アクリル接着剤

アクリル系接着剤とはアクリル接着剤

アクリル系接着剤は、アクリル酸やその誘導体(メタクリル酸メチルなど)を主成分とする接着剤です(図1参照)。

硬化過程での化学反応の有無により第一世代から第三世代に分類されます。現在は、硬化の過程で重合反応を伴う第二世代(SGA:Second Generation Acrylic Adhesires)が主流となっています。

SGAには主剤と硬化剤との接触により硬化反応が起こる二液型、硬化剤の代わりにプライマを用いる一液プライマ型、加熱により硬化する一液型などが存在します。現在最も一般的に使用されているのは二液型です。

SGAは耐衝撃性、耐熱性、耐水性などに優れることから、構造用接着剤(長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い接着剤)のひとつに数えられています。

アクリル酸・メタクリル酸メチルの構造

図1. アクリル酸・メタクリル酸メチルの構造

アクリル系接着剤の使用用途

現在の主流である第二世代アクリル系接着剤(SGA)には家庭用と工業用があり、それぞれ各種用途に使用されています。具体的には、以下のような基材の接着に適しています。

1. 金属

2. 熱可塑性樹脂

3. 熱硬化性樹脂

4. 複合材料

このうち、二液型SGAは異材質接着や大面積の接着に優れており、例えば自動車のモータ磁石(永久磁石)のステータへの固定や、電気自動車のバッテリーセル同士の接着などに利用されます。

また、電子基板を保護するためのボッティング材料としても用いられます。他にも、プラスチックや金属、タイルなどの接着、建築用途など様々な場所で使用されています。

アクリル系接着剤の原理

アクリル接着剤の各世代の概要を説明します。

  • 第一世代
    アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、硬化剤などから構成されますが、硬化時に化学反応が起こらないタイプです。
  • 第二世代
    第一世代とほぼ同じ組成からなりますが、第二世代ではモノマーとポリマーの間の重合反応により硬化が起こります。第一世代に比べて、接着性や耐久性をはじめとする各種性能が優れているのが特徴です。
  • 第三世代
    紫外線や電磁波などのエネルギーを照射する事でラジカル重合を開始し、硬化させるタイプです。 現在の主流である第二世代アクリル系接着剤(SGA)は、二液型・一液プライマ型・一液型に分類されます。

現在の主流である第二世代アクリル系接着剤(SGA)は、二液型・一液プライマ型・一液型に分類されます。

二液型はA剤とB剤の2液から構成されますが、その主成分はどちらも基本的に同じであり、アクリル系モノマーとエラストマーから構成されます。

両液の組成の違いとしては、A剤には重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイドが、B剤には硬化促進剤として金属錯体やチオ尿素誘導体のような還元剤が添加されています。

両液を混ぜ合わせる事でラジカル反応が開始し、アクリルモノマーの硬化がスタートします。これらの2液の主成分は基本的には同じであるため、両液は非常に混合しやすく、また、2液の混合比に多少のばらつきがあっても、硬化後の物性に大きな影響はありません。

これは、2液の混合比を厳密に1:1にする必要がないため非常に使いやすい特徴であるといえます。

一液プライマ型は二液型の硬化剤をプライマに置き換えたもので、二液型と同様にラジカルが発生して硬化が進みます。一液型は加熱により活性化する触媒が添加されているタイプであり、加熱することで硬化します。

SGAは油面接着性、せん断や引張りなどに対する優れた耐性、内部応力の緩和といった優れた特徴を備えています。一方で、メタクリル酸メチルを含むものはそのアクリル臭が問題にもなっています。

アクリル系接着剤のその他情報

1. アクリル系接着剤とアクリル樹脂用接着剤の違い

アクリル系接着剤とアクリル樹脂用接着剤の違い この二種の接着剤は、その名称はよく似ていますが、まったく異なる性質の接着剤です。

しかし、どちらの接着剤も「アクリル接着剤」と呼ぶケースがあるため、注意が必要です。具体的には、本記事のテーマでもある「アクリル系接着剤」は、アクリル酸およびその誘導体を主成分として含む接着剤であるのに対し、「アクリル樹脂用接着剤」とは、アクリル板同士を溶かして接着するための溶着剤を意味し、接着の原理も使用用途も全く異なります。

2. アクリル系接着剤の硬化時間

アクリル系接着剤は化学反応によって硬化するタイプの接着剤であり、硬化時間が非常に早く、強力に接着するという特徴があります。通常の硬化時間は、塗布してから約5分です。

しかし、接合部から水漏れを防ぐための補強を目的に使用する場合は、約1日程度は放置して硬化させる必要があります。

使用時の注意点としては、接着剤を塗布してから圧着するまで少し待つ必要があります。また、圧着してから完全に硬化するまでに時間がかかります。これは接着剤の成分が空気や被着材中に広がり、浸透することで、接着剤が硬化して接着するのに必要な時間です。

塗布してから時間を数分空けてから圧着することで、被着材と接着剤を密着させ、接着剤が硬化することで起こる体積の収縮を防ぎます。

3. アクリル系接着剤の剥がし方

アクリル接着剤は非常に強力な接着力、耐久性をもつため、簡単に剥がせません。アクリル接着剤の接着の仕組みに合わせた剥がし方を選びましょう。

アクリル接着剤は「接着」と言葉が使われていますが、厳密には「溶着」です。化学反応によって、張り合わせる被着材を溶解して一体化させています。

溶剤系接着剤を剥がす場合は、トルエンやベンジンなどの有機溶剤が有効です。そもそも溶剤系接着剤は、アクリルなどのプラスチックを溶解した成分を含みます。有機溶剤にはプラスチックを溶かす性質があり、アクリル接着剤を剥がすのに効果的です。

完全に溶着すると、綺麗に剥がすことは非常に困難です。場合によっては、被着材の一方を残し、もう一方を物理的に破壊する覚悟も必要な場合もあります。そうならないために、一度溶剤による剥離を試すことをおすすめします。

4. アクリル系接着剤が白くなる場合の対処法

シアノアクリレートを主成分とするアクリル系接着剤を使用すると、被着材の周りなどに白い物質が残ることがあり、これを白化現象とよびます。

白化現象を防止するためには、接着面とその周辺のほこりや水分を取除くことや、湿度の低い作業環境を選ぶことが大切です。

あらかじめ、白化現象が起こりにくい硬化促進剤を使用するのも手段です。 白化現象が起きてしまった場合は、有機溶剤による化学的除去や、紙やすりでの物理的除去といった方法で取り除きます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesion/48/4/48_4-3/_pdf/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikeikakou/30/7/30_379/_pdf/-char/ja

ねじゲージ

ねじゲージとは

ねじゲージ

ねじゲージとは、「おねじ」または「めねじ」が既定の正しい形状で製作されているかどうかを確認するときに用いる検査治具です。

おねじの計測では、リングゲージが使用されます。ねじの形状は規格化されていますが、様々な諸元があります。

例えばねじ外径、ねじ有効径、ねじピッチ、ねじ谷径などです。これら諸元を一つずつ測定するには多くの手間がかかります。しかし、ねじゲージを用いれば、製造したねじ形状の良否を素早く判断することが可能です。ねじの製造現場で広く使われています。

ねじゲージの使用用途

ねじゲージは主にねじの製造現場で用いられています。ねじの形状は規格化されていますが、様々な諸元があります。

例えばねじ外径、ねじ有効径、ねじピッチ、ねじ谷径などです。これら諸元を一つずつ測定するには、多くの手間がかかります。

そこで、ねじゲージを用いることによって、製造したねじ形状の良否を素早く判断できるようになります。業務効率化に繋がるため、ねじゲージはねじの製造現場で広く使われています。

ねじゲージの原理

ねじゲージの原理は、ねじゲージの種類によって異なります。製造現場でよく使用されるねじゲージは以下の通りです。

1. 限界ねじゲージ

限界ねじゲージは、製造されたねじ形状の良否を容易に判断するための検査治具です。検査対象のねじの上限規格と下限規格で作られたゲージを使い、片方のゲージは通過し、もう片方のゲージには通過しないことで、ねじ形状の良否を判定します。

ボルト等のおねじ製品なら、ねじ規格上限側のリングゲージは通過し、ねじ規格下限側のリングゲージには通過しません。ナットなどのめねじ製品であれば、ねじ規格下限側のプラグゲージは通過し、ねじ規格上限側のプラグゲージには通過しないことを確認します。また、ここでの規格とは具体的にはねじの有効径を指します。

2. 摩耗点検用ねじゲージ

摩耗点検用ねじゲージは、限界ねじゲージの精度を保証するためのゲージです。限界ねじゲージは検査で検査対象物を通過させることで摩耗していきます。この摩耗量が大きくなると、正しい判断ができなくなります。

そこで摩耗点検用ねじゲージで、限界ねじゲージが正しい検査をするための摩耗限界を超えていないかを検査します。限界ねじプラグゲージの摩耗を検査するものを摩耗点検用リングゲージ、限界ねじリングゲージの摩耗を検査するものを、摩耗点検用プラグゲージと呼びます。

3. 標準ねじゲージ

ねじ規格の基準山形および基準寸法で作られたねじゲージのことで、プラグゲージとリングゲージでセットになっています。計測における基準となるねじゲージです。限界ねじゲージと比べると、品質保証精度は劣ってしまいます。しかし、限界ねじゲージのように通り側、止め側のセットで用意する必要はありません。その分コストを安く抑えられます。

4. 管用ねじゲージ

管用ねじゲージには大きく分けて2種類あります。平行ねじ用とテーパねじ用です。平行ねじ用の使用方法は、通り側と止まり側で測定を行います。テーパねじ用のねじゲージは端面に切り欠きが掘ってあり、ねじの先端がその切り欠き範囲内にあれば合格となります。

ねじゲージの種類

ねじゲージは、リングゲージとプラグゲージに大別されます。そこから詳細に分類すると上記のようになります。

リングゲージとは、ねじを検査するものです。検査対象のおねじがねじ込めるように、円盤の中央にめねじがありリング形状をしているため、リングゲージと呼ばれています。

一方で、ブラグゲージとは、めねじを検査するものです。検査対象のめねじにねじ込む (差し込む) ように使うため、「プラグ=穴に差し込むもの」と呼ばれています。

参考文献
https://www.osg.co.jp/media_dl/technical/file/t_2.pdf
https://www.kuroda-precision.co.jp/technical-information/gauge/gauge015.html
https://www.kuroda-precision.co.jp/e-top/CAT_DL/e-gauge/r/spdfdata/02e27_9s.pdf

VDSLモデム

VDSLモデムとは

VDSLモデムとは、通信形式の1種で、電話回線のアナログ信号とWebからのデジタル信号を相互に変換する機械のことです。

「モデム」とは日本語で「変調復調装置」と言い、この機器を用いることで、電話線を介したインターネット通信が可能となります。なお、VDSLとは「Very high bitrate Digital Subscriber Line」の略語で、既存の電話回線を用いる手法 (xDSL) の中で最も早い通信方式です。

VDSLは主にマンションやアパートなどの集合住宅向けのインターネット回線で用いられています。

VDSLモデムの使用用途

VDSLモデムは、VDSL方式のインターネット回線を引く際に使用されます。前述の通り、集合住宅等でVDSL方式のインターネットを利用する際は電話線を介した通信を行うためにVDSLモデムが必要です。VDSLモデムを宅内に設置することによって、アナログとデジタルの信号を送受信が可能となります。

なお、VDSLによる通信は他のxDSL方式の通信形式より早いとはいえ、光ファイバーによる通信と比較すると回線速度は約10分の1と遅めです。

VDSLモデムの原理

VDSL方式は、マンション内の共有スペースまで光ファイバーを引き込んでから、インターネットを契約した各部屋へ電話回線のケーブルを使って配線を行う方式です。VDSL方式では光回線が電線から集合住宅内の「MDF室」と呼ばれる主配線盤と繋がれ、そこから各住居に電話回線を介して枝分かれしています。

電話回線を使用しているため、VDSL方式でもインターネットを利用するにはモデムが必要となり、そのときに用いられるのが「VDSLモデム」です。なお、VDSL方式と類似した方式である光配線方式では、光回線が電線から各住居まで伸びているため、VDSLとは異なり通信回線は全て光回線となります。

このように電話回線を介しているか、それとも全て光回線になっているかという点がVDSLと光配線方式の最高速度の差を生み出している原因です。

VDSLモデムの種類

1. 非同期式モデム

一般的に使用される種類です。調歩同期式でビット単位同期やHigh-Level Data Link Control (HLDC) などのフラグ同期やキャラクタ同期でブロック単位同期をデータ信号自体で取りながら通信を行います。速度と確実性に劣りますが、安価です。

2. 同期式モデム

一部の業務用で使用される種類です。端末装置から別々の信号線にてデータ信号と同期信号を送信した後、1つの伝送路で送信します。受信側ではデータ信号と同期信号を分離した後に、別々の信号線で端末装置に受信させます。

非同期式モデムと比較して確実で高速な通信が可能となりますが、高価です。

VDSLモデムのその他情報

1. VDSLモデムにおける通信手法

モデムとは、電話回線で用いられているアナログ信号とパソコンで用いられるデジタル信号を相互に変換できる機能を有する装置です。従来、インターネットに接続する際は電話回線を使用するダイヤルアップ接続が標準であり、アナログ/デジタル信号の変換を行うモデムは必要不可欠でした。

モデムは、Modulator (変調) 、Demodulator (復調) の頭文字を取った略称です。音声を伝送する電話線を使用してデジタル信号を伝送する場合、コンピュータが処理するデジタル信号を直接送ることはできません。デジタル信号を一度アナログ信号に変換する場合にモデムを使用します。

変調ではキャリア (搬送波) と呼ばれる基準信号を基に信号の振幅や位相を変えることで、デジタル信号をアナログ信号にのせています。

 2. 調歩同期式通信

調歩同期式通信とは、シリアル通信において一文字分の情報を送るたびにデータの先頭にデータ送信開始ビット (スタートビット)とデータの最後にデータ送信終了ビット (エンドビット) を付与して送受信する通信方法です。

調歩同期式では同期通信と比較すると通信効率は落ちますが、同期用の信号線が不要で、自由なタイミングでデータ伝送が可能な点がメリットです。

参考文献
https://movie-memo.com/netkaisen/vdsl-modem/
https://dream.jp/ftth/tips_f/hikari23.html

V型混合機

V型混合機とは

V型混合機

V型混合機とは、混合容器がV形状であり、回転運動を利用して粉粒体を分散・集合を繰り返しながら均一に混合する混合機のことです。

混合容器全体に移動する粉粒体が対流運動を繰り返すことで、迅速かつ均一な混合が可能になります。また、3次元的な衝突およびたたみ込み作用により、混合時間を短縮することができます。内部構造がシンプルであるため、医薬・食品分野における原料の混合に適しています。

V型混合機の利点は、混合時間が短く、混合精度が高いことです。また、W型混合機よりも混合容器の断面積が小さく、少量の原料からでも均一な混合が可能です。そのため、製品の品質を維持に必要な均一な混合には欠かせない機械として、広く利用されています。

さらに、V型混合機は、清掃が容易であるという利点もあります。内部構造がシンプルであるため、清掃の手間が少なく、医薬品や食品分野で必要な高い衛生基準を満たすことが可能です。

V型混合機の使用用途

V型混合機は、ペレット、合成樹脂粉末、調味料、塗料、乳製品、洗剤、陶土、ガラス、粉末治金、フェライトの原料など、多様な材料の混合に使用され、特に医薬品や食品分野での原料混合に向いています。高品質な製品を作る工程の1つとして活用されることが多いです。

また、V型混合機は内部構造がシンプルで、清掃が容易であるため、衛生的な環境下での使用が可能です。医薬品や食品分野以外に、化粧品や化学品の混合にも適しています。V型混合機は多くの分野で使用されており、均一な混合を実現するために不可欠な機械です。

V型混合機の原理

V型混合機の原理は、流体同士とは異なり、粉粒体の自己拡散性がないため、外力を加えて粉粒体自身を運動させることで成り立ちます。しかし、外力を加えると静止状態と流動状態が分かれ、効率的な混合を妨げてしまいます。特に、比重や粒子径の差が大きい場合、均質化と偏析化の強さに差が生じ、混合状態を維持することが難しいことが欠点です。

V型混合機は、V型の混合槽の回転により集合と分離が繰り返され、理想的な全体混合を行うことが可能です。また、仕込み量や装置設計、運転条件を適切に選定することで、流動性を有する粉粒体や壊れやすい粉体の混合に適しています。

さらに、原料を残らず排出でき、装置の清掃洗浄も容易であり、比較的安価な装置です。コンタミも軸貫通部以外からは基本的に防げるため、安心して使用できます。V型混合機は、混合操作を行うために必要な外力を加えることで、均質化と偏析化の差を解消し、効率的かつ理想的な混合を実現する装置です。

V型混合機のその他情報

1. V型混合機の仕込み量について

V型混合機の推奨仕込み量は、40%以下とされています。V型容器内で粉が自由に流動する空間を確保しなければ、十分な混合効果を得られないためです。容器回転式の混合気に共通して言えることですが、粉自身の対流が混合の原動力なので、どうしても仕込み量は装置の大きさの割に少なめになってしまいます。

スクリューやリボンのようなローター回転式混合機では仕込み量を60%以上に取ることも可能です。しかし、ローターの力による粒子の摩耗・破壊や撹拌動作に起因する偏析等が起きる場合もあり、一概に仕込み量だけで混合機を選定することはできません。

混合機の選定には、諸々の要求事項を確認したうえで実粉によるテストを行い、粉体品質への影響を確認することが重要です。

2. V型混合機に適した粉体の性質

V型混合機は容器回転型のため、撹拌型混合機のようにローターからの圧縮・せん断・摩擦力による粉体粒子の損傷があまり起きません。粒子形状を壊したくない粉体に適しています。

粉体の機能・性質にとって粒子の形状や大きさ・表面状態は大きな要素であり、混合機などの機械的処理によってそれらが変化すると、粉体自体の流動性や他の原料との混合性、樹脂などに添加したときの分散性などが変わってしまう可能性があるため注意が必要です。

機能性付与や付加価値を持たせること目的に粒径制御・形状制御・コーティングなどを行った粉体は、その機能を損なわないよう穏やかに混合する必要があり、V型混合機が適しています。また、撹拌型混合機は摩擦により熱が発生するため、混合中に粉体の温度が上昇してしまうという問題もあります。

したがって、熱に弱い試料はV型混合機が適しています。反対にV型混合機に適していない粉体は、微粒粉や粉体同士の粒径差・密度差が大きい試料です。それらの場合、微粒子や軽い粉体が凝集を起こしてしまい、容器回転型では凝集物を解砕することが困難です。また、密度差が大きいと粉体が偏析してしまう場合もあります。

参考文献
https://www.tokujuk.co.jp/products/mixer/V/post-3.html
http://www.a-ryoko.co.jp/product-mixers.html
http://www.sigma-industry.co.jp/mixer_vcone.html
https://www.dalton.co.jp/product/search/detail/powder/food/DV
http://www.hiroshimamm-chemtech.com/knowledge/knowledge-858/
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/powder_mix/

UPS無停電電源装置

UPS無停電電源装置とは

UPS無停電電源装置

UPS無停電電源装置とは、停電などにより電源障害が生じた際に負荷機器に一定時間だけ電力を供給する機器です。

UPSはUninterruptible Power Supplyの略で、日本語では無停電電源装置と訳されます。一般的に電力送電網の停電は数秒~数分の場合が多いため、UPSを使用することで機器の停止を回避できる場合が多いです。

また、コンピュータなどの電子機器は突発的に停電すると、故障したり内部データが消えたりする危険があります。UPSを接続することで電源トラブル時に電子機器を安全にシャットダウンできる時間だけ電力を供給します。

UPS無停電電源装置の使用用途

UPS無停電電源装置は重要なコンピュータや通信機器を有する場合に使用されます。以下はUPSの使用用途一例です。

  • パソコンやOA機器
  • ネットワーク機器
  • 店舗におけるPOS端末や顧客情報端末
  • 防犯・防災関連機器
  • ATM端末やオンライン端末
  • 放送機器や電装機器

UPS無停電電源装置と電源管理用ソフトウェアを組み合わせて使用する場合もあります。これらのソフトウェアによって停電時に機器を自動で安全にシャットダウンしたり、自動起動したりすることも可能です。

UPS無停電電源装置の原理

UPS無停電電源装置は一般的に、以下の回路から構成されます。

1. コンバータ

コンバータは交流電力を直流電力へ変換する装置です。電力会社から供給される電力は一般的に交流であるのに対し、バッテリーの電力は直流です。バッテリーの電力を商用電源と連系させるために、コンバータで一度直流へ変換します。ダイオードブリッジなどで交流を直流へ変換した後に、コンデンサーで平滑化する仕組みが一般的です。

2. インバータ

インバータは直流電力を交流電力へ変換する装置です。コンピュータの多くは交流電力を入力する機器が多いため、コンバータによって直流電力を交流電力へ変換します。IGBTやサイリスタを4~6個使用して、スイッチングすることで交流へ変換する装置が一般的です。

3. バイパス回路

バイパス回路はインバータやコンバータを介さずに、直接商用電力を供給する回路です。インバータやコンバータの故障によって停電してしまっては本末転倒のため、その場合はバイパス回路で商用電力を送電します。また、普段はバイパス回路で給電し、停電時のみバッテリーから給電するUPSも販売されています。

4. バッテリー

バッテリーはUPSの電力を貯蔵するための部品です。普段はコンバータの電力を用いて充電されており、商用電力が遮断された場合にインバータへ電力を給電します。UPS無停電電源装置用のバッテリーは、MSE型とUPS専用型の2種類です。MSE型は比較的サイズが大きく、主に大容量のものに用いられます。UPS専用型は省スペースで設置が可能です。供給量は一般的にMSE型の方が大きいです。

バッテリーは経年で充電容量が低下し、80%を下回った場合は交換が推奨されます。専門的な知識がなくても交換できる製品がほとんどです。多くの機種ではLEDランプでバッテリーの劣化を知らせる機能が備わっています。

UPS無停電電源装置の種類

また、UPSには給電方法に応じて以下のような種類があります。

1. 常時インバータ給電方式

商用電力の状態によらず、インバータを経由させる方式です。通常時・停電時のいずれの状況においても、インバータによって給電します。電力送電網からのノイズや突発過電圧を回避することができるため、常に安定した電力を供給することが可能です。

2. ラインインタラクティブ方式

通常時は商用電力から電力を供給すると同時に、インバータを介してバッテリへの充電も行う方式です。通常時でもインバータへの給電がされているため、切替え時間は常時商用給電方式よりも短いのが特徴です。

3. 常時商用給電方式

通常時は商用電源からそのまま給電し、停電時はバッテリからのインバータ給電に切り換える方式です。通常時はインバータが停止していることから省電力なシステムであり、小型で低価格というメリットがあります。一方で、給電の切替え時に、数ms程度の瞬断が発生するため、安定性の求められる機器への接続には不向きです。

UPS無停電電源装置のその他情報

UPS無停電電源装置の耐用年数

UPS無停電電源装置は耐用年数があり、一般的には5~7年程度で交換が必要です。これは内蔵される電解コンデンサの寿命が8年程度のためです。また、温度が高い環境で利用すると耐用年数が短くなるため、定期的な点検も欠かせません。

参考文献
https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/ups/aboutups/
https://www.nipron.co.jp/pdf/cyclopedia/chapter4/4-3.pdf
https://cyber.apc.co.jp/faq/003131.html
https://www.a-nett.info/blog/2020/01/gsups.php
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/support/faq/ups/a_select_150701a.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/ups/ups_battery/

SHDSLモデム

SHDSLモデムとは

SHDSLモデム

SHDSLモデムとは、電話線を利用した長距離間でも対応可能で、高速かつ安定したデータ通信を可能にする伝送装置のことです。

UTPや光配線などの方法の場合、数kmに及ぶ光ファイバケーブルの敷設となると莫大な費用が必要になってしまいます。一方で、SHDSLモデムは、比較的簡単に短期間の工事で済むため、結果低コストで長距離伝送ネットワークが構築可能です。

SHDSL構内モデムであれば、非常に低コストでの導入できるので、工場や空港、鉄道など、敷地の広いエリアでの利用に非常に向いています。

SHDSLモデムの使用用途

SHDSLモデムは、既存の電話線に利用されています。数km先の場所までLANの延長を可能とするため、広大な敷地を誇る施設での導入に適しています。具体的には、工場敷地内、駐車場、キャンパス内、ショッピングモール内、スキー場、空港、駅構内などです。

仮にLAN配線や光ファイバ敷設を行うとするならば、高額な費用が掛かる場合であっても、既に設置された電話線を利用することで、低コストでネットワークやLANの延長が可能です。このように、既存設備をそのまま利用できるため、コストパフォーマンスに優れた手段と言えます。

SHDSLモデムの原理

SHDSL方式は、HDSL方式を基にして策定されたxDSLの通信規格です。上りと下りが同じ速度であり、銅線ケーブルを使用する等の特徴を持ちます。SHDSL方式では2対の回線を使用しており、上りと下り方向で同じ周波数帯域を使用しています。

電話回線を使用しているため、SHDSL方式でもインターネットを利用するにはモデムが必要となり、そのときに用いられるのがSHDSLモデムです。SHDSLモデムは設置が簡単でありつつも、長距離通信も可能です。

Ethernetであれば最大100mが限界ですが、SHDSL、VDSLを用いることにより数km先までLAN延長が可能です。そのうえ、高速通信にも対応できます。さらに、上下対称なので双方向同一速度での通信も可能です。VDSLモデムであれば、双方向最大100Mbpsの高速通信が実現されます。

SHDSLモデムの特徴

SHDSLモデムには、次のような特徴があります。

1. コストが抑えられる

導入コストは、光ファイバなどの他の方法に比べて圧倒的に安いです。これは既存の構内電話線を利用するため、新規の配線工事が一切必要ないからです。配線工事等の工事費用がかかる他の手段に比べて、導入コストが抑えられます。

2. 設置が簡単

設置そのものが圧倒的に簡単なことも、SHDSLモデムのメリットです。余っている電話線の両端にSHDSLモデムを設置するだけで利用できます。また、メタル線 (銅線・電線) を利用することも可能です。

ただし、SHDSLはメタル線が空き線である必要があります。基地局からユーザーまでの経路が一部光ケーブルで配線されているような地域であっても、元のメタル回線が残っていればSHDSL通信は可能になります。

3. SHDSLモデム同士の接続が可能

SHDSLモデムは、モデム同士を1対1で接続するポイントToポイントの接続が可能です。0.4m直径の芯線でおよそ7kmの接続に対応しています。

そのほか、1つのSHDSLモデムに対して複数のSHDSLモデムを接続するポイントToマルチポイント接続や、リング状にモデム同士を接続するリング接続等のタイプもあります。

SHDSLモデムのその他情報

ボンディング技術

SHDSLモデムでは、ボンディング技術を追加で利用することで速度向上が図れます。ボンディングとは、複数の回線を束ねて利用する技術のことです。回線を束ねて扱うことで、速度の向上につながります。

また、ボンディングを利用することでネットワークインタフェースの物理的故障や接続するネットワークスイッチの障害に対して、冗長性が取れてサービス継続性を向上させることも可能です。

参考文献
https://www.sonet.jp/products/archives/29

PVDコーティング

PVDコーティングとは

PVD (英: Physical Vapor Deposition) コーティングとは、被成膜物の表面に硬い合金よりなる薄膜を物理的な方法で成膜してコーティングすることです。

これにより、被成膜物表面を非常に硬く丈夫なものとします。また、表面の円滑性を高めて、被成膜物表面の摩擦や摩耗を低減する効果もあります。

PVDコーティングの使用用途

PVDコーティングの代表的な使用用途として、半導体製造工程が挙げられます。古くから使用されており、具体的には多層電極や配線、保護膜、絶縁膜、メタル膜の形成などです。

また、密着性の良さやコスト性能からCDやDVDなどの記憶媒体へのアルミコーティング、刃物工具の耐久性を向上させるチタン合金コーティングにも適しています。さらには、金属や非金属製品へメッキの代替えとして、例えばブレスレットや腕時計などの宝飾品やドアノブなどの建築部品の加飾用途にも活用されています。

樹脂成型金型やプレス金型などの成形性を上げるための表面処理、医療器具の表面処理や光学用反射防止膜なども使用用途の一つです。PVDコーティングは、被成膜物の「高耐久化」や「低摩耗化」および「高寿命化」を達成するものなので、様々な分野に使用されています。

PVDコーティングの原理

PVDコーティングは、被成膜物表面に物理的な方法で硬い金属を付着させ膜を形成してコーティングすることです。金属を付着させる手段としては、「真空蒸着法」「スパッタリング」「イオンプレーティング」の3種類があります。

これらの方法のいずれにおいても、成膜容器内を高真空域 (高真空10⁻¹~10⁻⁵) とし、その中で、成膜する材料物質 (ターゲット) を熱や電子ビーム、イオン等の外部エネルギーによって気化あるいは蒸発させ、被成膜物上に物理的に堆積させます。

PVDコーティングの種類

PVDコーティングにおける金属を付着させる方法として、「真空蒸着法」「スパッタリング」「イオンプレーティング」の3種類が挙げられます。

1. 真空蒸着法

真空蒸着法は、最も基本的なPVD成膜法です。高真空域へ到達した成膜容器内で、成膜材料を気化、蒸発させて被成膜物表面へ物理的に堆積させます。成膜物質を加熱する方法としては、電子ビーム加熱方式と抵抗加熱方式が代表的です。

電子ビーム方式
電子ビーム方式は、汎用性が高く最も利用されている方法です。この方法では、水冷されたルツボに膜を形成する蒸発物質を入れ、電子ビームを照射して蒸発させています。

抵抗加熱方式
抵抗加熱方式は、高融点金属製のボート上に膜を形成する蒸発物質をのせ、ボートをヒータで直接加熱する方式です。このほか、高周波誘導加熱やレーザビーム加熱高周波加熱およびアーク加熱などもあります。

真空蒸着法
真空蒸着法では、被成膜物を加熱する必要が無いため、樹脂や熱履歴を残したくない金属製品への成膜が可能です。また、真空蒸着法では被成膜物に負電圧を印加する必要もないことから、導電性の無い素材への成膜もできます。

2. スパッタリング

スパッタリングにおいては、高真空域へ到達した成膜容器内で、アルゴンなどの活性ガスをイオン化して成膜材料にぶつけ、その分子および原子を勢いよく飛ばします。飛び散った分子および原子は被成膜物表面に物理的に堆積され、膜が形成されます。

アルゴンガスをイオン化する方法としては、成膜容器内に陰極に成膜材料、陽極に被成膜物を配した平行平板電極を配置し、直流電圧を印加して陰極側でグロー放電を生じさせ、放電領域内でアルゴンガスをイオン化させる方法が基本です。

このとき、イオン化したアルゴンは高エネルギー、高速状態で陰極側へ衝突します。その際に陰、極側へ設置された成膜材料に衝突するため、そこから放出された材料原子が陽極側に取り付けられた被成膜物に到達して物理的に堆積していきます。

この方法は2極スパッタリングと呼ばれ、現在ではアルゴンのイオン化率を高める為に磁力線効果を併用 (陰電極にマグネットを設置) したマグネトロンスパッタリングが主流です。

3. イオンプレーティング

イオンプレーティングは、真空中で加熱して蒸発させた金属や化合物のガスをイオン化し、被成膜物に叩きつけて膜を堆積する方法です。つまり、真空蒸着にプラズマを加えた処理法と言えます。

具体的には、高真空領域に達した成膜容器内において、直流電圧や高周波電圧、電子ビーム等でターゲットを蒸発させます。これと同時に成膜容器内に反応ガス (窒素、炭化水素等) を導入し、これと蒸発した成膜物質を反応させます。

被成膜物には陰電圧が印加されているため、成膜材料は加速されて高エネルギー状態で被成膜物に衝突し、被成膜物表面に堆積して膜形成が可能です。この方法は、窒化物や炭窒化物を密着性良く成膜可能で、刃物工具や耐久性を要する加飾などに用いられます。

PINパッド

PINパッドとは

PINパッド

PINパッド (Personal Identification Number pad) は、店舗や銀行などでICチップが内蔵されたカード (ICカード) を用いて支払いや取引をする際に、暗証番号を入力するために操作する、本人認証用の小型の端末のことです。

ICカードは磁気カードに比較してセキュリティの面で優れていることから、現在ではクレジットカード、キャッシュカード、デビットカード等で広く使われています。

PINパッドは、本体にICカードの差込口と、暗証番号入力用のテンキーが備わっており、テンキーの周囲は、入力内容が他人に見られることを防ぐために目隠しカバーで覆われています。

PINパッドの使用用途

PINパッドはICカードを用いた取引の際に、ICチップに記録された暗証番号と、カード所有者が入力する暗証番号を比較し、本人認証を行うために使用されます。

ICカードは、磁気カードと比較して、記録内容を盗み取ったり、その情報を元に偽造カードを作るスキミングの被害に会いにくいカードです。従って、クレジットカード、キャッシュカード、デビットカード等は殆どが磁気カードからICカードに置き換わっています。

PINパッドはこれらのカードが使用される場所に置かれています。店舗であれば、電子レジやPOS端末の近傍に置かれ、これら決済端末と繋がっています。銀行であれば、PINパッドは対面カウンターやテーブルの上に置かれ、近くにある行員が使用するPCなどと繋がっています。

また、PINパッドは本人認証に成功した場合には、ICカードに記録されている決済に必要となる情報を、POS端末等の上位端末に送信します。逆に、暗証番号を複数回誤って入力すると、そのICカードを使用できなくする機能も実装されています。

PINパッドの原理

1. PINパッドによる認証の手順

PINパッドには、ICカードの内容を読み取る機能、暗証番号の入力を受け付ける機能とそのためのテンキーパッド、そして上位端末となる電子レジやPOSシステム、PCなどと通信を行う機能が備わっています。そして、上位端末との通信には暗号化された信号を用いることで、セキュリティを高めています。

PINパッドは、POS等の上位端末からの信号によってICカードを受け入れることが可能になります。店舗で商品の購入にクレジットカードを利用する場合であれば、店員がPOS端末を操作して、商品の売り上げ情報を入力します。その後に、店員が購入者に対してクレジットカードをPINパッドのカートスロットルに挿入し、暗証番号の入力を求めてきます。正しい暗証番号が入力され、本人認証が終了した時点で決済が行われます。

2. オンライン認証とオフライン認証

PINパッドを用いた本人認証にはオンライン認証とオフライン認証があります。

オンライン認証では、PINパッドで入力した暗証番号がカード発行会社のサーバーにも送られ、サーバーに記録されている暗証番号とも比較され認証が行われます。この通信には暗号化された信号が用いられ、オフライン認証よりも、より高度なセキュリティが保たれています。但し、オンライン認証は常にサーバーと通信ができるインターネットと繋がっていなければならず、設置者の負担となる他、サーバーや通信に障害が起きている場合には使用できなくなる欠点があります。

一方、オフライン認証は、PINパッドが入力された暗証番号とICカードに記録されている暗証番号の照合のみを行い、この二つの番号が一致した場合には本人認証が完了となります。オフライン認証は、カード発行会社のサーバーと繋がっていない状態でも本人認証を完了でき、決済を短時間で行える利点があります。その反面、サーバーからの最新情報を取得できない欠点があります。日本国内ではオフライン認証が一般的に使われています。

PINパッドの選び方

PINパッドには、使用する環境に応じた様々なタイプがあります。

電子レジやPOS端末など、支払いカウンターで使用するPINパッドはケーブルで上位端末と接続されていて、他の客に暗証番号が見られないように、しっかりした目隠しカバーがついたものが使われています。レストランのように、店員が持ち運び各テーブルで使用するPINパッドは、ワイヤレス通信で上位端末と繋がります。

バーコードリーダーやQRコードリーダー、サーマルプリンターなど他の機能と一体となったものや、クレジットカードとデビットカードの両方が使えるものなど、PINパッドが付いたマルチ決済端末も市販されています。

また、テンキーの部分は、防塵性を考慮したビニールシートのものや、タッチパネル式のものなどもあります。

これらの特徴を検討し、上位端末との通信方式や暗号化の方式を確認した上で、使用環境にあったものを選択すると良いでしょう。

参考文献
https://www.creditcard-staff.com/glossary/pin_pad.htm
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/kk26-b1-4.pdf

PFAチューブ

PFAチューブとは

PFAチューブは、PFAと呼ばれるフッ素樹脂が原料の半透明のチューブです。-40℃から260℃程度まで耐熱性があります。PFAチューブにはフッ素が多く含まれているので非粘着性が強く、粘度の高い液体もほとんど付着しない特徴があります。また可塑剤や添加剤を含まないので、PFAチューブを通した液体に余分な成分が流出しません。そのためクリーンな状態を保つことができます。PFAチューブは医薬品や食品の製造工場や、医療用にも使用されています。

PFAチューブの使用用途

PFAチューブは強酸、強アルカリにも使用でき、市販のほとんどの腐食性の薬剤に耐性があります。そのため液晶製造過程、化学プラント、半導体製造装置、液体、ガスなどの分析装置、メッキ工場の酸アルカリ洗浄等の場所で利用されています。また、薬液、燃料、油、スチームなどの移送にもPFAチューブが適しています。研究室や実験室でもPFAチューブは便利なのでよく使われています。

液体を流すだけでなく、航空機や自動車などの配線類の被覆保護にも利用されます。

PFAチューブの原理

PFAチューブはPFAで作られたチューブです。PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体を指します。エチレンがフッ素化されているので耐熱性、耐薬品性が強いです。同じフッ素化合物のPTFEよりも溶融させた時の粘度が高くないので加工性が良く、柔軟でチューブとして曲げることができます。腐食性が最も強い溶融アルカリ金属や高温のフッ素ガスへの耐性はほぼありません。また、フッ素樹脂が原料なので電気絶縁性、耐候性にも優れています。

PFAチューブは、ペレット状の原料のPFAを加熱し溶融させて、押し出します。チューブ状になるよう口金を使用して成型します。チューブ状になった後は水槽で冷却し、巻き取ります。溶融させる際に微量ですが、金属を腐食させる分解物が発生するので、製造に使用する金属は耐腐食性の強いものを選ぶ必要があります。

PFAチューブにも純度等のグレードがあり、用途に応じたグレードを選択します。

参考文献

https://www.meikou.jp/pfa.html

https://www.nichias.co.jp/products/product/fluorine/tube/tube01.html

LEDレンズ

LEDレンズとは

LEDレンズ

LEDレンズとは、LEDの光を調整して使いやすくするために利用される特殊なレンズです。

LEDによって発光された光は、直進性が高いために広がりがないのが特徴です。小さな電力でより多くの範囲を照らすために利用されています。

この特殊なレンズを通過することによって拡散させているからこそ、省エネと明るさを同時に実現できています。照明用としては、レンズの形状によって様々な用途や光源の個数に分けられています。

LEDを光源とした照明は、家庭用のほか多くの場所で導入が進んでいるのが現状です。幅広い用途に対応するために、LEDレンズと合わせて器具に組み込まれています。

LEDレンズの使用用途

LEDレンズは、LED光源が利用されている照明器具の内部に組み込まれていることが多いです。LED照明はコストパフォーマンスに優れているので、店舗や住宅照明、広告照明、街灯、舞台照明、アウトドア用照明、懐中電灯や計測機器といった幅広い場所で人気が出ています。

ホテルやショールーム、博物館などでは、LED照明が多数利用されていることに加えて、展示など特殊な用途に適したLED照明とLEDレンズが導入されています。さらに、照明としての用途だけでなく、信号灯や道路交通表示板にも使用されています。

こうした屋外でも適用できる耐用性と寿命の長さ、信頼性を持つことから、近代の生活には欠かせないものです。

LEDレンズの原理

LEDレンズは光を集めて屈折させたり、拡散させたりすることによって直線性の高いLED素子の光を均一に広がらせることができます。LEDの光だけでは直進性が高く、前方真上が強く照らされるため、あらゆる用途に対応できません。

レンズの原理を利用して多様性を持たせることで、LEDの使用範囲は大きく広がりました。LEDの光は、LED光源のパッケージにいれて形成されることで、電子部品として商品化され、使用できるようになります。パッケージの形状によってレンズも大きく異なります。

LEDレンズの特徴

LEDレンズは種類によって特徴が異なります。種類によって異なる特徴は、以下の通りです。

1. 集光

シンプルなドーム型レンズは、透明樹脂がかぶせてあるパッケージで多く利用されており、照明用のLEDに適した形状です。LED素子から発せられた小さな光源を集光して照らすことができるため、安価な懐中電灯などで使用されることが多い点が、特徴として挙げられます。

2. 配光と拡散

光の角度や強さによって分類したものが配光です。前方直進性が高く、中心が明るく、遠ざかるにつれて緩やかに暗くなるものをランバート配光と呼ばれます。

その他にも、全体的に照らすことができる全方向タイプや、半円状に照らすことができる広配光タイプがあります。看板用の照明など、広範囲をムラなく照らしたい場合は、光を拡散させるレンズが最適です。

LEDレンズを通過した光は屈折し、集光もしくは拡散して照射面に当たります。LED光源からの距離によって光の印象が大きく変わるので、求める配光によってLEDレンズや光源との距離を決定します。

3. 耐久性

LEDレンズの中には、耐久性に優れているものもあります。信号機や道路交通表示板に使用されるLEDは、雨や埃など外部環境の影響を受けやすいため、劣化が早いです。

LEDの特徴とする長寿性を保つために、LEDレンズは内部を守る役割を担っています。また、LED素子は湿気にも弱いため、屋外で使用しない場合でも、湿気の多い場所に設置する際は、湿気への耐性を持つレンズを選定する必要があります。

4. 形状の多様性

通常、多く使用されるドーム型や三角錐状の形状では、レンズの厚みを改善できませんでした。しかし、近年では平面状に加工された非常に薄型のレンズも開発されています。これまで不可能だった薄型の看板などにも適用できる多様性を持っています。

参考文献
https://www.osc-japan.com/lens-public/lens/
https://www.opm7.com/case/
https://www.opm7.com/products/led.html
https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/led/knowledge/lighting/lens.html
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1005/24/news087_2.html