導電性マットとは
導電性マットとは、人体に帯電した静電気を徐々に放電する為のマットです。
床面に敷かれることが多く、作業場や工場、ラボ、クリーンルームなどで使用されます。また、耐久性や耐摩耗性が求められる場合もあり、定期的なメンテナンスが必要です。
導電性マットの使用用途
導電性マットは導電性の素材で作られており、静電気の放電や電磁波のシールディング、静電気による機器の損傷を防ぐなどの目的で使用されます。
1. 静電気防止
導電性マットは、静電気の発生や放電のリスクを低減するために床面に敷かれています。特に作業場や工場、クリーンルームなどで使用されることが多く、人や機器の静電気の放電を促進します。
2. 電磁波シールディング
導電性マットは、電子機器や精密機器の周囲に配置され、外部からの電磁波の侵入を遮断します。これにより、機器の正常な動作を保護し、電磁干渉 (EMI) の問題を軽減します。
3. 防爆環境
導電性マットは、爆発の危険性のある環境で使用される場合があります。爆発性ガスや蒸気の存在する場所では、静電気の発生と放電を抑制しなければなりません。導電性マットを敷くことで、放電による引火リスクを軽減できます。
4. 感電防止
導電性マットは、地面や接地システムに接続されることで、人や機器の安全な接地状態を実現します。確実な接地は、感電や機器の故障のリスクを軽減し、安全性を向上させます。
5. ラボやクリーンルーム
導電性マットは、研究室やクリーンルームなどの特定の環境で使用されることもあります。静電気の管理や電磁波シールディングが重要な要素となる環境で、導電性マットがその一助として機能することが期待できます。
導電性マットの原理
導電性マットは、導電性素材による静電気放電を促すものです。以下に導電性マットの原理を簡潔に説明します。
1. 導電性素材
導電性マットは、通常、導電性の素材で作られています。この素材には、導電性繊維や導電性ゴム、導電性ポリマーなどが使用されますが、これらの素材の抵抗率は一般的には10-6 Ωmから10-4 Ωm 程度で、鉄と比較すると1桁から3桁大きな抵抗値です。
抵抗値が小さいと静電気放電時に大きな電流が流れて危険なため、敢えて抵抗値が大き目の物質を採用しています。導電性マットには、表面や内部に導電性素材が織り込まれており、電荷や電流がこれらの素材を通してアースに流れます。
2. 静電気の放電
導電性マットは、帯電している物体から静電気の放電を促進する役割を果たします。静電気は物体や人体に蓄積 (帯電) されますが、導電性マットに織り込まれている導電性素材に触れると、静電気は素早く放電されます。
3. 大地への接続
導電性マットは、地面や接地システムに接続されることで効果を発揮します。人や物体に帯電した静電気 (電荷) は、導電性マットに触れた瞬間にアース線を介して大地へ流れます。
以上の様に、導電性マットの効果は導電性素材による電気の導通と静電気の放電によるものです。これにより、静電気の抑制や安全性の向上、電磁波シールディングなどの目的を達成することができます。
導電性マットの選び方
導電性マットにはいくつかの種類がありますが、適切な導電性マットを選ぶためには、以下の要素を考慮する必要があります。
1. 導電性素材の種類
導電性マットに使用される導電性素材はさまざまで、導電性繊維、導電性ゴム、導電性ポリマーなどが一般的です。用途や要件に応じて、素材の特性 (耐久性、抗菌性、耐熱性など) を考慮し、適切な素材を選ぶ必要があります。
2. 電気的な性能
導電性マットの電気的な性能も重要です。素材の抵抗率を確認し、静電気の放電能力やアースの効果を検討する必要があります。
3. サイズと形状
導電性マットはサイズや形状がさまざまで、作業スペースや設置場所に合わせて適切なサイズを選ぶ必要があります。現場でカットできるタイプも存在し、設置環境に合わせて適切な形状に加工することも可能です。
4. 耐久性とメンテナンス性
導電性マットの耐久性も重要です。耐摩耗性や耐化学性が求められる場合、それに応じた耐久性を持つマットを選ぶ必要があります。また、メンテナンスの容易さを踏まえ、清掃や定期的な点検が簡単に行えるマットを選ぶことも重要なポイントです。
5. 規格と規制要件
特定の産業や環境では、導電性マットに関して特定の規格や規制要件 (RoHS2規制や消防法など) が存在する場合があります 。適用される規格や要件を確認し、それに準拠したマットを選定して下さい。
参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/283/
https://detail-infomation.com/electrostatic-conductive-mat/