測量電卓

測量電卓とは

測量電卓とは、測量の計算に必要な公式が内蔵されている、関数電卓のひとつです。

この電卓を用いると、測量で計測した数値を入力していくだけで、適切な答えを得ることができます。また、測量機器からのデータを直接取り込める機能や、必要な計算プログラムを追加する機能、さらに大量の計算結果を保存する機能を有するものもあります。したがって、測量電卓を用いることによって、測量業務の効率化を実現することができます。

測量電卓の使用用途

測量電卓では、主に測量に用いられる複雑な計算を行い、その計算結果を保存することができます。

測量電卓は、土木測量を行う時をはじめ、屋外で使用する例が多くみられます。そのため、高い耐衝撃性、防水・防沫・防塵性能を有するなど、自然環境に左右されない丈夫な作りを持っています。

また作業中にいつでも計算できるように使いやすい設計がなされています。例えば、サイドキーを有するものや、実行したいプログラムを片手操作でも簡単に検索することができる機種もあり、現場での幅広い操作に対応して、作業効率の向上に貢献します。

測量電卓の原理

測量を行うとき、角度と距離を測定することによって、物体の位置を決定します。この時、測量計算のプログラムが内蔵されている測量電卓を用いると、それに計測値を入力するだけで、複雑な測量計算を簡単に行うことができます。

また、測量電卓には必要なプログラムを後から追加できるタイプもあり、様々な任意の計算も行うことができます。さらに電卓に搭載されている大容量メモリーに、その計算結果を保存することもできます。

多くの測量電卓は、屋外での使用に対応しています。測量を行う工事現場では、急な天候変化によって雨が降ったり、またほこりっぽかったりする環境下での作業の際、、精密機器である電卓が故障してしまうような要因がたくさんあります。こんな環境下でも問題なく使用できるよう、測量電卓は、高い耐衝撃性能や防水・防沫・防塵仕様を有します。また、薄暗い場所や時間帯でも作業可能なように、バックライトを搭載しているものもあります。

参考文献
http://product.metamoji.com/gemba/eyacho/
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/668049.html

測量ソフト

測量ソフトとは

測量ソフトとは、土地測量ソフトウェアとも呼ばれており、一連の点間の角度及び距離を決定するプロセスを支援するソフトウェアのことです。

3Dランドスケープを評価することで、点間の角度や距離の算出を行います。基本的には、地図や建物もしくはその他の地下公共のプロジェクトの境界を作成するときに、測量ソフトを用いた点の位置の測定が用いられます。

測量ソフトの使用用途

測量ソフトの主な使用用途は、交通網の設計と建設です。測量ソフトを用いることで、建設現場のレイアウト及びプロセスの改善に繋げることが可能です。また、手動による図面の更新を最小限に抑えられ、測量チームの生産性の向上に繋げることができます。

生産性と正確性が向上する一例として、ダクト作業のレイアウト作成が挙げられます。ソフトウェア未使用時と比較して約3分の1の時間で生成可能であり、レイアウトのエラー数も減少させています。

測量ソフトの原理

1. 計算機能

測量ソフトでは、膨大な量の座標値をマウスの操作1つで手間なく効率的に登録可能です。測量ソフトは、豊富な計算機能を用いることで、現場のサポートが可能で、各種トラバースの計算 (座標計算) や、二点狭角測量を一例とする、様々な測量及び計算機能を保有しています。

2. 平面・縦断・横断線形機能

測量ソフトは、平面線形、縦断線形、横断丁張、TS現地盤などの計算が可能で、CAD転送やTS出来形も可能です。平面・縦断・横断線形が連動するため、道路や河川の路線計算や端部での3次元計算実施時に高い作業効率で作業できます。

縦断線形では、平面線形との連動で縦断曲線の計算を行い、様々な場面で3次元丁張計算のシミュレーションが可能です。

3. 表示機能

計算結果をプレビューに表示可能なため、現場をイメージしつつ効率よく作業が進められます。測量ソフトを用いることで、3Dビューにより完成イメージを可視化が可能です。測量ソフトで入力された設計データ (平面や縦断、横断形状など) を3次元で視覚的にも確認できます。

その結果、工事の完成イメージを工事関係者間で共有できるようになります。さらに、施工段階におけるシミュレーションが可能です。設計データの入力ミスを防ぐなど、様々なシチュエーションでメリットがあります。

測量ソフトのその他情報

1. トラバース測量

トラバース測量は、測量技術の中でも基本的な手法です。基準点から順を追って測量して得た測点を結合し、折れ線を作成します。各辺の長さと方位角 (北を基準とした角度) や方向各を算出し、各点の位置を決定する測量手法です。

光波測距儀やセオドライトといった機械とプリズムを用いて2点間の距離と角度を測定し、座標を求めます。点同士の相対的な一菅家から緯度と経度に分けて座標に当てはめます。算出した座標を使用して平面図を製図したり、面積の計算を行ったりします。

2. 丁張

測量ソフトで計算可能な丁張とは、建造物を作る際に基礎の高さの目印として使用するものです。現場では木杭を打ち、水貫と呼ばれる水平の板を設置し、水平ラインを示します。

丁張設置では、作業の前に設計縦断図、横断図、構造図等の丁張の基礎となる設計値調査を実施が必要です。丁張計算実施時は設計値の計算と丁張計算を別紙に作成し、その計算根拠を明確にします。

3. 縦断図・横断図

測量ソフトで出力できる設計図の種類に縦断図と横断図があります。道路の図面を例に説明します。

縦断図は測点ごとの高さの関係を表記した図面で、横断図は測点ごとの構造物などの構成がわかる図面です。縦断図では、路線などの中心線の地盤高や計算高さを測点ごとに記載します。縦断図を用いることで、平面図だけではわからない道路の勾配等がわかります。

横断図では、進行方向に向かって輪切りにした図を記載します。縦断図の線形に対して、直角方向に描いた図面です。縦断図とは異なり、道路の構造を知ることができるため、道路の幅員や舗装構成など道路の構造を確認する際に役立ちます。

参考文献
https://www.autodesk.co.jp/solutions/surveying-software
https://www.kentem.jp/products/gt/

水質測定器

水質測定器とは

水質測定器

水質測定器とは、一般環境水、工場排水、海、湖、河川などの汚れを測定する機器です。

水道水を代表として、河川や工場廃水などが使用や排水に対して規定の基準を満たす必要があり、その規定項目は使用目的によって様々です。その規定の検査項目を測定するために、水質測定器は使用されます。簡易的な機器だけでなく、一つの測定項目に特化して水質検査以外でも使用される機器のほか、多項目の水質検査に特化した機器などもあります。

昭和30年代に工業化・都市化の影響から排水による公害が発生し、排水基準の全国一律規制と罰則による水質汚濁防止法が成立されました。そのため事業者による基準に適合しない排水は厳禁で、検査結果の記録や保存も義務付けられています。

水質測定器の使用用途

水道水、河川、湖沼、工場廃水、プール、温泉施設、浄化槽など、生物と水は密接に関係しています。人間が口にする飲料水から排水までの、使用から捨てるまでが管理されています。

人々が体内に取り入れるものの厳しい検査はもちろん、排水にまで基準が求められている理由は、水は循環しているためです。つまり、河川や地下水への汚染が蒸発によって大気中へ放出されたり、浄化されたあとに再び飲料水として人々のもとへ戻ったりしています。

マンションなどの貯水槽へ水を貯める場合には、貯水槽の管理は建物の所有者がする必要があります。貯水槽の清掃や貯水槽水道の管理検査の場合や、容量が10m3以上の貯水槽の場合には、毎日色・におい・濁り・味を検査し、週一回残留塩素の検査を行わなければいけません。水道事業者は水道法で、水道水51項目の検査が定められています。

水質測定器の原理

測定項目の具体例を以下に記します。

  • pH
    排水による水棲生物への影響を考慮し測定されます。酸性の排水は下水道処理施設を腐食するため、発電施設ではボイラの配管腐食防止のために、アルカリ性に保つ目的でpH管理をしています。そのほか下水処理では、バクテリアや界面活性剤を使用した工程で、処理に適したpH管理に使用可能です。
  • DO (溶存酸素)
    Dissolved Oxygenの略で、水中に溶解している酸素濃度です。河川や湖沼では汚濁の指標として用いられます。浄化槽や下水処理では、活性汚泥を用いた工程で測定されます。
  • 導電率
    電気の流れやすさの指標で、電気を運ぶイオンを測定しています。
  • TOC
    全有機炭素 (英: Total Organic Carbon) の略であり、有機物に含まれる炭素の量のことで、有機性汚濁の指標です。
  • 残留塩素
    殺菌や分解でも、残留している有効塩素のことです。塩素濃度の管理で測定します。
  • 濁度
    濁度は濁り具合を示す指標です。
  • 色度
    色度は色度合を示す指標です。
  • 窒素、りん
    閉鎖性水域 (湖沼、湾) では藻類が繁殖する原因になり、環境維持のために排水が測定されています。
  • アンモニア性窒素
    し尿や下水、工場排水などの有機物の腐敗や分解による過程で発生し、水質汚染の指標になります。
  • COD
    Chemical Oxygen Demandの略で化学的酸素消費量とされ、一般的には有機物による汚染の指標として、水中の被酸化性物質を測定します。

水質測定器の種類

水質測定器にはさまざまな種類があります。水分計、導電率計、pHメーター、屈折計、残留塩素計などです。

プールや温泉施設などでは、残留塩素やpHが手軽に測定できる簡易キットがよく用いられます。日常の飲用の水質検査キットでは残留塩素、pH、濁度、色度、導電率などが測定できます。

水質測定器の選び方

1. 電気式水分計

電気式水分計は紙、木材、モルタルなどに含まれる水を測定します。物質には固有の電気抵抗値があるため、電気抵抗を用いて物質中の水分を測定可能です。

2. 導電率計

導電率計は電気の流れやすさを測定します。純水やボイラー水の管理のほか、河川や湖の水質を確認可能です。

3. 屈折計

屈折計は光の屈折を使って溶液の濃度を測定し、濃度計や糖度計があります。数滴のサンプルをプリズム面に滴下して、接眼鏡を確認します。

4. 残留塩素計

残留塩素計は水道水、調理用水、プール、浴場などの残留塩素濃度を測定可能です。塩素系薬剤によって消毒しているため、確認のために測定されています。

5. pHメーター

pHメーターは酸性やアルカリ性のような水溶液の性質を測定可能です。pH測定は物質の化学的性質や化学反応を管理する際に必要です。

参考文献
https://www.horiba.com/jp/process-environmental/products-jp/water-quality-measuring-instruments/
https://aqua-ckc.jp/list/index.html#wc_anc00001
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html

気密シート

気密シートとは

気密シートとは、住宅などの防湿気密工事の気密層の施工のために使用される住宅用プラスチック系防湿フィルムです。

室内の空気や湿気を外壁側に動くのを防ぐ役割を担います。施工の際は、継ぎ目が少なくなるようにシートを使用することが大切です。

透湿性、強度、耐久性やタッカー釘による引き裂き強度の試験に合格している気密シートは、JIS規格適合品として認証を受けています。

気密材には気密シートの他に住宅用プラスチック系防湿フィルム、透湿防水シート、合板・せっこうボード、プラスチック系断熱材  (発砲プラスチック保温材) などがあります。

気密シートの使用用途

気密シートは、断熱工法の種類によって使用用途が異なります。各種類と使用用途は下記の通りです。

1. 充填断熱工法

充填断熱工法で断熱材を使用するのは壁の中の柱や梁などの隙間です。この工法では、繊維系断熱材 (ガラスウールやロックウール等) が用いられます。

水分を含むと効果が低下するので、気密化や結露対策のため断熱材の室内側には気密シート (防湿フィルム) 、外側には透湿防水シートを施工します。

2. 外張断熱工法

外張断熱工法で断熱材を使用するのは、柱や梁の軸組みの外側です。この工法では、プラスチック系断熱材 (ボード状) が用いられます。気密化のために気密シートの施工または気密テープによる目地の処理、あるいはそれらを併用する場合があります。

気密シートに継ぎ目がある場合、気密テープや気密パッキンなどの気密補助剤を用いて気密シートの断絶箇所がないようにします。

気密シートの原理

気密シートは、室内から壁内への水蒸気の侵入を低減し、気密環境や建材を結露から守り、防露性能を上げる役割を担います。防湿気密シート施工の際、室内側に防湿気密シートを設置します。空間の境界は切れ目なく作る事が重要です。

天井と壁などでは、気密シートの重ねしろを30mm以上確保するだけでなく、タッカー留めや押さえ材で挟む、あるいは気密テープで留めるなどして気密シートを押さえます。断熱施工は室内側から「防湿層」「防風層」「通気層」に分けて構成するのが基本です。

気密シートは「防湿層」の内装材の下に設置します。気密シートの透湿抵抗を表す単位は [m2・s・pa/ng] で、値が高いほど湿気を通しません。気密シートの材料構成は、単一プラスチック材料による単体フィルム、または単体フィルムに性質の異なるフィルムやプラスチックを組み合わせた複合フィルムです。

可変透湿気密シート又は調湿気密シートと呼ばれる気密シートは、周囲の湿度に応じて透湿抵抗を変化させ湿気を室内に透過させることが特長です。夏場に冷房のきいた室内と外気に温度差が生まれ、室外の湿った空気により夏型結露が発生することを防ぎます。

気密シートのその他情報

気密シートのデメリット

気密シートは、住宅を高気密・高断熱化して高性能住宅を実現するための重要な材料です。しかし、気密シートを施工することに伴うデメリットもあります。

1. 壁の中に結露ができる
気密シートの施工時には、隙間を完全になくすよう慎重に作業を行う必要があります。少しでも隙間ができてしまうと、壁の中に湿気が入ってきてしまうからです。

いったん湿気が入ってくると、気密シートがあるため壁の外へ出て行けません。その結果、壁の中で結露が発生し、断熱材などにカビが繁殖します。

壁の中で発生したカビは、柱や梁を腐食させるだけでなく、断熱材を劣化させるため注意が必要です。耐震性能や断熱性能が低下しますので、隙間がないように気密シートを施工することがポイントになります。

2. 空気がこもりやすい
夏場に日差しが多く差し込むと、気密シートによって熱気が逃げていかないため、家の中が高温になる場合があります。においが発生すると、においがこもりやすいです。また、石油ストーブなどの室内に排気を放出する暖房機は、一酸化炭素が発生するため危険です。

このような状況では、窓を開けて換気をしなければなりませんが、気密性や断熱性のパフォーマンスは低下し、高性能住宅のメリットが減衰してしまいます。そのため、気密シートを使用した住宅では、エアコンを上手に使って効率良く換気することが快適な生活を維持するポイントです。

参考文献
https://www.mlit.go.jp/common/001013541.pdf
https://kikakurui.com/a6/A6930-2008-01.html
file:///C:/Users/pukip/Downloads/0187_20160401_P64_83.pdf
https://ecotransfer-japan.com/images/Intello_Catalog.pdf

加熱炉

加熱炉とは

加熱炉

加熱炉とは、物質を加熱するための装置です。

一般的には高温状態を作り出し、材料や物体を加熱するために使用されます。材料となる物質は鉄などの金属類が多いです。

代表的な加熱炉は電気炉と燃焼炉の2種類で、基本的に燃焼炉を指して加熱炉と言います。燃焼炉は高温を維持するために空気または酸素と燃料を混合させつつ燃焼させ、熱を炉へ送りこみます。

電気炉は電気ヒーターや電極によって材料を加熱することが多く、中には誘導加熱などの非接触加熱炉も存在します。

加熱炉の使用用途

加熱炉は、さまざまな産業分野で使用される装置です。具体例として、金属加工やガラス製造、廃棄物処理などが挙げられます。

1. 金属加工

鍛造や焼結処理、表面処理などの金属加工プロセスで使用されます。金属を適切な温度に加熱することで、形状変更や強度向上などの加工が可能になります。また、金属や合金の特性を改善するための熱処理プロセスに使用される場合もあります。

2. ガラス製造

ガラスの製造にも炉が使用されます。ガラス原料を高温に加熱して溶融させることで、ガラスの成型やブロー成形が行われます。セラミックスの焼成プロセスでも使用され、材料を所定の温度で保持することで物質の結晶化や硬化が進みます。

3. 廃棄物処理施設

廃棄物処理施設でも、ストーカー炉などが使用されます。廃棄物を高温で焼却することで、減量化や有害物質の分解を行います。廃棄物処理用加熱炉では、有価金属を回収する付帯設備なども付属する場合があります。

加熱炉の原理

燃焼式加熱炉は、燃料と酸素の酸化反応によって炉内を加熱します。以下の要素などによって燃焼用加熱炉が構成されます。

1. 炉体

炉体は燃焼が行われる空間であり、一般的にレンガなどの耐熱材料で構築されます。超高温の場合、炉体を支える金属構造物が融点に達する可能性があるため、水冷ジャケットなどで炉体を保温しながら運用します。

2. 燃料供給系

燃料を炉体内に供給するための装置です。炉内の温度が下がったら燃料の供給を増やし、熱を多く加える役割をしています。

燃料タンク、バーナー、燃料供給管、バルブ、点火装置などが含まれます。燃料タンクに燃料を一時保存し、供給管とコントロールバルブなどを介してバーナへ供給します。点火装置は自動車プラグと同様に、高電圧アークで火種を作る仕組みが一般的です。

3. 酸素供給系

燃焼に必要な酸素を供給するための装置です。空気導入口や送風機などが含まれ、燃料に合わせて酸素供給量を調節して完全燃焼させます。燃焼効率を上げたい場合は、液化酸素などによって酸素を直接供給します。

4. 温度制御装置

炉内の温度を管理・制御するための機構です。熱電対などの温度センサーによって現在温度を読み取り、指示調節計などで目標温度を演算して燃料供給系に指示を与えます。

5. 排気系

燃焼によって発生した燃焼ガスや廃棄物を排出するための装置です。排気ダクト、排気ファン、排気ガス処理装置などで構成されます。燃焼によって発生した排ガスはすすや硫黄を含むことがあるため、排気ファンで排気ダクト内を負圧に保ちながら漏洩を防ぎつつ、排煙脱硫処理などをして排気します。

加熱炉の種類

燃焼式加熱炉の他に、電気炉や真空炉などが存在します。電気炉は気エネルギーを利用して発熱体を加熱するタイプの加熱炉です。電気抵抗によって熱を生成し、加熱物体に伝えます。金属物体内に誘導電流を発生させて加熱する誘導電気炉も金属加熱に使用されることがあります。

真空炉は、高真空または制御された雰囲気下で加熱を行う加熱炉です。真空中での加熱により、材料の特性を制御したり、酸化や汚染を防いだりすることができます。

加熱炉のその他情報

加熱炉内での鉄鋼材料変化

鉄鋼材料は誘拐後の冷却に時間が掛かると均一な組成にならず、そのままでは材料として使用しづらい傾向があります。そのため、加熱炉で熱することで金属元素の動きを活性化させ、組成の不均一さを緩和します。

また、鉄鋼材料の性能は数μmの結晶粒や数nmの微細な析出物を精緻のコントロールすることで最適化します。結晶粒や析出物はインゴット状態では不均一で粗大です。このため、適正な加熱と冷却を加熱炉で繰り返すことで、組織を微細で均一なものに整えます。 

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/heat/furnace/composition.jsp
https://www.chiba-muse.or.jp/SCIENCE/16jfe/tetsu2.html

分電盤

分電盤とは

分電盤

分電盤とは、電気を分岐させて需要場所へ届ける装置です。

一般的に屋内に設置されますが、仕様によって屋外にも設置できる場合があります。内部基板は漏電遮断器ブレーカで構成されます。

負荷側で過電流や漏電が発生した際に電源供給を遮断し、火災や感電事故を防止します。内部に乾式トランスが設置され、変圧して電源供給する分電盤も多いです。

分電盤の使用用途

分電盤は、家庭や工場などで幅広く使用されます。一般家庭では、コンセントと照明に電源を供給するために設置されます。ドライヤーや電子レンジなどを同時に使用すると、ブレーカが落ちた経験があると思います。このブレーカを収納した筐体が分電盤です。

工場においても低圧設備へ電力を供給するために設置されます。使用場所を問わず用途は同様です。負荷側で過電流や地絡などの異常が発生した際に電源供給を遮断し、火災や感電事故を防止します。

分電盤の原理

分電盤は、ブスバー、ブレーカ、外箱などから構成されます。

電力会社の送電線から受電した電力は、ブスバーによって分岐されます。分岐された電源はそれぞれ過電流保護のためにブレーカへ入力されます。ブレーカへ接続する目的は、二次側のコンセントなどが過負荷の際に電源を遮断させるためです。分電盤内部を人が触れて感電しないために、堅牢な外箱で充電部を保護します。

ブレーカは定格以上の電流が流れると電源供給を遮断する装置です。負荷電流が定格電流を超えた場合に給電を遮断し、コンセントや機器の故障を防止します。外箱には塗装が施された鉄箱または絶縁樹脂が使用されます。

分電盤に使用されるブレーカの種類

分電盤に使用されるブレーカは、アンペアブレーカと漏電ブレーカと安全ブレーカの3つです。それぞれ特徴があります。

1. アンペアブレーカ

アンペアブレーカは系統全体で過負荷の際に作動する遮断装置です。電力会社との契約アンペア以上の電力を使用した場合に遮断します。使用可能なアンペア値はハンドル上部などに記載されます。このブレーカが遮断した場合、使用機器を制限して使用電力量を減らす必要があります。

2. 安全ブレーカ

安全ブレーカは1つの回路に過電流が流れた場合に作動する遮断装置です。回路や電線を保護するための機器です。一般的に安全ブレーカは分電盤内に複数個設置され、区画や使用機器別に分けられます。このブレーカが遮断した場合、ブレーカの受け持つ区画の使用機器を制限して使用電力量を減らす必要があります。

3. 漏電ブレーカ

漏電ブレーカは漏電を検知した際に回路を遮断し、感電などの災害を防止する遮断装置です。<漏電ブレーカは漏電機能専用と過負荷保護兼用の機器があります。一般には過負荷保護兼用ですが、選定の際には注意が必要です。

分電盤のその他情報

分電盤の保守

分電盤に異常が発生した場合、分電盤内部部品の修理を実施する必要があります。以下に不具合例と対応策を列挙します。

1. 分電盤が発熱している場合
充電部ねじのゆるみなどが原因です。外観点検やネジの増し締めによって対応します。熱によって樹脂箱が変形した際は、外箱の取替を実施します。

2. 分電盤外箱が破損している場合
分電盤外箱が樹脂製であれば、衝撃などで破損します。その場合、樹脂外箱の取替や接着で修理します。

3. 漏電ブレーカや安全ブレーカの誤遮断
漏電ブレーカや安全ブレーカは経年劣化によって誤遮断する場合があります。その際はブレーカを取替し、分電盤を修理します。

4. 負荷機器へ供給される電源の乱れ
電源が不安定となる場合、充電部の緩みなどが原因です。増し締めによって復旧する場合もありますが、コンセントなどの接続用部品の異常も考慮する必要があります。

分電盤内部の修理は、電源遮断などの安全対策を十分に実施する必要があります。電気の取り扱いに詳しくない場合は、専門業者へ保守を依頼する方が無難です。

参考文献
https://denki110.net/leakage/article0002/

ローラーフォロア

ローラーフォロアとは

ローラーフォロアとは、内部にニードルベアリングが組込まれたコンパクトで剛性の高いベアリングの一種です。

外輪が転動面などに直接接して転がして使用するため、肉厚で高硬度、表面性状も高精度となり、高荷重及び衝撃荷重に耐えることができます。カム機構や直線運動の際、ガイドローラーとして適しています。

内径部は、内輪となっており中空で軸部を自由に設定できるため、コンパクトなガイドローラや、軸(スタット) の長いカムフォロアとしての利用も可能です。

ローラーフォロアの使用用途

ローラーフォロアはカムフォロアと同様に、厚肉な外輪と内輪及びニードルを組み合わせた構造をしています。そのため、カム機構など外輪を直接接触させ回転させる際に使用されています。

1. カム機構

カム機構とは、運動の方向を変えるための機構です。平面カムなどの従動節側の接触部は自在に回転し、高負荷、高速稼働に耐える必要があり、ローラーフォロアが適しています。

また、軸を自由に設定できることから、スタット長を長くしたカムフォロアとして、溝カムなどにも使用できます。

2. ガイドローラー

コンベアなどで物を移動させる際に、左右の振れを抑えるためのガイドローラとして簡易に取り付けられ、かつ円滑に回転するローラーフォロアが使用可能です。

3. 車輪

パレットや治具テーブルなどを移動するために簡易的な車輪としてローラーフォロアを使用することで、台車などが無くても容易に移動できます。

ローラーフォロアの原理

図1. ローラフォロア (保持機付き) の構造

ローラーフォロアは、内輪と外輪の間に配置された円筒状のローラー (ニードル) によって、内輪と外輪は転がり可能な状態で軸受内の摩擦を最小限に抑えつつラジアル負荷を支えるベアリングです。

内部の潤滑は、グリースが封入されています。長期間や高速回転などで使用する場合は、内輪内側に給油用の穴が設けられており、軸側に給油口、穴を設定することで給油が可能です。適切な給油により、長寿命化が実現されます。

1. ニードルの配置

ニードルの配置には、総コロと保持機 (ケージ) 付きがあります。

総コロ
総コロは内外輪の間にすべてニードルが配置されており、ニードル本数が多く負荷を分散できるため高負荷で使用が可能です。しかし、ニードル同士が接触、摩擦を発生するため高速回転や振動、傾きがある場合などには適しません。

保持機付き
保持機付きは、保持器 (ケージ) によりニードル間の位置を一定に保持するため高速回転にも使用可能です。ニードルの本数は、総コロより少なくなるため、耐負荷は総コロに劣ります。

2. 外輪の形状

図2. 外輪形状

外輪は厚肉で、外周面 (転動面) は円筒形状と球面形状の2つがあります。円筒形状は、接触面積が大きくとれ、トラック負荷容量が大きいです。

ただし、カムやレールなどの相手面と外輪転動面に傾きなどがあると偏摩耗や振動が発生します。球面形状は、相手面と外輪転動面に傾きなどがある場合に外周球面で補正し、円滑な回転ができます。

ローラーフォロアの種類

ローラーフォロアの種類は、内輪と外輪が分離できない非分離タイプと、内輪と外輪が分離できる分離タイプの2つがあります。

1. 非分離タイプ

図3. 非分離タイプのローラーフォロア(総コロ)

非分離タイプは、ローラーフォロアの外輪、または内輪に鋼板プレートを圧入することで、内輪両側の側板との間にラビリンスを形成し密封性能を持たせるだけでなく、側板が分離しないように保持するタイプです。ローラーフォロアの外輪は、外輪つばと円筒ころ端面で、アキシアル方向に案内されています。

ローラーフォロアの内輪と側板とは隙間のないようにアキシアル方向に、締付けて使用します。つば付形式のため使用条件にもよりますが、アキシアル荷重及び、モーメント荷重にも有利になり、円滑な回転が可能です。

シール付きは、側板と外輪、または内輪のスキマにゴムシールを追加し内部への異物混入を防止するタイプです。

2. 分離タイプ

図4. 分離タイプのローラーフォロア

分離タイプは、外輪と内輪につば部がなく、外輪、内輪、ニードルおよび保持器、各々分離可能な構造です。分離できるため、個々に組付け、交換が可能でつば部がない分、非分離タイプよりコンパクトにできます。

参考文献
https://www.thk.com/?q=jp/node/6729
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0007.html
https://www.ikont.co.jp/product/needle/ndl16.html
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/2300_12.pdf

レセプタクル

レセプタクルとは

レセプタクル

レセプタクルとは、電気機器の外側パネルや接続パネルなどに設けられた、電源ケーブルや信号ケーブル、電球などを取り付ける受け口の総称です。

レセプタクルはソケットとも言われます。電源ケーブルや信号ケーブルと電気機器の接続部品をコネクタと言います。コネクタにはプラグ、レセプタクル、アダプタなどがあり、一般的にはケーブル側についているのがプラグ、器具側についているものをレセプタクルと言います。

ケーブルどうしを接続する場合には、差込みプラグと対になる、受け側ケーブルの先端についているコネクタをアダプタと言います。

レセプタクルの使用用途

レセプタクルは外部から接続する電源ケーブル、信号ケーブル、電球などの受け口としてあらゆる電気機器で使用されています。

電気機器において電力や信号の受け口の用途は多種多様です。レセプタクルは電源ケーブルの差込口、ネットワークケーブルの接続口を始め、検査機器のプローブの接続口やPCにおけるモニターやプリンターなどの信号ケーブルの接続口等、外部との電気的な接続の多くに関わります。

それ故に、レセプタクルは接続相手のプラグの形状に合わせて、様々な形状のものが販売されています。なお、電球を取り付けるためのレセプタクルはランプレセプタクルと言われ、一般的には電球用ソケットという名の方が知られています。

レセプタクルを電気機器の外板に設けておくことで、ケーブルの取り付けと取り外しが簡単に且つ安全に行えます。それと同時に、レセプタクルは接続部分での電源電流や信号電流の外部への漏れや損失、波形の変化等が生じないようにする役割を担っています。

レセプタクルの原理

ケーブルと電気機器を接続する部分では、ケーブルとそれにつながった金属ピンが収納されたコネクタと、金属ピンを挿入する円筒形の金属の筒 (ピン穴) とそれにつながったケーブルが収納されたコネクタが接合されます。その際、電気機器側のパネルに取り付けられているコネクタの方をレセプタクルと呼びます。

また、ピンが付いたコネクタをオス型コネクタと言い、ピンを受け入れる円筒形の金属の筒(ピン穴)を持ったコネクタをメス型コネクタとも言います。これはコネクタのピンとピン穴という形状の違いによる分類であって、オス型コネクタがプラグで、メス型コネクタがレセプタクルとなるわけではありません。

特に、電源ケーブルの接続においては、安全性への配慮から、電力を運んでくるケーブル側の終端はメス型コネクタが使われていて、電気機側にはピンが付いたレセプタクルが使われます。さらに、電源供給ユニットの電源出力用ケーブル接続部のレセプタクルには、メス型コネクタが使われています。

レセプタクルの種類

レセプタクルはその定義する範囲の大きさから、ケーブルの規格や使用用途において、大小さまざまな形状と構造があります。

小さなものでは、イヤフォンジャックやオーディオジャックもレセプタクルの一種です。これらは単芯のピンが入る穴が1つ空いた形状になっています。ピン側でピンの高さを分けて信号線を繋いでいるのに応じて、入り口からの深さを分けて信号線を接続し、信号の受け渡しをします。

BCNケーブルのように、産業機器で多く使用されているコネクタのレセプタクルでは、芯線の通る穴を中心に、絶縁体の樹脂が周りを囲み、硬い金属の円筒が周囲を覆う形になっています。これは、信号に外部の雑音が乗らないようにシールド機能を持たせた構造となっています。BCNレセプタクルには電気機器のパネルにしっかりと固定するために、ネジ穴付きフランジを有しているものも多くあります。

その他には、円筒形の外枠の中に複数のピンまたはピン穴を配置したものや、RS232Cコネクタのように、ピン穴が格子状に並んだものもあります。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/4240/
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/5084/
https://ohmic-electronics.hatenablog.com/entry/2019/10/19/113727
https://www.nanabosi.co.jp/dcms_media/other/keijou_kumiawase.pdf

ルアーフィッティング

ルアーフィッティングとは

ルアーフィッティングとは、細管を接続する用途で用いられる接続部品です。

注射器や輸液チューブなど、様々な医療器具や実験器具を接続するために使用されます。2つの部品を簡単につなぎ合わせることができるように設計されており、一方にはリブ (凹凸) があり、もう一方の部品には溝があります。これらを手で押し込むことで、部品同士を安全かつ確実に接続することができます。

ルアーフィッティングは、ポリプロピレンなどの材質で構成されます。ビニールやシリコンなど、軟質チューブの接続に有利です。コストメリットにも優れているだけでなく、形状やサイズにおいても豊富な選択肢があります。

ルアーフィッティングの使用用途

ルアーフィッティングは、細萓同士を接続する用途で用いられます。以下はその一例です。

1. 医療

医療現場では、患者に薬剤や液体を投与する際に注射器が使用されます。ルアーフィッティングは注射器の針やチューブを薬剤の入った容器や患者に接続するのに使用されることが多いです。カテーテルを挿入する際にも、カテーテルと輸液チューブを接続するのに利用されます。

また、輸液ポンプや輸液バッグとチューブを接続するのにもルアーフィッティングが使用されます。これにより、患者に必要な液体が適切な速度で供給することが可能です。

2. 実験室

化学実験や生物学実験では、試薬や溶液の取り扱いが必要です。ルアーフィッティングを使用して、試薬ボトルとパイプラインを接続することで、試薬を効率的に供給することが可能です。また、液体のサンプリングや注入または分配などにも使用されます。

3. 産業

工業プロセスでは、様々な流体を取り扱う必要があります。ルアーフィッティングは特定の装置や機器に流体を供給する際に使用されることがあります。特に、装置や機器の接続に用いることが多いです。

ルアーフィッティングの原理

ルアーフィッティングは非常にシンプルな構造であり、部品同士を圧入することで確実に接続することが可能です。一方の部品にはリブがあり、もう一方の部品にはそれに対応する溝があります。これにより、安全で確実な接続が可能となります。

ルアーフィッテイングの接続は、上記のメス部とオス部を手で押し込むことで行われます。リブが溝にしっかりと嵌り込むことで、接続が安全かつ確実になります。また、一般的に取り外しが可能であり、簡単に接続を解除することが可能です。

形状及び材質から様々な製品が販売されています。内径も1.6mmから内径8.0mmまでの軟質チューブに対応可能です。また、同一形状であっても、複数のカラーがラインナップされているため、配管ごとの色別が可能です。

ルアーフィッティングの選び方

ルアーロックを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 材質

ルアーロックは薬品や体液を対象とするため、耐薬品性や耐腐食性に優れた材質が使用されます。一般的にはプラスチック製の製品が多く販売されており、PVDFやポリプロピレンなどで製造されます。

PVDF製の製品は耐薬品性及び機械的強度に優れています。ポリプロピレン製の製品は熱に強い点が特徴であり、オートクレーブ滅菌 (+121℃) も可能です。両者ともに軽量で取り扱いが容易です。

また、一部の用途では金属製のルアーロックが選定される場合があります。金属製品にはステンレス鋼や真鍮が使用されることが多いです。耐久性と耐薬品性が高いため、医療用途や高圧環境での使用に適していますが、重さや価格が高い場合があります。

2. 口径

ルアーフィッティングの口径は標準化されているため、接続するチューブ径などを基に選定する機器は決まります。mmの単位で販売されている製品が多いです。1.5mmや6mmなど様々な口径の製品が販売されており、オス型とメス型の選択も注意する必要があります。

3. 使用温度・耐圧性

使用温度範囲は材質によって異なります。一般的には金属製の方が耐熱性が高いことが多いです。また、形状や材質によって耐圧性も異なるため、高圧用途の場合は注意が必要です。

参考文献
https://www.sanwa-ent.co.jp/httpa/product_water_27.html

リワークステーション

リワークステーションとは

リワークステーションとは、多機能なはんだ付け作業を1台で行える装置のことです。

はんだ付けからはんだ吸引まで幅広く対応し、一度行った作業を再現することも可能です。ボックス上には、はんだ付け用のノズルやはんだ吸引用のノズルが装着されており、電気による熱だけでなく、窒素ガスの熱風を吹き出すこともできます。

リワークステーションは、再現性が重要視されている点が特徴です。再現可能なプロセス条件を確保するために、基板表面の特定ポイントの温度を測定する機能が備わっています。安定した作業環境を提供し、効率的なはんだ付け作業を実現可能です。

エレクトロニクス業界での作業効率向上や品質管理に寄与しており、今後ますます重要な役割を担っていくと期待されています。リワークステーションを利用することで、迅速で正確な作業が可能となり、技術者の負担を軽減し、作業品質の向上につながります。

リワークステーションの使用用途

リワークステーションの使用用途は、研究開発やプロセス開発、プロトタイピング、実稼働環境などです。はんだ付けだけでなく、はんだ除去やSMDリワークが可能なマルチステーションタイプも存在します。

研究開発の現場では、新しい技術や製品の開発を行う際にリワークステーションが役立ちます。プロセス開発では、より効率的で品質の高いはんだ付けプロセスを確立するために活用されます。

プロトタイピングでは、試作品の製作や改良に有用です。実稼働環境では、製品の生産ラインでリワークステーションが使用され、迅速で正確なはんだ付け作業が可能です。さらに、リワークステーションは、中小型のPCBから大型BGAまでの幅広い用途で利用されています。

リワークステーションの原理

リワークステーションは、消費電力を高めることで多層基板の部品取外しをストレスなく行い、作業時間を短縮できます。また、新型ノズルを採用することで、小型化した携帯電話の基板などの極小ランド径や狭小スペース、平型端子にも対応可能です。

窒素ガスをノズル組品とこて先の間に均等に通すことで、酸素が遮断され、こて先及びはんだの酸化を防ぎます。さらに、窒素ガスがこて先全体を包み込むことで予熱効果を高められます。これらの酸化防止効果と予熱効果により、ブリッジやつらら、熱容量不足によるはんだ付け不良を改善可能です。

また、リワークステーションは不活性雰囲気下で正確な残留はんだ除去ができます。パッドやソルダーレジストを乱すことなく、強力な真空で溶融はんだを基板から簡単に除去できる点も魅力の1つです。残留はんだを除去した後、要求仕様のBGAまたはCSPコンポーネントではんだボールアレイを復元することで、時間とコストを節約しながらBGAとCSPを再利用できます。

リワークステーションの種類

リワークステーションは、主にホットエアリワークステーション、デシックリワークステーション、インフラレッドリワークステーションの3種類が存在します。

1. ホットエアリワークステーション

ホットエアリワークステーションは、熱風を用いて部品を加熱し、はんだを溶かして部品を取り外し、はんだ付けを行うタイプのリワークステーションです。主にSMD (Surface Mount Device) 部品の取り外しや取り付けに使用されます。温度調節が容易で、正確な加熱が可能なため、作業効率が高まります。

2. デシックリワークステーション

デシックリワークステーションは、はんだ吸い取り線 (デシック) を使用して、はんだを吸い取るタイプのリワークステーションです。プリント基板上の不要なはんだを吸い取る際に活用されます。デシックリワークステーションは、緻密な作業が必要な場合や、部品を損傷させずにはんだを吸い取る必要がある場合に適しています。

3. インフラレッドリワークステーション

インフラレッドリワークステーションは、赤外線を用いて部品を加熱し、はんだを溶かすタイプのリワークステーションです。特に大型の部品やBGA (Ball Grid Array) チップのリワークに適しています。赤外線による加熱は熱の影響範囲をコントロールしやすく、部品へのストレスが少ないため、デリケートな部品の取り扱いに適しています。

参考文献
https://www.hakko.com/japan/products/hakko_fr701.html
https://www.finetech.de/ja/