ローラーフォロアとは
ローラーフォロアとは、内部にニードルベアリングが組込まれたコンパクトで剛性の高いベアリングの一種です。
外輪が転動面などに直接接して転がして使用するため、肉厚で高硬度、表面性状も高精度となり、高荷重及び衝撃荷重に耐えることができます。カム機構や直線運動の際、ガイドローラーとして適しています。
内径部は、内輪となっており中空で軸部を自由に設定できるため、コンパクトなガイドローラや、軸(スタット) の長いカムフォロアとしての利用も可能です。
ローラーフォロアの使用用途
ローラーフォロアはカムフォロアと同様に、厚肉な外輪と内輪及びニードルを組み合わせた構造をしています。そのため、カム機構など外輪を直接接触させ回転させる際に使用されています。
1. カム機構
カム機構とは、運動の方向を変えるための機構です。平面カムなどの従動節側の接触部は自在に回転し、高負荷、高速稼働に耐える必要があり、ローラーフォロアが適しています。
また、軸を自由に設定できることから、スタット長を長くしたカムフォロアとして、溝カムなどにも使用できます。
2. ガイドローラー
コンベアなどで物を移動させる際に、左右の振れを抑えるためのガイドローラとして簡易に取り付けられ、かつ円滑に回転するローラーフォロアが使用可能です。
3. 車輪
パレットや治具テーブルなどを移動するために簡易的な車輪としてローラーフォロアを使用することで、台車などが無くても容易に移動できます。
ローラーフォロアの原理
図1. ローラフォロア (保持機付き) の構造
ローラーフォロアは、内輪と外輪の間に配置された円筒状のローラー (ニードル) によって、内輪と外輪は転がり可能な状態で軸受内の摩擦を最小限に抑えつつラジアル負荷を支えるベアリングです。
内部の潤滑は、グリースが封入されています。長期間や高速回転などで使用する場合は、内輪内側に給油用の穴が設けられており、軸側に給油口、穴を設定することで給油が可能です。適切な給油により、長寿命化が実現されます。
1. ニードルの配置
ニードルの配置には、総コロと保持機 (ケージ) 付きがあります。
総コロ
総コロは内外輪の間にすべてニードルが配置されており、ニードル本数が多く負荷を分散できるため高負荷で使用が可能です。しかし、ニードル同士が接触、摩擦を発生するため高速回転や振動、傾きがある場合などには適しません。
保持機付き
保持機付きは、保持器 (ケージ) によりニードル間の位置を一定に保持するため高速回転にも使用可能です。ニードルの本数は、総コロより少なくなるため、耐負荷は総コロに劣ります。
2. 外輪の形状
図2. 外輪形状
外輪は厚肉で、外周面 (転動面) は円筒形状と球面形状の2つがあります。円筒形状は、接触面積が大きくとれ、トラック負荷容量が大きいです。
ただし、カムやレールなどの相手面と外輪転動面に傾きなどがあると偏摩耗や振動が発生します。球面形状は、相手面と外輪転動面に傾きなどがある場合に外周球面で補正し、円滑な回転ができます。
ローラーフォロアの種類
ローラーフォロアの種類は、内輪と外輪が分離できない非分離タイプと、内輪と外輪が分離できる分離タイプの2つがあります。
1. 非分離タイプ
図3. 非分離タイプのローラーフォロア(総コロ)
非分離タイプは、ローラーフォロアの外輪、または内輪に鋼板プレートを圧入することで、内輪両側の側板との間にラビリンスを形成し密封性能を持たせるだけでなく、側板が分離しないように保持するタイプです。ローラーフォロアの外輪は、外輪つばと円筒ころ端面で、アキシアル方向に案内されています。
ローラーフォロアの内輪と側板とは隙間のないようにアキシアル方向に、締付けて使用します。つば付形式のため使用条件にもよりますが、アキシアル荷重及び、モーメント荷重にも有利になり、円滑な回転が可能です。
シール付きは、側板と外輪、または内輪のスキマにゴムシールを追加し内部への異物混入を防止するタイプです。
2. 分離タイプ
図4. 分離タイプのローラーフォロア
分離タイプは、外輪と内輪につば部がなく、外輪、内輪、ニードルおよび保持器、各々分離可能な構造です。分離できるため、個々に組付け、交換が可能でつば部がない分、非分離タイプよりコンパクトにできます。
参考文献
https://www.thk.com/?q=jp/node/6729
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0007.html
https://www.ikont.co.jp/product/needle/ndl16.html
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/2300_12.pdf