錺金具とは
錺金具 (かざりかなぐ) とは、神社仏閣や文化財などに用いる装飾性の強い補強材です。
建物およびその備品を補強するために、金具が用いられます。金具には、釘、鎹 (かすがい) 蝶番 (ちょうつがい) などの建築金物、保護のために用いられる根巻 (ねまき) 垂木・破風先を覆う包金物があります。さらに実用的な機能を持ち合わせた襖引手なども金具です。これらの金具が神社仏閣などで歴史を経て造形的に装飾されたものが、錺金具です。
錺金具は使用目的や場所に合わせて、金、銀、銅、錫などの素材が使われます。一枚の金属板を鎚 (つち) で叩くと膨らみますが、そこに鏨 (たがね) で模様を彫り込みます。鍛金や鋳金、彫金などの技法で形状を整え、仕上げの工程として鍍金 (ときん) 、色つけ、漆焼き付けや箔押しなどの表装を施します。
錺金具の使用用途
錺金具は主に神社やお寺などに関連する製品に使用されます。
1. 神社仏閣や文化財の補強材
神社やお寺、あるいはそれに準ずる文化財の建造物に用いられる金具として、錺金具が使用されます。神仏に関わる金具であるため、礼に叶う取り扱いが必要です。またこれらの建造物は、歴史的な価値があると同時に補修も必要です。補修の際には修復プロジェクトが組織され、錺金具の修復も合わせて行われます。建造された時代を調査し、再現するために長い時間がかけることもあり、周囲の家具や装飾品とのバランスを考慮した錺金具が用いられます。
2. 仏壇、仏具
仏壇や仏具に使われる金具も、多くの場合が錺金具です。仏壇は特に装飾性が高いため、錺金具が好んで使用されます。仏具の灯篭、常灯明、常香盤、香炉、羅網、羅網などに錺金具が使われます。仏壇や仏具の場合は補強よりも装飾の意味合いが強く、伝統美を損なわない贅をこらした錺金具の使用も必要です。
3. 神輿、山車
お祭りなどで街中を練り歩くお神輿や山車にも金具は必要です。ハレの舞台を盛り上げるためにも、豪華な装飾を施した錺金具が用いられます。短い期間ですが屋外にさらされるため、強度を確保することも重要です。