される事はありません。建物の顔となる部分に使用される場合が多く、表面の仕上げ方法や色使い、建物全体の外観とバランスがあっているかという点も配慮することが大切です。

ステンレスサッシのその他情報

1. ステンレスサッシの表面仕上げ方法

文字通り鏡のように仕上げる「鏡面仕上げ」、一方向に細かい筋を入れる「ヘアーライン加工」、円を描くように研磨された「ソフトバイブレーション加工」など様々な加工があります。人が通る箇所なら、ヘアーライン加工などの加工を施すことによって、指紋や傷、少しの凹みなどが目立ちにくくなります。

2. ステンレスサッシの色付け

色をつけるなら塗装が一般的ですが、普通のペンキを使用しても塗料がステンレスに乗らずうまくいきません。そのため、薬品の中にステンレスを沈め、表面に人工的に酸化被膜などをつくり、色付けする手法があります。ステンレスの持つ美しさを生かしつつ着色することで、選択の幅も広がります。

シャッター

シャッターとは

シャッター

シャッターとは、細長い金属の板を1枚につなげた巻き上げ式の製品のことです。

建築分野では、外部から遮断することを目的としています。上に巻き上げて上下に開閉するタイプや、左右に開閉するタイプなど様々です。

シャッターの使用用途

シャッターは、公共の駐車場や大型商業施設など、商業的な場所での使用が主でしたが、最近では戸建て住宅でもガレージや雨戸に使用されています。シャッターの巻き上げ方法は、自動と手動の2通りです。

建築基準法に基づき、防火戸の1つとしても用いられます。また、シャッターは主に防火や防犯という目的で使われるため、場所もある程度限られていました。

しかし最近では、戸建て住宅や集合住宅の雨戸がシャッター形式となり、これまで以上に身近なものとなっています。そのため、住宅に限らず店舗用でも外装の一部としてデザイン面に留意した製品もあります。

なお、危険物保管庫や公共建物内で使うシャッターは、防火シャッターとしての役割があり、延焼防止の観点から仕様や点検が厳しく規定されています。

シャッターの特徴

長所

1. 防犯性の高さ
防犯性の高さは、シャッターの大きな長所です。シャッターを設置すると、内部が全く見えなくなります。中の様子がわからず、目を付けづらい点でも防犯に貢献しています。

2. 外気の影響を受けにくい
シャッターを降ろせば、風雨や日差しが入ることはありません。室内環境を外気から守れるため、外気の影響を受けにくいです。

3.宣伝看板にもなる
シャッターを店舗に設置する場合、外部面に接していればシャッターを降ろしたときに宣伝材料として役立てられます。お店の営業時間、休日、連絡先や取り扱っている商品を書いておけば、広告費をかけずに宣伝することが可能です。

短所

1. 開閉時の音が気になる
シャッターには避けて通れないのが、開閉時の「ガラガラ」という音です。最近のものは比較的、音が小さいタイプもありますが、どうしても開閉時の音は避けられません。

2. 自動の場合故障する恐れがある
シャッターには、リモコンによって自動で開閉できるタイプもあります。このようなタイプは、送・受信機の配線や基盤に問題があると、自動では開閉できなくなる点に注意が必要です。

ただし、天井裏のモーター部分にチェーンが取り付けられており、そのチェーンを使用すれば、修理業者が来るまでの間、開閉はひとまず行えます。

3.場合によっては取付できない
取り付ける箇所の構造やスペースによって、シャッターを取り付けられない場合もあります。元からシャッターが設置されていれば問題ないですが、新規で取り付けようとすると、シャッターの重量に耐えられない、シャッターボックスと呼ばれる巻き上げ部分を確保するスペースがないなど、制限を受ける可能性もあります。

シャッターの種類

1. 軽量シャッター

軽量シャッターは、戸建て住宅の車庫や店舗の出入口に設置されるタイプです。ただし、軽量シャッターは構造上、防火設備とは認められていないため、取り付けようとしている地域によっては不可能な場合があります。

2. 重量シャッター

重量シャッターは、オフィスビルや大型店舗の外部出入口や、工場・倉庫の外部出入口に設置されるタイプです。また、内部においては、防火区画の防火戸としても利用されます。そのため、火災報知器や煙感知器と連動しており、緊急時には自動で閉まるようになっています。

3. 高速シートシャッター

高速シートシャッターとは、人や車が頻繁に出入りする倉庫の出入口に使用されるタイプです。シャッターのパネル部分が金属製ではなく、ビニール製になるので、開閉スピードを求められる場所に向いています。

4. オーバーヘッドドア

シャッターというと巻き上げ方式を思い浮かべますが、オーバーヘッドドアはシャッターのパネル部分が、開く時にはそのまま内部の天井へスライドするタイプです。シャッターの機能はそのまま、開閉の静かさやスピードを求める場合におすすめです。

5. 窓シャッター

窓シャッターとはその名の通り、住宅などの窓に取り付けるシャッターです。1階部分に取り付ければ防犯はもちろん、隣家と接近している場合は防火の役割も果たします。また、荒天時には窓ガラスの保護する役割もあります。

グラスウール

グラスウールとは

グラスウール

グラスウールとは、高温で溶かしたガラスを遠心力を使って繊維状した後、バインダーと呼ばれる結合剤で成形したもののことです。

天然の綿と同じように過密に絡まった繊維により、防寒着の素材や断熱材吸音材として、建材にも多用されています。グラスウールの素材はガラスであるため、リサイクルが可能です。

グラスウールの使用用途

グラスウールが最も多く使用される箇所は、断熱材や吸音材として家屋の外壁と内装の間です。また、ビルの冷暖房に使用される空調システム用配管の断熱用に、中空円筒状に作られたものが使用されています。

低層階ビルなどに多いPC  (プレキャストコンクリート) 作りの外断熱材も使用用途の1つです。そのほかにも、吸音効果を活かした劇場やホールなど大規模空間でも使用されています。

グラスウールの特徴

長所

グラスウールの特徴は、価格の安さ、防火性が高さ、害虫への耐性、施工性の良さです。他の断熱材の場合、硬質ウレタンやXPS (押出法ポリスチレンフォーム) はグラスウールの約1.5倍、発泡ポリエチレンに至ってはグラスウールの約2.5倍のコストがかかります。グラスウールはガラスが原材料で燃焼に強く、防火性や不燃性が高い材料であるうえ、比較的手に入れやすい価格です。

また、シロアリなどの害虫はガラスを好まないため、食害にも耐性があります。そして、グラスウールは軽くて運びやすく、カッターなどでの加工も容易です。

短所

グラスウールの短所は、防湿性が乏しく、断熱性能を確保するためには厚みや施工の精度が求められることです。グラスウールだけだと防湿性に欠け、濡れてしまった場合は断熱性が失われてしまいます。

その対策として有効的なのが、防湿シートを貼り付けることと、袋詰めのグラスウールを使用することです。また、グラスウールの施工箇所が湿気の多い箇所かどうかを踏まえて、選定・使用することが大切です。

グラスウールは、細かい繊維とその繊維の間にある空気によって断熱効果を生み出します。断熱性能を上げるためにはグラスウールを圧縮して詰めても得ることができず、厚みが必要です。断熱性能を確保するためにグラスウールを厚くすると、壁などの厚みも同時に大きくなり、部屋のスペースが狭くなることもあります。

その他、断熱性能が下がる原因として、グラスウールの取り合い部分などの隙間が挙げられます。そのため、グラスウールの取り合い部分は隙間なく施工をする必要があり、施工精度が重要です。

グラスウールの種類

1. ボードタイプ

一定のサイズで加工された板状のグラスウールです。壁・床下・天井裏で使用することができます。カットの手間が少なく、面積の大きい箇所の施工をするときに使用されることが多いです。

2. ロールタイプ

ロール状に巻かれたグラスウールです。現地の充填したい箇所に合わせて加工して使用できるため、LGSで作る間仕切り壁などの断熱や防音のために使用されます。

3. 吹き込み工法専用

天井裏の断熱材を施工する際に使用されます。専用の機械によって、粒状のグラスウールを吹き込むことで施工を行います。入り組んだ天井裏でも、隙間なく施工が行えます。

4. その他

元からグラスウールに防湿シートや袋が付いている商品もあります。防湿層が付いていると、後から防湿シートを施工をする手間を省くことが可能です。

また、袋入りの場合はグラスウール独特のチクチクする手触りがなく施工できます。一方で、現地での加工がしづらく、防湿層をカットした箇所から湿気を含んでしまうこともあります。

そのため、現地加工が多く、湿気の多い箇所での施工では、防湿層を後から施工する方が好ましいです。

グラスウールの選び方

グラスウールは、使用場所を考慮したうえで選定することが大切です。湿気の多い箇所で使用する場合は、防湿層の付いているものを選んだり、グラスウールを施工した後に防湿シートを施工したりする必要があります。

また、面積の広い箇所の施工や一定のサイズでの施工といった現地での加工が少ない場合はボードタイプ、現地加工が多い場合はロールタイプを選ぶと施工がやりやすくなります。天井裏の部材などで入り組んでいる箇所に関しては、粒状のグラスウールを吹き込み工法によって施工すると、作業のしやすさと断熱性能の確保の両立が可能です。

ガラスミラー

ガラスミラーとは

ガラスミラー

ガラスミラーとは、ガラスの片面を反射処理として銀引きした、ガラスを板材として製作された鏡のことです。

現在流通しているミラーには、フィルムミラーをはじめアクリルミラーアルミミラーやステンミラーと多彩ですが、そのような状況のなかでもガラスを使用したミラーは、根強い人気と需要があり、供給は続いています。

種類によってメリットとデメリットがあり使う場所や用途で使い分けされています。

ガラスミラーの使用用途

ガラスミラーの使用用途は下記のような例があります。

  • ダンススタジオの壁面に設置する超大型の鏡
  • 小さな女の子向けのままごと用のコンパクトに使われるプラスチックミラー
  • エレベーター内部に使用されているステンレス鏡面ミラー

ガラスミラーは、使う場所によってある程度仕様が決まり、映り具合や値段・保守性も数あるミラーの中で一番と言われていますが、取り扱いが難しい事や、少しの衝撃で破損してしまうデメリットがあります。

現在もガラスミラーが多くの場面で使用されている理由は、他材料でできた鏡と比較して、コストが安いことに加え、映像のゆがみが圧倒的に少なく、防湿・防曇の処理が可能なためです。トイレや浴室といった湿気が多く条件の悪い場所でも使用できることが特徴となっています。

また、人が容易に触れる場所に設置されても、鏡面の金属面や銀幕保護膜は鏡の裏面となっており、鏡面に傷がつきにくく使用に伴う劣化が小さく見えることもメリットです。

ガラスミラーの原理

ガラスでできているため燃えず、有毒ガスを出す心配もありません。通常の透明ガラスにはいくらかの鉄分が含まれていることから、ガラスが厚くなると緑色が目立つようになります。

ダンススタジオなどに使用される大面積のものは、映像歪みを防止するために厚いガラスの鏡が使われていますが、実際の色と比べて顔色が青く見えることがあります。

ガラスを製造する際に鉄分を抜くことで製作される、美術館のショーケースなどに使用される高透過ガラスを材料とした高透過ミラーは自然の色をそのまま見せることができるため、美容室などに使用されています。

色を付けたガラスに銀膜を付けたカラーミラーは、茶色やグレーのガラスに銀膜を施すことで、レトロ感や重厚感を付けることができるため、レストランやホテルのフロアなどで場所の雰囲気を演出させるために使用されています。

それぞれのコンセプトに合わせて色を選ぶことができるため、建築デザイナーやインテリアデザイナーから人気があります。

ガラスミラーのその他情報

ガラスミラーの使用上の注意

ガラスミラーはガラス製品であるため、割れた時に破片でけがをする可能性があります。破損した場合の飛散防止の観点から、公共の場所に設置される物には飛散防止フィルムなどが施されていることがあります。

また、近年は鏡の経年劣化が早まっている傾向があります。かつて鏡の製造には腐食防止のため鉛などの重金属が添加されていましたが、近年の環境規制の観点から、重金属を抜いて製造された鏡が主流となってきています。そのため、近年の鏡は清掃頻度の多いトイレ洗面所や、常に多湿である浴室に設置された鏡で局所的に腐食が見られることが多くなってきています。

鏡の清掃やメンテナンス方法によって寿命が大きく変わるため、設置する際には湿気や水が滞留し、鏡と長時間接触することを防止する納まりにすることや、清掃する際には使用する洗剤が中性でありかつキレート剤などの化学反応を引き起こすものが入っていないものを選択することが必要です。

カーテンウォール

カーテンウォールとは

カーテンウォール

カーテンウォールとは、荷重を支えない間仕切り機能優先の壁のことです。

荷重を支える必要がなく、軽量化や外壁のガラス散乱防止や優れたデザイン性があります。カーテンウォールに使用される材質は、コンクリートをはじめ、ガラスチタン、セラミックと多岐にわたります。

なお、コンクリートで作られるカーテンウォールは、工場で事前に製造されるPC (プレキャストコンクリート) カーテンウォールを指します。

カーテンウォールの使用用途

カーテンウォールは、高層ビルでの外壁に多く使用されています。また、開口面積の広い開放的なビルや芸術品のようなデザイン性のあるビルの施工を可能にしました。

特に高層ビルでは、外壁を軽くしたり、工期を短縮できたりするため、採用される場合が多いです。使用場所によって、最適な仕様のものを選ぶことが重要になります。

カーテンウォールの特徴

長所

カーテンウォールの長所は、建物自体の軽量化につながることと、施工がしやすいことです。一般的に建物が高層になればなるほど外壁が大きく、そして重たくなります。

また、重たくなればなるほど、建物に対する構造的負荷が大きくなるため、いかに建物自体を軽量化するかが重要です。カーテンウォールであれば、非耐力壁の外壁で荷重を支えないため、軽い材料にすることができます。

また、カーテンウォールは外壁施工の際に建物外部に足場を組む必要がなく、クレーンに専用器具を使用して施工を行います。そのため、鉄骨造の構造体の施工とカーテンウォールを場所をずらしながら同時並行で施工が可能だったり、カーテンウォールを施工したフロアから内装工事に取り掛かれたり、プレキャストコンクリートなどのあらかじめ加工されている状態で施工できたりと工期の大幅な短縮が可能です。

短所

カーテンウォールの短所は、建物のデザインや材質によっては高額になりがちなことです。外壁としての性能を満たすために、既製品以外のものを採用したり、デザインにこだわって価格の高い材料を採用したりする場合があります。

カーテンウォールの種類

1. メタルカーテンウォール

金属フレームとパネルで製作されたカーテンウォールです。金属フレームに使用される材料として、主にアルミニウム、ステンレス、スチールが挙げられます。

メタルカーテンウォールはそれらの総称なので、アルミカーテンウォールなど材料別で表現することもあります。また、パネルはアルミハニカムパネルやセラミックパネル、チタンパネルといった材料や構造によって用途が分けられます。

材料によって、強度や重量、加工のしやすさによるデザイン、価格など変わるため、選択肢の幅が広いです。また、メタルカーテンウォールでは方立形式とパネル形式のどちらも採用が可能です。

2.プレキャストコンクリート (PCa) カーテンウォール

プレキャストコンクリートと呼ばれる工場で、あらかじめ製造した製品を使用してカーテンウォール工法を採用したものです。現地でコンクリートを打設して施工するわけではないため、工場での製造段階で一定の品質確保や養生期間を省けることから、工期の短縮につながります。

また、仮設足場を使用せずに施工可能で、コンクリートの特徴である耐火性や断熱性、遮音性が得られます。ただし、あらかじめ工場で製作を行うため、製造するための期間や元々あるコンクリートの養生期間などを見越して施工日よりも前に発注をかける必要があります。

カーテンウォールの選び方

カーテンウォールは、建物のデザインや仕上げ材によってある程度決まっていきます。例えば、仕上げ材が金属やガラスの場合はメタルカーテンウォール、仕上げ材がタイルであればプレキャストコンクリートカーテンウォールが適しています。

また、コスト面とデザイン面、そして建物として求められる性能 (耐久、耐熱、耐火) を同時に満たすために、既製品を使うのか、もしくかオーダーメイドするのか、設計者とメーカーで合わせていくことが重要です。

オレフィン壁紙

オレフィン壁紙とは

オレフィン壁紙とは、合成樹脂を主原料とした壁紙のことです。

使用される合成樹脂はポリエチレンポリプロピレンなどで、焼却したとき煙があまり出ず、有毒ガスを発生させない原料が選択されます。

また、オレフィン壁紙は表面に傷がつきにくく汚れても簡単に拭き取れるため、デザイン的な工夫もしやすいです。しかし、他の壁紙に比べて薄いためそのまま張ると下地の凸凹が目立ってしまうことから、前もって下地処理が必要になる場合もあります。

オレフィン壁紙の使用用途

オレフィン壁紙は、汚れても水拭きで綺麗になるため、子どもやペットがいる家庭では重宝されます。デザインも木のぬくもりが感じられるような木目調や、落ち着きのある石目調などがあります。価格は他の壁紙に比べて少し高いです。

ウレタンフォーム

ウレタンフォームとは

ウレタンフォーム

ウレタンフォームとは、ポリオールとポリイソシアネートに発泡剤、整泡材などを混ぜ、化学反応した後にできるポリウレタン樹脂の発泡体です。

正式名称は「ポリウレタンフォーム」ですが、一般的には「ウレタンフォーム」と呼ばれています。化学反応が起きると、「独立気泡」と呼ばれる気泡ができます。

気泡一つ一つ存在しており、気泡同士の繋がりが無く、水や空気を通しにくいため、断熱や耐水性が高いのが特徴です。

ウレタンフォームの使用用途

ウレタンフォームは、建物の屋上や天井裏、壁内に断熱材として使用されます。種類としては、工場で各種用途に合わせ作られる工場発泡製品、現場で直接対象部分に吹き付ける現場発泡製品の2つです。

工場発泡製品の硬質ウレタンフォームは、木造住宅やマンション等の屋上断熱防水用として使用されています。用途に合わせ形状なども変えて製造されており、通常の板状のものから軟質面材 (例えばアルミ箔) を両面にラミネートして使用します。

一方の現場発泡製品の吹付け硬質ウレタンフォームは、コンクリート造りの建物の内断熱としてのほか、木造の建物では充填工法でも使われます。

ウレタンフォームの特徴

長所

1. 断熱性が高い
独立気泡と呼ばれる気泡の中にガスが入っており、そのガスにより断熱性が高いです。屋根材の裏や壁材の中に施工しておけば、夏の暑さや冬の寒さを遮断してくれます。

2. 水分に強い
独立気泡の構造により、水や湿気の遮断性に優れています。濡れてもふやける素材ではないので、少しくらいの水分であれば放置しておけば乾燥します。

短所

1. 耐火性能が低い
ウレタンフォームは可燃性のため、耐火性能が非常に低いです。難燃加工した耐火石膏ボードなどで上から貼り付けるなどの施工が必要になります。

2. シロアリに弱い
シロアリは木材やプラスチックを食べる習性があるため、被害に遭う可能性があります。シロアリ対策をする場合は、グラスウールロックウールなどのシロアリが好まない素材を選ぶとよいです。

ウレタンフォームの種類

ウレタンフォームは大きく分けて以下の3種類があります。

1. 軟質ウレタンフォーム

気泡が連結し、通気性と柔らかさを併せ持っています。復元性も高く、加工もしやすいことから、自動車のシート内部や台所で使うスポンジまで幅広く普及しています。

2. 半硬質ウレタンフォーム

軟質と硬質の中間の固さを持っています。高反発・高弾性が特徴で、マットレスなど寝具の心材に用いられます。その性質を生かして、衝撃吸収など緩衝材にも使用されています。

3. 硬質ウレタンフォーム

独立気泡と呼ばれる気泡の中にガスが入っており、長期間において高い断熱性を維持することが可能です。そのため、建材としては板状に加工された硬質ウレタンフォームが使われています。

ウレタンフォームの選び方

ウレタンフォームを選定する際は、以下のポイントを確認することが大切です。

1. 気密性

建材として使用される硬質ウレタンフォームはカットがしやすい反面、壁などに充填する際加工ミスをすると隙間が空いてしまう可能性があります。施工する方のレベルによっては気密性が低くなるケースもあるため、気密性が確保できるか確認することが大切です。

2. 可燃性

ウレタンフォーム自体は可燃性が非常に高いです。前述した通り、一般的には難燃加工した耐火石膏ボードを上から貼るので、直に火が燃え移って火災になるということはありません。しかし、火災が心配な方はロックウール等を使用される方無難です。

3. 安全性

現在では、一般的になった「シックハウス症候群」という病気があります。これは使用された建材から発生した有毒ガスにより、アレルギー反応を起こしてしまう症状です。

現在、内装材に使用される材料は「F☆☆☆☆ (フォースター) 」と呼ばれる認定材料である場合がほとんどです。しかし、使用される材料は認定されているものか確認された方がより安全と言えます。

 

また、ウレタンフォームは現場で樹脂をガスを使って吹き付けながら最終的にウレタンフォームに仕上げていく、「発砲ウレタン」と呼ばれる施工での使い分けも行われています。

インシュレーションボード

インシュレーションボードとは

インシュレーションボード

インシュレーションボードとは、木材が原料の断熱性や吸音性に優れた建材のことです。

軟質繊維材とも呼ばれ、通常の木材を繊維状になるまで細かく解き、合成樹脂を加えて接着剤で固めることで断熱性や吸音性を向上させています。

加工や施工が簡単ですが、木材を使用しているため水や湿気を吸収してカビが出やすいという欠点がありました。その対策として、アスファルトを追加したシージングインシュレーションボードという建材も作られています。

インシュレーションボードの使用用途

インシュレーションボードは、耐久性のある断熱材として内装の下地材や畳床・家具の心材などに使用されています。原料に木を使用しているため木の繊維がもつ多孔質という特徴があり、吸音性という点でも優れた建材として内装材に適しています。

緩衝性にも優れ加工もしやすいことから、梱包材や養生ボード (建物への機材搬出入時などに壁や床に傷つけないよう使う防護材) などにも使用されています。