ブラインドリベット

監修:ニッセンファスニング株式会社

ブラインドリベットとは

ブラインドリベットとは、2枚以上の板材を接合するための部材です。

用途としてはボルト・ナットと同じで、接合する際は専用の工具であるリベッターを使用してワンアクションで片側から接合します。

裏側に手が回らない密閉状態でも容易に部材を取り付けでき、溶接が困難な異種金属同士を接合できるという特徴があります。また、溶接のような資格も必要ないという点や溶接の後工程で必ず発生するさび止め塗装の工程やひずみ取りの工程が省けるという点、さらに溶接のように火気を使用することがないため安全配慮的な点でも優れていると言えます。

ブラインドリベットの使用用途

ブラインドリベットとは

図1. ブラインドリベット

ブラインドリベットは2枚の薄板を接合するために広い分野で使用されます。(製造機会、産業機械、自動車、電気設備、建築、土木など) 

ブラインドリベットはリベットボディとマンドレルの2つの部品から構成され、2枚の薄板を接合するために広い分野で使用されます。ボルト・ナットや溶接の代わりに使用されたり、溶接や接着の補助部材としても使用されたりすることがあります。取り外すことを容易にさせないためにブラインドリベットを使用することもあります。

ブラインドリベットの原理

ブラインドリベットの原理

図2. ブラインドリベットの原理

マンドレルの端部には軸部よりも大きい頭部があり、締結する板材にあらかじめ開けられた下穴 (1) にマンドレル頭部とリベットボディ部分を挿入 (2) (3) し、マンドレルをリベッターで引っ張る (4) ことで、マンドレル頭部がリベットボディ内部に入り込み (5) 、リベットボディの外径を大きく塑性変形して締結します。マンドレル頭部が接合する板材の裏側表面付近まで来た後に、マンドレル自体があらかじめ設定された破断部で引きちぎられ、接合作業は完了します。(6)

ブラインドリベットの種類

ブラインドリベットの種類は、下記の違いによって種類が多岐にわたって区分されます。適切な種類を選定するには注意が必要です。

1. 材質

リベットボディとマンドレルのそれぞれの材質の違いによって区分されます。材質はスチール、ステンレス、アルミニウムが主流であり、他にも銅やチタンもあります。材質の組み合わせによっても区分されます。

2. リベットボディの太さ

リベットボディの太さはφ2.4、φ3.2、φ4.0、φ4.8、φ6.4で区分されます。接合に対して求められる強度や接合するワークの大きさにより選定します。ブラインドリベット自体の強度はリベットボディに使用されている材質によっても違いがあります。

3. リベットボディの長さ

リベットボディの長さに応じて、接合できる合計板厚の範囲が決まっています。使用する板材の合計板厚を確認してください。適正な板厚以外で使用すると適正な性能を得ることができません。

4. フランジ部の形状

フランジ部の形状

図3. フランジ部の形状

リベットボディのフランジ部の形状によっても区分されます。標準的な「丸頭」、仕上がりをフラットにするための「皿頭」、軟質材を接合するための「ラージフランジ」があります。

5. リベットボディの形状

リベットボディの形状

図4. リベットボディの形状

リベットボディに貫通穴がある標準的な「オープンタイプ」とリベットボディが袋状になっている「クローズドタイプ」に区分されます。クローズドタイプは、埃や水分を通しにくい特徴を持ち、締結後のマンドレル頭部の脱落を忌避する場合も有効です。

6. かしまり方

かしまり方の種類

図5. かしまり方の種類

リベットボディの変形する形状の違いによっても種類が分かれます。標準的な変形状態の「スタンダードタイプ」に対して、座屈変形によるこぶを作る「バルブタイプ」、下穴径との隙間を埋める効果 (ホールフィル効果) を持つ「高強度タイプ」に区別されます。

ブラインドリベットの選び方

かしめ状態の比較

図6. かしめ状態の比較

ブラインドリベットを選ぶ場合は先に挙げた違いや区分に注意しながら選定します。接合の目的、必要な強度、接合する板の合計板厚数、適正本数か、使用する材質の適性などの確認が必要です。

リベットボディの太さによって、取り付けるために開ける下穴の径も適正な寸法がリベットごとに定められているため、設計する際には注意が必要です。下穴径が適正でない場合、適正な接合性能が得られなくなります。 (図6参照) 

リベット接合を設計検討する場合、かしめを行う時のリベッターの母材への干渉も考慮する必要があります。工具が母材と干渉し母材面と垂直な姿勢を取れない場合かしめが適正でなくなることがあります。

最後に、ブラインドリベットを選定する際にもう一つ注意する点とすれば、電食の対策です。電食は異種金属間同士が密着する箇所において水分が介在した場合、材質の持つ電位差によって材料が腐食することです。特に母材がステンレスに対してアルミのブラインドリベットを使用するとブラインドリベットのほうが腐食しやすくなり、最終的にはブラインドリベットがなくなってしまうこともあります。従って、異種金属間で電気を通らせないようにする対策をブラインドリベットもしくは母材の方に施すことが必要になります。

ブラインドリベットのその他情報

ブラインドリベットの規格

現時点でブラインドリベットの形状や性能に対するJIS規格は存在しません。基本的な仕様は各メーカーで決められており、さほど違いはないこともありますが、場合によっては特殊品として対応することもあります。

本記事はブラインドリベットを製造・販売するニッセンファスニング株式会社様に監修を頂きました。

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