グラスウール

グラスウールとは

グラスウール

グラスウールとは、高温で溶かしたガラスを遠心力を使って繊維状した後、バインダーと呼ばれる結合剤で成形したもののことです。

天然の綿と同じように過密に絡まった繊維により、防寒着の素材や断熱材吸音材として、建材にも多用されています。グラスウールの素材はガラスであるため、リサイクルが可能です。

グラスウールの使用用途

グラスウールは、その優れた断熱性、吸音性、防火性から、さまざまな分野で広く使用されています。

1. 断熱材としての使用

主な用途の一つは、建築分野における断熱材としての使用です。住宅やオフィスビルの壁、屋根、床にグラスウールを使用することで、熱の伝わりを抑え、エネルギー効率を高めることができます。特に、冷暖房の効果を維持し、光熱費の削減に貢献します。

2. 防音材としての使用

防音材としての役割も果たします。グラスウールはその構造によって音を吸収し、音の反射を減少させるため、音響の改善が求められる場所、例えばスタジオやオフィス、劇場などに最適です。

3. 防火対策

防火対策としても利用されます。グラスウールは耐火性に優れており、火災時に延焼を防ぐために壁や天井に使用されることが多いです。これにより、安全性が高まり、建物内の人々を守る役割を果たします。

4. 断熱

冷凍設備や機械の断熱にも使用され、熱のロスを防ぎ、効率的な運用をサポートします。

グラスウールの原理

グラスウールは、ガラス繊維を使った断熱材で、主に建築物や工業用途で使用されます。その原理は、ガラス繊維を細かく織り込んで構成されたマット状またはボード状の形態にすることによって、空気を閉じ込めることにあります。細かいガラス繊維が絡み合うことで、無数の小さな空気層を作り出し、これが断熱効果を高めるのです。空気は熱伝導率が低いため、熱が伝わりにくく、冷暖房効率を向上させます。

また、グラスウールは音を吸収する特性も持ち、音響効果が求められる場所での使用にも適しています。細かい繊維が音波を吸収し、反射を減少させるため、騒音を抑える効果があります。さらに、グラスウールは防火性にも優れており、火災時に炎を抑制する特性があります。これらの特性により、住宅や商業施設での断熱・防音・防火対策に広く使用されています。

グラスウールの特徴

1. 長所

グラスウールの特徴は、価格の安さ、防火性が高さ、害虫への耐性、施工性の良さです。他の断熱材の場合、硬質ウレタンやXPS (押出法ポリスチレンフォーム) はグラスウールの約1.5倍、発泡ポリエチレンに至ってはグラスウールの約2.5倍のコストがかかります。グラスウールはガラスが原材料で燃焼に強く、防火性や不燃性が高い材料であるうえ、比較的手に入れやすい価格です。

また、シロアリなどの害虫はガラスを好まないため、食害にも耐性があります。そして、グラスウールは軽くて運びやすく、カッターなどでの加工も容易です。

2. 短所

グラスウールの短所は、防湿性が乏しく、断熱性能を確保するためには厚みや施工の精度が求められることです。グラスウールだけだと防湿性に欠け、濡れてしまった場合は断熱性が失われてしまいます。その対策として有効的なのが、防湿シートを貼り付けることと、袋詰めのグラスウールを使用することです。また、グラスウールの施工箇所が湿気の多い箇所かどうかを踏まえて、選定・使用することが大切です。

グラスウールは、細かい繊維とその繊維の間にある空気によって断熱効果を生み出します。断熱性能を上げるためにはグラスウールを圧縮して詰めても得ることができず、厚みが必要です。断熱性能を確保するためにグラスウールを厚くすると、壁などの厚みも同時に大きくなり、部屋のスペースが狭くなることもあります。

その他、断熱性能が下がる原因として、グラスウールの取り合い部分などの隙間が挙げられます。そのため、グラスウールの取り合い部分は隙間なく施工をする必要があり、施工精度が重要です。

グラスウールの種類

1. ボードタイプ

一定のサイズで加工された板状のグラスウールです。壁・床下・天井裏で使用することができます。カットの手間が少なく、面積の大きい箇所の施工をするときに使用されることが多いです。

2. ロールタイプ

ロール状に巻かれたグラスウールです。現地の充填したい箇所に合わせて加工して使用できるため、LGSで作る間仕切り壁などの断熱や防音のために使用されます。

3. 吹き込み工法専用

天井裏の断熱材を施工する際に使用されます。専用の機械によって、粒状のグラスウールを吹き込むことで施工を行います。入り組んだ天井裏でも、隙間なく施工が行えます。

4. その他

元からグラスウールに防湿シートや袋が付いている商品もあります。防湿層が付いていると、後から防湿シートを施工をする手間を省くことが可能です。また、袋入りの場合はグラスウール独特のチクチクする手触りがなく施工できます。一方で、現地での加工がしづらく、防湿層をカットした箇所から湿気を含んでしまうこともあります。そのため、現地加工が多く、湿気の多い箇所での施工では、防湿層を後から施工する方が好ましいです。

グラスウールの選び方

グラスウールは、使用場所を考慮したうえで選定することが大切です。湿気の多い箇所で使用する場合は、防湿層の付いているものを選んだり、グラスウールを施工した後に防湿シートを施工したりする必要があります。

また、面積の広い箇所の施工や一定のサイズでの施工といった現地での加工が少ない場合はボードタイプ、現地加工が多い場合はロールタイプを選ぶと施工がやりやすくなります。天井裏の部材などで入り組んでいる箇所に関しては、粒状のグラスウールを吹き込み工法によって施工すると、作業のしやすさと断熱性能の確保の両立が可能です。

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