ウレタンフォームとは
ウレタンフォームとは、ポリオールとポリイソシアネートに発泡剤、整泡材などを混ぜ、化学反応した後にできるポリウレタン樹脂の発泡体です。
正式名称は「ポリウレタンフォーム」ですが、一般的には「ウレタンフォーム」と呼ばれています。化学反応が起きると、「独立気泡」と呼ばれる気泡ができます。
気泡一つ一つ存在しており、気泡同士の繋がりが無く、水や空気を通しにくいため、断熱や耐水性が高いのが特徴です。
ウレタンフォームの使用用途
ウレタンフォームは、建物の屋上や天井裏、壁内に断熱材として使用されます。種類としては、工場で各種用途に合わせ作られる工場発泡製品、現場で直接対象部分に吹き付ける現場発泡製品の2つです。
工場発泡製品の硬質ウレタンフォームは、木造住宅やマンション等の屋上断熱防水用として使用されています。用途に合わせ形状なども変えて製造されており、通常の板状のものから軟質面材 (例えばアルミ箔) を両面にラミネートして使用します。
一方の現場発泡製品の吹付け硬質ウレタンフォームは、コンクリート造りの建物の内断熱としてのほか、木造の建物では充填工法でも使われます。
ウレタンフォームの特徴
長所
1. 断熱性が高い
独立気泡と呼ばれる気泡の中にガスが入っており、そのガスにより断熱性が高いです。屋根材の裏や壁材の中に施工しておけば、夏の暑さや冬の寒さを遮断してくれます。
2. 水分に強い
独立気泡の構造により、水や湿気の遮断性に優れています。濡れてもふやける素材ではないので、少しくらいの水分であれば放置しておけば乾燥します。
短所
1. 耐火性能が低い
ウレタンフォームは可燃性のため、耐火性能が非常に低いです。難燃加工した耐火石膏ボードなどで上から貼り付けるなどの施工が必要になります。
2. シロアリに弱い
シロアリは木材やプラスチックを食べる習性があるため、被害に遭う可能性があります。シロアリ対策をする場合は、グラスウールやロックウールなどのシロアリが好まない素材を選ぶとよいです。
ウレタンフォームの種類
ウレタンフォームは大きく分けて以下の3種類があります。
1. 軟質ウレタンフォーム
気泡が連結し、通気性と柔らかさを併せ持っています。復元性も高く、加工もしやすいことから、自動車のシート内部や台所で使うスポンジまで幅広く普及しています。
2. 半硬質ウレタンフォーム
軟質と硬質の中間の固さを持っています。高反発・高弾性が特徴で、マットレスなど寝具の心材に用いられます。その性質を生かして、衝撃吸収など緩衝材にも使用されています。
3. 硬質ウレタンフォーム
独立気泡と呼ばれる気泡の中にガスが入っており、長期間において高い断熱性を維持することが可能です。そのため、建材としては板状に加工された硬質ウレタンフォームが使われています。
ウレタンフォームの選び方
ウレタンフォームを選定する際は、以下のポイントを確認することが大切です。
1. 気密性
建材として使用される硬質ウレタンフォームはカットがしやすい反面、壁などに充填する際加工ミスをすると隙間が空いてしまう可能性があります。施工する方のレベルによっては気密性が低くなるケースもあるため、気密性が確保できるか確認することが大切です。
2. 可燃性
ウレタンフォーム自体は可燃性が非常に高いです。前述した通り、一般的には難燃加工した耐火石膏ボードを上から貼るので、直に火が燃え移って火災になるということはありません。しかし、火災が心配な方はロックウール等を使用される方無難です。
3. 安全性
現在では、一般的になった「シックハウス症候群」という病気があります。これは使用された建材から発生した有毒ガスにより、アレルギー反応を起こしてしまう症状です。
現在、内装材に使用される材料は「F☆☆☆☆ (フォースター) 」と呼ばれる認定材料である場合がほとんどです。しかし、使用される材料は認定されているものか確認された方がより安全と言えます。
また、ウレタンフォームは現場で樹脂をガスを使って吹き付けながら最終的にウレタンフォームに仕上げていく、「発砲ウレタン」と呼ばれる施工での使い分けも行われています。