濾過装置

濾過装置とは

濾過装置

濾過とは、液中に含まれる物質を取り除き、固体と液体の混合された状態を分けることをいいます。

液体中に粒子が懸濁しているものをスラリーとよび、液体と固体を分けるためのシート状の多孔性物質を濾材とよびます。そして濾過装置は、液中の液体と固体を分けるために濾材を用いて濾過を行う装置のことです。細かい穴が開いた多孔板である濾材を用いて液体と固体に分離をします。

濾過は人類が利用した最も古い技術の一つであり、紀元前6000年ころには古代メソポタミアでワインの濾過に用いたといわれています。

濾過装置の使用用途

濾過装置は様々な場所で使用されています。例えばプールや浴槽水、工作機械や廃水のための濾過、下水道の濾過、空気清浄機や浄水器の濾過などです。

単純な濾過を行う使用例としては、コーヒーを入れる際にコーヒードリッパを用いて濾過を行います。掃除機によって吸い取ったゴミを分離したり、エアコンや空気清浄機のフィルタでも液体ではなく気体中の粒子を濾過しています。酒の製造工程においても酒と酒かすとに分離する際に濾過工程を用います。

また飲料水用の浄水をおこなうための濾過装置や、災害時に被災者のための飲料水を確保するための雨水濾過装置、井戸水用の濾過装置などもあります。

濾過装置の原理

濾過装置の仕組みは、液中の液体と固体を分けるために濾材を用いて濾過を行います。濾過装置の種類としては大きく3種類に分かれ、ケーク濾過装置、ケークレス濾過装置、清澄濾過装置の3種類に分かれます。

ケーク濾過装置は、濾材に対して濾過の進行に伴ってケーク層が成長します。所定量のケーク層が形成されたらケーク排出を行う必要があります。

ケークレス濾過装置は、液体をフィルタ表面上を高速流動させる濾過方式で、ケーク層を撹拌して除去することで連続使用が可能になります。ケークレス濾過はその動的な特徴からダイナミック濾過とも呼ばれます。

清澄濾過装置は、沈降分離や浮上分離で除去できなかった混濁物をさらに除去し、清澄な水を得るための装置です。砂などの濾材を通過させ、混濁物質を補足して分離を行います。補足される粒子は濾材の隙間よりはるかに小さいものですが凝集作用によって補足がされるものです。そのため凝集性のない粒子は砂濾過によって補足はできません。

参考文献
https://www.shoei-roka.co.jp/useful/filter1/
https://www.miura-eco.co.jp/what_to_know/filtration/
https://www.jfe-eng.co.jp/products/aqua/sup03.html

ハイサイドドライバ

ハイサイドドライバとは

ハイサイドドライバとは、電子回路上に用いられる回路構成で、電源と負荷の間にスイッチ素子を駆動するドライバです。

駆動させるスイッチ素子をハイサイドスイッチと呼び、電源のオンオフや負荷への電流供給や切断を行うためにハイサイドスイッチを制御します。それに対して、負荷とグランドの間に配置されるスイッチ素子を駆動するドライバをローサイドドライバと呼びます。

様々な負荷に電流を流すために、ハイサイドドライバとローサイドドライバではそれぞれの回路での特徴があります。

ハイサイドドライバの使用用途

ハイサイドドライバは、電子回路に広く用いられています。一般的に、インバータや電源オンオフの回路、LEDの駆動ドライバ、モータやソレノイドなどのインダクタンス性の負荷駆動などに用いられます。

ハイサイドドライバを用いて負荷へ大電流を流す場合も多く、突入電流の対策や逆流防止の回路などを考慮にいれ、設計する必要があります。負荷と電源の間にスイッチ素子を入れることから、構成上グランドショートの故障などが発生した場合の動作を考慮して設計できる特徴があります。

ハイサイドドライバの種類

ハイサイドドライバ

ハイサイドドライバは、駆動させるスイッチ素子が電源と負荷の間に配置されるため、スイッチに流れる電流をモニタします。グランドショートしたことを検知でき、スイッチをオフすることで短絡による過電流を止めることができるます。

ローサイドドライバ

ローサイドドライバは、ゲートソース間の電圧がグランド基準となりNchのMOSFETが容易に使用できます。負荷にかかる電圧が高い場合でも、駆動ドライバ側の電圧は負荷側の電圧によらず、低い電源電圧でよい構成となります。素子の選定が低耐圧素子でも攻勢が可能で、サイズやコスト面で有利な構成ができます。

ハイサイドドライバとローサイドドライバの欠点は、互いの利点に対応できないことです。ハイサイドドライバ構成では、ローサイドドライバと比べサイズやコスト面が高くなることが多いです。ローサイドドライバ構成では、ハイサイドドライバ構成で可能であった短絡等へのフェールセーフ面で劣ります。

参考文献
https://analogista.jp/highside-sw/
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/switch/switch_what2
https://detail-infomation.com/load-switch/

レバーブロック

レバーブロックとは

レバーブロックとは荷物を固縛したり吊り上げたりする道具です。本体の先端にフックが1つ、チェーンの先端にフックが1つついており、レバーを回すことでチェーンをしめたり緩めたりして荷物を上げ下げします。

巻き上げ部分にラチェット機構が用いられているため、同じ動作を繰り返すことで操作可能です。同じような用途でチェーンブロックと呼ばれる道具がありますが、これと比較し軽量で小型のため持ち運びしやすいことが特徴です。

レバーブロックの使用用途

レバーブロックは荷物の昇降、固縛に使用されます。

例えば、レバーブロックのフックを天井に引っ掛け、チェーン側のフックを荷物に引っ掛ければ垂直に荷物を昇降させることが可能です。

また、トラックの荷台や台車に荷物をのせ移動する際にずり落ちないよう、締め付けることで固縛することが可能です。工場のメンテナンス作業や現場作業、物流などで広く使用されます。荷物の重量によって、レバーブロックの耐荷重と比較し適切なものを選定します。

レバーブロックの原理

レバーブロックの動作原理は、レバーを回すことで内部の歯車ラチェット部分)が回転し、それに追従する形でチェーンを巻き取ります。チェーンを直接引っ張るよりもレバーを回すことでより大きなトルクで引っ張ることができます。またラチェット機構がついていることで、一方向には回転しもう一方にはブレーキがかかります。この機構のおかげで緩むことなく締め上げることができます。また、フック部分が自由に回転できる構造となっているため、様々な角度で締め付けることが可能となります。つまみ部分で締め上げ、緩みを選択することができ、モデルによっては中立(遊転)状態にもできどちらにも引っ張ることが可能になります。ある程度まで手で直接引っ張り最終の締め上げをつまみで選択し締め上げるという方法が可能となるため、より効率的に作業をすることができます。

フック部分には外れ止めがついており、作業中のフック外れを抑制することでより安全に作業を行えます。固縛時には外れ止めに荷物が干渉しないよう、向きには十分注意する必要があります。

参考文献
https://www.kito.co.jp/products/lb/
https://electrictoolboy.com/media/888/
http://kougutukaikata.ikidane.com/reba-burokku.html

スイッチガード

スイッチガードとは

スイッチガードとは、装置の誤動作や誤操作を防ぐための保護デバイスです。

主に、工場や製造プロセスなどで使用されます。産業用のスイッチは制御盤の盤面などに設置され、通路上に設置されることも少なくありません。その場合は通行中に体が触れてしまうなど、意図しない形でボタンを押してしまうことがあります。

産業用機器を意図せずに運転させると事故や故障の原因となるため、スイッチガードを使用して誤操作を防止することも多いです。スイッチガードは機械の重要なスイッチやレバーなどを物理的に覆い、誤って操作されるのを防ぎます。これにより、事故や機械の誤動作を減少させ、作業環境の安全性を向上させます。

スイッチガードの使用用途

スイッチガードはさまざまな場面で使用される機器です。以下はスイッチガードの使用用途です。

1. 産業機器

場や製造プロセスでの機械や装置の誤操作を防ぐために使用されます。これにより、事故や機械の誤動作を防ぎ、作業者や設備の安全を確保することが可能です。

2. 電子機器

電子機器やコンピュータの誤操作を防ぐために、キーボードやスイッチなどにスイッチガードが組み込まれることもあります。特に、重要なコンピュータシステムやデータセンターにおいては誤操作の防止が非常に重要です。これにより、ヒューマンエラーによる通信障害などのリスクを低減させることが可能です。

3. 鉄道車両・航空機

列車や地下鉄などの鉄道車両において、運転台や制御パネルにスイッチガードが配置されることもあります。運転者が列車を誤操作してしまう危険性を低減することが可能です。

また、飛行機のコックピットにおいて、重要なスイッチやコントロールにスイッチガードが設けられます。パイロットの誤操作を防ぎ、航空安全性を確保します。

スイッチガードの原理

スイッチガードは、誤ってスイッチやボタンを操作することを防ぐために物理的なカバーです。これを使用することにより、意図しない操作が行われるのを防ぎます。誤操作を防止する原理は物理的にカバーを設け、誤ってスイッチを触れなくなるようにすることです。

カバーは樹脂などで製造されるのが一般的です。ボタンへの視認性を高めるため、透明なアクリルなどで製造されます。カバーには蝶番などが設けられており、必要に応じてボタンなどにアクセスできるようになっています。

スイッチガードは、設計が作業者や操作者にとってわかりやすく、容易に操作できるように設計されます。スイッチの位置や色、形状などが設計の一部として考慮され、視覚的な認識を向上させることが可能です。

スイッチガードの種類

スイッチガードは、大きく分けて2種類あります。前面を覆うタイプと、ガードリングタイプです。

1. 前面を覆うタイプ

前面を覆うタイプは、アクリルなどの樹脂で作られ、前面を透明塩ビ等の透明な材質でスイッチを覆います。アクリルパネルには蝶番などが付いており、前面を開けられる構造です。スイッチを押し下すときは、前面を開けて操作します。

2. ガードリングタイプ

ガードリングタイプは、円形の皿のような形状のガードリングです。多くの場合は樹脂などによって製造されます。中心軸から180°の対称位置が窪んでおり、チョップなどによって作動できるようになっています。

スイッチガードの選び方

スイッチガードを選ぶ際はいくつかの要素を考慮する必要があります。以下はスイッチガードの選定要素です。

1. 種類

上述した通り、スイッチガードにはいくつかの種類が存在します。用途に応じて正しい種類を選定することが重要です。

2. 取付穴

スイッチガードは取り付けるスイッチのサイズに合わせて選ぶ必要があります。取付穴の寸法が一致しない場合、スイッチガードを適切に取り付けることは不可能です。スイッチの外形寸法と取付穴の寸法を確認し、一致することを確保します。

φ30の取付穴が使用される場合が多いです。省スペースを考慮する場合は、φ22やφ25の取付穴も使用されます。

3. 色

スイッチガードの色は、安全性と可視性に影響を与えます。特定のスイッチを素早く識別するために、明るく目立つ色を選択することが重要です。例えば、緊急停止ボタンは赤色が一般的に使用され、スイッチガードは黄色を使用されることが多いです。

4. 形状

スイッチガードの形状は、スイッチが正確に収まるように選ぶ必要があります。円形や四角形など、さまざまな形状の製品が販売されています。取り付け場所とスイッチの形状に合ったスイッチガードを選択することが重要です。

ノッカー

ノッカーとは

ノッカーとは、詰まりや堆積を防止するための装置です。

粉状の製品を生産する箇所で使用され、振動を目標物に与えることで詰まりや堆積を取り除くことが可能です。ホッパーやタンクなど、粉製品を一時的あるいは継続的に貯蔵する機器に取付、任意の時間と間隔を設定し振動させます。

振動させるためにエアーを投入することから、エアーノッカーとも呼ばれます。

ノッカーの使用用途

ノッカーはホッパーやタンクなどに取り付け、粉のブリッジ現象を防止するために使用されます。具体的には、食品工場や化学工場などです。粉には安息角と呼ばれる角度があり、これが大きいほどブリッジしやすくなります。

ホッパーの形状として円錐部分の角度が鈍角であるほど、粉体のブリッジが発生しやすくなります。また、粉体によっては完全に乾燥しているものもありますが、乾ききっていないものもしくは添加剤などを投入して少し湿ったものなど状態は様々です。後者の状態の粉体は前者の状態よりもブリッジしやすいため、よりノッカーやバイブレーターなどを取り付ける必要があります。

また、パッケージングプロセスにおいても、ノッカーは製品をパッケージ容器に均等に配置するために使用されます。振動によって製品が均等に敷き詰められ、効率的な包装が実現可能です。その他にも、製品や部品の耐久性をテストするための振動試験装置にも利用されます。製品が振動に耐えられるかどうかを評価するのに有用です。

ノッカーの原理

ノッカーは、一般的に電磁振動子やエアーノズルなどの方式で振動を生成します。振動子は、電力を供給することで振動を発生させ、これにより取り付けられたノズルや振動子の端末が物体に振動を伝えます。この振動は、物体を振動させるためのエネルギー源です。

ノッカーの特徴

ノッカーの特徴は汎用性の高い点です。ノッカーは主にさまざまな工業用途に使用されており、粉体処理、コンベアシステム、振動ふるい、非破壊検査、包装など、多くの分野で利用されています。また、ノッカーを使用するメリットは、振動を使用して物体を処理することで製品の品質向上が実現できることです。

粉体処理においては、均一な混合物を作成したり、不純物を分離したりするのに役立ちます。また、ノッカーは一般的に非破壊的な方法で物体に振動や衝撃を与えるため、物体自体に損傷を与えることなく、必要な操作を実行できます。

ノッカーのその他情報

1.リレーノッカーの原理

リレーノッカー (英: Relay Knocker) は、電気的なリレーを使用して振動を生成し、物体を振動させます。通常、リレーと振動用のアームやハンマーから構成されていますが、リレーのコイルは振動用アームに接続されており、リレーが作動するとアームが振動します。この振動が物体に伝わり、物体を振動させることが可能です。

リレーノッカーの作動は、電流をリレーのコイルに供給することで開始されます。コイルに電流が流れると、リレーのアームが振動し、アームの振動が物体に伝わります。電流が停止すると、アームは元の位置に戻ります。このプロセスを繰り返すことで、物体に継続的な振動を与えることが可能です。

2. バイブレーター

エアーノッカー以外にも、バイブレーターと呼ばれる装置があります。バイブレーターの種類は多く、内部でボールが回転することで振動を起こすボールバイブレーターやピストンにエアーを投入することで往復運動させ振動を起こすピストンバイブレーターなどさまざまです。

ノッカーは一撃一撃が大きく、衝撃間隔が比較的広いのに対して、バイブレーターは振動の大きさは小さいうえ、衝撃間隔が狭く継続的に衝撃を与え続けることができます。どちらもエアーのみで駆動させることが可能です。

ガス測定器

ガス測定器とは

ガス測定器

ガス測定器とは、空気中に含まれる特定の性質を有する気体を測定する機器です。

特定の性質を持つガスの具体例として、可燃性のガス、毒性のガス、不活性ガス、支燃性ガスなどが挙げられます。直接人に危険を及ぼすガスや引火の可能性があるガスなどを、ガス測定器によって測定する場合も多いです。

測定するガスの特性に応じて、測定する方式も多様です。具体的には、光学的な性質を利用するガス測定器のほか、物性的な性質を用いて測定する機器などもあります。

ガス測定器の使用用途

ガス測定器は、ガスを検知するために使用可能です。大気中に漏洩した可燃性ガスや毒性ガスの有無を確認でき、ガスの濃度を測定できます。ガスは無色の気体が多く、人が気づきにくいため、人に危険が及ぶ可能性があります。代表的なガス測定器は、メタンガス測定器、一酸化炭素測定器、炭酸ガス測定器などです。

ガスの測定器には、濃度を連続的に測定する方式だけでなく、短時間の濃度や長時間の積算濃度を測定する種類もあります。通常測定したいガスは気体中に混ざっており、単独で存在する場合はまれです。したがって目的のガスの濃度を、他のガスの影響を受けずに検知する方式を選ぶ必要があります。

ガス測定器の種類

ガス測定器の原理には、大別すると固体センサ、電気化学センサ、光学センサなどがあります。

1. 固体センサ

固体センサを用いてガスを測定する方式には、接触燃焼方式、ニューセラミック方式、半導体方式、熱線型半導体方式、熱電動方式などがあります。

2. 電気化学センサ

電気化学センサを用いる方式の具体例は、定電位電界方式、隔膜分離型の定電位電界方式、隔膜電極方式、隔膜ガルバニ電池方式などです。

3. 光学センサ

光学センサを用いる方式には赤外線方式や検知テープ方式があり、それ以外にも熱粒子化方式などがあります。

ガス測定器の構造

接触燃焼式のセンサは、可燃ガスが燃焼する際の発熱量を利用しており、一般的な可燃性ガスの測定器です。加熱された白金線コイルの検知素子表面で可燃性ガスが燃焼し、素子の温度を上昇させます。この温度変化に伴い素子を構成する白金線コイルの抵抗値が変化します。このときの抵抗値変化はガスの濃度にほぼ比例するため、ガスの濃度を測定可能です。

ガス測定器の原理

1. ニューセラミック式

ニューセラミック式のセンサは超微粒化酸化触媒上で、可燃性ガスが燃焼したときの発熱量を用います。

2. 半導体式

半導体式のセンサは、金属酸化物半導体がガスと接触して発生する抵抗値の変化を使います。

3. 熱線型半導体式

熱線型半導体式のセンサは、酸化物半導体表面での可燃性ガスの吸着や酸化反応による電気伝導度の変化を検出可能です。

4. 熱伝導式

熱伝導式のセンサは熱した素子にガスが接触し、ガス固有の熱伝導度差を使っています。

5. 定電位電解式

定電位電解式のセンサでは電位が一定に保たれた電極上で、ガスの電気分解により生じた電流を調べます。

6. 隔膜ガルバニ電池式

隔膜ガルバニ電池式のセンサは酸素が電極上で電気分解する際の電流を、酸素濃度として検知可能です。

7. 赤外線式

赤外線式ではセンサ内の光源から放たれた赤外線が、ガスに吸収された量を利用可能です。

ガス測定器の選び方

接触燃焼式は応答性、反応速度、精度、再現性に優れています。温度や湿度のような使用環境の影響をほとんど受けません。

1. ニューセラミック式

ニューセラミック式は1つのセンサで幅広い温度範囲を検知でき、耐被毒性に優れ、感度劣化が少ないため、長期安定的に使用可能です。

2. 半導体式

半導体式は可燃性ガス以外のあらゆるガスを検知でき、過酷な環境条件にも耐性があります。

3. 熱線型半導体式

熱線型半導体式は低濃度で可燃性ガスの検出に適し、省電力でも迅速に高感度で起動します。

4. 熱伝導式

熱伝導式は化学反応を伴わないため、触媒の被毒や劣化などの心配がなく、長期間安定です。

5. 定電位電解式

定電位電解式は設定電位を選択して、高感度で毒性ガスを検知します。

6. 隔膜ガルバニ電池式

隔膜ガルバニ電池式は軽量かつ小型で、センサの動作に外部電源が必要ありません。

7. 赤外線式

赤外線式は感度が劣化しにくく長期的に測定結果が得られ、水蒸気や共存ガスの影響が少なく、ガス選択性に優れています。

参考文献
https://www.rikenkeiki.co.jp/cms/riken/pdf/support/PC9-0314-180610S.pdf

テーパーゲージ

テーパーゲージとは

テーパーゲージ (英: Taper gauge) とは、隙間を計測するための工具です。

物体の内部または外部のテーパー (傾斜面) の測定や評価に使用されます。円筒形の穴や軸の内部または外部テーパーの評価への使用が一般的です。

テーパーゲージは比較的簡単に使用できるため、迅速な測定が実現されます。生産ラインや製造プロセスにおいて、効率的な利用を可能にします。品質管理の一環として使用されることが多く、部品のテーパーが許容範囲内に収まっているかどうかを確認するのに役立ちます。

また、隙間を計る工具として隙間ゲージ (シックネスゲージ) もあります。より精度が必要な場所では、隙間ゲージを使用します。

テーパーゲージの使用用途

テーパーゲージは、さまざまな産業や分野で使用される汎用性の高い測定工具です。以下はテーパーゲージの使用用途です。

1. 機械部品

機械部品の内部テーパーは、切削工具の正確な位置決めや部品の嵌合を確保するために重要です。例えば、工作機械で使用されるエンドミルは内部テーパーを持っており、これを正確に保つことで加工精度が向上します。

テーパーゲージは内部テーパーの角度とサイズを測定し、製品の品質を確保するのに役立ちます。

2. 回転機器

 回転機器の軸と穴は、適切なテーパーが保たれることで正確な嵌合と運動が実現されます。例えば、ベアリングを組み込む際に、軸と穴のテーパーが一致しないと正確な回転ができません。

テーパーゲージはこれらの部品の適合性を確認し、摩擦や歪みを最小限に抑える場合に有用です。

3. 金型

成形される部品が適切に金型から取り出せるようにするために、傾斜面を付けることがあります。例えば、プラスチック成形の金型では、部品が金型から取り出される際に傾斜面が必要です。

テーパーゲージは金型部品の傾斜面を確認し、適切な製品の取り出しを保証します。

テーパーゲージの原理

テーパーゲージは、部品のテーパー角度とサイズを測定するための測定ツールです。その原理は、物体のテーパーの適合性を確認するための比較測定に基づいています。

本体は、測定する部品のテーパーと比較する基準として機能します。その多くは金属製の棒状であり、先端がテーパー状に削られている構造です。このテーパーの形状が基準として機能し、測定対象穴のテーパーと比較されます。

テーパーゲージの目盛はゲージのサイズや角度を示す情報が記載されています。単位はmmが使用される場合がほとんどです。測定精度としては、±0.1mm程度が採用されます。

グリップは、テーパーゲージを保持し操作するための部分です。ゲージを正確に挿入したり、取り外したりする際に便利です。

テーパーゲージの選び方

テーパーゲージを選ぶ際に、以下の要素を考慮する必要があります。

1. 長さ

テーパーゲージの長さは、測定対象の部品のサイズに合わせて選ぶ必要があります。ゲージの先端部分はテーパー形状であり、これを部品のテーパーに合わせて挿入します。部品の深さに達し、適切な適合性を確認できる長さのゲージを選ぶことが重要です。

2. 幅

幅はゲージのテーパーの角度や寸法に影響を与えます。測定対象の部品のテーパーに適合する幅のゲージを選ぶことで、正確な測定が可能です。幅が不適切な場合、正確な適合性の評価が難しくなる可能性があります。

3. 材質

テーパーゲージの材質は、その多くが耐久性の高い金属製です。ただし、製品を傷つけないために、プラスチック製も販売されています。選ぶ材質は使用環境や目的に合わせて決定することが重要です。

4. トレーサビリティ

信頼性のあるテーパーゲージを選ぶために、製造元からのトレーサビリティ情報を確認することが重要です。製造プロセスや校正手順が適切に文書化され、トレーサビリティが確保されているゲージを選ぶことで、品質と信頼性を保証できます。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/095/
https://issoku.jp/

ACスイッチ

ACスイッチとは

ACスイッチとは、交流電源をスイッチングする部品のことです。

ACとは、英語でaltarnating currentの略であり、日本語では交流電流を指します。交流電流とは電流の向きが正負を繰り返す電流のことで、商用電源はほとんどの場合はAC電源を指します。

また、スイッチは電流を差し止めたり、流したり、切り替えたりする部品のことです。

ACスイッチは上記2つを満たす部品であり、交流電流を差し止めたり、流したり、切り替えたりする部品のことを指します。

ACスイッチの使用用途

ACスイッチは一般家庭や日常生活でも頻繁に目にする部品です。

最も身近な例としては、照明のスイッチです。ほとんどの場合はACスイッチが使用されます。一般家庭で照明に使用される電圧はAC100Vの電源です。照明用スイッチは2-5A程度の電流しか流すことはできませんが、家庭用照明は0.4A程度しか流れないために問題なく使用できます。

一般家庭では他にも、扇風機のスイッチやこたつのスイッチ等、幅広く使用されています。

産業用としても、小さい負荷を動作させるスイッチとして、ACスイッチが使用されます。

ACスイッチの原理

ACスイッチの原理は、産業に使用される部品の中でも大変簡単な仕組みとなっています。

ACスイッチ自体は、ある2点を開放又は短絡して電位を切り替えられる構造となっています。2点を切り替える当たり面を接点と呼び、スイッチの主要構造物はこの接点であると言えます。接点の材質は金や銀、白金、黄銅の合金が使用されます。導電性が高く、化学的性状も安定しているためです。

接点の周りは樹脂やゴム等の絶縁物で保護します。人が触る部分と接点を電気的に絶縁するために絶縁物が用いられます。また、接点の内部にAC駆動のランプを埋め込み、接点の切り替え状態を表示するスイッチも販売されています。家庭用照明スイッチには多く使用されます。

また、ACスイッチは電位の異なる配線同士を接続できる箇所が1か所以上存在します。照明配線にはVVF配線が使用される場合が多く、VVF配線は端末処理が不要です。そのため、照明用ACスイッチの配線接続口はねじ込み端子となっていることも多くあります。

 

端子台付中継ボックス

端子台付中継ボックスとは

端子台付中継ボックスとは、端子台が付属する配線中継ボックスです。

産業用途や住宅用途などで広く使用されており、電気配線システムを効果的に構築し、運用するための重要な部品となっています。端子台付き中継ボックスは電気配線を整理し、保護するのに役立ちます。

配線が乱雑になるのを防ぎ、外部からのダメージや環境要因から保護することが可能です。誤って触れるリスクを軽減し、電気的な危険性が抑えられます。また、異なる電線やデバイスを簡単に接続するための中継地点を提供します。配線の接続や切り離しが簡単で、トラブルシューティングや保守作業が容易です。

ただし、端子台付き中継ボックスは適切に設置される必要があります。誤った設置は接続不良などを引き起こす可能性があります。設置時には適切な手順とガイドラインに従うことが重要です。

端子台付中継ボックスの使用用途

端子台付中継ボックスは、さまざまな産業や用途で使用されています。端子台付き中継ボックスの使用用途は、以下の通りです。

1. 産業制御

産業制御分野では、機械装置またはプロセスの制御に電気信号が使用されます。複数のセンサーやモーターなどのデバイスを制御システムに接続し、データの収集や指示の送信を行う仕組みです。

端子台付き中継ボックスはこれらのデバイスの信号線を整理し、適切な制御信号を送受信するための中継地点を提供します。

2. 建築・住宅

住宅や商業施設の電気配線では、照明やコンセントなどを管理するために中継ボックスが使用されます。配線を壁内に隠す場合や、屋外での配線管理に利用されることが多いです。中継ボックスを使用することで、電気システムの安全性と信頼性が向上し、配線の見た目もスッキリします。

3. 通信・ネットワーク

通信システムやネットワークインフラでは、ケーブルやファイバーの接続点を管理するために中継ボックスが使用されます。データセンターや通信基地局用のケーブル・ファイバーを整理し、信号の品質を保つために利用されることが多いです。中継ボックスを使用することで、ネットワークの信頼性と保守性が向上します。

4. エネルギー

再生可能エネルギーシステムでは、太陽光発電や風力発電から得られた電力を一元管理するために中継ボックスが使用されます。複数の発電源からの電力を統合し、制御するために信号線を整理する際に有利です。これにより、電力の最適な利用とエネルギー効率の向上が図られます。

端子台付中継ボックスの原理

端子台付中継ボックスは、中継ボックスと端子台を合わせた構造となります。

1. 中継ボックス

中継ボックスは、配線を接続する際に用いられる電設部品です。端子台付中継ボックスとしては、四角型のボックスが使用されることが多いです。主に鉄またはプラスチックなどの材質が使用されます。

鉄製キャビネットは、鉄箱に蝶番とハンドル付き表蓋が付いている構造をしています。表蓋と鉄製キャビネットはゴムパッキンによってシールするのが一般的です。下部に穴を開けて配線を入線し、内部の端子台で接続します。

2. 端子台

端子台は、電気信号の配線や接続点を提供する部分です。配線を接続するためのブロックや台座で、配線の接続を容易にし、整理することが可能です。配線同士を接続するための金属板や、ビスまたはねじ込み機構などで構成されます。

端子台付中継ボックスの選び方

端子台付き中継ボックスを選ぶ際は、いくつかの要点があります。

1. 端子台極数

端子台極数はボックス内で接続できる電線やケーブルの数を示します。必要な極数を確認することが重要です。将来的な拡張も考慮して、余裕を持って選ぶことが望ましい場合もあります。

2. 適合配線

使用する配線の太さなどを確認し、それに合った中継ボックスを選びます。特に電線の電圧や電流の要件に合わせて選択することが重要です。適合しない電線を使用すると、信号の劣化や安全性の問題が生じる可能性があります。

3. 筐体材質

使用環境に応じて適切な筐体材質を選びます。屋内使用ならプラスチックが適しているかもしれませんが、屋外や過酷な条件では金属製の筐体が必要です。耐久性や耐腐食性を考慮して選択します。

4. 定格電圧

中継ボックスの定格電圧は、ボックス内で扱う電気信号の最大電圧を示します。電気システムの要求電圧に合わせて選び、定格電圧を超えないように注意が必要です。過大な電圧を扱うと、ボックス内の部品が損傷する可能性があります。

5. 結線方式

結線方式は、配線をどのように接続するかを示します。使用する配線や接続のニーズに合った結線方式を選ぶことが重要です。ネジタイプ、クランプタイプ、バスバー結線などがあります。

ハイサイドスイッチ

ハイサイドスイッチとは

ハイサイドスイッチとは、モータ、ソレノイド、インダクタ、 LEDなどの負荷に対して電源供給をON/OFFする半導体素子のことです。

使用する半導体は、Pチャネル型のMOSFETを使用するケースが多いです。回路上の配線において、 負荷の電源側にスイッチを配置するのでハイサイドスイッチと呼ばれています。

ハイサイドスイッチがONの時は、負荷に電源を供給し、ハイサイドスイッチがOFFの時は負荷へ電源を供給しません。回路上の配線において、負荷の出力側 (電源と逆側) にスイッチを配置する場合は、ローサイドスイッチと呼びます。

ハイサイドスイッチの使用用途

ハイサイドスイッチは、さまざまな負荷に対して電源を供給したり遮断したりする目的で使用されています。具体的には、インバータや電源オンオフの回路、 LEDの駆動ドライバ、モータやソレノイドなどインダクタンス性の負荷駆動に使用されるケースが多いです。

負荷へ大電流を流すことも多く、突入電流の対策や逆流防止の回路などを考慮に入れて設計する必要があります。リレー等のメカニカルなスイッチではなく、 半導体素子で負荷の電源供給をON/OFFするため ON/OFFスピードを早くすることが可能です。

負荷への電源供給はON状態のまま、負荷の出力をON/OFF制御したい場合は、 ローサイドスイッチを使用して下さい。

ハイサイドスイッチの原理

FETはPチャネル型とNチャネル型の2種類ありますが、 FETをローサイドスイッチとして使用する場合はNチャネル型FETを使用する場合が多いです。 ハイサイドスイッチとして使用する場合は、Pチャネル型FETを使用するのが一般的です。

Pチャネル型FETは、ゲートソース電圧に負の電圧を与えた時、 ドレインソース間の抵抗値が小さくなり、 ソースからドレインに向かって電流が流れます。流れる電流の向きに合わせて、 電源や負荷をFETに接続する必要があり、Pチャネル型FETのソースに電源を接続し、 ドレインに負荷を接続します。

Pチャネル型FETは、ゲート電圧をソースに接続した電源電圧よりも低くすればソースからドレインに向かって電流が流れるので、 ハイサイドスイッチとして機能します。

ハイサイドスイッチのその他情報

1. FETの原理

トランジスタの各端子名が 「ベース」 「エミッタ」 「コレクタ」と呼ぶのに対し、 FETの各端子名は「ゲート」 「ソース」 「ドレイン」と呼ばれます。 「ベース」と「ゲート」、「エミッタ」 と 「ソース」、 「コレクタ」 と 「ドレイン」 が似たような動きをする端子です。

トランジスタはベースに流れる電流に一定の倍数をかけた電流がコレクタに流れる特性を持っていますが、 FETはゲートソース間の電圧により、 ドレインソース間の抵抗値が変化する特性を持っています。 ゲートソース間の電圧が高くなると、 ドレインソース間の抵抗値が小さくなります。

制御方法は、トランジスタを制御する際はペース電流を制御し、 コレクタ電流を制御するのに対し、 FETを制御する際はゲートソース間の電圧を制御して、 ドレインソース間の抵抗値を制御するのが効果的です。

2. ハイサイドスイッチ選定時の注意点

Nチャネル型FETをハイサイドスイッチとして使用する場合は、 電源をドレインに接続し、 負荷をソースに接続し、ゲート電圧を負荷に与える電源電圧よりも高くする必要があります。 ゲート電圧を負荷に与える電源電圧よりも高くする場合は、ゲート電圧昇圧回路等を用意して下さい。

Pチャネル型FETの場合はゲート電圧昇圧回路が不要となりますが、 Nチャネル型FETと比べて、 ドレインソース間の抵抗が大きくなるので、 FETを選定する時に注意が必要です。

参考文献
https://analogista.jp/highside-sw/
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/switch/switch_what2
https://detail-infomation.com/load-switch/