SHDSLモデムとは
SHDSLモデムとは、電話線を利用した長距離間でも対応可能で、高速かつ安定したデータ通信を可能にする伝送装置のことです。
UTPや光配線などの方法の場合、数kmに及ぶ光ファイバケーブルの敷設となると莫大な費用が必要になってしまいます。一方で、SHDSLモデムは、比較的簡単に短期間の工事で済むため、結果低コストで長距離伝送ネットワークが構築可能です。
SHDSL構内モデムであれば、非常に低コストでの導入できるので、工場や空港、鉄道など、敷地の広いエリアでの利用に非常に向いています。
SHDSLモデムの使用用途
SHDSLモデムは、既存の電話線に利用されています。数km先の場所までLANの延長を可能とするため、広大な敷地を誇る施設での導入に適しています。具体的には、工場敷地内、駐車場、キャンパス内、ショッピングモール内、スキー場、空港、駅構内などです。
仮にLAN配線や光ファイバ敷設を行うとするならば、高額な費用が掛かる場合であっても、既に設置された電話線を利用することで、低コストでネットワークやLANの延長が可能です。このように、既存設備をそのまま利用できるため、コストパフォーマンスに優れた手段と言えます。
SHDSLモデムの原理
SHDSL方式は、HDSL方式を基にして策定されたxDSLの通信規格です。上りと下りが同じ速度であり、銅線ケーブルを使用する等の特徴を持ちます。SHDSL方式では2対の回線を使用しており、上りと下り方向で同じ周波数帯域を使用しています。
電話回線を使用しているため、SHDSL方式でもインターネットを利用するにはモデムが必要となり、そのときに用いられるのがSHDSLモデムです。SHDSLモデムは設置が簡単でありつつも、長距離通信も可能です。
Ethernetであれば最大100mが限界ですが、SHDSL、VDSLを用いることにより数km先までLAN延長が可能です。そのうえ、高速通信にも対応できます。さらに、上下対称なので双方向同一速度での通信も可能です。VDSLモデムであれば、双方向最大100Mbpsの高速通信が実現されます。
SHDSLモデムの特徴
SHDSLモデムには、次のような特徴があります。
1. コストが抑えられる
導入コストは、光ファイバなどの他の方法に比べて圧倒的に安いです。これは既存の構内電話線を利用するため、新規の配線工事が一切必要ないからです。配線工事等の工事費用がかかる他の手段に比べて、導入コストが抑えられます。
2. 設置が簡単
設置そのものが圧倒的に簡単なことも、SHDSLモデムのメリットです。余っている電話線の両端にSHDSLモデムを設置するだけで利用できます。また、メタル線 (銅線・電線) を利用することも可能です。
ただし、SHDSLはメタル線が空き線である必要があります。基地局からユーザーまでの経路が一部光ケーブルで配線されているような地域であっても、元のメタル回線が残っていればSHDSL通信は可能になります。
3. SHDSLモデム同士の接続が可能
SHDSLモデムは、モデム同士を1対1で接続するポイントToポイントの接続が可能です。0.4m直径の芯線でおよそ7kmの接続に対応しています。
そのほか、1つのSHDSLモデムに対して複数のSHDSLモデムを接続するポイントToマルチポイント接続や、リング状にモデム同士を接続するリング接続等のタイプもあります。
SHDSLモデムのその他情報
ボンディング技術
SHDSLモデムでは、ボンディング技術を追加で利用することで速度向上が図れます。ボンディングとは、複数の回線を束ねて利用する技術のことです。回線を束ねて扱うことで、速度の向上につながります。
また、ボンディングを利用することでネットワークインタフェースの物理的故障や接続するネットワークスイッチの障害に対して、冗長性が取れてサービス継続性を向上させることも可能です。