加熱炉

加熱炉とは

加熱炉

加熱炉とは、物質を加熱するための装置です。

一般的には高温状態を作り出し、材料や物体を加熱するために使用されます。材料となる物質は鉄などの金属類が多いです。

代表的な加熱炉は電気炉と燃焼炉の2種類で、基本的に燃焼炉を指して加熱炉と言います。燃焼炉は高温を維持するために空気または酸素と燃料を混合させつつ燃焼させ、熱を炉へ送りこみます。

電気炉は電気ヒーターや電極によって材料を加熱することが多く、中には誘導加熱などの非接触加熱炉も存在します。

加熱炉の使用用途

加熱炉は、さまざまな産業分野で使用される装置です。具体例として、金属加工やガラス製造、廃棄物処理などが挙げられます。

1. 金属加工

鍛造や焼結処理、表面処理などの金属加工プロセスで使用されます。金属を適切な温度に加熱することで、形状変更や強度向上などの加工が可能になります。また、金属や合金の特性を改善するための熱処理プロセスに使用される場合もあります。

2. ガラス製造

ガラスの製造にも炉が使用されます。ガラス原料を高温に加熱して溶融させることで、ガラスの成型やブロー成形が行われます。セラミックスの焼成プロセスでも使用され、材料を所定の温度で保持することで物質の結晶化や硬化が進みます。

3. 廃棄物処理施設

廃棄物処理施設でも、ストーカー炉などが使用されます。廃棄物を高温で焼却することで、減量化や有害物質の分解を行います。廃棄物処理用加熱炉では、有価金属を回収する付帯設備なども付属する場合があります。

加熱炉の原理

燃焼式加熱炉は、燃料と酸素の酸化反応によって炉内を加熱します。以下の要素などによって燃焼用加熱炉が構成されます。

1. 炉体

炉体は燃焼が行われる空間であり、一般的にレンガなどの耐熱材料で構築されます。超高温の場合、炉体を支える金属構造物が融点に達する可能性があるため、水冷ジャケットなどで炉体を保温しながら運用します。

2. 燃料供給系

燃料を炉体内に供給するための装置です。炉内の温度が下がったら燃料の供給を増やし、熱を多く加える役割をしています。

燃料タンク、バーナー、燃料供給管、バルブ、点火装置などが含まれます。燃料タンクに燃料を一時保存し、供給管とコントロールバルブなどを介してバーナへ供給します。点火装置は自動車プラグと同様に、高電圧アークで火種を作る仕組みが一般的です。

3. 酸素供給系

燃焼に必要な酸素を供給するための装置です。空気導入口や送風機などが含まれ、燃料に合わせて酸素供給量を調節して完全燃焼させます。燃焼効率を上げたい場合は、液化酸素などによって酸素を直接供給します。

4. 温度制御装置

炉内の温度を管理・制御するための機構です。熱電対などの温度センサーによって現在温度を読み取り、指示調節計などで目標温度を演算して燃料供給系に指示を与えます。

5. 排気系

燃焼によって発生した燃焼ガスや廃棄物を排出するための装置です。排気ダクト、排気ファン、排気ガス処理装置などで構成されます。燃焼によって発生した排ガスはすすや硫黄を含むことがあるため、排気ファンで排気ダクト内を負圧に保ちながら漏洩を防ぎつつ、排煙脱硫処理などをして排気します。

加熱炉の種類

燃焼式加熱炉の他に、電気炉や真空炉などが存在します。電気炉は気エネルギーを利用して発熱体を加熱するタイプの加熱炉です。電気抵抗によって熱を生成し、加熱物体に伝えます。金属物体内に誘導電流を発生させて加熱する誘導電気炉も金属加熱に使用されることがあります。

真空炉は、高真空または制御された雰囲気下で加熱を行う加熱炉です。真空中での加熱により、材料の特性を制御したり、酸化や汚染を防いだりすることができます。

加熱炉のその他情報

加熱炉内での鉄鋼材料変化

鉄鋼材料は誘拐後の冷却に時間が掛かると均一な組成にならず、そのままでは材料として使用しづらい傾向があります。そのため、加熱炉で熱することで金属元素の動きを活性化させ、組成の不均一さを緩和します。

また、鉄鋼材料の性能は数μmの結晶粒や数nmの微細な析出物を精緻のコントロールすることで最適化します。結晶粒や析出物はインゴット状態では不均一で粗大です。このため、適正な加熱と冷却を加熱炉で繰り返すことで、組織を微細で均一なものに整えます。 

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/heat/furnace/composition.jsp
https://www.chiba-muse.or.jp/SCIENCE/16jfe/tetsu2.html

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