ウレタンフォームとは
ウレタンフォーム (英: urethane foam) とは、ポリウレタン樹脂 (英: polyurethane resin) の発泡体です。
正式名称はポリウレタンフォーム (英: polyurethane foam) ですが、一般的にはウレタンフォームと呼ばれています。
発泡剤や整泡材などを混ぜてポリイソシアネートとポリオールを化学反応させると、独立気泡と呼ばれる気泡が生じてウレタンフォームが得られます。気泡同士の繋がりがなく、水や空気を通しにくいため、断熱性や耐水性が高いです。
ウレタンフォームの使用用途
ウレタンフォームは、建物の屋上や天井裏、壁内の断熱材として使用されます。工場で各種用途に合わせて作られる工場発泡製品と、現場で直接対象部分に吹き付ける現場発泡製品の2種類に分類可能です。
工場発泡製品の硬質ウレタンフォームは、木造住宅やマンション等の屋上断熱防水用として使用されます。用途に合わせて形状なども変えて製造されており、通常の板状のものやアルミ箔のような軟質面材の両面にラミネートして使用可能です。
現場発泡製品の吹付け硬質ウレタンフォームは、コンクリート造りの建物の内断熱に使用され、木造の建物では充填工法にも使われます。
ウレタンフォームの原理
ウレタンとはポリウレタン樹脂のことです。ポリウレタンはウレタン結合を持つ重合体の総称であり、水酸基 (-OH) とイソシアネート基 (−N=C=O) を有する化合物の重付加で生成されます。フォームは気泡や泡のことで、原料を発泡させたものや原料の中に気泡が多数あるものを広くフォームと呼びます。
ウレタンフォームはエーテル系とエステル系に分類可能です。原料の成分が違うため、性質が異なります。
- エーテル系
ソフトな感触が特徴です。水に強いため、食器洗いスポンジなどに使われます。 - エステル系
エーテル系よりも硬く、柔らかさが少ないです。油に強いため、工業用途に使われるケースが多いですが、水分や湿気によって分解反応を起こしやすいため注意が必要です。
ウレタンフォームの構造
ウレタンフォームの気泡の形状は2種類あり、空気や水の通しやすさが違います。
1. 連続気泡
連続気泡は内部の気泡が繋がっているため、空気や水分の通気性が良いです。洗剤の泡立ちが良く、保水力が高いです。主に水耕栽培用や洗浄用のスポンジとして使用されます。
2. 独立気泡
独立気泡は気泡が繋がっていません。空気や水を通しにくく、気泡の中にある空気も抜けにくいです。水泳補助用具やタイヤチューブに使われます。
ウレタンフォームの種類
ウレタンフォームは以下の3種類に大別されます。
1. 軟質ウレタンフォーム
気泡が連結し、通気性と柔らかさを併せ持っています。復元性も高く加工が容易なことから、自動車のシート内部や台所で使うスポンジなど幅広く普及しています。
2. 半硬質ウレタンフォーム
軟質と硬質の中間の固さを持っています。高反発・高弾性が特徴で、衝撃吸収など緩衝材にも使用され、マットレスなど寝具の心材に用いられます。
3. 硬質ウレタンフォーム
独立気泡と呼ばれる気泡の中にガスが入っており、長期間に渡り高い断熱性を維持可能です。建材として板状に加工された硬質ウレタンフォームが使われています。
ウレタンフォームの選び方
ウレタンフォームを選定する際には、以下のポイントを考慮することが大切です。
1. 気密性
建材として使用される硬質ウレタンフォームは、カットがしやすい反面、壁などに充填する際に加工ミスをすると隙間が空く可能性があります。施工する方の熟練度によっては気密性が低くなるケースもあるため注意が必要です。
2. 可燃性
ウレタンフォーム自体は可燃性が非常に高いです。一般的には難燃加工した耐火石膏ボードを上から貼るため、直に火が燃え移って火災になることはありません。火災が心配な場合にはロックウール等を使うことを推奨します。
3. 安全性
シックハウス症候群は、使用した建材から発生した有毒ガスによりアレルギー反応を起こす症状です。現在、内装材に使用される材料は「F☆☆☆☆ (フォースター) 」と呼ばれる認定材料である場合がほとんどですが、念のため使用前に材料が認定されているか確認すると安全です。
ウレタンフォームのその他情報
ウレタンフォームには以下のような長所と短所があります。
1. 断熱性が高い
独立気泡と呼ばれる気泡の中にガスが入っており、断熱性が高いです。屋根材の裏や壁材の中に施工しておけば、夏の暑さや冬の寒さを遮断します。
2. 水分に強い
独立気泡の構造により、水や湿気の遮断性に優れています。濡れてもふやける素材ではないため、多少の水分であれば放置しておけば乾燥します。
3. 耐火性能が低い
ウレタンフォームは可燃性のため、耐火性能が非常に低いです。難燃加工した耐火石膏ボードなどで上から貼り付けるなどの施工が必要になります。
4. シロアリに弱い
シロアリは木材やプラスチックを食べる習性があるため、被害に遭う可能性があります。シロアリ対策をする場合は、グラスウールやロックウールなどのシロアリが好まない素材を選ぶ必要があります。