水質測定器とは
水質測定器とは、一般環境水、工場排水、海、湖、河川などの汚れを測定する機器です。
水道水を代表として、河川や工場廃水などが使用や排水に対して規定の基準を満たす必要があり、その規定項目は使用目的によって様々です。その規定の検査項目を測定するために、水質測定器は使用されます。簡易的な機器だけでなく、一つの測定項目に特化して水質検査以外でも使用される機器のほか、多項目の水質検査に特化した機器などもあります。
昭和30年代に工業化・都市化の影響から排水による公害が発生し、排水基準の全国一律規制と罰則による水質汚濁防止法が成立されました。そのため事業者による基準に適合しない排水は厳禁で、検査結果の記録や保存も義務付けられています。
水質測定器の使用用途
水道水、河川、湖沼、工場廃水、プール、温泉施設、浄化槽など、生物と水は密接に関係しています。人間が口にする飲料水から排水までの、使用から捨てるまでが管理されています。
人々が体内に取り入れるものの厳しい検査はもちろん、排水にまで基準が求められている理由は、水は循環しているためです。つまり、河川や地下水への汚染が蒸発によって大気中へ放出されたり、浄化されたあとに再び飲料水として人々のもとへ戻ったりしています。
マンションなどの貯水槽へ水を貯める場合には、貯水槽の管理は建物の所有者がする必要があります。貯水槽の清掃や貯水槽水道の管理検査の場合や、容量が10m3以上の貯水槽の場合には、毎日色・におい・濁り・味を検査し、週一回残留塩素の検査を行わなければいけません。水道事業者は水道法で、水道水51項目の検査が定められています。
水質測定器の原理
測定項目の具体例を以下に記します。
- pH
排水による水棲生物への影響を考慮し測定されます。酸性の排水は下水道処理施設を腐食するため、発電施設ではボイラの配管腐食防止のために、アルカリ性に保つ目的でpH管理をしています。そのほか下水処理では、バクテリアや界面活性剤を使用した工程で、処理に適したpH管理に使用可能です。 - DO (溶存酸素)
Dissolved Oxygenの略で、水中に溶解している酸素濃度です。河川や湖沼では汚濁の指標として用いられます。浄化槽や下水処理では、活性汚泥を用いた工程で測定されます。 - 導電率
電気の流れやすさの指標で、電気を運ぶイオンを測定しています。 - TOC
全有機炭素 (英: Total Organic Carbon) の略であり、有機物に含まれる炭素の量のことで、有機性汚濁の指標です。 - 残留塩素
殺菌や分解でも、残留している有効塩素のことです。塩素濃度の管理で測定します。 - 濁度
濁度は濁り具合を示す指標です。 - 色度
色度は色度合を示す指標です。 - 窒素、りん
閉鎖性水域 (湖沼、湾) では藻類が繁殖する原因になり、環境維持のために排水が測定されています。 - アンモニア性窒素
し尿や下水、工場排水などの有機物の腐敗や分解による過程で発生し、水質汚染の指標になります。 - COD
Chemical Oxygen Demandの略で化学的酸素消費量とされ、一般的には有機物による汚染の指標として、水中の被酸化性物質を測定します。
水質測定器の種類
水質測定器にはさまざまな種類があります。水分計、導電率計、pHメーター、屈折計、残留塩素計などです。
プールや温泉施設などでは、残留塩素やpHが手軽に測定できる簡易キットがよく用いられます。日常の飲用の水質検査キットでは残留塩素、pH、濁度、色度、導電率などが測定できます。
水質測定器の選び方
1. 電気式水分計
電気式水分計は紙、木材、モルタルなどに含まれる水を測定します。物質には固有の電気抵抗値があるため、電気抵抗を用いて物質中の水分を測定可能です。
2. 導電率計
導電率計は電気の流れやすさを測定します。純水やボイラー水の管理のほか、河川や湖の水質を確認可能です。
3. 屈折計
屈折計は光の屈折を使って溶液の濃度を測定し、濃度計や糖度計があります。数滴のサンプルをプリズム面に滴下して、接眼鏡を確認します。
4. 残留塩素計
残留塩素計は水道水、調理用水、プール、浴場などの残留塩素濃度を測定可能です。塩素系薬剤によって消毒しているため、確認のために測定されています。
5. pHメーター
pHメーターは酸性やアルカリ性のような水溶液の性質を測定可能です。pH測定は物質の化学的性質や化学反応を管理する際に必要です。
参考文献
https://www.horiba.com/jp/process-environmental/products-jp/water-quality-measuring-instruments/
https://aqua-ckc.jp/list/index.html#wc_anc00001
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html