風洞試験とは
風洞試験とは、ブロワーなどで発生させた風を縮小した模型に当てて風の流れを調べたり、風圧に対する耐性を調べるための試験で、主に超高層ビルや大型の建造物など風の影響を受けやすい建造物の設計段階で試験を行います。
建造物の縮小モデルに風を当てることで建物の耐風安全性や風切り音、強風が発生したときの居住性などを調べることで、建物の安全性や居住性を確保する狙いがあります。
他、自動車の空気抵抗を調べる時にも風洞試験が行われます。
風洞試験とは、ブロワーなどで発生させた風を縮小した模型に当てて風の流れを調べたり、風圧に対する耐性を調べるための試験で、主に超高層ビルや大型の建造物など風の影響を受けやすい建造物の設計段階で試験を行います。
建造物の縮小モデルに風を当てることで建物の耐風安全性や風切り音、強風が発生したときの居住性などを調べることで、建物の安全性や居住性を確保する狙いがあります。
他、自動車の空気抵抗を調べる時にも風洞試験が行われます。
非破壊試験は、検査対象を破壊することなく、表面や内面の傷の有無・大きさ・形状・分布などを調べる試験です。
非破壊試験には、放射線透過試験、超音波探傷試験、磁粉探傷試験、浸透深傷試験、渦流探傷試験などがあります。JIS用語では、非破壊試験はNondestructive Testingの略記号NDTと表します。
一方で破壊試験とは、対象物が破壊されるまで圧力・温度・振動などを加え、欠陥が発生する許容限度を直接調べる試験方法です。非破壊試験は間接的試験方法であり、破壊試験に比べて確実な欠陥発生条件を決定できないという短所がありますが、対象物の形状や機能を損なわずに欠陥を検出することができるため、ビル、プラント、鉄道、航空機など、稼働中の試験も可能であり、欠陥によるトラブルを防ぐことができます。
非破壊試験の使用用途は幅広く、様々な分野に用いられます。
非破壊試験は試験の種類により、使用目的や使用できる素材等が異なります。例えば渦流探傷試験は、導体の表面にある傷を非接触かつ高速で検知することができますが、不導体には使用できず、内部にある傷の検出も限定的にしかできません。そのため、使用用途に合わせて適切な試験を選択する必要があります。
非破壊試験には様々な試験が存在し、それぞれの原理も異なります。以下では、代表的な非破壊試験の原理について説明します。
図1. 放射線透過試験の原理
放射線透過試験は、対象物にX線やγ線を透過させ、フィルムやイメージプレートに投影された画像から内部の状態を把握する試験です。
放射線は物質を透過する性質がありますが、透過のしやすさは対象物内部の状態により異なります。例えば、内部に傷等がある部分は、健全な部分に比べて一般に放射線が透過しやすくなるため、フィルムに濃く記録されることになります。フィルムの濃淡は、フィルムを構成する乳剤が放射線に反応することで生じます。
放射線透過試験は、撮影の仕方などによりいくつかの方法に分類されます。例えば、フィルムではなくイメージプレートを用て画像データを得る方法などがあります。
図2. 超音波探傷試験の原理
超音波探傷試験は、対象物に超音波を入射させることで対象物内部の状態や厚みなどを推定する試験です。
超音波探傷試験は大きく分類すると、透過法、パルス反射法、共振法という3つの方法があります。超音波の種類や当て方などでさらに細かく分類され、使用用途により使い分けられます。
透過法
透過法は、送信した超音波と受信した超音波の強さを比較することで内部の状態を推定する方法です。
対象物表面に超音波を入射させる探触子を当て、底面に超音波を受信する探触子を当てます。対象物表面に当てた探触子より入射させられた超音波は対象物内部を透過し、底面に当てられた探触子に到達します。内部に傷等がある場合はその背後に超音波が進むことができず、超音波は弱くなります。超音波の影から内部の傷等を把握する方法です。
パルス反射法
パルス反射法は、超音波の反射を利用して傷の有無、位置、大きさ等を特定する方法です。
超音波を送受信できる探触子を、対象物表面に当てます。探触子より対象物内部に入射した超音波は底面で反射し、再び探触子に戻ってきます。内部に傷等がある場合にも超音波は反射します。送信波パルス、傷等からの反射波、底面からの反射波を受信することで内部の状態を推定します。
共振法
共振法は、対象物が共振することを利用して対象物の厚み等を測定する方法です。
波長を連続的に変化させながら超音波を対象物に入射すると、半波長の整数倍が対象物の厚みに等しくなる時に対象物は共振します。共振のための振動エネルギーは発振器より供給されるものであり、電流の増加を検出することで共振の発生が確認できます。共振した時の音速度、周波数、共振次数から対象物の厚みを推定します。共振の強さから対象物内部の傷の有無を推定することも可能です。
図3. 磁粉探傷試験の原理
磁粉探傷試験は、漏洩磁場を利用して対象物の表面付近にある傷等を目視で確認する試験です。
強磁性体である対象物に磁束を流し、大きくしていくと、傷がある部分で磁束の一部が外部空間に漏洩します。この漏洩磁場に磁粉を散布すると傷周辺に磁粉が付着し、磁粉指示模様が現れます。この磁粉指示模様を観察することで微小な傷も検出することができます。
磁粉探傷試験は傷の検出に対して方向性があり、探傷箇所を適切な方向に磁化するための方法として分類されます。また、使用する磁粉や観察用光源によってもいくつかの方法に分類することができます。これらの方法は、対象物の形状や検出しようとする傷等により適切に使い分けられる必要があります。
図4. 浸透探傷試験の原理
浸透探傷試験は、浸透液を用いて対象物の表面にある傷等を検出する試験です。
はじめに、前処理として対象物の表面を洗浄し傷内部を開口させ乾燥します。次に、対象物表面に浸透液を浸透させ余分な浸透液を除去します。最後に現像皮膜を塗布することで傷部に浸透した浸透液を吸い出し、これにより拡大されて現れる浸透指示模様を観察します。
浸透探傷試験は、2種類の観察方法、3種類の浸透液除去方法、4種類の現像方法があり、用途により適切な組み合わせが選ばれます。
図5. 渦流探傷試験の原理
渦流探傷試験は、導体である対象物表面に渦電流を誘導し、その渦電流の乱れを検知することで傷等の有無を判断する試験です。
交流を流したコイルを対象物に近づけると、電磁誘導により対象物の表面近傍に渦電流が発生します。対象物表面に傷がある場合、その渦電流に乱れが生じます。渦電流の乱れは、コイル内部における磁束の変化をもたらし、結果、コイルの起電力が変化するため、この起電力変化を検知することで渦電流の乱れ、つまり、傷の有無を確認することができます。
渦電流は、対象物の表面近傍にのみ集中的に誘導され、対象物内部にはほとんど誘導されないため、主に、対象物表面の探傷に用いられます。渦電流が対象物内部で急激に減衰する現象は、表皮効果と呼ばれます。しかし、渦電流の位相が持つ性質を利用することで、傷の深さを推定できる場合もあります。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/imono/63/8/63_706/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/10/2/10_KJ00001451681/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaem/24/3/24_155/_article
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/80/8/80_709/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/imono/65/12/65_921/_article/-char/ja/
静電気試験は、ESD(Electro-Static Discharge)試験とも呼ばれます。
静電気が原因で発生する高電圧が、試験対象物である電子部品・半導体などに印加されても、破壊や誤動作が起こらないことを確認・評価する試験です。
静電気試験には、静電気発生モデルによって、人体から静電気が放電された場合を想定する人体モデル(HBM:Human Body Model)、機械から静電気が放電された場合を想定するマシンモデル(MM:Machine Model)、部品・半導体などのデバイス自身が帯電している場合を想定したデバイス帯電モデル(CDM:Charged Device Model)の3種類の方法があります。
雷サージは、落雷によって瞬間的に非常に高い電圧が発生し、過大電流が発生する現象です。このサージ電圧・サージ電流は、電線、通信線、アンテナ、大気中を通って電気・電子機器に侵入し、機器を破壊する・劣化させるなどの危険性があります。
雷サージ試験は、雷サージを模擬して発生させ、試験対象機器がサージに耐えて正常に動作するかを評価する試験です。
サージ電圧・サージ電流は電力線・通信線による誘導で機器内に侵入する場合が多いため、雷サージ試験では、規定のサージを電源・通信線に注入して試験を実施します。
蛍光X線分析装置は、蛍光X線分析 (XRF:X-ray Fluorescence) 手法を用いて、物質に短波長のX線を照射し、発生する特性X線を測定することで物質の化学組成を分析する装置です。
蛍光X線分析装置は測定対象に損傷を与えずに、特定元素を数ppmの感度で検出したり、主成分の定量分析を迅速に行うことが可能です。高感度・高精度の大型装置から、人が持ち運んで数秒で分析を終えることのできるポータブル装置まで、様々なタイプの分析装置があり、目的に応じたものを選択できます。
蛍光X線分析装置は金属元素の検出が手軽にできるため、製品への異物混入検査や重金属による環境汚染の判定などに用いられることが特に多いです。また、測定可能な全元素の分析が一度にできるので、成分が不明の物質の組成分析に最適で、様々な研究や調査にも幅広く用いられています。
熟練した技術者でなくても取り扱える上、分析試料の作成が容易あるいは必要ありません。非破壊で素早く手軽に化学分析が可能なため、蛍光X線分析には数多くの用途があります。
迅速さを主眼とした分析の一例は、以下の通りです。
なお、非破壊で分析できる利点を活用した使用用途は、以下の通りです。
波長の短いX線を照射された物質から二次的に発生するX線を蛍光X線といいます。太陽光が様々な波長の光を含むのと同様に、蛍光X線は様々な波長のX線を含みますが、波長と強度のスペクトル中には幾つもの鋭いピークが見られます。これらは、物質中の元素が出す特性X線のピークです。
原子の電子殻に高いエネルギーを持つ (波長の短い) X線が照射されると、内側の殻にある電子が弾き出されて外側の殻に移動することで不安定な状態が発生します。この状態を解消するために、空白となった内側の殻に外側から電子が移動し、2つの殻のエネルギー差に対応した波長のX線が特性X線です。
特性X線それぞれが持っている固有の波長により元素が同定可能で、それらの強度から元素の含有量がわかります。
蛍光X線分析装置では、マグネシウムより重いほぼ全ての元素を同時に短時間で測定することができます。固体でも液体でも非破壊での分析が可能で、ハンドヘルドタイプの装置を用いればどこにでも持ち歩けて、分析対象に装置を数秒間押し当てるだけで測定が終了します。
蛍光X線分析装置は軽元素の検出が苦手で、有機物の主要構成元素である水素、炭素、窒素そして酸素などの分析には適していません。また、元素の存在と量が測定できるだけで、元素同士の組み合わせを判定することは不可能です。
例えば鉄が検出された場合、それが金属鉄なのか酸化鉄なのかを判定できないため、カリウムと塩素が検出されても塩化カリウムが存在すると断定するのは不可能です。
蛍光X線分析では、物質に含まれるそれぞれの元素から複数の特性X線が発生するため、これらを適切な方法で分離して別々に強度を測定する装置が必要です。装置のタイプは、X線の検出方法により2種類に分けられます。波長分散型 (WDX) とエネルギー分散型 (EDX) です。
分光素子によりX線を波長毎に分光して検出器に導く装置です。目的とする特性X線の強度だけを検出器で測定するもので、波長分解能が高く測定感度・精度ともに優れています。
しかし、測定試料の表面を平滑にする必要があり、分光素子と検出器を正確に回転移動させなければならないため装置が大がかりになり、価格も高めです。
蛍光X線をそのまま検出器に取り込み、受けた信号を装置内部で電気的に処理して特性X線を検出します。波長分散型に比べると、分解能、感度、精度などは劣りますが、分析に要する時間が少なく、取り扱いが容易で、低価格です。また、小型化が容易で、表面に凹凸があっても測定できますので、ハンドヘルドタイプものを含む様々な製品が販売されています。
蛍光X線分析装置は、原理的には原子番号4のベリリウムから原子番号95のアメリシウムまでの元素の特性X線を測定することができます。しかし、軽元素の特性X線は強度が弱すぎるため、原子番号12のマグネシウムより軽い元素の分析は難しいと考えた方がよいでしょう。
蛍光X線装置で検出された特性X線を既存のデータと比較するだけで試料にどのような元素が含まれているかがわかります。これを定性分析といいますが、それぞれの元素の含有率を調べる定量分析を行うにはもう一工夫必要です。
検量線法
正確な定量分析を行うには、元素の含有率が分かっている複数の物質 (標準試料) の特性X線強度を測定して作成した検量線を用います。分析対象である試料についても同じ特性X線の強度を測定し、検量線のどの位置にくるかを見て、元素の含有率を判定します。
FP (ファンダメンタルパラメータ) 法
標準試料がない場合、あるいは検量線を作成する手間をかけたくない場合はFP法を用います。FP法とは、分析対象試料の特性X線強度のみを用いて、試料の組成を理論的に推定する方法で、検量線を用いるより簡便ですが、精度は落ちます。
分析精度と感度を要求するのであれば波長分散型、手軽さと迅速さを求めるならエネルギー分散型の装置を選択します。また、蛍光X線分析にはX線を用いるため、民間企業が装置を導入する際には30日前までに労働基準監督署に届け出なければなりません。装置の種類によってはX線作業主任者が必要になるため、導入前にメーカーに確認することをおすすめします。
耐候性試験とは、太陽光や降雨など自然環境による劣化に対する耐性を調べるための試験で、太陽光を再現した人工光源を照射したり、水を繰り返し噴射するなどして気象の変化を人工的に再現することで製品の劣化を進め、天候に対する耐性や劣化具合を確認するために用いられます。
また、長期的な試験を行う場合は実際に屋外へ材料をさらし、1年ほど様子を見る「屋外暴露試験」も耐候性試験の一種で、環境変化が厳しい場所を選びます。
耐電圧試験とは、電気機器が使用する電圧において必要な絶縁耐力を持っているかを調べる試験です。
具体的には、電気機器が通常運転するための電圧よりも10倍から20倍程度の試験電圧を決められた時間電気機器に印加し、絶縁が確実に施されているかをチェックする試験です。
絶縁耐力試験とも呼ばれ、電気機器や部品を使用するときに十分な絶縁耐力を持っており、絶縁破壊が起きて事故に繋がるような不良品を選別することで、事故を防ぐ役割があります。
絶縁抵抗試験とは、電気機器や電気回路の絶縁を確認するための試験で、絶縁抵抗計(メガー)という測定器を用いて絶縁抵抗値を測定して行います。
電気機器や配線には感電や漏電といった電気による事故を防ぐために電流の流れを意図的に妨げて事故が起こらないように電気が流れる導体を電気を通しにくいケーブルで覆うことで絶縁し、事故を防いでいます。
絶縁抵抗試験は、経年劣化により抵抗が少なくなっていないかを確認するための重要な試験です。
温度サイクル試験は、電子部品・半導体製品に対して行われる信頼性試験の一種です。
温度サイクル試験では、電子部品の外部の温度環境や部品の自己発熱によって温度が繰り返し変化する場合を想定し、温度変化が部品に与える影響を評価します。
電子部品は、熱膨張係数が異なるさまざまな材料で構成されています。そのため、異なる材料の接合部では、温度が変化した際に熱膨張率の差異に起因する応力が発生し、熱疲労破壊が生じる恐れがあります。
温度サイクル試験では、この熱疲労破壊による寿命を評価するため、規定の低温・高温環境の変化を規定のサイクル数繰り返すことで疲労不良を加速させて、温度変化負荷に対する耐性を評価します。